99 :日常:2008/07/19(土) 12:05:10 ID:55kYl3Yg

ガチッ
「…………?」
ロットンが匙を止め、その端正な顔をしかめた
「どうしたね
ソーヤーの料理に不満でもあるか?」
最近、請われて料理を教えているシェンホアが、尖った視線を向けた
まだ馴れてなく、一味足りないシチューだが、可愛い妹分の作った料理だ
貶そうものなら……
「いや、何か固いものが……」
口元に手をやり、何かをとり出す

「…………」
「…………」
それは、シルバーの指輪だった

「なんで、こんなものが?」
「ワタシのではナイね
あの娘も、こんなシンプルなのは持ってナイよ」
シェンホアのアクセサリーは、蓄財も兼ねて宝石付きのモノが多い
ソーヤーはファッションに合わせて、ゴツい装飾のモノを好む
では、この指輪はどこから…………

急にシェンホアの顔色が変わった
「い、いや、まさか…………」
口元を抑え、何か考えこむでいる
「どうした
シェンホア?」
「この前、張の旦那の依頼で片付けた奴らが、こんな指輪してたような……」
不安げに口にするシェンホア
「そういえば、多すぎて始末が大変とかボヤイてたな……」
合わせるロットン
「…………」
「…………」
「「ハ、ハハハハ……」」
やや、引き吊り気味の顔を見合わせ、乾いた笑いを浮かべた


102 :日常:2008/07/20(日) 00:13:48 ID:rTCeUKe2
「ザッ……ドうしタの?」
「「ワアッ!?」」
驚く二人
ソーヤーがキッチンから入ってきた
サラダボールを抱えたまま、不思議そうに小首を傾げている
「ザッ……、美味シくなカった?」
事情を知らないソーヤーは、オドオドと尋ねてくる
「そっ、ソンなことないね」
「あ、ああ、腕を上げたな」
ソーヤー可愛さに、つい取り繕ってしまったが、流石に匙は動かない
どうしたモンかと悩む

「ザッ……、アッ、ソレ……」
スープ皿を突っつくばかりの二人を気にしていたソーヤーが、指輪に気づいた
「ザッ……、出テきたノ?」
何故か嬉しそう
「し、知ってるのか!?
ソーヤー」
「コレ、なにね?」
詰め寄る二人に、いつもの調子で答える

「ザッ……、フォーチューンリング」

リングを入れたお菓子を取り分け、引いた人が王様
肉や野菜を買いに行った食品店で、そんな遊びのことを聞いた
リングを買ったら早速やってみたくなったので、シチューに入れてみた

「ザッ……、ロットン王様b」

楽しそうに微笑むソーヤー






「「紛らわしいことすんな〜〜〜〜〜!!」」











理不尽に怒られ、ムクれたソーヤーの機嫌を取るのに、二人は3日を費やした


とっぴんぱらりのぷう



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