- 847 :名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 04:02:54 ID:kubbCxDt
- 飛び込みの仕事が終わって、事務所へ帰る車の中だった。
「レヴィ、おい。なんだ、寝てるのか。」
ダッチが振り向くと、レヴィが後部座席に横になっていた。
「ああ、夕べエダと夜明けまで飲んでたからほとんど眠ってないらしい。」
「どうりで機嫌がワリぃわけだ。おいロック、虎に膝枕とは命がけだな。」
隣に座るロックのひざを枕に、長い手足を器用に収めて、レヴィは眠っていた。
「むしろ寝ゲロのほうが心配だ。」
ちげえねえとダッチは笑った。
「ベニー安全運転で頼むよ」
「OK」
少し窓を開ける。表通りは夕焼けに染まっていた。
ネオンがギラギラと輝く前の暖かい色だった。
レヴィからは汗やアルコール混じって、血と硝煙の臭いがした。色気とは程遠い。
正直ひどい臭いだったが、今回一番働いたのだから無下にはできない。
しかし、ひどいな。ボサボサじゃないか。
「ん・・・」
乱れた髪を手で梳くとむずがった。
けっきょく俺が、手を汚すことはない・・・
ロックはただなでるように、レヴィの髪を梳き続けた
- 860 :名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 02:18:58 ID:ID0Y85tb
- 「あったまいてぇえ〜」
「また飲んだのか、レヴィ」
オフィスのソファでレヴィが唸っていた。
向かいでダッチは書類に目を通していた。
「大体何し来た。今日は非番だぜ」
オフィスには二人だけだった。
「ダッチ、クスリ持ってねえか?」
「ジャンキーのガンマンは雇えねえな」
釘を刺すような視線を感じた。
「ちげーよ!胃薬だよ!イグスリ!」
自分の大声に顔をしかめた。迎え酒がまずかったとボヤく。
「ここに置いてなかったっけ。なんでもいいからさあ」
「うちは薬屋じゃねえ。なんだってそんなに飲んだんだ。最近ひどいぞ」
見上げた蛍光灯が目に痛い
「・・・眠れねぇんだ」
- 922 :860:2006/12/22(金) 01:36:16 ID:FMXhI/ib
- 「で、そのボンザックは?」
「ちょっとした誤射でさ、ホテル追い出された。
金はいいから出てけってさ。まったくついてねえよ」
「ホテルがな」
「俺は行くぜ」
ダッチは書類をまとめて立ち上がった。
「マジかよ。病人置いてく気か?アタシもう動けねえよ」
「自業自得だ。自分でどうにかしな」
「ほんとに行っちまいやがった・・・」
ドアが閉まると、レヴィ一人が事務所に取り残された。
寝心地悪い。頭痛い。喉が焼ける。胃がムカムカ。
最悪の気分だ。勘弁してほしい。エダでもいいから助けてくれ。
靴音が近づいて、ドアの開く音がした。
「うわ、なんだよレヴィ」
ロックを出迎えたのは二挺のカトラスだった。
「オマエこそ何しに来た」
「ダッチから電話で、でかい荷物があるから運んどけって」
「荷物?」
「なにをって聞いたら、行けばわかるって。
どこへって聞いても、聞けばわかるって」
「着いたぞ。」
「ん」
ロックは部屋に入ると、背負ってきた"でかい荷物"を、ひとまずベッドに降ろした。
- 992 :860:2006/12/28(木) 04:48:45 ID:6uJwoxtz
- ベッドに寝そべりながら、レヴィは部屋を見渡した。わりと片付いた部屋だった。
「女は連れ込まねんだ?」
「せいぜい出前が来るくらいさ」
冷蔵庫をのぞきながらロックが答えた。
「暗くなる前に俺何か買ってくるけど、食べたいのある?」
ベッドに寝そべるレヴィにミネラルウォーターのボトルを手渡す。
「それより着替え貸せよ。オマエ、バッグ置いてきたろ」
「重いもの二つも運べるかよ。シャツならあれ着ていいぞ。」
ロックが指差した先にはゲロみたいな模様のアロハが掛けられていた。
「・・・アタシが買ったアロハじゃねーか。」
「あれ着れるのお前くらいだよ。」
「フザケンナ。今着ろ、そして買って来い」
「そっちこそ!!あれ着るなら死んだほうがましだね」
「試すか?オマエのシャツごと台無しだな」
何で俺が、そうぼやきながも何とか買い物を終えた。
意外だったのは買い物先が良くしてくれたことだ。
アロハの効果なのか?よくわからないまま部屋に戻る。
「レヴィ。戻ったぞ」
返事はなく水音だけがした。
シャワーか
買い物をテーブルに置くとシャワーから出てきたようだった。
思わず振り向くと下着にワイシャツを羽織ったレヴィが立っていた。
「よう、ごくろー。」
シャツのボタンを留めながら、スリッパでペタペタ歩いてくる。
「あ、ああ具合どうだ。」
「風呂入ったら少し良くなった。・・・・・・なに見てやがる。」
火照った肌と白いシャツから透ける胸が妙に挑発的で目が離せなかった。
閉じてゆくボタンがもどかしかった。