- 261 :名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 11:37:50 ID:P+KfiK2a
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「だめだよ、だめ、だめ・・・だめだったら」
消え入りそうな声とは裏腹に、白い顔に張り付いているのは危うげな笑み。
ガルシアは遠くを見つめたまま、ただだめ、だめ、と繰り返し、手にした鎖を
強く引いた。
鈍色の鎖の先に繋がっているのは赤い首輪、そして・・・
「ぼくのロベルタ・・・」
うわ言のように呟いて、目の前の長い髪を鎖ごと掴んで、引きずり倒す。
「うぅ・・・」
苦しげに呻き声を漏らすロベルタの唇は猿轡がはめられ、唾液に濡れて口紅を刷いたように赤い。
白い身体に垂らされた蝋が、まるで血を浴びた後のようだった。
「だめだよ、だめじゃないか・・・」
クスクス笑いながら、手にしたスイッチを弄る。
暗い部屋に断続的に響くモーター音。
ロベルタの尻から生えた尻尾が、正確には犬の尻尾を模した玩具が、
腰の動きにあわせてしきりに動き回る。
「ん、ふっ・・・」
人工的な音に混ざる、水音と荒い息遣い。
- 262 :名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 11:38:24 ID:P+KfiK2a
- 「そんなに尻尾振って・・・お尻気持ちいいの?」
「・・・・ッ」
「お仕置きなのに、気持ちいいんだ。」
小さな主人はあくまで冷淡で。
「昔もこういうこといっぱいされて悦んでたのかな?
だってロベルタ、犬だもんね。
あれ、水溜りまでつくっちゃって・・・お漏らししちゃったの?
しょうがないなあ・・・・だめじゃないか」
尻尾の付け根に赤い蝋が垂らされる。
「はぁあ!」
痛みと羞恥のあまり、耳まで赤くして顔を背けるロベルタ。
浅い呼吸に合わせて上下する背中に、汗の粒がいくつも浮いている。
だが、首輪以外の拘束は一切されていないというのに、少しも抵抗せずに理不尽な責めを受け入れる。
「まだまだ許さないよ、ロベルタがまた前みたいに笑って、
若様って呼んでくれて、腕相撲して、一緒に紅茶飲んで・・・
そんな、そんなふうに、前みたいに、一緒に、いっしょにくらせるように、ように、
なる、まで・・・・ゆるさ、ない、から・・・・」
壊れた口調にうつろな笑顔、ふらつく足。
もうすでに、穢れのない天使のような、以前のガルシアはいない。
そして、首輪から繋がった鎖が容赦なく振り下ろされる。
「だめなんだ、だめだよ、だめなんだ、ロベルタ。」
壊れてしまった。
そう、許されることなんてないのだ。
全部私の所為だわたしがあんなことをしたから
ごとうしゅさまも、わたしのせいで・・・
そして、だいすきな、わかさま、も・・・・
頭の中で奴が囁く。
「君はもう元には戻れない。若君もだ、君は取り返しのつかないことをしたのだ」、と。
若様がこの部屋を訪れる時以外は、手足を拘束されて動けない。
薬は何日も飲んでいない。
限界はとうに超えている。
ガルシアの声と頭の中の声が重なって、もう何もわからない。
腕に顔を埋めてロベルタは静かに泣いた。