- 84 :名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 02:20:11 ID:k0TyyBc0
- わかってるんだ。いつかアタシらには終わりが来る。文字通りロクな死に方じゃねえだろう。海に沈んで魚の餌になるか、火に焼かれて消し炭になるか、蜂の巣にされて、自分の血に溺ながら終わるか。
死人が死ぬ…矛盾してるな。ちゃんと言えば体が冷たくなって、動かなくなるって事だ。その後は知ったこっちゃねえ。単純な話しだから、別に考える必要も無かった。
…元からアタシの体は冷めてたんだ。死ぬことが怖くて体が動かなかったのはガキの頃の話。今はどんな時でも体が動く。
勿論、自分から死にに行く事はしねえさ。その前に目の前の連中を穴だらけにするつもりだからな。
だが今は…アタシん中に火を点けた馬鹿野郎が居る。銃が使えねえ癖に、アタシより強いつもりで居るヤツ。
弱いって思ってた。この世界じゃ役に立たないヤツだと思ってた。そう思ってた筈なのに…
「…ロックっ…」
バカみたいにソイツと唇吸い合って。ソイツの事だけで狂いそうになって、いつの間にか寝床までアイツが用意してくれる様になってるんだ。
今更いたわってくれたって、もうキズモノの体にアイツは優しくして。アタシを女として見て。
「痛くないか?」
「お前が思ってるような女じゃねえよ…」
どれだけアタシが憎まれ口を叩いても一つも文句を言わなかった。だが。
「け、結構頑張ってるじゃねえか…アタシのソレ専用にしてやっても…」
この一言だけは言っちゃいけなかったらしい。今考えると馬鹿だったのはアタシだった。アイツの行動で、アイツがアタシをどう思ってんのか。
アタシの事を本気で思ってるのが解ってたのに、馬鹿な事を言って。
「俺がそんな目で見てると思ってたのかよ!」
アイツを本気で怒らせちまった。アイツが居なくなってからやっと。
「仕方ないんだよ…ここは背徳の街じゃねえか…仕方…無いんだ…」
一人で、泣いた。
- 90 :名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 02:51:05 ID:sEUsaJM2
- アタシはこの街をよく知っている。アタシの住んでいる世界を知っている。
…死者の世界だ。出来損ないが集まって世界を汚しちまう、消えちまった方がタメになる世界。
「…こんな中で…望めるかよ…」
そうだ。「そんな事」を思えば。
生気が生まれる。言ってみれば背徳の街への背徳だ。この世界に逆らう事はアタシ自身の存在を否定する事になる。存在が欲しくてしょうがないから、アタシはココまで生きてきた。
今更ねじ曲げられる訳がねえ。
これで良いんだ。
これで良い…
「…アイツ、こういうトコでも甘ちゃんなんだな…」
さっきまでのアイツの感触が微かに残ってた。
今まで好き好んでじゃないにしろ何度か抱かれて来た。
が、その誰よりも刺激が足りな…違う、痛みが残っていない。それも体の痛みじゃ無い方の…心の痛みってヤツか。それが全然痛くない。
「…」
優しかったんだ。
アタシに一番要らない事をしてくれた。
どうしてだ?
もう一回抱かれたい気がする。いや、抱いてやりたい。
何かを繋げて、もっとアイツを確かめて、深い所が知りたい。
今になって…もうアイツはアタシの隣にいねえのに…
「…そりゃ怒るよな…アタシはあんな風に見てたんだ。ロックの事を…」
ぼちぼち冷めてくる体を、自分で抱きしめた。もうロックは居ない。わざわざアタシを温めてくれるヤツは、居ない。
「…悪かった…すまねえな…ロック…」
もう終わってるんだ。アタシがそういう目で見てたなら、アタシは「本当」にそうなってやろう。
もう無いかも知れねえが、アイツが抱きたいって言えば抱かせてやる。
ただヤらせてくれる…アイツの目にそうでしか映らなくなっても…それでもアイツが抱いてくれるなら…
- 97 :名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 07:44:36 ID:zh5rgQPn
-
「それ専用なんだろ?…レヴィ」
「…ああ」
あの日からアイツの態度は変わった。ダッチ達の前じゃ素っ気ないぐらいで済ませてるが、二人きりの時には…やられ放題好き放題だ。でも拒否はしない。
ロックの心を傷付けたのがアタシだから。アタシに対するロックを壊したのがアタシだから。
お互いを確かめるとかそんな高尚じゃモンじゃ無い。
片方が自分の欲望を満たす為の関係だ。それから、アタシ達のソレはベッドの上でする事じゃなくなった。
「ほ、本気かよ!こんなトコで…」
「レヴィ」
「…」
「今がいい」
「…」
黙ってアタシは服を脱いだ。場所はラグーン商会でもどっかのホテルでも無い。
「イエローフラッグ」の、トイレ。
ひっきりなしに小便の音はする、隣の個室じゃ誰かが吐いてる。ホールでのバオの怒鳴り声まで聞こえてくる始末だ。
アタシは声もあげられない場所で、ロックに抱かれた。
見つめ合う事も無い。会話らしい会話もない。ただ体だけはしっかり繋げて、行為を楽しむ。
アタシの望んだ関係。
「くぅ…っ」
「聞こえるだろ」
「す、すまね…んっ…あっ…」
「…」
この時だけ。ロックはアタシの口を塞ぐ為だけにキスをする。それ位ならガムテープでも持ってくりゃ良いのに。こんな情けない声を聞かせたくも無かった。
唇を吸い合ってると錯覚しそうになる。実はロックは、まだアタシの事で悩んでくれていると。
言葉にしてはならないから、アタシはキスを深くする事で応える。
ロックの汗の匂い。ロックの肌。ロックの体温。全部目の前にあるのに、それを欲しがっちゃならない。
気が狂いそうになった。
それでも今やれるのはロックの玩具になる事だけ。それがロックを感じられる唯一の瞬間。
アタシは、どんなに酷く犯られても拒否するつもりは無い。
ロックの玩具でいいんだ。
「バオさん。ごちそうさま」
「ああ。うん?レヴィは酔いつぶれたのか?珍しいな…」
「ん?…まあ…ね」
目が覚めた時、アタシの体はラグーン商会のソファーの上に転がっていた。
タオルケットが掛けられて。
- 101 :名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 09:19:50 ID:MS0b8pkg
口も塞がれて、息苦しい。過呼吸気味だ。五感の他の部分が研ぎ澄まされてくる。
嗅覚…触覚…聴覚。空気が肌舐めてるみたいな感覚がある。吐き気のする臭いが鼻の中に充満する。
腕が動かない。後ろ手で、何かに括りつけられてる。座らされてるのは…多分便座だ。おまけにシャツも取られてるな。下着の感覚しかねぇ。
目は隠された。ロックの細工。
近頃、アイツのやる事が変わってきた。…ローワン程じゃないがエスカレートしてきた。アタシの限界を試すみてぇに。
流石に最初は断るつもりだった。いつも通り外でロックに抱かれる事に変わりは無い。が、アタシの自由を封じる事が違う。
結論は。
ロックに相手にされなくなる方が怖い。
だ。
今は後悔がある。せめて他の場所にして欲しかった。
ロックは帰っちまった。
忘れ物があるとか言って、アタシをこのままで。
…もし野郎共が来たら、ただで済む訳が無い。それでもほっとかれた…って言うのはもうアタシに拘ってない証拠かも知れない。
誰かが来る事と、ロックに嫌われる事。二重の恐怖。
それがあって、アタシの息は荒くなる。
早く…
「…」
足音が聞こえた気がした。自然に動きが止まる。勿論、声をあげるつもりは無い。もしロックじゃなかったら…
「飲み過ぎなんだよ」
「わりぃな…へへ、奢らせて…」
「全くだ」
…二人は居る。それもチンピラレベルの、アッチの事ばっかり考えてそうな連中だ。
頼む…早く帰ってくれ…
キ…
「…!」
確実にココの扉が開いた。今のアタシはただの変態にしか見えない筈だ。コイツらが見逃す訳が無い。
拘束は信じられない程堅い。ロックがアタシの腕力を頭に入れて作ったとしか思えない。
「…」
声が出せない。確実に、アタシを狙う人の気配が目の前にあるのに、動けない。
本当にロックに嫌われた。
コイツらに玩具にされる事より、そっちの衝撃の方が大きかった。
- 105 :名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 01:29:12 ID:z5qpPoTh
- 止めろ。触るな。近付くな。
声を出せない以上は玩具だ。アタシの声がトイレの外に聞こえて、コイツらの邪魔が来る事は無い。
好き勝手に出来る。この街の大半を占めてる低俗な連中は、こんな所に一人でいる女を慰み物にする事になんの躊躇いも持たない。
ロックが来ない事。
絶望だ。
口が利ければ幾らでも罵れた。自分で自分にケリも着けられた。
それも叶わない。
「…っ」
肌寒い。アタシの汗の匂いが届く。多分、脱がされたんだろう。
一つの手が胸を掴んだ。乱暴に、敏感な先の方ばかりこねくり回す。
…ロックじゃないと…
土台無理だった。女の体は感度さえ良ければそういう風に、男だったら誰でも良いように出来てる。
アタシの胸はしっかり反応して、いやらしく、硬く、尖る。ドコの誰の手か解らないのに、喜ぶ。
正しく言えば、ロック以外で反応したくなかった。
アイツが抱くから、アタシはヤらしい女になる。そういう気で居た。
大間違いだ。
今度はケツの方に手応え。次に布を破る音。下にいつものパンツは着けて無い。アンダーだけだ。
今思うとこれもロックの計算通りかも知れない。いつもの服装に比べて、
犯すのに丁度良い服装。
いや、服ですらねえ。これだけ肌を出した女が閉じこめられてりゃそそられるのは当然か。
完全に素っ裸だ。アクセサリーは目隠し、猿ぐつわ、手錠。外から見たらとんでもない姿なんだろうな。
もう、奴等の指がアタシの女で遊んでいた。
だらしないアタシの女は喜んで、反応していた。
- 110 :名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 11:57:44 ID:z5qpPoTh
-
耳に届く女の音。いやらしくって、こんな風になっちゃならないのに音立ててる。
指が抜かれた。
ベルトを外してる様な、チャックを下ろしてる様な…とにかく金属音がする。
アタシの心を無視して、ソコは男が欲しくて堪らない感じに敏感で、疼いて。
相手が誰か解らなくても潤滑油出して受け入れる準備万端で。
入れられるのを待ってる。
本当にロック以外に犯される。
ロック以外が相手なら何が相手でも変わらない。例え犬に犯されようが、その辺のホームレスに犯されようが大差は無かった。
それだけアイツ以外が嫌なのに。例え玩具でも、アイツ専用でいたかったのに、見捨てられた。
…理由?
思い当たるとしたら…足りなかったせいだ。アタシの持ってるモノが少なすぎて、ロックにやれるモノが無かった事だ。
アイツが欲しがった愛の言葉も、恋人の行いもしてやれなくて。
あげられたのは体だけだった。コレに飽きられた時にアイツの興味は、無い。
自分を笑いたくなる。ココまで追い詰められてやっと気付く事が多くて、それだけアタシは馬鹿で、ロックを中心で回してた。
当然の結果。こんなに思ってても体が…男を欲しがってる。
獣なんだ。アタシは。ロックは飼い主の人間。捨て猫にされても文句は言えない。
アイツの愛が無くなった時に、終わってた筈だった。
目隠しの布が濡れて、温かくなる。目の水が、アタシが滅多に流さない水が滲む。
アタシの女に何かがあたる感覚。体温くらいの熱さの何か。入り口を的確に捉えて、中に入ってくる。
獣は同じ種類の獣とするのがお似合いだ。
もがく事も無く、受け入れた。
犯された。
- 118 :名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 11:23:17 ID:q87REpkO
- 頼む。止めてくれ。
絶叫は声に出来ず、キツく噛まされた轡に邪魔された。
もう全部嫌になった。ロックに捨てられた事を認めたく無い。今の状況を認めたく無い。
ロックじゃないのに感じるアタシの体が嫌だ。最低な連中に弄られて喜ぶ体が嫌だ。
…これ以上アタシを堕とさないでくれ。
アタシの最低を増やさないでくれ。
「…はっ」
急に息苦しさが、消えた。口が上下する…轡を外した?
…何でだ?都合が悪くなるだけだろ?
声を聞きたいってクチなら、この場で、自分で決着を着けてやる。
…どうして…
「レヴィ…」
「…!」
「俺って、解らなかったんだな…」
「ロック?」
「…どこかで気付いて欲しかった」
「テメエ、何で…」
「理由は後で説明する。それより…」
目の前に居るのがロックとするなら。アタシの中に入ってるのは…
「解らなかったのに…こんなに反応したのか?」
「それは…」
「仕方無いよな」
ロックの表情を見ることが出来ない分、怖い。ため息をついて呆れてるのか、怒ってるのか。どっちにしても拘束を解いてくれない以上、アタシは掴みかかる事も出来ない。
「…とにかく外してくれ。いい加減腕が痛いんだよ」
「…」
「…一回位はこのままヤったって構わねえさ。お前の言った通りアタシも収まってな…」
「レヴィ」
「…何だよ」
「…お前が良く解った」
ロックの怒りは最もだ。もしかするとロックのダメージの方が大きいかも知れない。一応、他の男で感じる所を見たんだ。
アタシをココにほっとくのが正解と思われても仕方ない。
…ロック
「だから…」
「…」
「覚えてもらう」
「…何?」
- 119 :名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 11:25:06 ID:q87REpkO
- 深い所まで入ってきた手応え。
「いいか?今お前の中に入ってるのが俺だ」
「んっ…」
「体が俺って解らなかったんだろ?なら…体で覚えるんだ。俺ってわかる位に」
「意味がわからねえ…」
「体だけでも俺専用にしたい」
手錠も目隠しも外されず、帰してくれたのは口の自由だけだった。
ロックが拘束を解いてくれない限り、アイツは好きなだけアタシを犯せる。幾らでもアタシの中に突っ込んで、吐き出せる。
その通りになった。
「もう無理だ…死ぬ」
「まだだ…もっと覚えるんだ。レヴィ」
「気が飛んじまう…馬鹿になりそうだ…」
「…っ」
「あっ…あああっ」
もう数えてられないぐらいの射精。ロックは底なしにアタシを犯して、限界を無視した。
アタシは朦朧としながら、失いたかった意識を、保った。
拘束が解かれた。
全身に散ってる白い液。胸にも肌にもかけられて、触るとヌルついた。一番酷いのは女の部分。ロックのが溢れだして、それでも下腹部が膨らんで腹の中が満タンだった。
これがロックの愛なら、アイツも相当歪んでるだろう。
いや。
言葉にしたい事を全部性欲に代えたのか。それ位アイツは不器用だ。
体だけでも俺専用にしたい
…多分そうなんだろうな
どっちにしてもアタシがイカれてるのは間違いない。これだけされて、逆にロックが欲しい。
アタシが不器用ならアイツも不器用で、歪んだ形でしか伝えられない。そういう事だ。
- 120 :名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 11:28:12 ID:q87REpkO
- ロックの疲れは目に見えた。無理にとまでは行かないが、全力でヤッたんだろう。
…それでもアタシの番がまだだ。今度はアタシの方から欲しい。
ちゃんとロックが目の中に居て、したい。
誘わねえとな…
「…なあ、ロック」
「…」
「これ…見ろよ」
女の部分を見せてやった。まだロックのモノが溢れている部分。
「こん中全部…お前ので一杯なんだぜ?腹まで膨れてるだろ?…もうお前のモノだ。違うか?」
「…けど、レヴィが」
「アタシだけ覚えるのは不公平だ」
「それって…」
「ここだけじゃねえ。胸の形も、唇の形も覚えて貰いてえな」
床に着いてるロックの手に、胸に触れさせた。
「お前だけのモノ…なってやるよ。アタシもお前がわからねえなんて嫌だしな」
首を伸ばして、ロックの唇を奪う。軽いのじゃなく、深くて、味わうヤツ。
「覚えられそうか?」
「俺は…もう覚えてる」
日が昇り始めてた。もう夜は終わってる。が、それをお構いなしにもう一度始めた。
ド低俗だと思ってた連中は本当に居たみたいだが、ロックはバレない様に個室に飛び込んだらしい。轡を噛ませたのもそれが理由だそうだ。
アタシが声をあげない限り基本的にバレないからな。
…気になる事が二つあった。一つは…これからの事だ。これからロックはアタシをどうするのか。その時ロックの期待に応えられるのか。
もう一つ。これだけ中で出されると…
今目の前に居る奴の事を考える。それだけで精一杯だ。