664 :ソーヤー黎明編:2006/12/06(水) 10:37:18 ID:EiSzvTTe
ギッ、ギッ
ベッドのきしむ音と2人の息遣いだけが部屋にこだまする
「ほら!こんどはコッチだ!」「…!ッ…っ」
強引に髪を引っ張られ、私は声にならない悲鳴をあげた
「あぁ?なんだその目は…言いたいことがあるなら言ってみろよソーヤー?」
言える訳が無い
「言えねぇんだろ?!だったらさっさとしろ!」
眼前にあるモノに私が何をすればいいかはわかっている…でも…
ドガッ!!
嫌がるあたしに業を煮やした男が顔を殴りつけた
もう涙も出ない。ただひたすら男が満足するのを待つ
「お前は俺様の人形なんだからな。もたもたするんじゃねぇよ」
あたしの口に男の醜悪な物体を咥えさせると男は腰を動かし始める
あたしは意識と肉体を切り離した。こうしてる間は何をされても苦しくナいか…ラ…

あたしは声が出ないこの喉が恨めしい
昔、喉に怪我をしたあたしは声を失った
声を出せないといいことに街のチンピラにはめられ
人買いに売られたあたしはもとの街から遠く離れたここ、ロアナプラに連れてこられた
欲望と死の渦巻くこの街に…
そして、この街で死体処理の仕事をしているこの男に買われて以来
毎日のようにこの男のおもちゃにされている
全身をロープで縛られたり、黒いラバークロスの拘束着を着せられたこともあった
男の部屋にはローアンの店で手に入れてきたらしいハードコアなビデオが山積みになっている
他にも、いくつもの淫具、女性物の衣装、拷問用具…
"あたしの前にこの男に買われた女"がどうなったのか。想像に難くない

「ぐっ、うっ!」
ドピュッ!ビュっ!
男が己の欲望を吐き出した
「…ン…ヶフッ…ヶフッ…」
口の中に満たされたドロドロの液体にたまらず咳き込むも
声が出ないので空気が抜けるような音しかしない
「ふぅ。今日使ったもの洗って部屋掃除しとけよ?
そうしたらさっさと飯食って来い!
今日も"処理"する死体が山のようにあるんだからな!」
私は体を丸めながらその言葉を聞いていた
どこか遠くの世界から声をかけられているような感覚がする
「ちっ、また、目ぇ開いてるのに反応しなくなった。そろそろ代え時かな」
男はブツブツ言いながら部屋から出て行った。
(近日中のプレイであたしは死ヌかナ…)
膝を抱えた姿勢のまま
ぼんやりとした頭で私は他人事の様に考えた
………

665 :ソーヤー黎明編:2006/12/06(水) 10:38:56 ID:EiSzvTTe
掃除を終えたあと、あたしは食事に出かけた
今は男の仕事を手伝うため急ぎ足で帰路についている
そう…実は、特に部屋に監禁されていたりとか
足かせを付けられたりとかされているわけはない
必要ないのだ、この街では…
男のもとから逃げ出しても、あたしには生きていくすべがない
誰も助けてくれないどころか、気を許せば嵌められる…
そういう街なのだ

バンッ!バンッ!
不意に近場で銃撃戦が始まった
すかさず安全な場所に身を隠す辺りの人々
あたしもそれに倣って近場の露店の影に隠れる
こういうことが日常的起こるのですっかり慣れてしまった
「!」
頭から血を流した死体がそこにあった
この露店の人だ。初めの流れ弾に当たったのだろう
不運としか言いようがないが、
日の下で死ねるのなら闇の内に抹殺されるよりはマシじゃないかと思う
あたしは薄暗い室内で手足を切られたり針を刺されたりして死ぬのだろう
だが、もう何もかもどうでもいい。ただ、惰性で生きていくだけ…
ーーーッ…
撃ち合い終了
余計な時間を取られてしまった
早く帰らなくちゃ…
立ち上がったあたしの目に露店の商品のひとつが飛び込んできた

"筒状の機械"?
電動髭剃りとかマイクとかにも見えなくもないけど…
『発声器』ラベルにはそう書かれている
コクン…
あたしは息を飲んだ…
恐る恐るそれを手に取る…
…ドクン…
脈が大きく聞こえる
そっと喉にあてがいあたしはスイッチを入れた
ザザ「…ーァあっ、ア〜」ガリッ
…ドクン…
あたしの…声…
ガヤガヤ
「…ッ!」
店の人が死んでいることに気付いた人々が商品目当てに集まり始めたので
あたしはそれだけを持って足早にそこを後にした…

666 :ソーヤー黎明編:2006/12/06(水) 10:41:56 ID:EiSzvTTe
夜…今日の分の仕事を終え男は既に寝入ったであろう頃合
♪〜
これからのことを考えると気持ちが高ぶってしょうがない
化粧も服選びも自分好みにコーディネートしていく
黒を基調としたフリルのスカート、髑髏のアクセ、ボサボサの髪…
ゴシック・パンクに決めてみた♪
もうあの男の趣味に合わせる必要はない
さて、仕度は万全♪"エモノ"を持って男の寝室へ向かう

コツ……コツ……コツ……コツ………………
ガチャ。ぎぃ〜…
扉を開けて中に入ると私はゆっくりと彼に近づく
「!?、ん、ん?誰だ?ソーヤーか?」
目を覚ましたのネ…でも問題ないワ
はぁ…
暗闇の中、心臓が高鳴る。息も荒くなる。
私はベッドで寝ている男に覆いかぶさるように上に乗った
「お前の方から来るなんてな。そんなにイジメて欲しいか?」
ガリッ「今日ハ私ガ、リーどヲ取る番ヨ?」ザザッ
「なっ!?お前!!声!?」
私は手に持っていた"エモノ"のエンジンをかけた
ドゥルン!!
仕事用のチェーンソウが唸りを上げる
「ぐぅあぁあああがががあ!!」
チェーンソウの刃が男の腕にめり込む
ガリッ「まズは1本」
「うぅうきさ!きさ!」
「モう言いタいこトも言えズ我慢スる必要なンか無イの
今日カらアなたガ私ノ人形ヨ?」ザザ
ロアナプラの夜は更ける…

667 :ソーヤー黎明編:2006/12/06(水) 10:42:37 ID:EiSzvTTe
翌日、あたしは白マスクにゴーグル、返り血のついた白エプロンの姿で男の仕事場にいた
なんのことはない。男の仕事を手伝っていたときの作業着である。
手にはチェーンソウ。これでもって死体を"処理"していく
男に手伝わされていたから要領はわかっている
不意に仕事場のドアが開く。"持ち込み"のお客さんだ
「ハロー!コイツを頼むわ〜」
持ってきたのは大きめの旅行かばん
中身は言わずもがなである
「酔ってケンカを吹っかけてきたバカヤローさ。煮るなり焼くなり好きにしてくれ」
あたしがうなずくと、そいつは金を置いて出て行った。
RURURURURURU…
今度は電話だ
今までは男が出ていたけど…
ガチャ…「はイ、こチらは掃除屋」ザザ
「三合会の張だ…いつもの変態ヤローの声じゃないな。ヤツはどうした?」
「"仕事ガ出来ナい体"ニなッたワ」
「ふふっ、そりゃ難儀だな。まぁいい。問題は今から仕事が出来るかどうか…だ」
「問題無イわ」
「OK。中国人街のウチの店がレッドルームになってる。ホワイトルームの面影もない
現地に行けばすぐわかる。すぐ来てくれ」
ガッ「承りマシた」
「あぁ、そうだ。アンタ名前は?」
「ソーヤー」ザ
「ソーヤー…ヤツが最後に買ってた女だな。まぁ、今後ともよろしく頼む。じゃ」ガチャ

とりあえずこの仕事を続けていればこの街で食べるのには困らない
やりたいことはたくさんあるけれど…
ゆっくり考えることにしよう






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