275 : ◆SDCdfJbTOQ :2009/06/19(金) 09:17:28 ID:wcQu+PQH

昨夜から降り始めた雨は明日まで続くらしい。
だからというわけでも無いが、外出の予定の無いレヴィは昨夜の延長のように昼になっても尚服も着ず、
ベッドでゴロゴロとテレビを眺めていた。
ロックは今日までに仕上げたい計算書があるとかで30分程前に部屋を出て行った。
自分より紙切れの相手かよと不満に思ったのは事実だが、昨晩渋る彼を無理矢理飲みに連れ出したの
は自分だという自覚くらい彼女にもあった。
こんなことなら昨日の時点で終わるのを待っていれば良かったと後悔してももう遅い。
確かロックは2時間位で昼食を買って戻ると言っていた。……何度時計を見てもまだ半分すら時間が経
っていないことにレヴィは軽い失望を覚える。
テレビは面白くもない情報番組を流していた。
シーロムに新しくオープンしたメシ屋の話題だ。デザートに力を入れていて近隣のOLに人気なんだとか。
バンコクになど滅多に足を運ばない。
行ってもシーロムなんかに用は無い。
心底どうでもいい、…つまらない。わざわざ集中力を割いてタイ語で見るような番組ではない。
だが、番組を変えるのもテレビを消すのも億劫でたまらない。
昨晩はそんなにガンバったつもりは無いんだけどな、雨のせいだ。
ザーザーと絶え間無く耳に響く雨音は、たまらなく睡魔を呼び寄せる。
彼が帰って来たとき素っ裸のままではまた厭味を言われるな、とは思った。
でもいいや、せめてタオルケットくらい被っておこう。
そんな折衷案でお茶を濁そうと決めた彼女は、足元でくしゃくしゃになっているそれを器用に足で摘んで
肩まで引っ張り上げると身体を小さく丸めて目を閉じる。
前に、腹の中の赤ん坊のような寝方だと笑われたことがある。
気に入らないが、独り寝の時はこれが一番落ち着くのだから仕方ない。
早く帰って来いよ、馬鹿ロック。
眠りに落ち行く脳内に響く雨の音が、何だかやけに心地良かった。

レヴィが目を醒ました時、誰かがそばにいる気配が確かにした。
寝覚めは最悪、頭が朦朧として吐き気がする。視界は真っ暗。今は何時だ?
何となく落ち着かずに身体を丸めようとして何故だか左右それぞれの足首が自らの手首に拘束されてい
るのに気付く。
…そういえばロックは鍵をかけて出掛けただろうか。誰の手によるものか判らぬ拘束に最悪の事態を想定し
たレヴィが、慌てて膝を閉じ局部を隠して殺気をたぎらせると、彼女の頭上から「おはよう」とさっきまで待ち
焦がれていた声。
「てめっ…な…な、んの、つも…りら…!?ザケんな、ほ…ろけよっ…」
何故だか呂律が回らない。それでもロックの仕業だと知り微かに安堵するが、だからと言ってこんな不埒を
甘受する理由も無い。だがしかし。
「ああ、ちょっと待ってて、鍵が…」
剣呑に呼び掛けるレヴィを無視するように、ロックは朗らかな口調で不穏な単語を口にする。
わけが解らないのは頭が朦朧とするからだろうか。とにかく逃れたくてじたばたと起き上がろうとする彼女の
首に冷たい皮の感触。
「じっとしてて、鍵を掛けられない」
「ヤら!に…なんラよ、な…なにがしてぇんだょ!?ハずせよ…クソっ…」
ロックは暴れる彼女に馬乗りになり、首に回した皮を鍵で固定する。
どうやら首輪を着けられたらしいことに感づき呆然とするが、何がしたいのかはだんだん読めて来た。
要は拘束されて身動きの取れない女を気の赴くままに犯したいのだろう。全く悪趣味極まりない。
呆れ果てる彼女は、それに加えて性器のあたりがじんじんと熱く疼くのに気付く。

276 : ◆SDCdfJbTOQ :2009/06/19(金) 09:18:06 ID:wcQu+PQH
「ロック、てめぇ、なに、ぬった?」
首輪に鎖をかける男におぼつかなく問い掛ける。
「ん?どこに?」
「あたしのコカンに……だよ!」
「…………何も?」
……シラを切るつもりらしい。何処までも悪趣味な男だ。
それにしても、深く眠ったつもりは無いのにここまでされて、何故気付かなかったのか。
それに、この奇妙な浮遊感と眠気は何だ。
……ようやく思考を始めた頭が出した仮説に、何だか無性に悲しくなる。
「お前、コーヒーに…何か盛ったか?」
「……眠くなるのを少し、ね」
それはあっさり認める男。
起きぬけに彼が淹れてくれたコーヒーに彼女が小さな幸せを噛み締めていたことなど、きっと彼にとって
はどうでも良いことなのだ。
寧ろあっさり認めることで彼女の失望を煽っている節すらある。
ああ、馬鹿みたいだと相手の思惑通りに失望感でいっぱいになる自分に更なる失望。
だが、彼女のそんなキモチとは裏腹に性器の疼きは激しさを増し、もぞもぞと腰を動かさずにはいられ
ない。
「どうしたの?何だか腰が揺れてるよ?」
耳元にロックの囁き声。耳にかかる吐息に身体が震える。
「…ぁ……ひと…つ。答ぇろ。…ろうして……こんなこと、すンだょ?」
「色んなレヴィが見たいから」
迷いの無い、思いの外真剣な声音に何故だか今の状況を受け入れるしか無いような気にさせられる。
「……そうか」
「ああ」
そう頷くと、ロックはレヴィの唇にゆっくりとキスを落とし、濡れた音を立てながら彼女の口の中を舐め回
す。
レヴィからの反応は、無い。
意地を張るようにただただ無反応を装う。
そのくせにもじもじと内股をこすりあわせずにはいられないようで、腰が艶めかしく蠢いていた。
彼女のうなじや耳を撫で回すロックの指。不意に何かが左の耳腔に挿入される。
徐々に膨張して体積を増すそれ。それと共に奪われる聴力。
本能的に沸き上がる不安感。
右の耳にも宛がわれたそれに顔を背けて抵抗するが、そんな彼女を嘲笑うように奥深く異物が押し込ま
れる。
一瞬で外部から隔絶される感覚。
奪われた視覚と聴覚を補うように、皮膚感覚が鋭くなった気がする。
そう、口の中に突っ込まれたロックの舌のざらざらした表面や生暖かい息が一層生々しくなった気がす
るのだ。
感覚を奪われ不安で不安で縋り付きたいのに、両手はきつく拘束されたまま。
くちゃくちゃと口を犯される濡れた音と、欲情した自分の吐息が脳みそに直接響き渡る。


277 : ◆SDCdfJbTOQ :2009/06/19(金) 09:18:40 ID:wcQu+PQH
たまらず唯一彼と持つことが許された接触に縋り付くように舌を突き出すと、それを見計らったかのよう
に離れて行く唇。
「ぁ…ああ…」
さも残念そうに零れるため息。
耳に直接唇を付け、脳に注ぎ込まれる彼の声。
「可愛いよ」

―――なら、もっとくれよ。

そんな望みを口にしたのかしないのか、自身でも解らなくなるほどレヴィは余裕を失っていた。
そんな彼女からロックが離れて行く。
これから目茶苦茶になるまで彼に抱かれるのだと思っていたレヴィはベッドの振動でそれを感じ取り軽
くパニックに陥り始める。
「やだ、何処行くんだよ、やだ…」
必死にもがいてロックの気配を探す。
だが、感覚を奪われ求める気配を捕らえることができず、彼のいなくなったベッドで一人、沸き上がる疼
きを持て余すしかできない。
「て…めぇ!フザけんな!解けよ!ケツ穴増やしたくねぇならさっさと解けっ…つって…んだ…!…ぁ…
 解かねぇってな…ら…来週届く機銃の試射、てめぇが的だ、楽しみにしとけ、外さねぇ、次は絶…対ぇ
 当てる!…ひ…額と…ど、ど…どてっ腹と、そうだ、喉にも新品のアスの出来上がりだ、どうだ嬉しい
 か!??う…嬉しいだろ、…なぁ?ぁ…あああ…な、何とか言えよっ!」
どんなに喚き立てたところで、彼からのリアクションは何も無い。きっと少し離れて自分の醜態を眺め
て楽しんでいるのだ。
ここでこれ以上泣き喚いたところで相手の思う壷と、必死で息を整える。
だが、羞恥と彼に塗られたに違いない何らかの刺激物、そしてこの異常な状況での性的興奮により呼
吸は荒くなる一方で、加えて吐息が馬鹿みたいに頭に響き渡る。
「ん…はぁ…はぁ……ぁ…ふぅ……はぁ……」
いつもと比較にならぬほど卑猥に聞こえるそれ。
身体の奥深くから淫らな液が次々湧き出すのがわかる。
絶対に何かを塗られている。しかも膣の内壁にだ。
疼いて疼いてたまらない。
「ロック……触って…」
消え入りそうな泣き言と共に無意識に腰を振る自分に気付き、深呼吸とともにそれを諌めては疼きのま
ま再び悩ましく腰を振る…。そんなことを何度も何度も繰り返す。
どの位時間が経ったのか、さっぱり解らない。5分かもしれないし、30分かもしれない。どちらにしても
彼女にとって気が遠くなりそうな長い時間であることに変わりは無い。
頭に響くのは、鳴咽とも喘ぎとも聞こえる自身の呻き声。
馬鹿みたいに大きなそれに羞恥心と情欲を煽られる。
今、彼女の真っ暗闇の世界にある音はそんな呻きと、どこか遠くでかちゃかちゃと鎖の擦れる金属音。
そして血管を巡る血液の低い濁流の音。
この真っ暗闇の世界に存在するのは、自分一人だけ。
もしかしてこんな世界でずっとロックの存在を感じることも無く、疼くカラダを慰めることすら出来ないまま
なのだろうか。
そんな錯覚に眩暈がする。
ありえないと理解していながら、自分独りの世界がこんなに怖い。


278 : ◆SDCdfJbTOQ :2009/06/19(金) 09:19:11 ID:wcQu+PQH
「あああぁぁあああああぁぁぁぁぁあああっ!取って!?耳!やだぁぁぁぁあああ!取ってぇ!!!耳の!
 取って!!!!ロックどこぉぉ?ロック…なぁっ!?どこだよ!?」

一人艶めかしく悶えるレヴィを飽きることなく眺めていたロックは、突如悲鳴を上げて暴れ出した彼女に
面食らう。
身体を傷つけかねない異常な暴れ方にこのままでは危険と、押さえ付けるように正面から抱きしめ耳元
で名前を呼ぶ。
「あぁぁ………ロック…」
不自由に縛り付けられた身体を一生懸命に寄せてくる仕種が愛しい。
キスをねだるように顎が突き出されるのを見て、一度深く深く口付けてから「綺麗だったよ、凄く」と賛辞
を送る。

そう、苦しげに歪む口元から艶のある吐息が零れ続ける様も、堪えるように筋肉が震え、身をよじる様も
たまらなく美しい。
額や均整の取れた肉体に汗が浮かび、流れていくのだってたまらない。今も髪の生え際で産毛を濡ら
す汗にそそられている。

彼の腰に擦り付けられる彼女の股間。
無意識のうちの行動なのは解っているが口にせずにはいられない。
「どうしたの?腰が浮いてる。それに…こんなにはしたなく擦り付けて……いやらしいね?」
「ぁ…ぁ…やっ……ロック…取って?」
「…何を?」
「みみせ…ん」
「嫌?」
「ヤだ……」
「でも、こうすると俺の声が直接頭に響いてるみたいだろ?」
少し考えてこくりと頷く頭。
「それも、嫌?」
「………ぃゃじゃな…ぃ…けど……一人はいやだ」
「オーライ。じゃあずっと側にいて話し掛けてやるからな」
レヴィは彼の顔に自らの頬を擦り付け「犯して…?目茶苦茶に……」そう強請る。
「…どうして?」
「ぁ…ぁ…我慢出来ない………か…らだが疼いて…早く……突っ込んで!!」
「レヴィは淫乱だね、…ああ、こんなに濡らして…触ってもいないのにシーツにシミまで作ってる…」
揶揄するように彼女の入り口の傍らでしとどに濡そぼる陰毛を軽く摘むと、ぶるりと震えて歓喜の声を
上げる。
だが、彼にそれ以上触るつもりが無いことを悟るや泣き出さんばかりに「お願いだから……いれて…?
ナマでしても中で出してもいいから…なぁ…」と懇願する。
「そんなことしたら、出来ちゃうかもよ?」
ベビーが欲しかったなんて初耳だとからかう男に、苛立ちを隠しきれない。
「そんなのどうだっていいから!はやく!なぁ!?入れろよ!」
「う〜ん…そうだな」
何かを考えるような口ぶりで一旦離れると、ガサガサとクローゼットを漁る。
再び彼を探して見えも聞こえもしない顔をきょろきょろと動かすレヴィの元に戻ると、彼女の耳元で怜悧
に囁く。
「5分間…つまり300秒だよね。イカずに我慢出来たらレヴィの好きなコト何でもシてやる。そう…射撃の
的にだって…、悪い条件じゃないと思うけど」
「…な…?なに、すんだ…よ…」
「キモチイイこと。…オーケイ?始めようか…………………………3……2……1…スタート」
時計を見ながら一方的に開始を告げ、彼女の股間に電動の張型…いわゆるバイブを擦りつけて潤みを
纏わせると、少しずつ往復させながら奥深くへとゆっくり押し込む。
十分過ぎるほどに潤んだ彼女の密壷は、太く大きなそれをきつく締め付けながらも喜ぶかのように飲み
込んでいく。
「…ゃ……ぁ…何入れて…やだ……やだぁ…」
「凄〜くいやらしいよ、こんなに太いバイブが奥までずっぽり入ってる……」
「ふざけんな…殺すぞ…抜けよぉ……早く!!」
「ああ、もうすぐ1分経つ。ゆっくりすぎたね。スイッチ入れようか」
コードで繋がったリモコンのスイッチを中に合わせると彼女の内部を掻き交ぜるようにうねり始める男性
器を模ったそれ。


279 : ◆SDCdfJbTOQ :2009/06/19(金) 09:19:36 ID:wcQu+PQH
「…いい加減にしろ、抜けよ…。大体、お前は楽しいのか?これ……」
そう、単調な動きのバイブなど正直大して気持ち良くもない。こんなものを突っ込むよりも彼自身
のペニスを入れた方がお互い手っ取り早く気持ちがよくなるだろうにと、そう思わずにいられない。
「…今ならジョークで…ぁ…ゃぁ…ああぁ………」
だが、彼が不規則に軸をずらすことにより、時折たまらなく感じるポイントを掠めていく。
「キモチいい?腰がいやらしく動いてる。これ、日本製なんだって。自慢するワケじゃないけど、俺たちっ
 てどんなことにも探求心旺盛なんだ」
言いながら更にスイッチを入れると、根本のパールが回転し始める。
「ん……ぁ…ぁ……ヤぁ……ああ…」
「入口のあたりもこうやって刺激するんだ…。ああ、こっちはキモチイイみたいだね。でもまだまだイっちゃ
 ダメだよ…イッたらお仕置きなんだからな?…まだ2分すら経ってない」
「てめ…絶対ぇ殺すからな…ぁ…やめ……こんなのいやだ…ぁあ…」
「こんなに腰振っておいてソレはないよ。…………ほら、ここも慰めてあげようか?」
そう言いながら赤くぷっくりと腫れた陰核に丸みを帯びた玩具を宛てがいテープで固定する。
「だめ!だめっ、や………ん……あ……っ………」
ロックがそのスイッチを入れた瞬間、刺激を求め硬く膨れていた突起を中心に全身に電流が走るよう
な感覚。
レヴィは呻き声を漏らしながら四肢を強張らせてあっさりと達してしまう。
「……イっちゃったんだ……淫乱だね、こんないやらしい玩具でイッちゃうなんて…そんなに好きならずっ
 と入れていれば?」
そんな彼女に、こう意地悪く囁く男。
「ヤだ…止めて!……止めろってば!!こ…殺してやる…ぁ…ヤだヤだヤだヤだっ、ぁぁぁああ、あ、あ!
 止め……て!!!!」
「しかもイキっぱなしだなんて…。ひどいな」
そう言って紅潮する彼女の頬に掌をたたき付けた。突然頬を張られたレヴィは、悲鳴とともにびくりと身
をすくませる。今まで彼に顔を殴らたことなど一度も無い。
「股に刺されば何でもいいの??なら好きなだけイケばいいだろ」
悲鳴を上げ続ける彼女を無視して手元のスイッチを全て強に合わせる。
「やぁぁぁああああああ、あ、あ…ああぁ…んぃやぁあ!」
頭に響き渡るロックの罵声。耳に掛かる彼の吐息。
加えてただでさえひどく敏感になった身体に更なる強い刺激が与えられ、身体を激しくもがかせる。
「それと、約束の5分もお仕置きも…まだ終わってないよ?」
ロックはレヴィの膝を胸まで押し上げ腰の下に自らの脚を差し込み固定すると、真っ白な尻を思う様撲つ。
圧迫され彼女の体内から押し出される太い淫具を再度奥へと押し込むと、小刻みに振動させつつ何度
も何度も強烈に掌を打ちつける。
部屋に響くバチッバチッと響き渡る乾いた音と彼女の悲鳴と、二種の淫具の作動音。
「あっ…ぃ…ぁぁぁああああぁぁぁぁああぁぁぁ…………」
痛みすら強烈な快感に変換されるようで、レヴィは尻だけではなく全身を真っ赤に染めて震え続
ける。
ロックが3度張り型を埋め直した時点で、一気に弛緩しピクピクと痙攣を始める。
彼の掌は、彼女自身から溢れ尻まで濡らす体液でびしょびしょ。
彼女を犯し続けた淫具をゆっくりと引き抜けば、トロリと温かなそれが纏わり付いて糸を引いている。
匂い立つ女の香りに、ロックは自身がいきり立つのを止められない。
痙攣のやまぬ彼女の耳元に宣告する。
「ジャスト5分。数え切れないくらいイッちゃったね……お仕置き、足りないんじゃない?」

280 : ◆SDCdfJbTOQ :2009/06/19(金) 09:20:02 ID:wcQu+PQH
ロックは、無抵抗となった彼女の股にうねる玩具を改めて押し込み仰向けの顔に跨がると、呆然と半開き
になった口に自らの硬く勃起した性器を押し込んだ。
つい先程まで自分を殺すと息巻いていたその口。
硬く鋭い歯が当たり、表面を何度も往復する。
いつ正気に戻った彼女に食いちぎられても可笑しくない、そんなギリギリのスリル。
実際のところ、ただされるがままの口を犯したところで肉感的な快楽など獲られないのだが、そんなスリ
ルと、茫然自失の彼女を更に汚く犯し抜く後ろめたさ。そんなシチュエーションだけでもイッてしまいそう
になる。
時折苦しげにむせる女の喉が先端をキュッと締め付けるのがたまらない。
喉の奥へ何度も小刻みにペニスをこすりつけ鼻を摘むと、息が出来ずにむずがるように顔を背けようと
する。
真下に広がる髪を掴んで頭を固定する。
それでも尚抵抗する彼女を無視して顔に股間をたたき付け続けた。

彼女が我に返った時、散々屈辱を味合わせてくれた男によって口を犯されていた。仰向けの喉に唾液と
先走りが流れて落ちて来る。なのに鼻を塞がれ、亀頭で喉を突かれていては嚥下も出来ない。苦しくっ
てたまらない。
奥まで突っ込まれる度にごわついた陰毛に鼻先が埋まり、何でこんな目にあっているのだろうと考える。
オーラルセックスが嫌なのではない。
自分の施す刺激で熱く膨脹する彼自身を感じながら、彼が受け身で感じている顔をも堪能ることができ
るこの行為は、いつもならば楽しくてたまらない。
そう、いつもならフェラチオの最中に目が合うと、ロックは照れ笑いを浮かべながら彼女の髪を優しく撫で
る。彼女はもっと褒めてほしくて、彼の感じるポイントを丹念に責めていく。
射精する瞬間の間抜け面だって可愛くてたまらない。そんな顔をさせているのが自分の口なのだと思う
だけで彼女は嬉しくてたまらないのだ。
だが相手がロックでなければ男の排泄器を口にくわえるなどただの屈辱だ。相手が彼であってもこんな
状況では心理的な拒否反応が先走る。
自分でも気付かぬうちに何か嫌われるような真似をしたのだろうか。
だからこんな風にひたすら屈辱ばかりを植え付けるのだろうかだから、本来あるべき交わりを頑なに拒否
するのだろうか。
股には無骨な淫具が刺さったまま。
あたしにはこれがお似合いってことか…。
頬を水が流れていく。
悲しいのか怒っているのかすら解らない。
確かなのは、ただやる瀬なくてたまらない。



281 : ◆SDCdfJbTOQ :2009/06/19(金) 09:20:27 ID:wcQu+PQH
むせび泣くような呻き声に顔を下へ向けると、合皮のアイマスクの脇から涙が筋を作っていた。
ああ、この女も泣くことがあるのかと妙に感心すると同時に高まる射精感。早くマスクを取って泣き顔を見
たい…。目の前の女の泣き顔を想像しながら欲望のまま口に放出する。
激しく咳込む彼女の口から性器を抜いて、ゆっくりと、自身をも焦らすように手足と首の拘束を解く。
逸る気持ちを押さえ付け、耳栓に続いてアイマスクを外してやると、その部分は涙と汗でびっしょりと濡れ
ていた。
否、口のみならず鼻からも精液を垂れ流す有様は、正直酷すぎる御面相だ。
呆然とロックを見上げる濡れた瞳。
レヴィは自由になった腕をよろよろと持ち上げると、自らを組み敷く男の首に宛てがいゆっくりと絞め上げ
る。
ロックからの抵抗は、無い。微かに顔を歪ませ、それでも至極優しげな目で彼女を見つめる。
ずっと縛られていた腕には力が入らない。その上、自分が下にいたのでは体重だってかけられない。
レヴィは今ここでこの姿勢から彼を手に掛けるのは無理と悟るや、今にも号泣せんばかりの顔を浮かべ
て必死にロックの首へとしがみつく。
労るように引き寄せ、辛かったかと尋ねるロックにいっそう強く彼に抱き着く。
「気持ち良くなかった?」
こくりと頷く頭を撫でながら、「でも、綺麗だったよ、もの凄く」と耳元に注ぎ込む。
レヴィは安堵のあまり声を出すことが出来ないでいた。
何かを伝えたくてたまらないはずなのに、今は目の前の男にしがみつくしかできない。
「辛かったんだね、ごめんな?」
引き攣った息を調え、鼻から零れる自らと彼の体液を啜り上げながらただただ頷く。
優しく髪を撫でてくれる掌が嬉しくてたまらない。顔を見せてと言われて抱き着く腕から力を抜く。
ロックは可哀相にと涙と唾液と精液にまみれたレヴィの顔を丁寧に拭いてやってから、喉が渇いたろうと
水を取りにベッドから降りる。
片時も離れたくない気持ちはあれど、散々泣きわめいて喉が渇いたのも事実だ。
起き上がり、ロックを待つ間もずっと彼の姿を目で追う。
彼の足音が聞こえる。彼の動作を目と耳で感じていられる。直接アタマに響き渡るような彼の声に興奮し
ないわけではないが、それでもこっちの方が心地いい。

冷えた水と共に戻ったロックが差し出す水を手にすることなく、レヴィは黙って彼の膝に乗り、じっと顔を
凝視する。
飲ませろという彼女からの無言の圧力に、苦笑いを浮かべつつ、小さな子供にするように彼女の口にボト
ルを宛がうとレヴィは冷たいそれを飲み下す。
その間も彼から目を反らすことなくじっと合わせられる視線。
散々虐げたレヴィを甘やかせてやるつもりでいた彼だが、こんな子供返りしたかのような仕種や真っ直ぐ
な視線を向けられるのは予想外だ。
「そんなに見られたら、穴が開いちまう」
「………開いたらソコをファックしてやるよ」
ずっとだんまりを決め込んでいた彼女がようやく口にした言葉は、そんな憎まれ口。
いつもの調子を取り戻して来た彼女に思わずくすりと笑む。
「メシは?」
「食えるかよ、気分わりぃ。てめぇのせいだかんな」
「そんなに辛かった?」

282 : ◆SDCdfJbTOQ :2009/06/19(金) 09:22:29 ID:wcQu+PQH
何をされたのが辛かったのかと先程までの仕打ち一つ一つ挙げるロック。だがレヴィは全てに頭を振って
否定するばかり。ならば何が辛かったのかと直接尋ねると、一瞬だけ苦虫を噛み潰したような顔を浮かべ、
顔を見られぬようロックの肩に顎を載せて躊躇いがちに話し始める。
「…別に……何されてもイイ…んだ、お前がそうしてぇってならふん縛っても、目と耳塞いでも、どんだけシ
 バこうとな。けどよ、そんときゃちゃんとお前が犯してくれねぇといやだ………道具だって使ってもいい、
 口でだってしてやるし飲めって言われりゃ飲んでやる。けど…そんときだって、お前の姿が見えねぇのは
 …いやだ」
とんでもなく甘く強烈な吐露。ただでさえ可愛い言い草なのに、こうも消え入りそうな声では破壊力は倍増だ。
「……こんなに可愛いなんて反則だよ…、入れていい?いますぐだ。」
言うなり早速シーツへ押し倒すと、顔に唇を這わせながら「さっき、生でしてもいいって言ったよね…?」と、
返事も聞かずに侵入する。
「あ、てめ、ざけんな…!今日はイイ日じゃねぇよ」
「『そんなのどうでもいい』んだろ?」
「死ね!お前、絶対『入れたモン勝ち』とか思ってるだろ!くたばっちまえ!レイプ魔!」
じたばたと暴れる彼女を押さえ付けるように全身で覆いかぶさる。
「気持ちいいよ、トロトロであったかくて、こんなに気持ちがいいのもレヴィだからだよ。他の女じゃこうはい
 かない。」
「あ…あたりめぇだろ…」
舐め回さんばかりに顔に口付けながら行為の開始の許可を求めるロック。
ズルいと、レヴィは唇を噛み締める。
そう、どんな状況だろうと結局のところ『彼女が望んだ行為』であるとの体裁だけは取るのだから。
だが、それでも諦観のまま瞑目し、「好きにしろ」と目の前の肩を掴む。
何かとムカついてはいるが仕方ない。
そう、ここまでされた男に大人しく抱かれるのはムカついてムカついてたまらない。
けれど、既にロックをくわえ込んだアソコは、彼を求めて涙を流して疼いているのだから…仕方ないのだ。


286 : ◆.5gjadxlcsnK :2009/06/20(土) 01:53:32 ID:nfhMCQa1

ロックはレヴィが恥じらう様を楽しむようにいちいち彼女の羞恥心を煽る。
「すごいね、アナルにまで流れて…ベタベタだ……ああ、指も入る…2本も…ふやけ過ぎだよ。どうしてこん
 なに濡れてるの?」
そう言いながら彼女の身体を横臥させ、膣を責め立て肛門をも弄ぶ。
「やめ…………」
「こんなに濡らしておいて、それは無いよ…ねえ…腸の壁って薄いんだね。レヴィの中を俺が出入りしてる
 のがよく解る。こっちでも指があたるのが解るし…不思議な気分だよ、お前の内臓越しに自分のに触るな
 んて…………………ねぇ、お尻用のバイブも用意してあるんだけど試す気は無い?」
「ぁ…クソ、このド変態…!」
「店で見たライト付きのクスコやマイクロカメラも気になるんだ」などと不穏当な単語を並べながらのしかか
るロックを押し返そうと腕に力を籠めると、腹筋と共に膣も締まるらしく、ため息と共に微かに男の顔が歪む。
「よぉダァリン、そんなにアスが好きならあたしが掘ってやろうか?…掘るのは久しぶりだけどよ、腕には自
 信あるぜ?」
「………俺は別に自分の尻には興味無い…それにクスコは尻じゃない!!」
「うっせぇよ、んなのどうでもいいっつの!!」
本当に違いなど、どうでもいい。プッシーだろうとアスだろうと、中まで覗こうなどと考えるほうがどうかしている。
「さっきは『俺になら何されてもいい』って…」
彼になら何をされても構わないという言葉に偽りは無い。
だが、散々いいようになぶられて、更にこんな調子に乗ったおねだりまでを諾々と受け入れて
いたのでは癪に障って堪らない、というか物事には限度というものがある。
「……どうしてもしたけりゃ何でこんなフザけたことばっか抜かすのか言ってみな」
プレゼンテーションってヤツだと薄く笑うレヴィに、その実要求を呑むつもりなど更々無い。
だが、俄かに顔を輝かせながら「言えばさせてくれるのか?」 と、正常位に戻して乳房に吸い付くロック。
…こいつはこんなに阿呆だったのかと、哀れみすら覚え始める。
「…アンタ次第さ。さっきみてぇにごまかそうたって、そうはいかねぇかんな」
「そうは言っても、女を乱れさせたいのは男なら誰だって同じだろ?」
「開き直るんじゃねぇ」
「頭の中で目茶苦茶にするだけじゃガマンできなくなった。鳴かせたいし泣かせたい。悶えながら恥らう顔だ
 って見てみたい。いやらしい声でおねだりさせたい、イキまくる姿を見たい、俺だけが見れる色んなお前を
 見たい」
馬鹿だ、こいつ。目眩がする。
満足したのか問うと至極嬉し気に頷くロックに呆れるしかない。そして段々と要求がエスカレートしかねない
様子に「……あたしはお前がそのうちスワッピングしようとか言い出さねぇかが心配でたまらねぇ」と一応釘
を刺す。どうしたってこれだけは受け容れられない。だが、男は肩眉をぴくりと跳ねさせたと思った瞬間こう
口にした。
「…スワッピングっていうか…お前が他人に犯されるって妄想はするけど…もしかして、してみたい?」
「はぁ…?」
さらりと何か看過できないことを言ったのは気のせいだろうか。
「……………………無理?」
「…………………………。」
あまりに当たり前過ぎていちいち返事をする気にもなれない。
だが、返事をしないレヴィに何を勘違いしたのか「…それとも…俺の目の前じゃなければ大丈夫?」など
と寝惚けたことを聞いて来る。
「意味ワカんね」
「どこか別の場所で他の誰かに抱かれてみる気がない?ってこと」
理解を超えている。信じられない。

287 : ◆.5gjadxlcsnK :2009/06/20(土) 01:54:47 ID:nfhMCQa1

「………そ…れ、お前的に…ナニが楽しいんだ?」
「今この瞬間にお前が寝取られてるっていう悔しさや嫉妬を想像するだけでとても…そう、ぞくぞくする。
 間違いなく絶望して…凄く後悔する。でも、きっとその後お前を抱く時は想像もつかないくらい興奮する」
この男は絶対にサディストだと思っていたが、もしかしたらマゾヒストなのかもしれない。いや、あたしの意
思を無視してこんなことを言うからにはやはりサディストか。レヴィは頭が混乱してくる。
そういう怯えた顔もたまらない…などと彼女の中に入ったまま薄く笑うロック。
一方のレヴィは、彼の下で怯えるというよりも空気をどんよりと重くする。股間に納まったままの彼がこの
話題に入っていっそう大きくなった気がするのが…、ナンとももの哀しい。
「あ…そう………へぇ………そうなんだ……他の野郎に犯されるあたしでマスかいて、……そのままヤり
 まくりたいってか、あー……そっかぁ……。」
「燃えると思うよ…あ、もちろん信頼出来る相手以外に抱かせるなんてしないけど…そう考えると難しい」
相手の問題か。あたしがあんなに『お前以外はイヤだ』と縋った後に、コレか。怒りも悲しみも湧かずだん
だんどうでも良くなってくる。
「ロック…何つーか、こう……別れようぜ?うん。別れよう。今すぐだ」
だからさっさとあたしから出ていけと言うレヴィにロックは呆気に取られる。
「え…!?いや…だ……????…………ていうか、別れるも何も、そもそも付き合ってるの?俺達…」
「……ぇ………ぁ……………今まで何だと思って我が物顔してた…ん…だ?」
見上げた先の男が何を言わんとしているのか、先ほどからさっぱり理解出来ない…というか、したくない。
今日は色々と刺激的なことが続いたが、一連の会話が一番ショックなのは間違いない。
「何って…『相棒』?改まって『今日から男女交際しましょう』なんて言ったこと無いだろ……」
「…そ……だけ、ど………………もう嫌だ、帰る…」
今日はもう無理だ、どう考えたって無理に決まっている。女々しかろうとナンだろうと、無理なものは無理だ。
「それとも、今からそうする?」
この期に及びそんなことを言う男は自分を馬鹿にしているに違いない。
「……帰る…退けろよぉ…帰る…!」
レヴィは自分を組み敷くロックから逃れるようにじたばたと暴れるが、本気で逃れるつもりが無いのは一目
瞭然だ。
「ダメ」
ロックはシーツに押さえ付けるようにレヴィに覆いかぶさる。
「…ぃやだ。かえる」
もう今日は行為を続けられないと思ったのは事実。だが、こうして少しばかりの我が儘を言うことで自分の
『オトメゴコロ』を満足させる言葉の一つでもくれるとどこかで期待していた。なのに。
「だめ。帰さない。まだ終わってない」
帰さないのは自分がヌキ終わってないからか。あたしと一緒にいたいからじゃないのか。ああ、畜生、こん
なことで泣いてたまるか!レヴィは必死に自分に言い聞かせた。
「やだ!シたくねぇって言ってんだろ?!頭んナカで好きなように犯しゃイイじゃねぇか!クソぼけぇ!!」
「だぁかぁらぁ!それじゃダメなんだってば!最後は生身じゃないと、鳴かすのだって最終的には俺の特権
 だっ!大体お前だってずっと『入れて』って鳴いてただろ?」
「もうイヤだぁ…普通にシてくれよ……あたしゃお前の玩具じゃねぇ……you suck!………fubar…」
男の顔を見ていられなくて、弱々しく罵りながら顔の前で腕を組む。
「ああ、もうわかったから泣くなって」
「誰が泣くか!つーかお前今メンド臭ぇとか思ってるだろ」
「…いや?」
「目ェ逸らすな。さっきと言ってることが違うとか思ってんだろ!?」
「………何のことだ?」
至極真顔で白々しく返すロックに段々と殺意を覚えずにいられない。
「よぉ、ジャップ。いつまでもチョーシこかれっと世界一温厚なあたしのリミッターもそろそろ限界だぜ」
温厚……。ロックはこの単語の意味を考えた。まぁ確かに自分と二人の時だけは彼女の怒りの導火線は常よ
り長めにはなっている。それが世間の平均値と比べてどうなのかは知らないが。


288 : ◆.5gjadxlcsnK :2009/06/20(土) 01:57:43 ID:nfhMCQa1

「……温厚…?えっと、その…レヴィが?」
検証のため。というわけではないが、とりあえずロックは煽ってみた。我ながら何とも愚かしいとは彼なりに
理解していたが。
「ああ、そうだ。てめぇみてぇな糞ディックに突っ込ませてやってんだ。聖母マリアもびっくりの温厚さだろ?」
彼女の周りの空気がぴんと張り詰める。それはそうだ、レヴィでなくたって気を悪くするのは当たり前。
この辺りが潮時か。…否、分水嶺はまだ先。
「知らなかったよ、聖母信仰者だったとは」
「さっきから笑えない冗談ばかり抜かしやがる。てめぇで今まさに犯してる女に向かって何が聖母信仰だ、
 クソが」
「よかった、まさかマリアの処女性に憧れてるのかと思った」
「残念だったな。使い込んだ便所穴でよ。そんな穴に擦り付けて、その上他の野郎のマラを入れろっつった
 のはてめぇだ。……で?他に何か言いてぇコトは無ぇのかい?……無いなら30秒待ってやる、さっさとこ
 の薄汚ぇモン引っこ抜いてあたしの前から消え失せな」
「ここ俺のへ―――――」
「――1……2……」
家主は自分であるとの呟きは無視され始まるカウントアップ。
これ以上の無駄口は冗談で済まない…いや、今だって傍目にはそんなものとっくに通り過ぎ十二分に生命
の危機だが、ロックの判断は『今』だった。
「ねぇ、レヴィ…」
「5……6…」
こんなことを繰り返していてはいつか本当に愛想を尽かされることは間違いない。そうは思えど、レヴィを
失うか否かのこのスリルはやめられない。
「8……9…」
唯一無二のかけがえの無い女であることは間違いない、天地天命に誓ってそう言える。だが、だからこそ
絶対に欲しがるものだけは与えない。むしろ疑念を与えて不安にさせる。
こうすると実に切なげでそそる視線を寄越して求めてくるのだ。目の前には、鋭いながらも不安げに揺れる
瞳。正直、たまらない。
「レヴィ、綺麗だよ、そういう顔も」

ロックがいかにも余裕ぶった笑みで軽薄な台詞を吐くのが鼻につき、レヴィは男を侮蔑するように嗤う。
絶対に今日は懐柔されてなるものかと射殺すような怜悧な視線をくれてやるも、全く怯む様子も無くキスを
落としてきた。彼のキスを意に介さず、塞がれた唇を動かしカウントを続けと、超至近距離で交わる視線。
ロックは嬉しさを隠し切れないとでも言いたげな目で視線を合わせてくる。
――わざと怒らせて愉しんでいたのだ。
そのことに更なる怒りが湧き上がるがこのまま怒りを露わにしたところで男を悦ばせるだけ。かと言ってこの
まま懐柔されるなどまっぴらごめんだ。
一番いいのは…そう、無視。
ガン無視、それに勝るものは無い。というより話などしたくもない。
「21……22…………………………………………」
突然止まるカウント。
やけに早い段階での屈服の兆しに、怪訝な顔で覗き込むロック。そして…


289 : ◆.5gjadxlcsnK :2009/06/20(土) 01:59:57 ID:nfhMCQa1

ゲシッ!!

まるで布団を蹴り払うかのように易々と、躊躇いも無く…レヴィは自らの上に乗る男をなぎ払う。
「…………。」
そもそも…ホンキでどうこうしようと思ったとき、ロックなど彼女の相手ではない。
そうは言っても、あまりに骨が無い。よほど甘く見られていたのだろう。
間抜けに勃てたままベッドの下に転がり落ちた男に、一瞥もくれず床に立つ。
そのままチェストの上に几帳面に折りたたまれた衣服を身につけるが、下着が無い。きっと朝出る際に洗濯
機に突っ込まれたのだ。
替えはは引き出しの中だが、ロックが洗って後生大事に仕舞いこんでいるものを使うなどムカつくだけ、仕方
なしに何も穿かずに素膚にジーンズを身に着けた。
テーブルの上の煙草を咥えて火を点け、ブーツに片足を突っ込むと、「帰るの?今日は泊まっていくって約
束したろ?」と背後から声がかかる。
さて、応じるべきかと一瞬考え、無視を貫くことに決める。
「レヴィに見てもらいたいものがあるんだ」
こうやって気を惹くことを言って引き止めていることは解っているから、無視してブーツに残りの足を突っ込む。
「なあ、レヴィ。帰るなよ」
うるせぇうるせぇうるせぇうるせぇ!!!!
「帰るのは見た後でも遅くないだろ?」
………………うるせぇ。黙れ。
無視してドアノブに手をかける。
「頼むよ」
「……………………その前に何かするコトは無ぇのかよ」
あまりの苛立ちにガマンできずに言葉を返してしまい、舌打ちする。
「どうして欲しい?」
言わなければ解らないのだろうか。
縛りつけられたことも散々玩具にされたことも、今となっては…まぁ、いい。
無理矢理ナマで突っ込まれたことも別にホンキで怒ってなどいない、本気で何とかしたければ今のように排除
出来たのだから。
自分達の関係だって確かにロックの言うことにも一理あるし、頭の中でどんな妄想を広げていようと、彼の勝
手だ。
だが、他の男に抱かれろ…こう言われたことだけは根に持たずにいられない。
思い出してこみ上げる激情。
男を殺してしまわぬうちに、この場から立ち去らなければ。そう決めて足を踏み出すと、背後から「悪かった。」と
搾り出すような声。
応じるな、帰るんだよ、どうせ大した意味など無いのだ、また口八丁に誤魔化されてみじめな想いをするだけなの
だから。
こんな関係など、これっきりにしなければ…………!!!!!
「…………………………………何がだよ」
……………………………………………………………………………………全身全霊で自分自身を罵りたい。
「脈絡もなくスワップなんて言い出すから…からかってみたくなった」
何に腹を立てているのか解っての行動なのだ、何を考えているのかさっぱり解らない。
「マジにしか見えなかったぜ」
「うん、大切なものを汚されて興奮するのはホント。歪んでるけどね」


290 : ◆.5gjadxlcsnK :2009/06/20(土) 02:01:29 ID:nfhMCQa1

大切なもの。
大切なもの。
大切なもの。
大切なもの。
大切なもの。
大切なもの。
大切なもの。
大切なもの。
あたしが。
ロックの。
……騙されるな。『大切』ならば他の野郎に犯させるような真似を求めるはずがない。
「でも、ナンにだって取り返しのつくこととつかないことは、あるだろ………?そう、一緒に見たいものがあるって
 言っただろ、こっちにおいで」
何を見せるつもりかなど知らないが、それでもこのまま篭絡されてしまうのは気に入らない、もの凄く。……だが。
子供のように楽しげに手招きする様に、吸い寄せられるように側へ寄りベッドに腰掛けてしまった。
悔しくて涙が滲む。
「………何か着ろよ」
いまだ全裸のままの男を睨み付ける。涙声を隠し切れない。
「照れてるの?」
ロックは立ち上がりベッドサイドのチェストを漁りながら笑っている。
「…………………………アホか。……貧相なモンぶら下げてうろうろされると見苦しいんだっつの」
「ひどいなぁ、いつもは嬉しそうに舐めてくれるのにね」
引き出しの奥から一冊のノートを手に取ると下着のみを身につけて、戻って来た。
すぐ隣に腰掛け、腰に回されるロックの手。払いのけて逃げるように距離をとる。
まだ怒っているのだという精一杯の意志表示。ロック相手ではこの程度しか出来ない自分が不甲斐ない。
「はい」
渡されたそれは、アルバムだった。
ぞんざいに受け取り適当に開いて………。
「てめ……チョーシこくのもいい加減にしろよ…?」
「…綺麗だろ?」
ページを埋め尽くしていたのは彼女自身の写真。しかも裸で眠る姿を納めたものばかり。
「…何のつもりだ」
こめかみをヒクつかせながらライターを手に取る彼女を、ロックは真っ青になって制止する。あまりの必死さに情
けなさと憐れさを滲ませて眺め遣ると「自分の寝顔、見たこと無いだろ?」と意味不明なことを言ってくる。
「当たり前だっつの」
むしろ何度も見たことがある人間がいたならば是非お目にかかってみたいものだ。
「気持ち良さそうに寝てるだろ」
「だから?あたしが聞きてぇのはどんな理由があってこんなふざけた写真を撮ってるのかって話だ」
「だって起きてる時にカメラ向けてもすぐに逃げるだろ」
「嫌いなんだよ」
「知ってる。けど、とりあえず全部見て」
不鮮明なポラロイドの写真にいちいち「これはインドの商船から美術品を頂いた日の」とか「この日はやたらと暑く
なってシャワー浴びながらシたよな」とかいちいち解説をつけてくる。
この男の部屋で眠るのはほぼ情事の後であるため裸の写真ばかりだが、何枚ものそれを見るにつれ目的は身体
ではなく寝顔なのだと何となく気付き始めた。


291 : ◆.5gjadxlcsnK :2009/06/20(土) 02:02:06 ID:nfhMCQa1
ページを進めるたびに顔を撫でる手や、頬にキスをする上目使いのロックの顔が写り込むものが増えてくる。
解説は続く。写真が時系列で並んでいることにも何と無く気付いていた。
「馬鹿じゃねぇ?」
自らキスをする写真を撮るロックの様を想像し、あまりの間抜けさにげんなりとしてくる。それどころかここ2〜3ヶ
月の写真ときたら、頭を抱き込まれたり強く頬を押し当てられたものやら、耳を舐められ微かに悶えた様子やら、
何で起きないのか彼女自信不思議に思わずにいられぬものばかり。
「…おい、いつ薬盛ってたんだよ?」
今日は心あたりがあった。だが、常にそんなチャンスがあるわけではない。飲食せずにまず一発…そのままおね
んねなんてよくあることだ。
「いや、今日が初めてだよ」
彼いわく、当初は遠くから撮らないとすぐ起きてしまいそうだったが、だんだん少しのことでは起きなくなった…と
いうことらしい。
写真に写るレヴィは、彼女自信呆れてしまうほどに安心しきった間抜けな顔で眠りこけていた。ロックにすべてを
委ね切った、そんな顔。口を開け、薄く笑みまで浮かべた様は何と間抜けなことだろうと、羞恥なのか呆れなのか
幸福感なのかもよくわからぬものが込み上げる。
「馬鹿じゃね?」
あまりに幸せそうな自身の寝顔にいたたまれなくなり、彼女は誰に向けてかもわからぬ悪態を吐いてアルバムを
閉じた。
「何たってこんなモン見せたんだよ」
これではもう警戒して熟睡できない。
「いや、起きてるレヴィと一緒に写りたいなぁと思って」
「趣味ワリぃ」
薄い紙の中で自分にキスをする男の何とも嬉しそうな顔を思い出して苛々と吐き捨てる。
「ちゃんと起きてるレヴィとキスして写真撮りたい」
ロックの言動の是非はともかくとして、日本人が写真好きというのは、偏見や都市伝説の類ではないらしいと、レヴィ
は深く理解した。
「いやなこった。あたしらみたいなのはそんなモン撮ってもロクなことがねぇ」
彼女の言わんとすることは、ロックとて理解していた。写真の行き先によってはお互い命取りになりかねない。
「俺の部屋に仕舞っておくさ、俺が死んだら探してくれよ」
「まっぴらごめんだ、アホめ」
彼が死んだら。彼女にとって考えたくもない、現実。
「…言うなよ、どっちかが死んじまった時に、写真残ってた方がいいと思わないか?」
「……あんたがあたしより先にくたばることは無ぇさ」
彼の死など見たくない。だから、守る。
「……うん。けど何があるはわからない。」
………………そんなこと、……………言われなくとも解ってる。
「それに、レヴィが先に逝った後に二度と顔を見ることが出来ないなんて…想像だけで泣いちまいそうだ」
「……くたばったヤツのコトなんかさっさと忘れちまえよ」
言いながらそれが大嘘であることはレヴィが一番理解していた。仮にこの男が先に死んでしまえば、自分は必死
に彼の痕跡をかき集めて縋り付くのだろう。そう言えば彼の写真など、拉致した時に身につけていた社員証か、日
本へ行った時の偽造パスポート位しか存在を知らなかったように思う。
「他の誰かならいざしらず、おれはお前を忘れたくないしそのつもりも無い」
「…馬鹿め」
そう毒づきつつ、どうして目と耳を塞がれたか…。好き放題になぶりたかったという彼の性癖以外の理由も読めて
来た。


292 : ◆.5gjadxlcsnK :2009/06/20(土) 02:05:35 ID:nfhMCQa1
気づいた以上、看過できない。
……彼に向かい「今日の分も見せろ」と不機嫌に呟く。
「………無いよ」
「…てめぇみてぇな腐れ外道が撮ってねぇわけない。あたしがくたばった後のネタくらい残してる、だろ?このサノヴァ
 ビッチ!!!」
「……そんなつもりでは無い」
「別にいきなり焼いたりしねぇから出せ、…今すぐだ。大火事見たくなけりゃ早く出せ」
「………」
ライターをちらつかせながら、言うことをきかなければ彼の「宝物」を燃やすと圧力をかける彼の一番の「宝物」。
彼女が彼に逆らえないように彼もまた、最終的に彼女に逆らえなどしない。
無言のまましぶしぶ十数枚の写真を差し出す。下半身からのアングルで全身、バストアップ、顔、なまめかしく濡
れて光る陰部、半開きのまま喘ぐ唇…。
この男…いや、男という生き物はどうしたってこういうのが好きなのかと半ば呆れながら、自らの痴態を写す紙切れ
にざっと目を通すと興味無さ気に放り投げる。
この写真はともかく、彼が自分という存在に示す執着自体は、悪い気がしない。何より、アルバムに並ぶ写真の視
点は………見れば見るほどに照れ臭くなるほど優しかったように思うのだ。
だから、「今日だけだからな」と彼の希望を承諾した。

彼女からしてみればこれだけでも最大限の譲歩だった。にも関わらず、この男は「え…月に一回は撮るよ」などと
理解不能なことを言ってくる。
「…じゃあやだ」
「たくさん撮ろうな?」
不意打ちのようにキスをしながら、またしても何かムカつくことを言っている。
「てめ、人の話聞けコラ」
「入れてる時の顔も撮っていいだろ?」
「お前、あたしのいってること解るか????????」
前言撤回だ、コソコソと裸の女の写真を撮るなどただの下心だ。
「…冗談にしちゃ笑えねぇ……って……何でまたパンツ脱いでんだよ」
「まずは仲直りしよう!」
「あたしは許してやるなんざ言ってねえ」
困惑気味に呟くレヴィに、にやける顔を隠しもせずに「可愛い」と抱き着く。
「…ぶっ殺す」
そう言いながらも「仲直り」の道筋ができたことが嬉しくてたまらない。どんなに怒っているときでも、その矛先に巧
みに盾を用意してくるのだ、この男は。しかも、彼女の矛を跳ね返すのではなく絡めとってしまう、布のカーテン。
気付けば簡単に懐柔されてなるものかという10分前の決意などどこかへと消え失せていた。
第一、この男の性癖に付き合うなどいつものことだ、今更グダグダ言っても仕方ない。
実に楽しそうにレヴィの服を脱がせていたロックは、お互い全裸になるや頬を寄せ合いカメラを持つ手を顔の正面
…二人の視線の先へと延ばす。
諦観のまま今更拒む気などなかった彼女が、フラッシュの光る瞬間舌を出したのは…何もかも男の思惑通りに進
んでなるものかという最後の意地だったのかもしれない。




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