- 714 :お仕置き:2009/09/24(木) 23:49:11 ID:gPxMx0Or
- 「「あ〜ん、うわ〜ん!!」」
帰るなり、子供たちの泣き声の大合唱
いつも一緒な割りに、いや一緒だからこそしょっちゅうケンカしている
『誰に似たんだか……』
突っ込み待ちのような感想を胸に、しゃがみ込んで子供たちと視線を合わせる
「ど〜したぁ〜
また、ケンカかぁ?」
二人の頭に手を置きながら、優しく話かけた
ビクッ
子供たちが怯えるように身を竦める
そこで違和感をもった
姉の頬が腫れている
ケンカしても男の子、弟が手を出すことはほとんど無かった
そう言えば、この時間いないはずの無い、レヴィの姿が見えない
「どうした」
ロックの再度の問に、緊張が混ざる
「マ、ママが……」
姉がしゃくりあげながら答えた
『レヴィが!?』
そんな筈は……
はっきり言って、レヴィは子供たちを溺愛している
無論、悪さをした時は容赦なくぶん殴るが、お尻叩きか拳骨程度だ
頬を張るなんてしたことがない
「いったい、どうしたんだ」
ギィ……
レヴィが篭った、寝室のドアを開ける
灯りも着けず真っ暗な中、ベッドの脹らみに近づく
「……レヴィ」
「ヘッ、なんだよお説教かよ」
布団の中から、やさぐれた妻の声がする
「ガキなんて、ぶん殴る為にいるのさ
糞を垂れるしか能のないころからエサぁ詰めこんでやってんだ
穴使えるようになって売っ払えるまで、張り倒して遊ぶののどこが悪い……」
「レヴィ!
レヴィ、もういいから」
飛び出して、食いつくように吠え続けるレヴィを懐に収める
「ウウッ、ウウッ〜〜……」
クセになってしまったレヴィの泣き方
すっかり泣き虫になったが、子供たちを心配させないよう、声を殺し俺の胸に顔を埋める
「大丈夫
悪く無いとは言わないけど、しょうがないことだから」
髪を撫でながら、レヴィが落ち着くまでゆっくり泣かせるつもりだった
- 715 :お仕置き:2009/09/24(木) 23:56:44 ID:gPxMx0Or
- 「僕がオモチャで遊んでたら、ママが取り上げて壊したの
見つけてくれたお姉ちゃんが怒ったら、ママがぶったの」
それだけだ
子供たちが泣くのも仕方がない
そして、レヴィが激昂したのも、また仕方がなかった
そのオモチャの名は『ソードカトラス』
ベレッタM92FS Inoxカスタム
「アタシが悪かったんだ
もう、あんなもの必要無いのに、未練がましく隠してたから
それなのに、あの子たちに……」
「大丈夫、あの子たちだってわかってくれるさ」
「でも……」
まだ、レヴィはグズグズとシャクリ上げている
「しょうがないな、ホラ」
ガチャ
コロコロ……
ドアを開けると、二人の子供が転がり込んだ
「「ママ〜〜!!」」
レヴィに飛びつく子供たち
「ゴメンねゴメンね……」
二人を抱き締め、謝り続けるレヴィ
「ママ、泣いてるの」
「パパ、ママを泣かしちゃダメ」
やれやれ、すっかり悪役だなぁ
仲良く抱き合う母と子供たちに、なんとなく、疎外感を持ってしまう父親だった
終