「クリスマス・ゼロライナーで」

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人の記憶こそが時間なんだなんて、誰が言ったか忘れてしまったけど。
イマジン達が契約して、その人の過去に飛んで未来を変えてしまう。
その事件が一段落してしまった。
カイの存在が消えてしまうと同時に、それまで存在していたイマジン達も消滅
してしまった。
だが、全てのイマジン達が消えてしまったわけではない。
中には人々の記憶に染みついてしまったイマジン達もいる。
そんな彼らはデンライナーのオーナーの好意で清掃係や食堂車のウェイター、
皿洗い、はたまた車両の整備点検などをして過去と未来を行ったり、来たりす
るということになった。
以前の敵達が同じ車両に乗ってしまうと言うことに対して、真っ先に異議を唱
えたのはモモタロスだった。
「なんで、てめえらと同じ電車に乗らなきゃいけねえんだ」
と、最初のうちは大声で怒鳴ったが、デンライナーで一番の力を持つオーナー
の発言には逆らえなかった。
「モモタロス君、昨日の敵は今日の友という言葉を知っていますか」
「はあっ、なんだそりゃあ」
知るわけねえだろう、モモタロスは威張った口調で答えた。
「先輩、気持ちは分からないでもないけどさ、事件は一段落したしさあ、気持
ちを大きく持って、ねっ」
ウラタロスはモモの肩を叩き、落ち着いてよと声をかけた。
そのとき、珈琲が入りましたよとナオミが声をかけた。
絶妙のタイミングにモモタロスは、おうっと返事をしながらカウンターへと向
かい、カップを受け取った。

「アッ、アチィ」
一口啜ったモモタロスは、思わず声をあげた。
するとキンタロスは呆れたように、近くにいたウラタロスに尋ねた。
「なんや、モモの奴は随分と荒れとるなあ」
「そうみたいだねえ」
ウラタロスは、ふふんと意味ありげな笑いをもらした。
そのとき、ドアが開き、こんにちはと女の声が響いた。

「あーっ、ミッちゃん」
真っ先に叫んだのはリュウタロスだった。
続いてモモタロスがコーヒーを吹き出しそうになり、ナオミやハナ、ウラやキ
ンも驚いた顔になった。
「ど、どうして、おまえがここにいんだよ」
特異点である良太郎が数時間前に降りてしまい、デンライナーにいる人間の乗
客は以前から時間旅行をしている者達だけである。
何故、良太郎と同じ時代に住む彼女がデンライナーに乗りこむことができるん
だと思ったのは不思議もなかった。
すると、彼女はバッグの中から取りだしたものをモモタロスに見せた。
「なっ、金色のパスだとおっ」
驚いたモモタロスは手に取り、周りの皆にも見せた。

「ああっ、それ特別パスですよ」
ナオミが思わず声をあげた。
「そうです、彼女は時の列車モニター係として、そのパスを送られることにな
ったのです」
「オーナー」
「おっさん、どういうことだよ」
ナオミやハナ、モモタロス達は驚いた。

そう遠くない未来、時の列車が現代と未来を行き来して、時間列車を楽しむ現
代人も現れるだろう。
その時のために、試乗モニターから様々なアンケートや待遇を聞き、改善をし
ようという案が出たというのだ。
「しかし、現代人なら誰でもいいというわけではありません。列車の秘密を他
の人間に漏らすことなく、時間に縛られず、なおかつイマジン達に対しても理
解のある人間を選定した結果、彼女が選ばれたのです」
オーナーはパスカードをモモタロスから受け取り、ミサキにはいと手渡した。
「このパスは本人以外の使用は認められず、サービスとして、特別車両の利用
もできるパスなんですよ」
「特別車両、ですか」
ミサキは不思議そうに尋ねた。
「寝台車や入浴施設の使用、それにデンライナー以外の時の列車に乗ることも
できるのです」
「ほ、本当ですか、凄い」
普段はあまり驚いた様子を見せないが、このときばかりはミサキは心底驚いた
という顔になった。
「勿論、使用するにあたって、改善すべき点、サービスの向上について思い当
たることなどあれば、その都度、知らせてください」
「勿論です」
頷く彼女に、では部屋にご案内をとオーナーが声をかけた。
すると、ドアが開いて、一人のイマジンが姿を現した。

「ということで、時の列車に自由に乗れるようになったの」
嬉しさを隠しきれないミサキの笑顔に、デネブは良かったと大きく頷いた。
「リョウちゃんから色々あったって聞かされて、もう会えないのかって思って
たから、嬉しくて」
つい数時間前、突然ゼロライナーの前に姿を現したミサキを見てデネブは信じ
られないものを見たという目つきだった。
そして、彼女の口から色々と事情を聞かされたのだ。
「ところでユウ君は」
「別の時代で桜井侑斗として暮らしている」
寂しくないのと聞かれ、デネブは首を振った。
遭いたければいつでも会いに行けるし、一週間に何度かは御飯も一緒に食べて
いるしというのだ、おまけに
「最近になってまた椎茸嫌いがひどくなってきたんだ」
その言葉に、食べれるようになったんじゃないのとミサキは驚いたが、ああと
頷いた。
「やだ、甘えてるのね」
「あ、甘えてるって」
デネブは、あたふたとしたように、侑斗はそんなにお子様じゃないと言い訳め
いた台詞を口にした。
「うんうん、いいのよ、悪い意味じゃないの、甘えられる相手がいるっていい
ものよ、羨ましいわ」
にっこりと笑顔を向けられてデネブは思わず言葉を失った。
どんな返事をすればいいのか分からず、言葉に詰まってしまった。
思わず口から出たの、今から夕ご飯の支度をするんだが、食べていくかという
台詞だった。
すると彼女は、迷うことなく頂きますと両手を合わせた。
ところが。

「待ったーっ、駄目だ、ダメダ、駄目だーっ」
その言葉を遮るようにドアが開き、入ってきたのはモモタロスだった。
だが一人ではない、そのうしろにはかって敵だった筈のクラーケンイマジンも
いた。
「そろそろ戻るぞ、今日の夕食はデンライナーときまっているんだ。デザート
はレオの奴が作る特製、濃厚生クリームたっぷりのブリュレだ」

「ええーっ、デネブの和食」
「行くぜ」
「来い」
二人のイマジンに両腕をがっちりと掴まれて、ミサキはデンライナーへと連れ
戻されたのはいうまでもない。


ケチケチすんじゃねえとモモタロスに言われ、ミサキはむっとした。
仕方ないわねと、大人の女の余裕で許してしまうのは簡単だった。
だが、今回は許すことはできない。
何故なら、年に一度のイベント、バレンタインデーなのだ。
ネットや本屋で、ようやくこれはと思い探したチョコケーキのレシピ通り時間
と手間をかけて作ったケーキ。
それをモモタロスがつまみ食いしたのだ。
いや、殆ど食べられてしまったといってもよかった。

「あんたの為に作ったんじゃないのよ」
すると、わかってるよとモモタロスは、ぶっきらぼうに呟いた。
「あのね、分かってるなら、どうして食べるのよ」
モモタロスは答える代わりに、椅子から立ち上がり、彼女の腕を掴むとぐいと
引き寄せた。
驚いたミサキに、モモタロスは次の行動にでた
逃げ出せないよう彼女の腰を抱えたまま、自由な手で残ったケーキを掴んだ。
「なっ、何すんのよ」
文句を言おうと開いた口にケーキが、ぐいっと押し込まれた。
「もっと、甘いのがいいんだ」
まるで、子供がおやつをねだるような台詞だった。
「俺のケーキも作れよ」
ミサキは思わず体を震わせた。
耳朶に息がかかり、背中がぞくりとしたのだ、
「○△■やすいんだな」
その声は笑っているようだった。
離してよというミサキの言葉に、聞こえねえなとモモタロスは彼女の頭を抱き
寄せた。
「柔らけえな」
「な、何するのよ」
突然のキスに慌てたのは無理もなかった。
「そんなにオデブ野郎がいいのか」
自分とデネブのことは、周りが知っていることだった。
今更、何を言い出すのかとミサキは驚いた顔で、モモタロスを見た。
「とにかく、離してよ。こんなところ見られたら」
「ここは俺の部屋だぜ、誰が来るんだ」
腕の中の彼女の力が、ふっと抜け、モモタロスはにやりと笑った。


ウキウキとした気分で、デネブは朝から浮き足立っていた。
いつもなら、キャンディーや手作りの菓子などを持って尋ねて来るのだが、今
日は手ぶらだった。
何故なら、今日はバレンタインデー、男ではなく、女性がプレゼントをしてく
れるのだ。
チョコレート、ケーキ、クッキー、いや、彼女からもらえるなら何でもいい。
まさに恋するイマジン、いや、男の心境だった。

「ごめんなさい、バレンタインデーのケーキ」
期待していただけに、がっくりとしたのはいうまでもない。
「いや、別に、今日でなくても」
気にしてないからと、デネブは空しい笑いを返した。
「バレンタインなのに、本当に、ごめん」
目の前で頭を深く下げる彼女の様子に、そんなに謝らなくてもとデネブは肩を
掴み、顔を上げさせた。
「んっ」
「どうしたの」
「美味しそうな、甘い匂いが」
「ああ、さっき、チョコ食べたから」
そう言って自分を見上げた彼女の顔を見ながらデネブは、おやと思った。
「イマジンの・・・匂いがする」
びっくりするくらい大きな声を上げた彼女の顔に、デネブ自身が驚いた。
「匂いって、モモタロスの匂い」
「モモジロって、えっ」
デネブの言葉に彼女の顔色が固まった。
気まずい沈黙が二人の間を満たしたが、長くは続かなかった。
突然、肩を掴まれたミサキは座席に押し倒された。
「お、怒ってるの」
少し不安そうな顔と声にデネブは、いいやと首を振った。」
「ち、ちょっ・・・と」
頬を撫でる手が、首筋へ、そして背中へと回されると胸が押しつぶされそうに
なるくらい密着度がまし、呼吸が苦しくなった。
いつもなら、茶化すようにオデブと呼ぶ声が、かすれて聞き取れない。
デネブは、もう片方の手を胸の膨らみに伸ばすとゆっくりと揉み始めた。

いつもなら一歩ずれた発言が目立つデネブだったが、こんなときには自分も男
だといわんばかりの行動力だった。
手間取りながらも、なかなか脱がせることができないとわかると、服の下から
手を伸ばし入れて、素肌を撫で始めた。
最初はゆっくりと、そして彼女の呼吸にあわせて少しずつ力を入れていった。
すると、彼女が体を揺らした。
だが、逃げるわげても、嫌がっているようでもない。
普段は茶化したようにオデブと自分を呼ぶ声が余裕もなく、デネブと呼ぶ。
その声音に思わず体が震え、気分が高まってきた。
すると、彼女の手が黒いスカートに伸び、中へと入ってきた。
なんて大胆なと思うデネブに、濡れてると彼女が囁いた。

突然、デネブは抱き上げるようにして座席から彼女を持ち上げた。
狭い場所なので、身動きが思うようにいかないのだ。
寝台車に行こうと思ったデネブだったが。
自分も、いや彼女も我慢ができそうになかった。

チョコのかわりに彼女を食べてしまった。
胸の谷間に顔を埋めたまま、今年のバレンタインは最高だと思わずにはいられ
なかった。


ケチケチすんじゃねえとモモタロスに言われ、ミサキはむっとした。
仕方ないわねと、大人の女の余裕で許してしまうのは簡単だった。
だが、今回は許すことはできない。
何故なら、年に一度のイベント、バレンタインデーなのだ。
ネットや本屋で、ようやくこれはと思い探したチョコケーキのレシピ通り時間
と手間をかけて作ったケーキ。
それをモモタロスがつまみ食いしたのだ。
いや、殆ど食べられてしまったといってもよかった。

「あんたの為に作ったんじゃないのよ」
すると、わかってるよとモモタロスは、ぶっきらぼうに呟いた。
「あのね、分かってるなら、どうして食べるのよ」
モモタロスは答える代わりに、椅子から立ち上がり、彼女の腕を掴むとぐいと
引き寄せた。
驚いたミサキに、モモタロスは次の行動にでた
逃げ出せないよう彼女の腰を抱えたまま、自由な手で残ったケーキを掴んだ。
「なっ、何すんのよ」
文句を言おうと開いた口にケーキが、ぐいっと押し込まれた。
「もっと、甘いのがいいんだ」
まるで、子供がおやつをねだるような台詞だった。
「俺のケーキも作れよ」
ミサキは思わず体を震わせた。
耳朶に息がかかり、背中がぞくりとしたのだ、
「○△■やすいんだな」
その声は笑っているようだった。
離してよというミサキの言葉に、聞こえねえなとモモタロスは彼女の頭を抱き
寄せた。
「柔らけえな」
「な、何するのよ」
突然のキスに慌てたのは無理もなかった。
「そんなにオデブ野郎がいいのか」
自分とデネブのことは、周りが知っていることだった。
今更、何を言い出すのかとミサキは驚いた顔で、モモタロスを見た。
「とにかく、離してよ。こんなところ見られたら」
「ここは俺の部屋だぜ、誰が来るんだ」
腕の中の彼女の力が、ふっと抜け、モモタロスはにやりと笑った。


ウキウキとした気分で、デネブは朝から浮き足立っていた。。
いつもなら、キャンディーや手作りの菓子などを持って尋ねて来るのだが、今
日は手ぶらだった。
何故なら、今日はバレンタインデー、男ではなく、女性がプレゼントをしてく
れるのだ。
チョコレート、ケーキ、クッキー、いや、彼女からもらえるなら何でもいい。
まさに恋するイマジン、いや、男の心境だった。

「ごめんなさい、バレンタインデーのケーキ」
期待していただけに、がっくりとしたのはいうまでもない。
「いや、別に、今日でなくても」
気にしてないからと、デネブは空しい笑いを返した。
「バレンタインなのに、本当に、ごめん」
目の前で頭を深く下げる彼女の様子に、そんなに謝らなくてもとデネブは肩を
掴み、顔を上げさせた。
「んっ」
「どうしたの」
「匂いがする」
「ああ、さっき、チョコを食べたから」
そう言って自分を見上げた彼女の顔を見ながらデネブは、おやと思った。
「そうではなくて、これはイマジンの匂いのような気がするんだ」
「匂いって、まさか、モモタロスの匂い」
思わず、口から出た彼女の言葉だったが、これにはデネブの方が驚いた。

人間の体なら柔らかい感触、肌から伝わる温もりとか、体臭とか、色々な物が
伝わってくる。
イマジンの場合は、どうなのだろう。
ミサキは、今、それを直に感じていた。

金色の目、黒い体、それは金属でもないが硬質的な堅さや冷たさはない。
温もりを、いや、それは錯覚かもと思いながらミサキはデネブを見上げた。
狭い座席に座ったまま、不自然な体勢のままの抱きしめられるというのは窮屈
すぎるほどだった。
だが、苦しいから腕をほどいてくれとは何故か言えず、黙ったままだった。




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