- 348 :1:2007/04/14(土) 01:17:09 ID:V0AuhXgT
- それは調度一年前ぐらいのこと。
あの日俺はダッチに言われて溜まっていた小仕事を片付けるためレヴィと車で走り回っていた。
よく覚えている。
あの日は太陽の光が特に強く風の無い日だった。
沈没潜水艦の探索以降、レヴィとギクシャクしていた俺は、空は呆れるほど快晴なのに自分のまわりだけ雷雨が降り注いでいるような憂欝感でいっぱいだった。
それを吹き飛ばしたあの市場での出来事。
何故あんなに奮怒するレヴィに向かっていったのかは今でもわからない。
ただ何というか俺の中の絶対的に信じられるものが、レヴィの誇り無き行動に無性に腹がたったのを覚えている。
その後警察署へ連行される途中に彼女としたシガーキスが今でも忘れられない。
彼女の深い眼の奥に一瞬だけ触れられたという思いが、俺をけだるく高揚させた。
事務所に帰ってきた俺は書類の整理と今日の出入費の清算を終わらせ一服つけていた。
レヴィは船で武器、弾薬の整備を。
ダッチは情報を仕入れるため市街地へと繰り出していたため、今事務所には俺とベニーだけだった。
ベニーはパソコンに向かって、タイ軍の海上ルートや警察のシマ荒らしなどをハッキングしてデータを入力している。
これに関して俺に手伝えることなどない。
ネット上の戦いはベニーに任せざるをえないので、俺はただ仕事を終わらせた余韻に慕っていた。
- 349 :2:2007/04/14(土) 01:18:23 ID:V0AuhXgT
- 「あ〜ダメだ。あいつらやっぱりルートを変えてる。これから少し動きにくくなるかもなぁ」
ベニーがパソコンに向かって嘆いているので俺はそっと気遣ってみた。
「なぁベニー。今日はもうそのぐらいにしといたらどうだい?無理しても体には良くないよ」
ベニーは声の代わりにすっとんきょうな顔をして、パソコンから俺に視線を移した。
「君は本当に優しいんだなロック」
この街ではこの程度の気遣いでも珍しいらしい。
あくまでも自分の仕事は最後まで自分で片付けるといったところか。
そのときの俺は、まだ日本式の生活感から抜け出せずにいたのかも知れない。
「単なる気遣いだよ。気に障ったなら謝るけど」
鼻でため息をついたベニーを見て、俺も同じく肩でため息をついて笑った。
時計を見る。
すでに午後10時を回っていたので俺はそろそろ帰ろうかと思い、大きな背伸びをした。
「じゃあ悪いけど先に帰るよベニー」
「ああ、お疲れさん。あ、ロック!」
扉に向かう俺をベニーが呼び止めた。
「悪いけどこいつをレヴィに渡しといてくれ。帰る途中でも明日でもいいからさ」
言って俺に紙束を投げ渡す。
「ベニー、これは?」
「先月分の弾の領収書さ、一応仕事での材料は自己負担だからね」
俺は昼にレヴィが俺に向けて放った銃弾のかすり傷をそっとなでた。
軽いかさぶたができているが痛みはない。
あの銃弾も経費の内なら、レヴィという女は馬鹿で我儘なブランド女と同じぐらい出費が激しいと思った。
- 350 :3:2007/04/14(土) 01:20:15 ID:V0AuhXgT
- 「今日何かあったの?彼女と」
「え…」
言われて俺は急いで我に帰った。
ベニーが不思議そうにこちらを伺っている。
「いや、意味深な顔してたからさ」
「別に何にもないよ」
意味深と言えば意味深だが、俺はあえてベニーに一から説明する気にはなれなかった。
そんな俺を見てだいたいのことを把握したのだろう。
ベニーは視線をパソコンに戻して作業を再開し始めた。
「そうかい。んじゃお疲れさん。今から船に向かうのかい?」
「ああ、そうするよ。どうせ帰り道だし」
「なら念のためこれ持っていきなよ」
言ってベニーは自分の財布から何かを取出し俺に投げた。
受けそこなって床に落としたそれを拾い上げたとき、俺は固まった。
「ベニー…これ…」
「僕が休暇でたまに使うものさ。日本人サイズかは不明だけど」
ラブデラックスラバーと筆記体で書かれたそれは、間違いなく衛生サック、コンドームだった。
「い、いや、そうじゃなくて…」
「備えよ常に。ベーデン・バウエルの名言さ」
「僕はボーイスカウトじゃないよベニー」
「まぁいいから持っときなよ。役にたつかはわからないけどさ」
何の真意があってこんなもの渡したのか全くわからなかったがケタケタ笑うベニーを尻目に俺は事務所を後にした。
- 351 :4:2007/04/14(土) 01:22:26 ID:V0AuhXgT
- 波はここが湖かと思えるほど穏やかで、ブラックラグーン号もまるで深い眠りについたように静まり返っていた。
レヴィは武器と弾薬の整備をしていることを思い出して俺は武器庫へと向かった。
階段を下り部屋の前に辿り着く。
明かりがついてたので俺はノックをせず扉を開けた。
しかしレヴィの姿はなかった。
代わりにツンとしたオイルの匂いが鼻を刺激する。
確かにレヴィはここで愛用のカトラスを磨いていたらしい。
レヴィを船内で捜し回ることに憂欝を覚えながらも踵を返そうとしたその時だった。
後頭部に冷たい鉄の感触。
俺はハードボイルド映画の雑魚キャラのように恐る恐るハンドアップした。
銃口を押しつけている相手を探ってみる。
十中八九レヴィだろう。
悪ふざけをして舌をだしてるに違いない。
だが俺の心臓がバクついているのはもしレヴィではなかったらという思いのせいだ。
どっかのイカれた野郎が船に入って船内を物色してたところかもしれない。
はたまた、今までの仕事での復讐者が俺たちの命を狙ってきたのかもしれない。
このロアナプラではどちらも十二分にありえる話だ。
そう頭の中でよぎった途端、脊髄が一瞬で凍って冷や汗が出てくるのを感じてしまった。
悪い予感というものは総じて当たることが多い我が人生を呪いつつも、俺は相手が引き金を引かないことを心底神に祈った。
- 352 :5:2007/04/14(土) 01:24:11 ID:V0AuhXgT
- 銃口が僅かに動く感触がした。
相手が手に力を込めた証拠だ。
命乞いをしようにも恐怖で声がでない。
口の中がからからに渇き、舌が釣られる思いがした。
「バ〜ン♪」
銃口の感触が無くなり思いっきり安堵のため息をついた後、俺はすぐさま銃の主に振り返った。
「レヴィ!!」
舌をだして意地悪そうな笑みをしている彼女をみて、さらに俺の中の怒りが沸き上がってきた。
「何するんだよ!」
「うかつだぜロック。あたしじゃなきゃ今頃壁に脳みそぶちまけてらぁ」
笑いながら銃をしまうレヴィを見据えながら俺は額の汗を拭った。
「んでなんの用だ?まさか今から仕事ってんじゃねぇだろうな」
「違うよ。ベニーからこれを渡してくれって頼まれたんだ」
請求書の束を差し出すと、レヴィは乱暴に受け取って急いで手書きの伝票を確認し始めた。
見る見る内にレヴィの表情が変わっていくのが目にとれる。
(こりゃ赤字だな)
心の中でご愁傷さまと唱えてやると、タイミングよくレヴィが大声を上げたので俺はビビって後退りした。
「あーーー!!畜生畜生畜生!!なんだよロック!この糞ったれな金額は!」
「ええ!?」
エライ剣幕で詰め寄るレヴィが恐くて俺は壁まで後退った。
「RPGまであたしのツケだなんてよぉ!!あの糞海坊主!!!」
「海坊主って……」
「ファックシットファックファック!!ビッチビッチビッチビッチ!!!」
ガンガンそこらへんの物を蹴飛ばしまくるレヴィに俺は深いため息をついた。
- 353 :6:2007/04/14(土) 01:26:14 ID:V0AuhXgT
- 任務は果たした。
さっさと帰るに越したことはない。
今のレヴィに近づくなら核弾頭の隣で寝たほうがまだマシだ。
「じゃあ、僕はこの辺で…」
「待ちなロック」
ナイフのように鋭い口調で呼び止められて心臓が止まりそうになった。
この雰囲気、ヤバいに決まっている。
本気で早く帰ってビールを浴びたかった。
「な、何かなレヴィ?」
「なぁロック?」
下から舐めずるような声をあげてくるレヴィに心底怯えてしまい、俺は軽く震えてしまった。
「あたしは今まで何度もあんたの命を救ってる。そうだなロック?」
「そ…そうだね」
「あ〜あ、あんたはいいよなぁ。弾の金も出さずにただ震えてるだけで金が貰える。いいご身分だよなぁ、ええ?」
レヴィが固まってる俺の肩に腕を回してくる。
普段なら悪くないが今は蛇が首に巻き付いてるような嫌な感じだ。
心なしか少し力もこもっている気がする。
「か、感謝してるよ本当」
「んな屁にもならねぇもんいらねぇんだよ。なぁロック」
「そ、そうだね」
「あたしが言いたいのはだ。あたしはいつも銃弾の中で命張ってて、あんたは後ろでビクビクしながら満足に支援もできやしねぇ。
なのにペイは全割りときたもんだ。これって不公平だよなロック?」
「そ、そそそそうかもしれないね」
「かもじゃなくて100%そうなんだよロック!!」
ギリギリと首を締め付けられ俺は泡を吐きそうになった。
危ないところで解放され俺は咳き込みながらレヴィに向き直った。
- 354 :7:2007/04/14(土) 01:27:20 ID:V0AuhXgT
- 「じゃ、じゃあどうすりゃいいのさ」
「決まってんだろ!!あたしの弾代、てめぇも半分だしやがれ!!」
確かにレヴィの言う通りだ。俺は何度も彼女に助けられてるしこれからだって多分そうだろう。
それに今の彼女に歯向かったらマジに殺されかねない。
納得した俺はレヴィの提案というか脅迫を快く飲むことにした。
「わかったよ。これからは俺も半分だすからさ」
飲んだのはいいが少し変だ。
レヴィが目を丸くしてる。
「どうしたの?」
「…えらく気前いいじゃねぇか」
「そうかな?なんならレヴィの弾代僕が全部肩代わりしてもいいんだけど」
「な!?ロックマジに言ってんのか!ガキの玩具みたいに安いものじゃねぇんだぞ!?」
「わかってるよ。というか一ヵ月飲み食いできれば特に金なんていらないよ」
俺の言ったことは本当だ。
普通に生活できればそれ以上望むべきではないというのが俺の持論だ。
だから日本にいたときも特に出世したいなんて思わなかった。
「どうするレヴィ?」
「………ぇ」
「何だって?」
「おもしろくねぇって言ったんだよ!この脳天気野郎!」
「何怒ってるんだよ」
感謝されこそすれ怒られる筋合いはない。
レヴィが何故不機嫌になったのか俺にはさっぱりだった。
「あ〜何かしらけちまった」
「どうするんだよレヴィ」
「別に…どうでもよくなった」
「じゃあせめて半分ださせてくれよ」
「……勝手にしな」
なんか逆にこっちがおもしろくない。
が、とにかく一件落着したので俺は扉にむかった。
「じゃあもう帰るね」
「まぁ待ちな」
二回目の引き止め。
ベニーもあわせると三回目だ。
さすがにうんざりする。
「今度は何だよ」
「酒、付き合えよ」
酒は飲みたかったが今日は色々あったから一人で飲みたい気分だったので俺は素直に嫌な顔をした。
「僕、疲れてるんだけど」
「はいはい!わかりました!あたしとじゃ酒もろくに飲めねぇ玉なしだもんなてめぇは。帰って売女と仲良くしやがれ」
「あぁ、もうわかったよ!付き合ったらいいんだろ!」
「最初から素直にそう言えバーカ」
べーと舌をだすレヴィをはたいてやりたかったが1000倍に返されるのが恐かったので、俺はレヴィと武器庫を後にした。
- 375 :8:2007/04/17(火) 00:35:37 ID:jfjSBTfT
- 「まったくよー!どいつもこいつもあたしの足元見やがって!やってらんねぇー!!」
「……」
今俺とレヴィは船内の簡易寝室部屋でちびちびとラムをあおっている。
疲れているがどうにも酔えない俺はただレヴィの話をなんとなく聞いていた。
「だいたい弾代ぐらい経費でだせねぇのかこのオンボロ商会はよ!いつかストライキ起こしてやるぜ、なぁロック?」
最近レヴィと飲む機会が多くなったのは、ベニーいわく俺が彼女に気に入られてるせいらしい。
それは結構なのだが、決まって毎回俺はレヴィの愚痴や文句のはけ口となっている。
最初の内はまだ普通に聞いてられたが、さすがに毎度となるとうっとうしいことこの上なかった。
しかも今日レヴィとあんなことがあったばかりだ。
正味今は内心ひどくぐったりしていた。
「はぁ……」
「おいロック!聞いてんのかよ!」
「聞いてるよ。弾代が高いのが嫌なんだろ。だからこれからは俺も半分持つって言ってるじゃないか」
「へ!この優等生が!感謝なんかしねぇぞ。それが当たり前なんだからな」
カチンときた。言葉や言い草なんかじゃなく、おもしろくない愚痴を聞かされて酔えない俺をよそに、顔を赤くしてるレヴィに腹がたったのだ。
が、面倒臭いので俺は視線をレヴィからそろりと横に流した。
それがレヴィには気に食わなかったらしい。
- 376 :9:2007/04/17(火) 00:36:47 ID:jfjSBTfT
- 「あん!?なんだよロック。言いたいことあったらちゃんと言えよ」
「別に、なんでもございませんよ」
明らかに含みのある言い方にレヴィもカチンときたらしい。
テーブル越しに俺に詰め寄った。
「こんのジャップ!!スカしてんじゃねぇ!てめぇタマにちゃんと毛生えてんのかぁ!?」
汚く罵られてさすがに疲れていた俺も本日二度目のスイッチが入った。
「うるさいな!レヴィばっかり酔いやがって!俺にも少しは酔わせろ!」
言い放って俺はレヴィが持っていた酒ビンを取り上げた。
「よこせ!」
半分程残っていたラムをラッパ飲みすると一気に喉と胸が熱くなる。
「ぷはぁー!!」
「ああ!て、てめぇ!今日はそれ一本しかねぇんだぞ!」
レヴィがマジに泣きそうな顔をして怒っているのを見て俺は優越感に浸った。
「へへ、愚痴代だレヴィ」
「ふ…ふざけやがって!!」
「おっと、カトラスは勘弁してくれよ!銃じゃ解決しないこともあるって昼に言ったばかりだろ!」
「それとこれとは話が別だ糞ったれ!」
「どう別だってんだよ!この超ド短気女!」
「な、何!?てめぇこそ玉なしインポのくせしやがって!!えぇ!?チェリーボーイ!」
「俺は童貞じゃない!」
「なら素人童貞なんだろ!売女にこすってもらってアヘアヘいってんだろうか!」
「この!言わせておけば!」
「やるってのかい!?上等だ!かかってきやがれ!!」
ガンを飛ばしあい火花が散る俺とレヴィ。
端からみれば完璧男女の痴話喧嘩だ。
今考えてみたら恥ずかしいことこの上ない。
- 377 :10:2007/04/17(火) 00:37:55 ID:jfjSBTfT
- 「「け!!」」
二人同時に顔を背ける。
やはりレヴィも疲れてるらしくそれ以上はつっかかってこなかった。
代わりにこれ以上ない不機嫌な顔で口をツンとしている。
やっと酔いが回りはじめたのかそんなレヴィがどことなく可愛く俺の怒りは一瞬でどっか行ってしまった。。
「ぷ…」
思わず笑いがこぼれてしまった。
レヴィが俺をじろりと睨む。
「何笑ってんだよ」
「いや…別に、くく」
「ったく……」
何故か胸から込み上げてくる笑いが止まらない。
口元をおさえるのが大変だった。
「…ぷっ!くく…」
その笑いはレヴィにも感染したらしい。
空気がへの字の口から漏れ始めている。
そして、
「「アッハハハハハハ!!!!」」
俺たちは船が割れんばかりの大きな声で笑った。
しばらく笑い、互いに呼吸を整える。
先に切り出したのはレヴィだった。
「ったくよぉ。こんな腐った街であたしら何やってんだか」
「まったくだ。笑いが止まらないよ。今日は怒ったり笑ったり、忙しいったらありゃしない」
「…でもよ、こんなに笑ったのは久しぶりだ。たまにゃあ悪くねぇぜロック」
誉められて俺は少し罪悪感が芽生えてきた。
やはり全部空けちまったのは少し可哀相だったかもしれない。
「ごめんレヴィ。俺酒買ってくるよ」
「ん?あぁ…………。いや、もういいわ」
「え?その調子じゃまだ酔い足りないんだろ」
「…そうだな。ここまできちまったらまだ眠れねぇな」
「だろ?だから買ってくるよ」
「いいって言ってるだろ」
今イチレヴィの言ってることがよくわからない。
酔い足りなくて眠れないのに酒がいらない、レヴィにしては変だ。
いつも呑む時は寝る直前まであおっているのに。
「代わりといっちゃなんたがよ」
「何だい?」
意味深げに話すレヴィに俺はたったまま首を傾げた。
「一発やるか、ロック」
俺は日本のコントみたいにずっこけた。
- 389 :11:2007/04/19(木) 02:15:21 ID:1TXMF6Cl
- 思い出すとレヴィと始めて会った時の印象はただ恐ろしかったと覚えている。
当然だ。
ただの日本の平社員がいきなりあらわれた海賊に容赦なく銃口を向けられれば誰だってそう思うに決まっている。
それが何の因果か今じゃこうして彼女と海の上を最大速力で突っ走り、荒くれ者の犯罪者やマフィア達を相手に仕事をしている。
彼女、レヴィははっきり言っていい女だ。
細い筋肉質の体だが、女性としての象徴は失われてはなく、むしろ胸も尻もしっかりとその存在を強調している。
その二つの要素がどこからみても彼女のボディラインを美しく際立たせていた。
それに彼女は中国系ともあって顔立ちもアジアのそれと近く、俺には日本で下手なモデルやタレントよりもずっとずっと魅力的に見えた。
だがこれはあくまで表面的な話だ。
日本の女と彼女を比べても意味などない。
環境というか次元が違う。
いつも煙草と血と火薬の匂いを体中に撒き散らしているレヴィに、俺が今まで日本で抱いていた異性の魅力のイメージなど毛頭当てはまるはずもなかった。
従って俺は彼女をいい女と思ってはいても、異性としての対象にはなれなかったのだ。
だからかもしれない。
レヴィが俺とやるだなんて想像もつかなかったのだ。
「おい」
「え、あ!はい!?」
「はいじゃねぇよ。な〜に腰抜かしてんだてめぇ」 「い、いや…」
「そんなに驚くようなこと言ったか?」
驚くも何も驚天動地だ。
レヴィは本気で言ってるのだろうか。
いや、また俺をからかって内心ほくそ笑んでるに違いない。
頼む、そうであってくれ。
- 390 :12:2007/04/19(木) 02:16:34 ID:1TXMF6Cl
- 「いや………で、でもちょっと今のは冗談きつかったな。笑えないよ」
「……あたしとやんのは嫌かロック?」
机に頬杖ついて少し淋しそうに言うレヴィ。
マジか?マジなのか?
マジに俺とやるっていうのか?
わからない。
レヴィほど気持ちが読めない女は見たことないけど今日は心底、髪の毛一本もわからなかった。
「え!?……ていうかどうして突然」
レヴィはため息混じりに答えた。
「酒代わり、といっちゃあなんだが気持ち良く寝れるには最適だろ?違うか?」
それはそうかもしれないがだからといっていきなりセックスするなんて今までの俺の平凡な人生の中では考えられるはずもなかった。
「で?どっちなんだよロック。やるのかやんねぇのか?」
「ちょっと待ってくれ!それじゃまるで…」
「その先は言うなよロック。あたしはビッチじゃねぇ、前に言ったよな」
どうやらマジだ。
今のレヴィの目は嘘なんか言ってない。
まだ知り合って半年もたってないがその間様々な死線を一緒に渡ってきたのだ。
それぐらい嫌でもわかる。
レヴィは椅子から立ち上がりズイっと詰め寄って俺の胸に人差し指を突き立てた。
「あたしが誘ってるのはあんたを気に入ってるからだ。別にヤリマンな訳じゃねぇ。むしろあたしに無理矢理言い寄ってきたやつらはことごとく玉を吹っ飛ばしてやったさ。
だけどあんたはヘタレだがそこらの本能丸出しの糞雄豚なんかよりずっとクールでハイだ。だからあんたと寝てもいい。そう思ったのさ。昼の市場で言ったこと、あれはマジなんだろロック」
もちろんそうだ。
嘘偽り誇大など欠片一つもない。
俺は黙ってレヴィに頷いた。
- 391 :13:2007/04/19(木) 02:17:50 ID:1TXMF6Cl
- 「後はあんたの心一つだ。まぁあたしとじゃ嫌っていうなら仕方ねぇけどよ」
レヴィが俺の目を見つめている。
レヴィから匂う甘い女の香りが俺の鼻を刺激する。
彼女の瞳は黒く、透き通っててこんなにも綺麗だったことに今気付いた。
不覚にも心臓が一回大きくドクンと鼓動するのを感じてしまった。
「嫌、じゃないよ。俺でよかったら……」
「決まり、だな」
俺がこのロアナプラにきてレヴィを異性として、女として見たのは蒸し暑いこの夜が初めてだった。
「よし!んじゃとっととはじめるか!」
意気揚揚と服を抜き出そうとするレヴィに半ば俺は焦った。
「な!レ、レヴィ!ちょっと待ってくれ!」
「あん?何だよ、腹でもいてぇか?」
「い、いやそうじゃなくて。心の準備が…」
「おまえさ…マジでチェリーなのか…」
「ち、違う!!ただ…何というか…落ち着かないんだよ」
今俺の顔は熟れたトマトのように真っ赤なことだろう。
強く握ったらつぶれてしまうかもしれない。
それほど俺は動揺していたのだ。
さらに悪いことに全身に力が入りはじめてる。
これじゃあ童貞と見られても無理はない。
俺は死にたくなった。
「はぁ〜〜、やっぱてめぇはどうしようもないヘタレだぜ。そんなにガチガチになるか普通?」
「わ、悪いかよ!?俺にとっちゃこれが普通なんだよ!」
精一杯強がるが明らかに開き直っている。
言って俺は恥ずかしくなってさらに体がこわばってしまった。
もう自分の意志じゃ指一本も動かす自信がない。
そんな俺を悟ったのか呆れ笑いを浮かべながらレヴィが近寄ってきた。
- 392 :14:2007/04/19(木) 02:21:37 ID:1TXMF6Cl
- 「オーライオーライ。んじゃロック。あたしが脱がせてやる。それでいいだろ?」
「え…?」
トーンと両手で胸を押され俺はベッドに尻をついた。
「そのままでいいぜベイビー。今ママが脱ぎ脱ぎしてやるからな」
そう言ってレヴィは俺のシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外していく。
あっけに取られてるうちにいつのまにか俺の上半身は裸になっていた。
「さて、次は下だな」
言ってベルトをさっと抜かれズボンのボタンも外される。
レヴィの意識が俺の下半身に向いたせいか俺自身がかなり反応してきてしまった。
あわててレヴィを制する。
「ま、待ってレヴィ!」
だがその願いも虚しくレヴィは一気にチャックを下ろすと裾をもって一気に引き抜いた。
当然トランクスだけになる俺。しかももう股立してしまって形がわかるほど一部が出っ張ってる。
レヴィはそれをみてヒューと口笛を鳴らした。
「なーんだよ。あれだけ緊張してたのにもう臨戦態勢じゃねえか!」
「い、いや…なんというか……レ、レヴィ!?」
声が上ずって俺は驚いた。
レヴィがトランクスの上から俺のモノを握り締めたからだ。
「か、固ぇな…しかも激熱ときてやがる」
日本人は諸外国と比べて固く熱いと聞いたことがあるが、俺も例外ではなかったようだ。
レヴィの反応からそう伺える。
- 393 :15:2007/04/19(木) 02:24:12 ID:1TXMF6Cl
- 「さぁ〜て。このままオープンしてぇところだがロックだけじゃ不公平だよな。ちょっと待てよ」
レヴィがするすると服を脱いでいく。
短パンなんて一秒もかかってないんじゃないだろうか。
そして一瞬で下着姿となった彼女に俺は息を呑んだ。
迷彩色で飾り気のないブラは彼女に似合いすぎるほどワイルドだ。
その豊満であろう胸を一生懸命封印しているとみてとれる。
パンツはパンツであの短すぎるとも言える短パンの下でもはみ出ないから想像はしてたがかなり細い。
紐ではないのだがそれでも十分過ぎるほどセクシーだ。
しかもブラと同じ迷彩色というのだからさらに始末が悪い。
多分後ろをみたら俺は悶絶するに違いない。
ここまで見て言えること。
やはりレヴィは綺麗だ。
この有り余るほどのセックスアピールに見とれない男なんて地球上にいないと確信できる。
その雌狼のような美しくワイルドな女を今から抱けると思うと唐突に俺の胸が痛いほど脈打ち初めてしまった。
- 405 :16:2007/04/20(金) 04:14:59 ID:CwgUXTEN
- 「な〜に惚けてんだ?」
レヴィが腰を屈めて俺を見つめあげる。
胸の谷間がひどく官能的で俺は頭も股間もよりいっそう熱くなってしまった。
これがいつも知ってるレヴィなのか?
どんなアカデミー女優より艶めかしく、そしてエロティックだ。
こんな女といつも一緒にいて何も感じなかった自分にゲイの気があったんじゃないかと疑ってしまう。
だがそれは大丈夫だ。
何故なら俺のあれはもう痛いほど血を溜めてそそり立っているからだ。
レヴィはにやりとしながらベッドに腰掛けていた俺の前へと屈んだ。
「さ〜て、日本人の元リーマンがどんなもん持ってるか拝見させてもらおうじゃねぇか。脱ぎなよロック」
有り難い。
最後の一枚は俺にとらせてくれるらしい。
レヴィの意を読み取って俺は深い深呼吸の後覚悟を決めた。
そしてそろりとトランクスを脱ぎ捨て俺はまたベッドに腰掛けた。
「なんだよ…日本人にしては結構立派じゃねぇか…」
「そ、そうかな?」
あまりそういうことには詳しくない俺もレヴィの反応からして多分そうなのだろうと認めた。
そんなことどうでもいいって言えば嘘になるが。
正直嬉しいってことだろう。
我ながら照れ臭いが。
ギュッとした感触に俺はヒッと声が漏れてしまった。
レヴィが今度は直に俺のを掴んでいる。
優しくも強くだ。
「レ、レヴィ…」
「どうしてほしいベイビー?撫で撫でしてやろうか?それともディープキスしてやろうか?」
レヴィがクスクス笑いながら俺のを握り締めて弄んでいる。それだけでもかなりの快感に俺は息を熱くしてレヴィを見つめた。
- 406 :17:2007/04/20(金) 04:16:45 ID:CwgUXTEN
- 「い、いいのかレヴィ?」
「誘ったのはあたしだ。だからサービスしといてやるよ」
棚ぼただ。
素直に嬉しいのはやはり俺も男の本能に勝てないせいだろう。
レヴィが俺に尋ねる選択肢二択。
俺はスライドよりスロートを選んだ。
「じゃあ後者で…」
「あいよ」
ゆっくりと舌を這わしはじめるレヴィ。
まるで子供がスティックキャンディーを舐めるみたいに丁寧な舌触りに俺は酔い痴れた。
一通り舐めおわった後今度は口内に導く。
まるであそこだけ異世界に行ってしまった感触がする。
俺は口でしてもらった経験がない。
だから興味本位で口を選んだのもあったのだが、これは凄いというか素晴らしい。
唇でしごきながら舌で頭を掻き回されている。
ざらざらとつるつるした感覚が同時に襲ってくる。
しかも程よい温かみと全体が濡れまくっているという実感がまた気持ちいい。
これらの快感の波に口淫童貞な俺が長い時間耐えられるはずもなかった。
急激に込み上げてくる感触に俺は焦った。
「レ、レヴィ!ちょっと待ってくれ!」
俺は必死にレヴィに懇願するが彼女は止めない。
それどころかそんなことおかまいなしと言わんばかりに自ら頭を揺らし急速にしごいてきた。
それが止めとなり俺は物凄い射精感に耐えられる筈もなく、情けなくレヴィの口内で爆発してしまった。
「あ、あ、うあぁ!!!」
ドクドクと勢い良く流れだす俺の精液を静かに受けとめるレヴィ。
オナニーでは決して味わえない快感。
そしてそれを行なってくれてるのがレヴィという実感が拍車をかけて俺の射精を強く強く促していた。
- 407 :18:2007/04/20(金) 04:17:59 ID:CwgUXTEN
- 射精が終わってレヴィはゆっくりと俺のあれから口を離す。
唾液と精液が入り交じった液体の糸ができて、力なく床へ落下していく。
レヴィは少し硬直したのち
べっ!!
と俺の精液を一瞬で全て吐き出した。
「あぁ!!な、何すんだよレヴィ!」
勿体ないという奇妙な思いにかられ俺はレヴィに叫んだ。
ここまでしてくれたら飲んでくれると思った俺はやはり初なのだろうか。
「け!こんな糞不味いもん飲めるか!ったく、思いっきし出しやがって。あ〜いがいがする」
「だって止めろっていったのにレヴィが続けるからだろ」
「うっせぇな!しゃあねえだろ、サービスなんだからよ。んでどうだった」
「…最高だったよ。ありがとうレヴィ」
「どういたしまして。んじゃロック、次はあたしにサービスしてくれるんだよな?」
「あ、ああ。こんな俺でよかったら」
「期待しねぇよ」
またもクスクス笑いながらレヴィはパンツに手を掛けた。
俺はドキリとした。
レヴィがこちらの反応を伺いながら先程とは違いゆっくりゆっくりパンツを下ろしていく。
俺から視線を外さず舐めるように見つめている。
心臓を鷲掴みにされてしまったような気がして俺は狼狽した。
そんな俺を楽しむかのようにレヴィはパンツを足から外した。
あらわになる彼女の下半身に見入ってしまう。
思った通り、やはりそれも極めて美しかった。
形の良い陰毛と一本の筋。
それは男を陥れる禁断の罠に違いなかった。
レヴィは座っている俺の顔の前までズイと下半身を突き出した。そして自らの人差し指と中指で筋を割り開く。ピンク色の突起物とヒダヒダのものに俺の息がかかって跳ね返る。
レヴィの入り口が放つ強烈な雌の香が俺を狂わせていった。
- 408 :19:2007/04/20(金) 04:20:47 ID:CwgUXTEN
- 「さぁどうする…ロック?」
意地悪そうに聞くレヴィ。そんなこと決まっている。
頂くまでだ。
俺はレヴィの股に顔を突っ込んだ。
そして急いで禁断の入り口を舐め回していく。
「うっ!うあ、あ!あ……へ、へへ…まるでバター犬だぜロック……ひぁ!」
俺の髪を掴み悶えてるレヴィに容赦なく舌で攻めてやる。
まんべんなく、かつ激しく蹂躙していく。
女の感じる場所なんて詳しく知らないが俺は舌当たりしだいにレヴィを喜ばせるのに夢中だった。
「はぁ!ロ、ロック…!ちょっと、激し、すぎる…!!う、ぁあ!く!」
明らかに感じてるレヴィに嬉しくなって俺は彼女が逃げないように尻を鷲掴みに固定して俺の顔に押しつける。柔らかく弾力のある尻は俺の興奮をさらに高めた。
愛液がとめどなくあふれ出てくるのが鼻先でわかる。そして小刻みに震えてきたレヴィ。
間違いなくエクスタシーは近いと確信した俺は全体から突起物に狙いをしぼった。
「ん!?あああ!!」
舌で押し潰し高速で回転してやる。
削れて無くなってしまうのではないかと思ったその時だった。
「き、きちまう!あ!あ!あ!だ、だめだ!うああああぁぁぁぁ!!」
痙攣がはじまり俺ごと引き抜くように頭を押さえ石のごとく硬直するレヴィ。
そしてベッドに倒れこんだ。
俺は倒れてくるレヴィを受けとめた後耳元で尋ねた。
「よかったかな?」
「少し強引だが…文句なしに合格だぜ…」
「そいつはよかった」
言って俺は自分の下半身を確認する。
問題なく回復してギンギンになっているのを見て俺は嬉しくなった。
「レヴィ、そろそろいいかな?」
「ん?あぁ。まだ終わっちゃいなかったな」
「ここからが本番だろ?」
いつのまにか俺が強く求めてしまっているのに驚くが、そんなことたいしたことではない。
俺の本能が急げと行っているのだ。
- 409 :20:2007/04/20(金) 04:25:16 ID:CwgUXTEN
- 俺は事務所から出てくるときにベニーからもらったものを今思い出した。
あの時はベニーの真意がわからずただ困惑してただけだが今じゃマジに感謝している。
ありがとうベニー。
俺はコンドームを財布から取出し封を開けようとした。
が、そこで俺は一つ思った。
俺は先程の口淫と同じくゴム無しでやった経験はなかった。
だが先程前者は経験した。あの想像もできなかった素晴らしい快感が脳裏に甦る。
口でもあんなに気持ち良かった。
なら生ならどうだ?
さらにめくるめく世界が俺を待っているんじゃないか?
そう思うといてもたってもいられない。
生でしたい、したくてたまらなくなってしまった。
俺はレヴィに振り返りこう言った。
「レヴィ」
「あん?」
「俺の子供産んでくれるか?」
「はぁ!?」
動揺するレヴィ。
当たり前と言えば当たり前だ。頭がおかしくなったと思われたかもしれない。
今思うとこの時ぐらいから別の俺が顔をだしはじめたんじゃないかと思う。
「生でしたいってことか?」
「ああ」
レヴィは少し考えて呆れたようにつぶやいた。
「ガキは勘弁だが、いいぜ。今日はとことんサービスしてやるよ」
「ありがとうレヴィ」
俺はレヴィに襲い掛かった。
最後に残っていたブラをはぎ取る。多少ちぎれてしまったかもしれなかったが今の俺にはそんなこと気にする余裕は皆無だった。
息が物凄く荒いのが自分でもわかる。
俺はあらわになったレヴィの両胸をこれでもかというぐらい激しく揉みしだいた。
「い、痛ぇ!少しはやさしくしろロック!」
俺の興奮はおさまらない。大きく弾力のある胸だけに目がいっている。柔らかくやらしい肉の感触に指が一本一本反応していた。
- 410 :21:2007/04/20(金) 04:27:21 ID:CwgUXTEN
- 「この馬鹿ロック!てめぇ聞いてんのか!痛ぇんだよ!んんん!?」
レヴィがうるさかったので口を口で塞いでやった。ついでに舌で先程俺をくわえていた口内を荒らしてやる。
これが初めて彼女としたキスだなんて心底笑える。
「ん!んんーー!!」
必死に抵抗を見せるレヴィだが今の俺の前では無駄だった。
無敵のトゥーハンドも今の俺にはただの犯されている女にすぎなかった。
口と胸を解放してやりレヴィを俯せにする。
そして腰を無理矢理浮かせて両膝をたたせてやった。
今レヴィは俺にその形のよい尻を丸出しにしている。俺はにやりとするとその大きくいやらしい尻を肉が食い込むほど強く鷲掴んだ。
「いくよ、レヴィ」
「ちょ、ロック!ま、まだ」
何か言いたげだった彼女をよそに俺は後ろからレヴィを貫いた。
「ぐあああ!!」
叫ぶレヴィだがもうなすすべはない。
後はひたすら俺に犯されるだけだ。
最初から全力で俺はレヴィに腰をぶつける。いや、そうせざるをえなかった。
生の感触、想像以上だ。
直に感じる熱い体温と滑らかな愛液のプール。
もはや気持ちいいとだけでは言い表わせない別次元の快感だ。
そんなものに支配されたら理性など働く訳がない。
俺はただレヴィの中を何度も何度もさし貫くだけだった。
陰毛と陰毛が擦れて腰と腰がぶつかり乾いた音が室内に響き渡る。
その音はだんだん間が小さくなり、それと正比例して俺の興奮も最高潮まで上り詰めていった。
「あ!あ!あ!あ!ああ!」
後ろからめちゃめちゃに突かれてレヴィも感じているのだろう。愛液が飛び散りだしている。
それを確認した俺はさらにスピードを高めてレヴィを徹底的に犯した。
レヴィが雌狼なら俺も間違いなく雄狼だった。
二人で一気に上り詰めていく。
終わりの時はいきなりやってきた。
- 411 :22:2007/04/20(金) 04:30:34 ID:CwgUXTEN
- 「うあぁ!!ぐぅ!!ぐぁあああー!!」
有りったけの精という精をレヴィの膣内にぶちまける。
射精しながらも腰はとまらず白く白くレヴィの中を汚していった。
「やああああああぁぁぁぁー!!!!!」
少し遅れてレヴィも絶頂に達する。数秒程の激しい痙攣のあとレヴィは俺のをまだ取り込んだままぐったりとベッドに突っ伏した。
俺もレヴィに吊られて同じく倒れこむ。
この夜、獣とかした俺たちはそのまま深い眠りについてしまった。
目が覚める。
だるく気持ち良い感覚がして俺は右に視線を変えた。
レヴィが気持ち良さそうに寝ている。
何か違和感を感じて昨日何をしてたか思い出してみる。
そうだ、確か俺たちは昨夜このブラックラグーン号で武器弾薬の検品をしていた。
それで仕事を終わらせてレヴィと飲んで自然にセックスして………はっきり覚えている。だとしたらさっきのは夢だったのか。
そうだ、夢だ。もうあれから丁度一年ぐらいになるのでみてしまったんだろう。
レヴィと初めてやったあの日ぐらいからだろうか。やっぱり俺たちが互いに意識しあうようになったのは。
今では俺にとって無くてはならない存在レヴィ。
この街で幸せを願うなんて馬鹿げたことだと百も承知だ。
だが今ぐらいは、せめて表では朝日がさしているだろう今このときだけ彼女の幸せを願おう。そして俺とダッチとベニーの。
「それぐらいならバチは当たらないよな?ダーリン」
俺は寝ている彼女の頬にキスをした後、思い出が詰まっている寝室部屋を静かに後にして煙草を吸いに甲板へあがっていった。
- 521 :23:2007/05/05(土) 02:25:03 ID:+7JyTVjK
- まったくもって最近のあいつの行動にはなんというかムカつく。
こっちをちらっと見てはふざけた視線を送ってきたり、おもしろくねぇくせに上手いこといいやがってあたしを丸め込みやがる。
あぁ、そうさ。
あたしはいつだって何かありゃすぐ銃をぶっぱなすイカレた女だってことは重々承知の上さ。
なのにあの野郎ときたらここんとこ毎晩あたしを求めてはハリウッドもびっくりの臭い台詞を眉も曲げずにあたしの耳元で語りやがる。
まったくどうかしてる。
あたしみたいな女の一体どこがいいんだか一回脳をかちわって見てやりたい。
…………正直言うと今じゃあたしも悪くないなんて思ってる。
まったくもってお慰み様としかいいようがない。
いつのまにかあたしの傍にあいつがいるのが当たり前と認識しちまっている。
たまに自殺したくなるような羞恥心は全部あいつのせいだ。
だから今朝目を覚ましたときあいつが隣にいなくて少しだけ安心しちまったんだ。
「待たせたね。おや?今日は一人かいレヴィの嬢ちゃん」
シスターヨランダとエダが応接間に入ってきたのをみてムカついた訳ではないのだがレヴィはつい舌打ちをしてしまった。
太陽がその強い光を容赦なく降り注ぐ正午丁度。レヴィはダッチから言われた武器重機のリストをヨランダから預かるためここ教会へと足を運んでいたのだった。
「今日はロックは別行動だ。残念だったなババァ」
「本当に残念なのはおまえさんに見えるけどねぇ」
「そんなんじゃねえよ。それよりさっさと出すもん出しやがれ」
「はいよ」
リストを受け取りレヴィはこちらの明細と照らし合わせ内容を確認する。どうやら間違いなくモノはそろっているようだ。レヴィは煙草に火を付けるとリストを胸の下にしまいこんだ。
- 522 :24:2007/05/05(土) 02:26:10 ID:+7JyTVjK
- 「ところで嬢ちゃん。その品の注文は、最近はロックの坊やがしているのかい?」
「ん?ああ。それがどうかしたのか?」
「やっぱりそうかい」
ヨランダは用意されていた紅茶に手を伸ばすと軽くため息をついて控えていた予備リストをじっくり眺めた。
「ロックの坊や。かなりのやり手になったもんだよ」
「そいつはどういう意味だババァ」
「あんた毎回お使いに来てるのに注文の中身を確認してないのかい?」
「いちいちんなことしてられっか。あたしは自分の弾が切れなきゃそれでいいんだよ」
今度は深いため息をつくシスターヨランダ。そして紅茶をおくとレヴィに哀れみの目を向けた。
「こんなのが相棒じゃあ坊やもさぞかし手を焼いてるんだろうねぇ」
「んな!?喧嘩売ってんのか陰欝ババァ!!」
激昂するレヴィを見て向こう隣にいたエダがくすくすと笑った。
「まぁ聞きな。はっきり言ってあんたのとこで一番耳と鼻と目が効くのはロックの坊やってことさ。ダッチ親分もそれをわかってるんだろうねぇ。銃、弾、その他の重機や材料にいたるとこまで全く無駄がない。
さらにメーカーまで細かく分析してより低コストかつハイクォリティのものを選んでいる。物資選びじゃ文句なしに一流だよロックの坊やは」
レヴィは驚いた。この地獄からやってきたような死の商人がロックをベタ誉めしている。
このシスターが言うのだ。ロックが優秀なのは間違いないだろう。だがこんなところでロックの良さを逆に教えられるなんてレヴィは夢にも思わなかった。それらのことを自分で発見できなかったのが少々悔しかったのかレヴィは大きく舌打ちをするとヨランダをきつく見据えた。
- 523 :25:2007/05/05(土) 02:26:52 ID:+7JyTVjK
- 「えらく誉めるじゃねぇか。マジにロックに惚れたか?」
「冗談を言うのは結構だけどね、トゥーハンド。あんた坊やをしっかり守るんだね。あの子は今にとんでもないものに化けるかもしれないよ。それこそあんたの手の届かないところまで、ね」
「うるせぇ。あのヘタレがそんな玉か。んなボケたこと言いやがるとはヤキがまわったなシスターヨランダ」
「私の買いかぶりならそれも結構。こっちも将来ロックの坊やを敵にはしたくないからねぇ。それはあんたが鍵かもしれないよ、お嬢ちゃん」
レヴィはすっと立ち上がりヨランダに背を向け様に右手の中指を立てた。
「さっさとくたばりやがれ糞ババァ」
そう言うとレヴィは乱暴に扉を開け応接間を後にした。
「まったく、若いてのはやっぱりいいもんだねぇ」
ヨランダはにんまりした後すでに冷めた紅茶を美味そうにすすいあげた。
- 546 :26:2007/05/06(日) 01:26:11 ID:5FghI6rl
- 蒸し風呂のようなむっとする車内に嫌気を覚えながらもレヴィはキーを回しエンジンをかけた。
「待ちなよ」
見るとエダが私服に変わって助手席の窓に肘をかけている。
「なんだよ。酒なら一人でやりやがれ。あたしは帰る」
「街まで乗せてってよぉ。どうせ帰り道だろ?」
レヴィは少し黙った後、
「いいぜ。乗りな」
とエダを促した。
「あ〜やだやだ。こんな糞暑いのにあんな服来てられっかっての。汗でベトベトだぜまったく」
エダがその豊満な胸元をシャツで仰いでる。レヴィはそれに目もくれずただ行き先をぼんやり眺めて運転していた。
口にくわえた煙草が灰に変わっていき今にも膝元へ落ちそうだ。
「だいたいあの制服通気性が悪いったらありゃしねーのよ。おかげで臭いもこもりっぱなしで股ぐらなんかすげーことになってんのよ」
ヒヒヒと笑うエダだがレヴィからは反応がない。まるで本当に愛想のないタクシーに乗り込んだような気分になってエダは声を荒げた。
「おい聞いてんのかよ!ブッチかましてんじゃねえよ!」
「聞いてるよ。インキンなんだろ、ご愁傷さま」
「誰があそこにカビ飼ってるだって〜!てめえこそおつむの堪忍袋に虫食いだらけのくせしてよぉ!」
「あぁそうさ。それがどうした」
しごく冷静に答えられて拍子抜けしてしまいエダは視線を外に戻した。太陽を遮りはじめている黒い雲が近く夕立がくるのを暗示していた。
- 547 :27:2007/05/06(日) 01:27:02 ID:5FghI6rl
- 街の光景が遠からず見えてきてもレヴィはアクセルを押そうとも引こうともせずただ一定の速度を保っていた。途中で無理な追越しをされて明らかに擦られそうになっても口も開かず前を見つめているレヴィにエダもいい加減切れてしまった。
「ったくさっきから何ボーっとしてんだよ!コークか?チョコか?まさかアンパンじゃねえだろうな?」
「…そんなんじゃねえよ」
「はは〜ん!んじゃ当ててあげるよ。ずばり愛しのロックだろ?」
「ぶっ!」
思わず息をもらしてしまったレヴィにエダは車が震えるほど声を上げて笑った。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!ず、図星かよ!まるで恋する思春期純情乙女だぜ!うへへへへへひゃひゃひゃ!!!うぐおえ!?」
レヴィが思いっきりブレーキを踏んだのでエダはそのままフロントガラスに額をぶつけた。あまりスピードは出てなかったのでガラスは割れなかったがそれでもかなりの衝撃だったのは間違いなかった。
「いってぇ〜〜!!て、てめぇ!何す」
言い掛けたところで胸ぐらを捕まれエダはギョッとしてしまった。レヴィが今にも刄を振り下ろす夜叉のような表情をしていたからだ。
「何笑ってんだこの糞女。そのムカつくブロンド、脳汁だらけにしてもいいんだぜ」
「オ、オーライオーライ。とりあえず落ち着けって。ここでやらかしたら美味い飯も食えなくなるぜ?」
いつもはレヴィに負けないぐらい気の強いエダだが今この瞬間は明らかに分が悪すぎるので素直になだめることにした。
それが辛うじて通じたのかレヴィは手を放し窓から唾を吐いた。
「ったく。分かりやすいったらありゃしないよ。ホの字丸出ししやがって。どうせ毎晩パンパンよろしくやってんだろ!」
「………うるせぇ」
- 548 :28:2007/05/06(日) 01:29:46 ID:5FghI6rl
- 否定しなかったことがすなわち肯定になることなど承知の上だ。自分はロックを気に入ってるしそれで結構、今更エダに隠しても意味などはない。他人が勝手にどうこう思おうがレヴィには眉一つ興味はなかった。
だがレヴィが思いに更けてる理由が他にあったのを、上記のことなぞご存じの上だったエダが見逃すはずもなった。
「なぁ、ボーっとしてんのは『腹痛』が原因かよ?」
レヴィは反応しない。雲を眺めている。にんまりしたエダがさらに続ける。
「それとも『逆』ってか?こないのかい?アレが」
またしても反応しないレヴィを見てエダは今度は思いっきり口を押さえて静かに笑った。
「ロックのは以外と濃そうみたいだしねぇ、ええ?」
三度答えないレヴィ。かわりにわずかに震えている。それを確認するとエダは肩をすくめて車から下りた。
「もし本当に当たりならよ。シスターヨランダの言うことも大当たりになりそうだねぇ。子連れ大悪党ロック……ああ恐ろしい恐ろしいよぉ」
言い放ちエダはルンルン気分で車から離れ姿を消した。
残されたレヴィは茫然としながらただ震えながら流れる雲を見つめるだけしかできなかった。
- 573 :29:2007/05/15(火) 03:40:44 ID:VmnrDBml
- その日ロックは機嫌が悪かった。それは他でもないレヴィのこと。何故かここ数日避けられているような気がして虫の居心地が悪かった。話をふってもそっけなく返すだけでこっちを見ようともせず後は何も言わず自分から離れてどこかへ行ってしまう。
「また犬も喰わん喧嘩でもしたか?」
レヴィの明らかなロックに対するその態度からダッチがそう疑ったがはっきり言ってロックに心当たりなど微塵もなくただ困惑するだけだった。
考えてみればあの一年前のことを夢みた後からレヴィの様子がかわった気がする。直接的な関係はないだろうがやはりロックには意識せざるを得なかった。
少しでも心当りがあればいくらでもフォローのしようがあるのだが、実際皆無だというのがどうにも気持ちが悪い。
さらにそれが数日間も続くと何かフツフツとした怒りが込み上がってきて尚更始末に悪かった。
なので今この瞬間買い出しから帰ってきたレヴィと、事務所で電話番をしていたロックが二人だけで鉢合わせたときはなんとも気まずい雰囲気が流れるのはロックからしてみれば当たり前といえば当たり前だった。
- 574 :30:2007/05/15(火) 03:41:37 ID:VmnrDBml
- 「おかえり」
「ああ。ダッチとベニーは?」
「ベニーはジャンク屋。ダッチは知らないな」
「あ、そう」
食物から生活用品が入った大袋をドサッと床に乱暴に置くとレヴィは自分も同じようにソファに座り込んだ。
そのレヴィをロックは盗むように横目で眺める。
外見から別段変わった様子は見られない。が、明らかに殺気に似たオーラをこちらに向けているのがロックは肌で感じた。
それは明らかに『近づくな』と見えない警告を放っていたのだ。
レヴィが帰ってきてまだ15分も立っていないのだがロックには1時間は時計が進んだかに思えた。
それほど重い空気が部屋を張り巡っている。
耐え切れずロックは立ち上がりキッチンへと向かった。
「コーヒー入れるけどレヴィもいるかい?」
「いらねぇ」
即答され凹むロックだがカップはすでに2つ出していたのでかまわず二人分いれると黙って一つをレヴィに差し出した。
「なぁレヴィ。俺なんかした?」
「何をだよ」
「いや…それは俺が聞きたいんだけど」
コーヒーを受け取らず肘を横に付きながら目を合わさないレヴィにロックは嫌でもやきもきしてしまった。
「何が言いてぇんだ」
「避け…てない?俺のこと」
「んなことねぇよ」
「いや、どう見たって避けてるとしか見えないけど」
「るせぇな。ブッ殺すぞ」
怒気混じりに言われてロックは深くため息をついた。
- 575 :31:2007/05/15(火) 03:43:05 ID:VmnrDBml
- 「あのさ。何にそんな不機嫌なのかは知らないけどやられてるこっちとしては結構迷惑なんだけどな」
迷惑という言葉にピクッと全身で反応するレヴィ。
そして差し出されたカップをゆっくり持ちロックに熱々のコーヒーをぶちまけた。
「うわちちちちちち!!!!」
当然物凄く熱がるロックのシャツは見事にコーヒーの染み、茶色の池が全体に広がってしまった。
「い、いきなり何するんだよ!!」
「てめぇ!!今あたしに迷惑だなんていいやがったな!!」
「あ、ああ!言ったよ!迷惑だろ!こっちは何にもしてないのに声をかけたら知らんぷりでわざと避けられるなんてそんなの迷惑極まりないじゃないか!」
負けじとロックも言い返すがレヴィはさらに怒り心頭にロックの汚れた胸ぐらを両手で掴み上げた。
「言ってくれるじゃねえか!こっちはてめぇのせいでてめぇ以上の大大大迷惑被ってるのによぉ!!!」
「な、なんだよそれ!俺が一体何したっていうんだよ!?」
言われて何故か歯を食い縛り心底悔しそうに自分を見つめるレヴィにロックは狼狽した。
そしてゆっくりと胸ぐらを放すとロックから離れ力なく背を向けてしまった。
「どうしたんだよレヴィ…」
「……」
「何かあったのか?」
「……」
「黙ってちゃわからないよ」
しつこく迫るロックにレヴィは再び振り向き直って割れんばかりの大声で叫んだ。
「うるせぇんだよ!!この糞種馬野郎!!!」
「た、たた種馬!?」
「あ…!!」
しまったと口をあけるレヴィに対して驚愕してさらに大きく口をあけるロック。
互いが放つ歪な空間に二人は固まらざるをえなかった。
「そ、それってまさか…」
「ぐ……くぅ!チ、チクショオ!!!」
「レヴィ!!」
脱兎のごとく表に逃げるレヴィをロックは急いで追って事務所から駆け出した。後に残ったのは間違いなく染みになるであろうぶちまけられたコーヒーだけだった。
- 594 :32:2007/05/17(木) 22:17:41 ID:6tH4HcMe
- 逃げるレヴィに追うロック。蒸し暑い昼の市街地は二人の追逃劇となっている。
「ま、待てよレヴィ!!」
「うっせぇ!ついてくんな!このスカタン!!」
周りの痛々しい注目を浴びても二人の鬼ごっこは終わらない。
身軽で足も早いレヴィだがロックもここロアナプラへやってきて一年以上たっており、日本にいたときより体力は格段に高くなっている。そのおかげでレヴィを見失いそうになりつつもどうにか必死に食らい付いていた。
レヴィは逃げながら思った。
何故今自分はこんなクソ暑い中全力で走っているのか。一体何に恐れているのか不思議でならない。
予想しなかったというならそれは嘘だ。確かに多少の危惧はあった。が、それでもレヴィには蚊ほどのことに違いはなかった。
だからか、今の状態が絶対的に信じられない。もしかしたら孕んでしまったかもしれないなどとは。しかもそうなれば父親はロックだ。
冗談にも程がある。そう最悪だ。誰も祝福なぞしてはくれないし、ガキなぞ欲しいとか欲しくないとか考えたことすらないのにいきなりこの様だ。動揺しないほうがおかしい。レヴィは自分が所詮女の体だったということを呪った。
- 595 :33:2007/05/17(木) 22:22:42 ID:6tH4HcMe
- どれくらい走っただろうか。すでに後方にロックの姿はなくいつのまにか撒いていたらしい。
だがそのことに安堵を覚えるよりも先にひどい目眩がレヴィを襲った。足元はふらつき脳髄に稲妻が走ったかのような頭痛と吐き気にレヴィは路地裏の階段にぐったりと壁にもたれて腰をついてしまった。
肩で息を整え汗を拭う。こんなにひどく走って疲れたのは幼い頃警察におわれて逃げきった以来だろうか。それぐらいがむしゃらに走った自分が尚更滑稽に感じ、レヴィは薄れいく意識の中で自らを嘲り笑った。
レヴィを完全に見失ったロックもまた通りのベンチで腰をついてうなだれていた。
足がガクついて筋肉が悲鳴を上げている。明日はひどい筋肉痛に悩まされるだろう。
「種馬野郎…」
力なくつぶやいてみる。
この言葉の意味とあのレヴィのまるで恐れているようだったあの反応から十中八九レヴィは自分の子を妊娠したのだろう。いや、ロックのために言うならばしたかもしれないと言うべきか。
いずれにせよ、今ロックの肩に乗っかっているのは大きな大きな責任と、ある心地よく柔らかい肉の固まりが二つ。
「あのさ…エダだろ…。あ、当ってるんだけど…」
後ろからだ〜れだよろしく、軽いチョークスリーパー気味の挨拶の正体は暴力教会のエダであった。
「あれ〜?なんでバレたのさぁ?」
「いや…なんとなく」
「さっすがロアナプラ一の色男だけあるさねぇ、ご機嫌いかがロック?」
解放されてエダに振り向くロック。
大きな胸が気持ち良かったとは死んでもレヴィには言えない。
- 596 :34:2007/05/17(木) 22:24:45 ID:6tH4HcMe
- 「まぁまぁかな。でも珍しいね、こんなとこで会うなんて。今日はどうしたんだい?」
「あんたのイカれたお嬢に用事があったんだけどね。でもそれこそ珍しいじゃないか、いつもあんたの傍を捨てられた犬みたいにくっついてるのによぉ」
「レヴィがいつも俺と一緒だとは限らないよ。彼女の行動なんて読めないし」
ロックは不思議に思った。今のエダと似たような台詞をダッチやベニー、はたまたバラライカからも言われたことがある。
確かに自分はレヴィと一緒にいることが多いがそれは互いに認めることであって決してレヴィの一方通行ではない。むしろ頼っているのは自分の方で、彼女無しではとうに命を失ってることだろう。しかもそれ以上に無意識的にレヴィを求めてるのも今更の話だ。
にもかかわらず周りはレヴィが自分に付き纏っていると言われるのがロックにとってしごく気に入らなかった。彼女の名誉にかけてというのは少々大げさだがそれでも彼女の気持ちを察して欲しかったのだ。
「あらあら随分冷たいじゃないか。もっと労ってやりなよぉ。嫁にすんだろ?」
「は…」
口が開いたロックをよそにエダは隣へ腰掛けロックの肩に腕を回した。
- 597 :35:2007/05/17(木) 22:26:05 ID:6tH4HcMe
- 「なぁ色男。あんたとあのカトラス娘がどうなろうとあたしにゃあ関係ないけどさ。このことが周囲にバレたらヤバいんじゃないのかい?」
「このことって…」
「すっとぼけてんじゃないよ。孕ませたんだろ!あいつの子宮にたっぷりスペルマ注いでよぉ」
「えぇえ!!?ど、どうしてエダがそのこと知ってるんだ!?」
「さぁどうしてだろうねぇ?まぁそのことに気付いてるのは多分あたしだけだとは思うけどね」
ケラケラ笑ってるエダが得体の知れない魔女に見えてロックは後ずさった。
さらにずいっと笑いながら詰め寄るエダにロックは卑猥ながらもエダがSだと思ってしまった。
「んで、今何ヵ月なのさ?」
「し、知らないよ!というか確証がまだないんだ。そのために俺も今レヴィを探してるんだけど」
「あぁそうかい。ならこいつが役に立ちそうだねぇ」
言ってエダが腰から取り出したものは小さな紙袋だった。
「本当はあいつにやろうと思ってたんだけど、あんたにプレゼントした方がおもしろそうだ」
差し出された紙袋を受け取ってみる。中に入っているのは長細い箱だというのが感触でわかった。
「何、これ?」
「あんたたちを天国か地獄か明暗をわけるものさ♪開けなよ」
恐る恐る紙袋の中からそれを取出すとロックは凝視して固まった。
「し、CPチェック…。これもしかして……」
「いわゆる妊娠検査機だよ。そこらへんにいる淫売からちょっと戴いたのさぁ。なぁに使い方は簡単さ。その先についた小窓にあいつのションベンぶっかけてやるだけでOKよ。まぁ二人で頑張んな。くくく……ウヒャヒャヒャヒャ!」
「あ……ありがとう」
笑うエダをみて思いっきり複雑な気持ちが脳内をぐるぐるぐるぐるコーヒーを掻き混ぜるみたいに回っているがどうにか気持ちを落ち着かせることに成功したロックは静かに検査機を紙袋にしまい直した。
「じゃエダ、俺はもういくから。これ、ありがとう」
「ちょっと待ちなよロック。あんたの愛しの姫君はそこの路地裏でぐったり伸びてたぜ」
「えぇ!?な、なんで今まで教えてくれなかったんだよ!」
「さっきも言っただろう?あんたに渡した方がおもしろそうだってね。早く行ってやんなよ。あれじゃご自慢の銃も構えやしない。変態どもに輪姦されるまえに助けてやんな」
「わかってるよ!!」
もつれた足で走り去るロックをみてエダはサングラスを外し
「やれやれ、本ッ当に飽きさせないやつらだねぇ」
そうつぶやくとにやりと笑いロックとは逆に背をむけ歩き去った。
- 614 :36:2007/05/19(土) 02:21:42 ID:4dJUHtYd
- とても暖かくて大きく、そして優しい感触。日本で言う『普通』の家庭に生まれたものなら誰もが経験したことがあるだろうこの暖かい感触は、例えその経験が無きに等しいだろうレヴィにとってもとても心地よいものに違いはなかった。
「ん…んん……」
眩しい夕焼けの直射が彼女の穏やかな眠りを妨げ、ようやくレヴィはその目蓋を重たそうに開けた。
「起きたかいレヴィ?」
まだ覚醒しきれてない頭で状況を確認する。何物かの後ろ髪が目の前にあり、自分の腕はその者の首を巻いている。足は宙ぶらりんで太ももに腕の感触。そしてその者が歩く度に自分の体も揺れている。
レヴィはまぎれもなくおんぶされていたのだ。
「ロック…だよな」
「俺以外に誰がレヴィをおんぶするんだい?」
間違える事無くロックというのは夢心地でもわかっていたがそれでも確認がとれてレヴィは大きく安堵した。
そして安堵した次にやってきたのはとてつもない羞恥心だった。
「て、てめぇ!下ろしやがれ!!何勝手にかついでんだよクソボケ!」
「い、痛い!髪引っ張るなよ!」
「黙りやがれこの猿!てめぇに担がれるほど落ちぶれてねぇ!!」
「仕方ないだろ!?気を失ってたんだから!介抱したこっちの身にもなれよ!」
介抱という単語を聞いてレヴィは口籠もってしまった。記憶はあいまいだが確かに徐々に気を失っていく感覚は覚えていたからだ。
- 615 :37:2007/05/19(土) 02:23:34 ID:4dJUHtYd
- 「……やっぱりあたし、伸びてたか?」
「うん、ぐったりと気持ち良さそうに。多分軽い貧血だと思う」
「貧血だぁ!?このあたしが!?」
すっとんきょうに驚くレヴィ。無理もない。酒を浴びるほど飲んだ次の日でも絶好調にガンファイトをやってのけるほどの豪傑のレヴィだ。信じられないのはロックも同じだった。だが倒れる理由もロックなら頷けた。
「最近飯、ちゃんと食ってなかったろ」
「んなことねぇよ」
「嘘だね。俺が見るかぎりでは全然食べてなんかいなかったよ。ただ飯時もボーットしてさ」
「………」
答えないレヴィにロックは少し顔を彼女に向けて続けた。
「いくらレヴィだからって一応女の子なんだから気を付けないと。女の方が男より貧血しやすいんだぜ?」
「な……!!」
レヴィは処女のように赤面した。まさか自分が女の子扱いされるとは。しかもよりにもよってこのロックにだ。恥ずかしいというか意外というか、どうにも信じられない気持ちがレヴィを駆け巡った。
「き、気持ち悪いこと言ってんじゃねぇぞ!」
「何で?」
「何でって……!てめぇはあたしの保護者か!?何だってそんな馬鹿げたこと言いやがる、このアホロック!!」
「今更皆まで言わせるのかレヴィ?お望みなら今この場で大声で言ってやってもいいけど」
「ば、馬鹿野郎!よせ!ブッ殺すぞ!」
「わかってるじゃないか。ならいいだろ?」
「く………」
さらに赤面してロックの背中に顔を埋めるレヴィにちょっと意地悪したかなと思うロックだが後悔はしていない。レヴィに対する愛情表現はこれぐらいが丁度いいみたいだ。
- 616 :38:2007/05/19(土) 02:25:01 ID:4dJUHtYd
- 「てめぇなんか大嫌いだ…」
「そう?俺はレヴィが好きだけど」
「くたばりやがれ」
ロックは優しく笑った。ほんの一瞬だけれど幸せには違いなかった。
だがそれを一時味わったあとロックはレヴィに真をうかがった。
「なぁレヴィ、その……何ヵ月ないんだ?…あれ」
言われたレヴィもそのロックの意を見切ってそっと答えた。昼間のことがあった後だ。ロックにもおおよその見当がついたと感じたのだろう。
「……三ヵ月」
「そうか。ならまだこいつが使えるな」
「なんだよ、こいつって」
「後で教えるよ。まずはレヴィの部屋に戻ってからだ」
「オーライ。だけどもう下ろせよ。もう一人で歩けらぁ」
「駄目だよ。また逃げられたりでもしたら大変だからね」
「チ!勝手にしやがれ。途中で疲れたとか抜かしても下りてやんねぇからな」
「大丈夫さ。それになんだかこれ悪くないし」
微笑むロックに口を曲げつつも言い返すのも諦めたレヴィは家路につくまでロックの背中におとなしく顔を埋め続けることに決め込んでしまった。
- 643 :39:2007/05/21(月) 01:15:40 ID:a5LG6Y/2
- ようやくレヴィの部屋へと辿りついたロックは入り口でレヴィを優しく下ろしドアノブに手を掛けた。
「ロック!ちょ、ちょっと待ちな!」
どうしたことだろうか。レヴィがロックの手をノブから外し遮っている。
ロックは訝しげにレヴィを見下ろした。
「どうかしたのかい?」
「い、いや、その、何て言うかだな。今入るとまずいというか…」
「死体でもいるのか?」
「はっ倒すぞ」
「じゃあ何だよ」
「だから…ほら、こういうのってやっぱ慣れねぇと無理って言うのか知らねえけどよ……」
ロックはジトーとレヴィを横目で見据えた後、レヴィを払い強引にドアを開け中へ押し入った。
「あ!てめぇ!!」
中へ入りロックは唖然とした。
洗濯物だけならいざ知らず正体不明の食い掛けの食品や酒の缶や瓶がまるでこの部屋で爆発が起こったようにそこら中に散乱していた。それに輪をかけてさらにミリタリー雑誌やら音楽雑誌やらの残骸が無残に部屋をトッピングしている。
ロックは頭を抱えて深い深いため息をついた。
「レ〜ヴィ〜〜」
「な、なんだよ」
こめかみ辺りに怒り心頭マークを浮き彫りにして振り替えるロックにレヴィは冷や汗をかいた。
「確かさ、俺二週間ぐらい前に掃除してやったよな…ピッカピカにしてやって」
「あ、ああ!感謝してるぜ」
「なのにさ。どうやったら二週間たらずでここまで汚くできるんだよ。この部屋だけ大地震でも起きたか」
「し、仕方ねえだろ!気付いてたらなってたんだからよ!」
「気付くのが遅すぎだ!何で散らかすのがそんなに得意なんだよお前は!!」
「ぐ………!!」
- 644 :40:2007/05/21(月) 01:20:16 ID:a5LG6Y/2
- ロックの怒りの勢いはすさまじい。よほどこの前の掃除が大変だったと見える。だがおそらくその時レヴィは何もしてなかっただろう。ベッドに横たわり「頑張れよ〜」などと余裕こいてぬかしていたに違いない。
そのせいもあるだろう、レヴィはまるで親から厳しく仕付けられている幼子のように怯んでしまっていた。
そのレヴィにかまわずロックは日頃のうっぷんを晴らすようにさらにまくしたてた。
「だいたいだな!女の子だからとか言うつもりはないけどもう少し綺麗にしろよな!こんなじゃ目も当てられないよ!おい聞いてるかレヴィ!」
「ごちゃごちゃうるせえんだよこのタコ!!!!」
つい放ってしまった右足での蹴り上げは、別に狙ってやったわけではないのだが見事にロックの股間にクリーンヒットかつクリティカルヒットしてしまった。
「ぐぁ…………!!!!!!」
「あ!」
しまったという顔をするレヴィと悶絶して床に倒れ落ちていくロック。
その顔は青ざめて白目を向いて痙攣している。レヴィの戦闘時の激しい動きにも耐えられる頑丈なあの靴だ。それで男の急所を蹴り上げるなど洒落になる話ではない。
この痛みがわからないレヴィにもこの悲惨さが伝わったのだろう。違う意味で青ざめながら、倒れてるロックを揺さ振る。
「お、おいロック。大丈夫か?起きろよ」
ロックから返事はない。ただカクカク震えて涎を垂らしているだけだ。
レヴィはさらに青ざめロックを大きく揺さ振った。
「おいロック!ふざけてんじゃねえぞ!!笑い話にもなりゃしねえって!頼むから起きやがれ!!」
必死に呼び起こすレヴィだがとうとうロックはガクッとうなだれ逝ってしまわれた。
「ロックーーー!!!」
- 645 :41:2007/05/21(月) 01:21:26 ID:a5LG6Y/2
- (ああ……何だか気持ちいい…。何だろう、ここは天国かな?妙にふわふわしてとっても心地いい。
俺何でこんなとこにいるんだ?確かレヴィをおぶってレヴィの部屋にきて…。部屋がまた散らかってたから激怒して……。そしたら急に目の前が真っ暗になって……。
あれ?何か変だな。何かおかしい。とても違和感を感じる。何かが足りない感じが………ちょっと待て!!!
…………ない……ない、ないないないないないないぃぃ!!!
俺の!!俺のアレがあぁぁぁぁぁ!!!!!)
「うわぁ!!」
ロックは跳ね起きた。そして急いでそれを確認するために股間に手をやる。
「あ、あったぁ〜〜」
今世紀最大かもしれない安堵感にため息をもらしロックはチラリと顔を横に向けた。
「何してんだてめぇ……」
呆れた顔で自分を見ているレヴィがいてロックは自分のいる場所がレヴィのベッドの上だとはじめて気付いた。
「だ、大丈夫かよ…」
「何が?」
「その、玉…」
「あ、ああ。まだズキズキするけど大丈夫。潰れてはいないさ」
「オーライ…」
ベッドから下りてロックは首を傾げた。さっき見た景色と違っている。床がちゃんと確認できていて清々しい気分がした。
「部屋片付けたんだ」
「ああ。……これでいいんだろ?」
「上出来だよ。ていうか俺部屋が片付けられるほど気絶してたんだな……」
レヴィが顔を背けたままこちらに近づいてきた。心なしか顔が少し赤い気がしたのはロックの気のせいではなさそうだ。
- 646 :42:2007/05/21(月) 01:24:04 ID:a5LG6Y/2
- 「その……あの……ていうか…す…すまねぇロック…」
「いいよ。ちゃんと片付いたしね」
「あんがとよ。それで?」
「え?」
「え?じゃねえ。何かあんだろ。さっき言ってたじゃねえか」
「あ!」
ロックは思い出してポケットを探り紙袋を取り出してレヴィに差し出した。
開けて中身を取り出しそれを確認するとレヴィは眉を潜めた。
「なんだよこれ?」
「妊娠検査機だよ。それで白か黒かわかる」
「あ、ああ。そうか…サンキュ…」
動揺を隠し切れないレヴィだがロックは尚説明を続けた。
「それに尿をかけるとわかるそうだ。赤い筋が一本なら外れ。二本なら…大当たりだ」
「ふーん…で?どうしたんだよこれ?」
「え、えーと薬屋で買ったのさ」
本当はエダからもらったのだが言うと絶対ややこしくなるのでロックは嘘をつくことにした。これ以上事を荒げたくないのが正直にところだ。
「わかった。そんじゃ行ってくる」
「幸運を祈るよ」
トイレに向かうレヴィを戦場へ見送るような気持ちになってしまったロックはやりきれなくなり煙草に火を点けた。
幸運、言ってみたが実際何が幸運なのかはよくわからない。できてないことが幸運であるならばそれにこしたことはないのだがロックの心にはまた何か別のものが浮かび上がっていた。
- 647 :43:2007/05/21(月) 01:25:51 ID:a5LG6Y/2
- 仮にもし子供ができたことを考えてみる。レヴィは堕ろすと言うだろうか。これも正直わからない。言うかもしれないし言わないかもしれない。はたまた自分には何も言わずどこかのヤブ医者に行き一人で勝手に堕ろしてしまうかもしれない。
それは……極めて残酷な事に違いはないだろう。阻止しなければ。
どこかの慈善団体のように命が大切だからとか言うつもりはない。堕生するしないの世間の理念は自分には無関係だ。
ただ自分はレヴィが大切だし少なくともお互いがそうだとロックは思っている。そのレヴィと自分の子だ。ロックには堕ろす理由など何一つありはしなかった。
だがあるとするならばやはりレヴィだ。
これはロックの想像だが、恐らくレヴィは幼年時代に良い思い出は無きに等しいと思われる。だからレヴィが子供を産みたい育てたいという気持ちがあるかどうか正直疑問だ。
腹を痛めて産んだガキなんてただのお荷物としか思っていなければ堕ろしてしまう可能性だって充分ありえるだろう。
だが……それではあまりにも悲しすぎる。
後生をつくるためだけに今が存在してるとは考えたくないが、それでももしレヴィと引かれ合うのが運命だとしたのならばその結果でできた子は産まれさせてあげたい。例え人並みの幸せとは程遠いこのロアナプラでも人間として育ててやりたい。
その為ならばレヴィを精一杯、否、必ず守って生きていきたい。まだ聞かされて一日もたってないが今ロックはそう決意したのだった。
- 648 :44:2007/05/21(月) 01:26:49 ID:a5LG6Y/2
- 「ロック…」
いつの間にかレヴィがトイレから戻りこちらをうかがっている。
ロックは煙草を揉み消すと息を呑んでレヴィに尋ねた。
「早かったな。それで、当たりかい?外れかい?」
「出ねえんだ」
「え?」
「小便が出ねえんだよ」
「そ、そう。まだ溜まってないのか?」
意外な答えに調子を外されたがここは冷静を装いレヴィに聞き返した。
「違う…。ある程度溜まってるとは思うがなんか出ねえんだよ…。全然ピクリとももよおさねえ」
「緊張してるのか?」
「わからねえ……。クソ!何だってんだよ!おもしろくねぇ!!」
レヴィが壁に八つ当りするのをみてロックはネクタイを緩めて一つ深呼吸した。
「まぁ落ち着けよ。なんなら俺が手伝ってやろうか?」
「ケ!おちょくんじゃねえよどうやっててめぇなんかに」
「多分大丈夫だとは思うんだけどな…嫌なら仕方ないけどね」
真面目に答えるロックの脳みそを疑ってレヴィは意地悪そうに答えた。
「ほ〜〜。一体どうやって手伝うって言うんだよ?お腹撫で撫ででもしてくれるってのか?あぁ?」
「…まぁそんな感じかな。でも少しなら自信あるよ」
「そうかよ。なら賭けでもするか?3000バーツだぜ?」
「おもしろそうだな。のったよ」
言うが早いがレヴィのズボンに手をかけるロック。
「な、何しやがる!沸いてるのかてめぇ!?」
「…いや、ほらそのままだと汚れるだろ。いやかい?なら俺の勝ちだな」
勝ち誇った顔が気に入るわけもなくレヴィはタンカを切った。
「上等だぁ!やってやるよ!せいぜい踏張って踊りやがれロック!」
「踊るのはお前さ、レヴィ」
先程の深刻な空気はどこにいったのか。二人のくだらなくも『熱い』戦いが始まろうとしていた。