558 :ロック×レヴィ+エダ:2007/02/12(月) 00:59:33 ID:fWCZeZ7F
「なぁなぁ〜レヴィ。お前一昨日ドコに行ってたんだよ!?」
氷の入ったグラスをエダは掲げながら訊ねた。
大粒の氷がグラスに当たり、「カラカラ」と涼しげな音を立てている。
もっとも、残念ながらあまり調子の良くないここのエアコンは
その役目をあまり果たしておらず
音はほんの気休め程度にしかならなかったのだが…
それでも、日が傾くにつれ外気はその温度を着実に下げていた。

「ん?一昨日だと?
あたしが昨日ドコに行ッてたかなんて事
お前に何の関係があンだよ、エダ。
お前はナニか?あたしの保護者か??」
机に肘を着き、同じくグラスを「カラカラ」と鳴らしたレヴィはぶっきらぼうに答えた。

「おお神よッ!!こんな単細胞のエテ公がワタクシの子供だなンてッ!!
聖職者に仕える身としては、あまりにひどい仕打ちではないでしょうか!?

――ッて冗談はさておき……」
大げさに頭の上に掲げたグラスを、グィっと飲み干す。
「一昨日の夕方電話したんだよ。レヴィ、お前の事務所に。
ンならどっこい。ダッチの野郎が『もう帰った。』ってぬかしやがる。
ンで、お前のこッた。酒を飲まずに帰る訳はねェと思って
そのままイエローフラッグに乗り込んだん だが…
 ―チッ
おかげさまで、バオと2人
おもしろくもねェ酒を飲むハメになッちまったじゃねェか」

一気に話終わると、エダはビンの中の残りの酒をなみなみグラスに注ぐ。

559 :ロック×レヴィ+エダ:2007/02/12(月) 01:00:28 ID:fWCZeZ7F
「なぁ〜ナニしてたんだよレヴィ?
もしかして楽しくやッてたのか〜??ロ ッ クとだよ!!」
まるでおもちゃを見つけた子供のように
にやにやと笑うエダを一瞥し、レヴィは大きなため息をついた。
グラスを机に置き、エダから視線を逸らす。
「そんなンじゃねェよ。
確かにロックの家で二人で飲んではいたけどよ…」
明後日の方向を見て話すレヴィ。
いつものように適当にあしらう時、レヴィはこんな表情をしない。
エダはその微妙な変化にあざとく気がついた。

今でこそレヴィとセットで「ロアナプラのバカ2人組」
「暴力教会のクソ尼」と名高いエダだったが、
職業柄本当は恐ろしくカンが良いのだ。

「ふ〜ん
お前ら本当にまだヤってねェのかよ。いったい何歳だ??
ガキかコラ。
そんなんなぁ〜酒のイキオイだよ、イ キ オ イ。
ッったくガラにもねェ―…重症だなコレは。

おッ!!もしかしてロックの野郎ホモなのか?
それともアレか?イン―…」
――ガチャ
冷たいモノが額にあてられる感触。
自分に惜しげもなく向けられる殺気にエダは身震いした。
「ウっウソだよ〜レヴィ。タンマタンマ!!ほらッ!酒足ンねェだろ。
はィはぃ。今持ってきてやるから」
そういうが早く、エダは母屋の方に駆け出していった。

「―チィッ。あのクソ尼…好き放題言いやがって…」
そうつぶやくと、レヴィは氷が解けて薄くなった酒を一気に煽った。
エダに話したように、一昨日もロックの部屋で二人は飲んでいた。

飲んで喋って…気がつけば朝になっている。
どうせいつもと変わらない。
イエローフラッグで飲むのも。レヴィの部屋で飲むのも。ロックの家で飲むのも。
「―ッったく…」
だが、これだけ『何も無い』朝を迎えると、いくらレヴィでも柄に無く
あたしってやっぱ色気ないのかな…?
と思ったりもしてしまう訳で……
かと言って、こんな恥ずかしい悩みをエダに話す訳にもいかない。
「あ゛〜〜〜」
レヴィはそのまま礼拝堂の机に力なく額をあてた。

その様子を盗み見ている人が居た。――エダだ。
「あ〜も〜見てらンねェ!!
しゃ〜ねェな―…ここは年長者のあたしが、ウブなレディのために
人肌脱いでやろうじゃねェかぁ」
エダはにやりと微笑んだ。

―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―


560 :ロック×レヴィ+エダ:2007/02/12(月) 01:03:12 ID:fWCZeZ7F
「レヴィ〜!!
ホラっ!!新しい酒だぞ!!飲め飲め!!」
そう言ってエダが持ってきたのは、バーボンだった。
「エダあたしがソレあんまり好きじゃねェの知ってるだろ」
思いっきり顔をしかめて、また顔を伏せるレヴィ。
「そ〜言うと思って。ホラ!!お前にはちゃ〜ンとコレを持ってきてやッたぜ」
そういってエダは後ろ手から飲みかけの酒を取り出した。
見たことがない銘柄だ。
「なんかシスターが貰ってきたんだけどよォ、
なぁ〜ンか、あたしの口には合わねェンだよ。そンでお前にプレゼントだ。
ほ〜らエテ公には勿体ねェぐらいの高い酒だぞ〜」
そういってエダは許可も無くレヴィのグラスに注いだ。
「あたしはコッチ飲むから」
と自分は上機嫌でバーボンを注いだ。

「ふ〜ん。たまには使えるじゃねェかくされ尼。
なんかコレ変わった味だな。別に不味くは無いけど。
まあ飲めりゃなんでもいいか」
そういってレヴィは、その酒を飲み干していった。
一杯、二杯と重ねるうちに病みつきになる味だ。
気がつけばレヴィ一瓶を飲み干してしまっていた。

「も〜そろそろかな〜〜♪―ッと」
エダは上機嫌に携帯を取り出す。
ピッピッピッと
「よ―ォ、色男、元気にしてッか〜
うん今、レヴィと教会なんだけどよ、
そうそう。馬鹿サルが一匹顔真っ赤にさせて死んでるから…
あ〜〜ニホンのサルは風呂に入るってホントか!?
うんうんそンな感じ。じゃあ迎えに来てやッてくれよォ
じゃあよろしく〜」
ピッ
通話の切れた携帯を握りながら、
エダの顔の筋肉がゆるみっぱなしだ。
その横には机に突っ伏したまま動かないレヴィが寝息をたてていた。

―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―

561 :ロック×レヴィ+エダ:2007/02/12(月) 01:06:43 ID:fWCZeZ7F
「レヴィ、レ…ヴィ―」
声が聞こえる…肩を揺すられる不愉快な振動で目覚めたレヴィは
不機嫌そうに声の主を睨みつけた。
「なンだよッ―うッせ―なぁ…」
「ホラ帰るぞレヴィ。エダにちゃんと挨拶して―…
今日はめずらしいなぁ…レヴィが潰れるなんて」
小さくつぶやくと、エダにロックは別れの挨拶を言った。
「はぁ〜いロックおやすみィ。そのサルのことよ ろ し く頼むぜ」
『よろしく』の部分に、何か力が入っていた気がしないでもないが
ロックはレヴィの体を支えるのに精一杯で、気づくことは無かった。

「エダ?お前の頭はカニミソが詰まっているのかい?
礼拝堂で飲るなと何回言わせるんだ?」
二人を車まで見送った後、後ろから不機嫌そうな声が聞こえた。シスター・ヨランダだ。
「あッ―シスター…これには深い訳がありま…――」
ヨランダは、エダの良い訳を聞く事もなく、煙草に火をつけた。
「それに―
おやまぁずいぶんと楽しそうな顔をしているじゃないか。
シスターエダ、悪い顔だよ」

―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―


563 :ロック×レヴィ+エダ:2007/02/12(月) 01:40:20 ID:fWCZeZ7F
「ん〜〜〜〜ロック……今何時だ…???」
いつもの助手席ではなく、後ろの席で具合悪そうに
シートに沈んでいたレヴィがようやく口を開いた。

「起きたかレヴィ。大丈夫か?調子に乗ってハメを外すからだろ」
「あ…ん〜…頭いッてェ…あ〜〜〜」
横たえていた体を起こしながら、レヴィが唸る。
「ロック……それより暑くねェかあ…こん中…ん―んッ…」
そう言うとレヴィはただでさえ面積の少ないタンクトップの胸元を
大きくずらし、パタパタと扇いだ。
ブラジャーの紐がだらんと肘に落ち、大きな谷間が露になった。
(あっ……胸が…)
『キキッ―――ッ』
「わぁッ!!!!」
ロックの運転する車が危うく反対車線に突っ込みそうになる。
レヴィの様子が心配でルームミラーで見ていたのだが
あまりにも無防備な行為に驚き、
あやうくハンドルを切ってしまいそうになったのだ。
「は〜あ……!生きてて良かった…」
ロックは大きく肩で息をすると、真っ赤な顔で後ろに振り返った。
「おぃレヴィ…!!!そんな格好…―…」
ロックの視線が泳ぐ。
怒鳴ってやろうと勢い良く振り返ってみたものの
この状態を直接目の当たりにするとドコを見ていいか解らない。
「あ―ッ今窓を開けてやるから」
そういうとロックはそそくさと前を向き、車の窓を全開にした。

(それにしても今日は静かだ…)
いつものレヴィなら、道を一本間違えるだけでも鬼のような罵声が飛んでくるのだが、
今日はさっきから様子が変だ。ぐったりとして、覇気が無い。
さすがに変に思ったロックは車を大通りから邪魔にならない小道に入れ
車を留めて後ろを振り返った。





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