676 :名無しさん@ピンキー:04/05/19 12:55 ID:0GfhrpX+
湿った熱気がまとわりつく熱帯の昼下がり。

雑然とした部屋で、レヴィなどだらしなくソファーにひっくり返っている。
この部屋片付ければ少しはマシになるかな…と思いながら
さすがのロックも動く気にならず、くわえ煙草でネクタイを緩める。

「…なぁロック、火貸してくれよ。ライターどこだかわかんねぇんだ。」
「自分で探しなよ、動くと暑い。」

火のついてない煙草をくわえ、しかめっ面をこちらに向けて言うレヴィに、
ロックもまたうんざりした顔で答える。

「ロックの貸してくれよ、投げればいいだろ。」
「ガスが切れたんだ、多分もうつかないよ…ほら。」
「げ、マジかよ…うわ、本当につかねぇ…使えねぇな。」
「探すなり買って来るなりすればいいじゃないか。俺のせいにするなよ。」

スコールでもあれば涼しくなるだろうに、とロックは窓の外を見やる。

677 :676:04/05/19 13:23 ID:0GfhrpX+
「とりあえず、この1本吸えりゃいいや…その火貸せって。」
「だから動くのも嫌だって言ってるだろ…しょうがないな。」

のろのろと立ち上がって、半ばまで燃え尽きた煙草の火をレヴィに移すロック。

「サンキュ。こう暑いとせめて一服しねぇとやってらんねぇよな。」
「確かにね…日本の夏も蒸し暑いけど、ここまでじゃないよ。」
「へぇ、蒸し暑いのにキモノ着るのか、日本人ってのはみんなマゾか?」
「はは、いまどき着物着てる日本人なんてそうはいないよ。
やっぱりレヴィも日本人は着物だと思ってるのかい?」
「そ、そのくらいあたしでも知ってるさ…言ってみただけだよ。」

紫の煙が立ち昇り、心なしか互いに表情が緩む。
煙草を咥えたレヴィの唇を、意外と女らしいよな、とロックは思った。

23 : ◆N7L7NcaFHE :04/10/26 21:27:22 ID:BIgrNgEN
しばしの逡巡。
灰皿に煙草をもみ消し、そのまますっとレヴィの肩に手を回す。

「あんだよロック、暑ィじゃねぇか。暑さでオツムまでウェルダンか?」
「…そんなところかな、否定はできない。」
「…冗談だろ?ちょ…」

咥え煙草を奪って、唇を重ねる。
言葉が途切れ、立ち込める紫煙がわずかに乱れる。

「…思ってたより柔らかいね、レヴィの唇。」
「か…からかってンのかてめえ…そんなにジルバが踊りたいなら今すぐ…」
「ご免こうむるよ。どうせ暑気払いするならそんな風情のない方法じゃなく。」

レヴィの手がホルスターに届くより早く、強く抱き寄せる。
まとわりつく熱気。腕の中の身体は思いの他小さい。
抵抗が本気でないことは明らかだったが、ロックは黙っていることにした。

「ショキバラ…なんだそりゃ?」
「しょきばらい、暑さを忘れるってことさ。日本も暑いからね。」

もう一度、唇を奪う。今度は、柔らかな唇に舌を割り込ませて。
煙草を床に落とし、強引に身体を密着させる。
ゆっくりと歯茎をなぞる。誘うように、ごくゆっくりと。

「ん…ん。」

レヴィの舌が躊躇いがちに応える。

24 : ◆N7L7NcaFHE :04/10/26 21:28:09 ID:BIgrNgEN
絡み合う舌の湿った音。
合わせた唇から漏れる吐息が次第に熱を帯びてくる。

「っは…キス上手いんだな…ロック。処女だとばかり思ってたぜ。」
「…心外だな。そりゃ日本人は幼く見えるんだろうけど。」

唇が触れ合う距離のまま軽口を叩く。言葉が終わればすぐにキスが続けられる距離。
あえてほんの一呼吸、ロックは待ってみる。
物欲しげにレヴィの唇が小さく開くのを確かめてから、舌を捻じ込む。

「んふぅ…上手いのは…認めるけどな…」
「けど…何?…ちゅ…キスは嫌いだった?」
「そ、そうじゃねぇ…やっぱり暑ィなって…それだけだよ…んっ。」
「本当に?」

しっとりと汗ばんだ肌をロックの掌が這う。
柔らかな肌の下に引き締まった筋肉を隠した、しなやかな肉食獣のような身体。
刺青に彩られた肩は熱気の中でもひやりと冷たい。




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