- 356 :名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 00:57:37 ID:aEGIl7Uh
「じゃあ、1時間後に行くから」
「あぁ…わかった。」
「リクエストは?」
「いつもと一緒だよ、最後まで面倒ミロ」
「あ、そうだレヴィ」
「んだよ」
「化粧…して?」
チッと舌打ちをし、女は酒場からの家路を一人歩く。
足取りは…重い。
「何やってんだかな…」
一人ぼやく。
家に着き、する事。
引き出しに丁寧に仕舞われた何種類かの錠剤を酒で流し込む。
いずれも睡眠導入剤。
作用時間は違うが、いずれも重度の睡眠障害を持つもの向けの違法スレスレの…この街ではこういったしょうもないシロモノには事欠かない。
シャワーを浴びると柄にも無く鏡の前で化粧をする。
とは言っても10分で済んでしまうようなおざなりなものだが、…男はいつも大層喜んだ。
ベッドの脇に、使われたためしの無い避妊具を置くとそのまま横たわる。
あとは寝るだけ、起きた頃には終わってる。
きっかけは、男の不作法。
熱で眠りこける彼女の、よりによって肛門を姦淫した。
それについてネチネチと問い詰める過程で、相手が人形…つきつめれば死体のような自分の姿に酷く興奮していたのだと知った。
あまりに歪んだ情欲に呆れ果てつつも、それならばと気まぐれで彼の悪趣味に付き合い、月に1〜2回のペースで何となくそんな悪ふざけが続いている。
正直気は乗らない。
が、別段強制されているワケでもない。
それどころか、誘うのはいつも彼女の側だった。
このごっこ遊びを始めてから彼の態度が変わったわけでは無い。
真っ当に身体を重ねる頻度が落ちたわけでもない。
別に何かに不満があるワケでもない。
寧ろこの屍姦ごっこの次の日は、体中が痛く、副作用で起き上がれないコトすらあるのだから、やらない方がいいに決まっている。
なのに。
「何でだろーな…」
アルコールも手伝い、次第に頭がクラクラし天井が回る。
吐き気すら伴いながら、強制的に意識を底へと引きずり込まれる感覚。
(死ぬ時ってこんなかな…?)
漠然とそんな事を考えながら、見えざる手に逆らわずに目を閉じた。
願わくば。
明日もまた目覚めた時に、彼が嬉しそうに抱きしめてくれますように。
- 357 :名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 00:59:02 ID:aEGIl7Uh
- 男は死んだように眠る女の顔を、飽きもせず眺めていた。
顔を寄せなければ息をしているか否かの確認も出来ないほどに、生気の無い顔。
化粧を施しているためか、いつもより陰影が濃く、元の器量の良さも相俟って人形めいた美しさを湛えている。
こんなにも無防備な姿を自分の前に晒してくれることがとてつもなく心地良い。
そう…無防備だ。
今の彼女は、赤子にすら殺されてしまいかねない。
いつまでこんなコトを続けるつもりだろう、自分も、彼女も。
もう止めよう、そう考えないではない。
だが思う様独占欲を満たす事の出来るこの行為を止められない。
彼女が誘うから…なんて、理由にならない。
自分だって望んでいるのだ。
「……………ごめん。始めるよ、レヴィ」
聞く者のない開始の合図。
ゆっくりと彼女に口付けた。
意識の疎通が全く無い行為。
力無く横たわる彼女の衣服の一切を丁寧に取り去ると、打って変わって乳房を痣になる程に強く握りしめる。
どんなに苦痛を与えたところで、身じろぎや僅かな意識の浮上はあっても完全に目を醒ます事は、まず無い。
今も彼の手から逃れるような動きを見せたが、それ以上は…無い。
ギリギリと音がしそうな程に絞り上げた末に、その柔らかな温もりに顔を埋める。
普段露出の激しい彼女にあって、滅多なことでは人目に触れる事の無い場所。
故に彼は常日頃からそこに執着するきらいがあった。
チュパチュパと音を立てて乳飲み子のように頂きに吸い付くと、続けてうっすらと残る前回の痕跡の上に、日焼けの無い白い皮膚の上に…次々紅い痕をつける。
いつもなら。
そう、いつもならば乳房を愛おしめば彼女の指が彼の髪に絡み、口からは甘いため息が漏れ、程なくしてもどかしげに腰が揺らめく。
今、目の前にあるのは何の反応も返さぬ人形のような女の身体。
意志の光の宿らぬそれを物として扱い、傷つけ、汚し抜くことに彼はこの上無い恍惚を見る。
対象が他の誰であっても、こうは興奮しないだろう。
他の誰よりも大切なものだからこそ、彼の思う様蹂躙できる『所有物』との実感が欲しい。
だからこうしてレヴィを犯す時、ロックは意図して彼女を虐げるような真似をした。
彼女が目覚めた後もそれを誇示できるように、だ。
一方的なこの行為において、彼の残す痕跡と痛みが唯一のコミュニケーションとなっていた。
- 358 :名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 01:00:13 ID:aEGIl7Uh
- そう。
突き詰めればただの独占欲なのだ。
レヴィの全てを自分の元に束縛したいが、意思の宿る彼女はいつだって奔放でそんなコトは叶わない。
だが、こうして意思の宿らぬ抜け殻の間だけは、レヴィの身体は彼女自身のものですらなく…彼のもの。
ロックは自らのネクタイでレヴィの両腕をきつく拘束すると、彼女愛用の鉄棒に縛り付けて吊す。
足が床についているとは言え、身体を支えることはなく膝はくたりと折れている。
手首で全体重を支え、力無くうなだれるレヴィ。
(関節外れるかな…)
ベッドに腰掛けそんな事を心配しつつも、その痛々しい美しさに欲望にのみ従うことにする。
「綺麗だよ、レヴィ」そう声をかけながら再び彼女へと近づき、両手で顔を包んで上向かせると唇から首筋にかけて口付ける。
頸動脈の拍動を感じ、そこに歯を立てじわり…じわりと力を篭めると、プツリと皮膚の破れる感触と口に広がる鉄錆の味。
更に強く噛み付けば、彼女は死んでしまうだろうか?
力を篭めもせず、緩めもせずに存分に彼女の鼓動の感触と生命の味を愉しむ。
彼女を殺したいわけではない。
だが、彼女の死はある日突然、何処の誰とも知れぬ他人によってもたらされるのだろう。
他の誰かに奪われる位ならばいっそ自分の手で殺してしまおうか、過去何度か繰り返した自問自答。
(…馬鹿馬鹿しい)
自嘲しながら喉から離れ、彼の唾液でぬめった傷口に血が滲むのを凝視する。
歯の痕の血の玉が次第に大きく膨らみ、自重に耐えられずに首筋を伝う。
彼は下からそれを舐め上げ、うなだれたままの女にそのまま口付けると口腔を貪った。
こんな実りのない行為に興奮し、息が粗くなる自分を狂っているとは思えど行為を続けることしか衝動を収める術は見当たらない。
弛緩した頼りない身体を掻き抱き、彼女の顔に頬と唇を擦り付けると肩、胸、腹へとその対象を移動する。
下腹部に何度も頬を擦り寄せ、両手で尻を撫で回しながら固く閉じられた箇所へと中指と人差し指を挿し入れる。
乾いたソコを解すように指を動かす。
多少すべりはよくなるが、起きている時のように濡れてくることはない。
彼女の片脚を自らの肩に乗せ、股間に鼻先を埋めると指に代わって舌を捩込みしゃぶりついた。
鼻を付く生臭さに余計に興奮は高まり、身体も限界に近づく。
ロックは彼女の股間を舐め回しながら自らも着衣を下ろすと、いそいそと立ち上がり背後から自らを突き挿れた。
受け容れる準備の無いままの彼女のソコは、キツイくらいによく締まった。
身体を抱き寄せ首筋に顔を埋めたままひたすらに突き上げる。
ギシギシと音を立てる鉄棒。
力無くうなだれる彼女の頭が同じリズムで振られる。
鉄棒の結び目が解けそうなのに気付き背後から更にしっかりと抱きすくめ、尚も一方的に責め立てる。
喘ぐことも自分の名前を呼ぶこともしない彼女の口。
好きな女の尊厳をまるで無視する時間。
彼女に対し後ろめたい気持ちが増すほどに興奮の度合いも正比例して増していく。
自分だけのレヴィ。
この…彼女が物となる時間だけは彼女の全て…髪の毛一本まで自分の所有物だ。
この女をこんな風に犯すことが出来るのは自分だけ。
彼女の体重を支えていた拘束が解け、彼の腕へと身体が委ねられる。
筋肉質の身体は引き締まった見た目以上に重い。
不自然な体勢からバランスを崩さぬよう慎重に床へと倒れ込むと、一度自らを抜いた後に正面から改めて犯す。
彼が身体を揺らすとそれに合わせて波打つ痣だらけの胸と、頭の上に投げ出された拘束されたままの手首。
首筋には自分の歯型。
彼の唇の軌跡をなぞるように乱れた化粧…特に半開きの唇からはみ出た口紅の赤が酷く卑猥に見える。
(…何かレイプしてるみたいだよな…)
内心苦笑し、はたと思う。
果たしてこれは和姦なのだろうか。
彼女がどんな意図をもってこんなことを許しているのかは知らない。
以前感じたように、相手に服従することでしか愛される方法を知らないのかもしれない。
そんなレヴィにつけこんで前後不覚の彼女を嬲りながら犯しているのだからどう見ても強姦だろう。
だが、今はそんなことはどうだっていい。
目の前でされるがままになっている女をどんなに犯してもまだ足りない。
もっと欲しい。
レヴィの唇に自分のそれを押し付け舐めとらんばかりに貪ると、身体もぴったりと密着させ終わりに向けて彼女を激しく揺さぶる。
苦しいのかむずがるように顔を背る仕種を見せるも、許さずに隙間無く唇を塞ぎ、そのまま彼女の中で果てた。
- 359 :名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 01:02:10 ID:aEGIl7Uh
- その後も名残惜し気にしつこく唇を貪った末に身体を離した彼の目に入るのは硬い床の上に倒れた痛々しい姿のレヴィ。
可哀相に。
自分の行為のもたらした結果にも関わらず、他人事のようにそう思う。
固く結ばれたネクタイを解いて抱き上げると、そっとベッドに横たえた。
そして「痛かったな」「ごめんな」などと話しかけながら、乱れてほつれてしまった髪を丁寧に梳いてやる。
狭いベッドの上で並んで横になると彼女を抱き寄せる。
顔を眺めているとまたしても彼女を欲してしまい…犯し、また抱きしめる…そんなことを繰り返した。
レヴィが意識を戻した時、初めに認識したのは身体を包む他人の素肌の感触と、嗅ぎ慣れた体臭。
「……ロック?」
目が開かぬまま名前を呼ぶと、彼は彼女の名を呼びながら顔を覗き込むべく身体を離す。
彼女は上を向いて顔を見せると今は何時かと尋ねた。
「昼を過ぎた位かな」
ロックはレヴィのいまだ開かないままの瞼をなぞりながら、彼女が人形から人間へと戻りつつあることへの歓喜を噛み締める。
眠そうに身体を擦り寄せる彼女を思う様抱きしめて、髪の毛に顔を埋めながら何度も名前を呼び続ける。
夢うつつを漂う彼女も眠る直前の重苦しい不安感から解き放たれるのを感じていた。
「ロック…キスしたい」
うっすらと目を開き、ぼんやりした顔で彼を見上げる。
レヴィに請われるままに唇を重ね、身体を組み敷き舌を挿し入れる。
彼女が意思をもって彼の舌に応じるのが何とも嬉しくて仕方が無い。
しばらくはそうして舌と指を絡ませあいながら先刻までとは全く違う興奮に酔いしれるも、ロックはそれだけでは満足し切れなくなりつつあった。
「……ハァ…レヴィ……シていい?」
唇を触れ合わせたまま…問いかける。
返事は彼の予想通り…「…ヤなこったッ…ぁ…」という拒絶の言葉。
「シた…い…」
「ん…気分が最悪だっ…酒と…薬がまだ…残ってやがるッ…」
「どうしても?」
唇を一旦離し、額同士を合わせながら首を傾げてねだる…が、ロックの淡い期待に反してレヴィは少々うんざりしたように言葉を返す。
「しつけーな、てめーも。イヤだっつったらイヤなんだよ」
「……残念だよ」
「てめぇは散々ヤったんだろーが」
少々呆れた様子でレヴィは苦笑する。
「起きてる時とは違うよ…どっちも興奮するけど…」
「…変態」
「…知らなかった?」
「知らないと思うか?」
一瞬の後、二人同時に吹き出し、笑いながら再び唇を重ねた。
- 360 :名無しさん@ピンキー:2008/05/28(水) 01:06:37 ID:aEGIl7Uh
- 夜になり、体調が上向いた頃に酷く痛む身体をロックと交えた。
達した後、彼女を抱き締め「今夜も泊まって行く」と言う男を「ゆっくり休みたい」と無理矢理追い出した。
火の点いていないを咥え、ボケっと天井を眺める。
身体の感覚が戻るにつれ、昨夜の行為を思い知らされた。
腕と背中が酷く痛い。
手首には拘束の痕。
身体に残る歯型と赤い痣。
揚句、便所に行った時には掻き出しきれなかった彼の体液が股ぐらから流れ出て来た。
自分のあずかり知らぬところで彼の思うがままにされていたのだと思うと、どんな風に犯されていたのかと妄想ばかりが膨らむ…。
目覚めた時の抱擁の安堵感のみならず、そんな高揚感と彼の支配に服従する恍惚感を楽しんでいるのも確かだ。
普段、自分本位に彼女を抱くことはあっても暴力を奮うなどの傷がつくような真似はしない男が、相手の意識が無いとこのような痕跡を残すことが
不思議でもあり面白かった。
「見えるトコに跡付けるなよ…」
露出部にまで点在する痣や噛み疵を撫でながら一人ごちる。
首筋の跡に触れると、鈍く痛む。
彼の歯が皮膚を貫いたのだと思うと背中にぞくりとした何かが走った。
ガバリと起き上がり、シャツを捲くり上げて胸元を覗き込む。
乳房に手を遣るとずきりと鈍く痛む。
そこにあるのは彼の指の形の痣と…何度見ても呆れる程に散らばる大小のマーキング。
ひとつ、ふたつ…と数えるも、背中にも続くそれに途中で諦める。
彼の指や唇が身体を這い回り、自らを痛め付ける様を妄想し、下腹部が疼く。
ゆるゆると下着越しに指を宛てると、再び湿り始めたソコ。
暫くはそのまま撫で擦りながら慰めるも、どうにももどかしく下着を下ろして直接触れる。
脚を開き、指を差し入れると身体の奥から溢れ出す自らの体液に混ざって流れ出る…男が吐き出した欲望の証。
先刻の行為でも、彼は躊躇うことなく彼女の身体の奥へと放ったのだ。
(…ピルは調子悪くなんだよな…。何のためにわざわざスキン用意してると思ってんだ?)
一度釘を刺さなければ…。
そんなことを頭の片隅で考えながらも、その実、腹の奥まで彼に蹂躙されているという実感に一層興奮は高まる。
「…ん…ぁ………ロッ…ク……はぁ…ひぁ……」
手首を鋭角に曲げると酷く痛い。
逃げるはずもない自分を拘束するのは何故だろう。
彼が自分を束縛したがっていることの顕れなのだとしたら、これ以上の恍惚は無い。
じわじわと高みに昇る身体。
爪で突起を刺激すると強烈な快感に脚が跳ねる。
だが…もっと刺激が欲しい。
やはり帰さなければ良かった。
疲れて眠ってしまうまで、ダラダラと…とめどなく終わり無く身体を重ね合うのも…そう悪くはないではないか。
……だが、そんなコトはいつだって出来るし、している。
このえもいわれぬ高揚感は、この時しか味わえ無い。
「ん…ふぁ……ぁあぁぁ…ぁッ…」
室内に響き渡る、くちゃくちゃという水音と…嬌声。
レヴィは身体に残る傷と痛みに神経を集中させると、その有様に歓喜し快楽へと変換する。
「…ロッ…ク……ロック…ロック……ロッ…ク………ロック」
彼女の密やかなる愉悦はこの後も続いた。