218 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:40:07 ID:O++40qWy

「髪、洗ってあげようか」
ロックが唐突にそんなことを言い出したのは、ある晴れた休日の昼下がり。
レヴィが、ロックの部屋で一緒にあり合わせの昼食を済ませ、
「今日もあっちィなぁ……」と、ぐったりぼやいた時のことだった。

この男は時々突拍子もないことを言い出す。
業務時間内であろうとなかろうと、レヴィは何度もそんな場面に出くわしてきたので、今更驚くことはしない。
しないが、今度はまた一体何を思いついたのだろうか、と訝しむ。
「なんだよ、いきなり」
小さな木製のテーブルを挟んで向かい合う男を伺うように見ると、
「その腕じゃ、髪、洗いにくいだろうと思って」
ロックは、包帯を巻いたレヴィの右腕を、顎でしゃくった。
レヴィの右腕に巻き付いた包帯はまだ取れない。
傷は大分恢復してきたものの、元々軽傷とは言い難い傷だったのだ。
吊ってこそいないが、下手に動かすと、突き抜けるように鋭い痛みが走る。
だからといって、そんな事に構っていては仕事にならないし、
第一、「痛い痛い」とアピールしてみたところで、何か良いことがあるわけでもない。
まわりに自分の弱点をご丁寧に教えてやっているようなものだ。
だから、レヴィとしては自らの傷の状態を知らしめるような行動を取ったつもりは全く無かったのだが、
「右手、あんまり使ってないだろ、レヴィ」
左手で出来ることは左手でやっていたのを言い当てられ、妙なところで目聡い男だ、と思う。
しかし、この男には特に隠しておく理由も無いので、レヴィは「まぁな」と肯定した。
「だろ?」
ロックは我が意を得たりと満足そうに笑うと、席を立ってすたすたとバスルームの方へ歩いてゆく。
「ちょっ、おい、ロック!」
――あたしはまだ、最初の提案に対する返事はしてねェぞ!
レヴィは中腰になってロックを呼び止めたが、ロックの背中はバスルームのドアの中に消えた。
「早く来いよ、レヴィ!」
バスルームからは、楽しそうな声しか返って来なかった。
がたん、とシェルフの扉が開け閉めされる音がして、マットを敷いている気配。
――駄目だ。これは何かのスイッチが入ったらしい。
レヴィは諦めて、自分もバスルームへと向かった。


219 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:40:47 ID:O++40qWy

「で? 何をどうするって?」
バスルームのドア枠に肘をついてレヴィが中を覗き込むと、ロックはシャンプーのボトルを手にしたところだった。
足元には、厚手の布製のマットが敷いてある。
ロックはそのマットを指して言う。
「ここに膝ついて、バスタブに向かって頭下げて。そうすれば、他のとこ濡らさないで髪を洗える」
ロックの部屋に付いているバスルームは、ユニットバスだ。
狭いとはいえ、バスタブに向かって跪く姿勢になれば、確かに、取り外したシャワーで髪だけを洗うことが出来そうだった。
 
レヴィは思案する。
片手しか使えないと、髪を洗うのは案外大変だ。
シャンプーを出し、もう片方の手で受けて、泡立ててから洗い、流す。そして、拭く。
両手が使えないわけではないが、動かせば傷口がその存在を主張してくるので、一人の時くらいは出来るだけ動かしたくない。
おまけに、髪を洗えば包帯も濡れる。
身体だけシャワーを浴びるなら如何様にも右腕だけを濡らさないようにすることは出来るが、
シャンプーもとなると、包帯が濡れるのは避けられない。
濡れた包帯を放置しておくわけにもいかず、髪を洗うとなると必然的に、
傷口の消毒、包帯の交換、が漏れなく付いてくることになる。
――面倒くさい。
自然、髪を洗うのは億劫になっていた。
だが、ここ数日は熱帯の太陽が本領発揮している。
正直、頭が気持ち悪い。

というわけで、ロックには手先の器用さという点において一抹の不安を感じるが、
水とシャンプーだけならどう頑張っても自分の髪が全焼、などという事態に陥ることはあるまい。
どうせ今日は暇だったのだ。乗ってみるのもまた一興。という結論に、レヴィは至ったのだった。


220 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:41:27 ID:O++40qWy

ロックがシャワーのコックを捻ると、細かな水が迸った。
神妙な顔をして湯の温度を調節するロックを、レヴィはその隣に跪いて見上げる。
バスタブに降り注ぐ温水から、湯気が立ちのぼった。
何度か細かくコックを左右に動かしてから、ようやく、ロックは納得したようだった。
「じゃ、下向いて」
言われた通りに、レヴィはバスタブの縁に手をついて、俯いた。
背中の中程まである髪の毛が、顔の両脇から前へと垂れる。
レヴィの首筋に残っていた、一筋か二筋の髪を、ロックは指ですくい上げて前へ落とした。
そして、左手で軽く髪の毛をときほぐすように揺らす。
「いくよ」
「ああ」
心持ち緊張したロックの声に、レヴィが短く答えると、頭に温かな水が広がった。
すぐに髪が水を吸って、じわりと重くなる。
レヴィの目の前で、髪を伝った水が幾筋も、バスタブに流れていった。
ロックの持つシャワーは、ゆっくりと頭全体を濡らしてゆく。
シャワーヘッドがうなじ付近に近づいて、レヴィは水がこぼれないよう、更に深くバスタブへ身を乗り出した。
ロックの手がレヴィの首に添えられる。
シャワーの水が、首を伝わないように。
手は生え際で水をせき止め、シャワーヘッドの動きに合わせて耳の後ろを滑っていった。

「耳に水入れたら殺すぞ」
黙っているのも気詰まりになってレヴィは言ったが、今のところ、その心配は無さそうだった。
「はいはい」
笑いを含んだ二つ返事が、レヴィの頭上から降ってきた。
なかなか水の届きにくい側頭部の髪を、耳に水が入らないよう、掻き上げるようにして何度もロックの手が往復する。
水を頭全体に行き渡らせるように、ロックの手が髪を梳いた。
最後に前髪の方から手を差し入れられ、地肌も潤したところで、ロックが訊ねた。
「まだ濡れてないところ、無い?」
レヴィの頭は充分に水を含み、髪は重たく水を伝わらせていた。
「いや、無い」
答えると、背後の気配が遠のいて、キュ、とコックが閉められる音。
バスルームを満たしていたシャワーの水音がやみ、突然静かになった。
シャンプーボトルのノズルが上下し、それから、クチュ、とロックの両手の間でシャンプーが泡立てられる音が響く。
ロックの気配が戻ってきたのを、レヴィは背中で感じた。
伏せた頭に、ロックの手の熱が近づいてくる。
両手で、くしゃり、と2,3回髪をかき混ぜてから、気配は遠ざかる。
新たにシャンプーを出す音がして、また、泡立てられたものがレヴィの髪になじむ。
それをもう一度繰り返してから、ロックの手は髪を洗う作業へと移った。
 

221 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:43:06 ID:O++40qWy

ロックは、僅かに立てた指の先で、レヴィの髪をリズム良く端から洗っていった。
切りそろえられた爪は地肌を傷つけることなく髪の間を掻き分ける。
「……痛くない?」
問うロックの声に、レヴィは小さく笑いを漏らした。
「全然」
もっと乱雑に、グシャグシャと遠慮なく洗われるかとレヴィは思っていたが、ロックの指は優しかった。
むしろ、いつも自分で洗う時の方がずっと乱暴で適当だ。
こんな風に丁寧に洗おうとしたことすら無い。
目を瞑ると、心地よい頭皮への刺激で、まどろんでしまいそうだった。
ちょうど先程昼食を食べたばかりで、眠気は一層誘われる。
「気持ち良い?」
心中を見透かされたようなタイミングで訊かれ、レヴィは苦笑しながらも短く肯定した。
ロックは根気よく、レヴィの髪を隅々まで洗ってゆく。
泡立った髪の中に、指を開いたロックの両手が、ゆっくりと差し入れられた。
レヴィの頭の形をなぞるように額の方へ滑っていって、そのまま垂れている髪へと流れ落ち、
毛先まで絡め取って、そして離れた。
ぱた、と、白くきめ細かな泡が、バスタブに零れた。
瞼を上げたレヴィの目の前で、髪を滑るロックの指が何度も往復する。
バスルーム内には、シャンプーの爽やかな香りが満ちていた。
ロックがいつも使っているシャンプーの香り。
――ロックの髪に顔を寄せた時の匂いと同じだ。
レヴィは、自らの髪から広がる香りを、そっと吸い込んだ。

ぱた、ぱた、と、バスタブの底には、生クリームのような泡のかたまりが幾つも増えていく。
頭を緩やかに揺さぶられながら、レヴィは思う。
それにしてもコイツ、上手いな、と。
もやい結びひとつであんなにモタモタしていた姿からは、想像もつかない。
レヴィには他人に髪を洗ってもらった記憶など無いので、比較するべくもないのだが、それにしてもこれは少し予想外だった。
――洗い慣れているのかもしれない。女の髪を。
そう思い当たって、レヴィの胸につかのま、陰がさした。
しかし、すぐに振り払う。
――なんで陰がさすんだ。あたしには関係のねェことだ。
洗い慣れていたなら、それがどうだと言うのだ。
損の無いことだけ考えろ。と、いつかロックに言ったのと同じ言葉で言い聞かせようとして、また気づく。
――“損”ってなんだ、“損”って! 
ロックが女の髪を洗い慣れていたとしたら、ロックの過去にそういう女がいたとしたら、
それが自分にとっての“損”になるとでもいうような思考。
どうかしてるぜ、まったく――。

「洗い足りないところは無い?」
ひとり忙しく問答を繰り返しているレヴィの頭の上でロックの声がして、慌ててレヴィは意識を戻した。
「あ、いや、無ェよ」
ん、と返事をして、ロックはシャワーを手に取る。
また、シャワーがバスタブを打つ音が広がった。
「かけるよ」
頷いて、レヴィは思う。
せっかく心地良いのだ。 
余計な事を考えるのはやめだ。
目の前の事を楽しむべし。

そう結論づけて、レヴィは流れ落ちる泡が目に入らないよう、瞼を下ろした。



222 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:45:02 ID:O++40qWy

シャワーをかけると、レヴィの髪から白い泡がまたたく間に流れ落ちていった。
バスタブの底を白く泡立った水がうねって、排水口へと消える。
段々と、レヴィの髪本来の栗色が姿を現してきた。
洗い残さないように、しかし水を身体へ垂らさないように、慎重に生え際をなぞり、耳の脇で防波堤を作る。
指を髪に潜り込ませて梳くと、しっとりとつややかな感触。
丹念に繰り返すと、バスタブに流れる水は、いつしか透明になっていた。
レヴィは珍しく、文句らしい文句も言わず、大人しい。
されるがままの無防備な首筋が、ロックの目の前に晒されている。
あまり日焼けしていない、白い首筋。

――いいのかよ、そんな無警戒で。
穏やかないとしさと同時に、言いようもない不安が静かに沸き上がる。

――今だったら、俺のような非力な男にだって、お前を殺せるんだぜ。
男のものより細い首筋に、薄い皮膚。
ロックは、レヴィの首筋に青く透ける大動脈を見つめた。

――ま、俺には出来っこないけどな。
きっぱりと感傷を隅に追いやって、ロックはシャワーを止めた。
――他の奴の前では、そんな姿、見せないでくれよ。
ロックは胸の中で呟く。

「終わったか?」
バスタブの中に垂らした毛先から水を滴らせながら、レヴィが問う。
「いや、まだ。今度はコンディショナー」
シャンプーよりも粘度の高いクリーム状の液体を手に受けていると、レヴィが微かに笑った。
「コンディショナー? 男でもコンディショナーなんかすんのかァ?」
男でも、ということは、レヴィはいつも使っているのだろう。
それこそ、「レヴィでもコンディショナーなんか使ってたのか?」と言いたいところだが、
レヴィの言葉にはそれほど毒が無い。
今日のレヴィは機嫌が良い。
さっきから、よく笑う。
「いいだろ、別に」
適当に受け流して、コンディショナーをレヴィの髪に伸ばす。
ずっと下を向きっぱなしで、そろそろ首がだるくなってきているかもしれない。
日本にいた頃に美容師がやっていた洗髪の方法を、思い出しながら真似てみたのだが、
それでも洗い慣れた自分の髪と他人の髪、特に女の髪は勝手が分からなくて、随分と無駄に時間がかかった気がする。
乾いていてもさらりと気持ちがよいレヴィの髪は、こうしてたっぷりと水を含んでいる更に滑らかで、
いつまでも指を通していたかった。「シルクのよう」とされる比喩は、まったく正しい。


223 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:47:02 ID:O++40qWy

しかし、そろそろ手早く終わらせなければならない。
ロックはシャワーを止めると、バスタオルに手を伸ばした。
濡れたレヴィの髪から、ぽたぽたと水滴がいくつも滴っている。
静かに項垂れるレヴィの首の根本に、尖った骨が突き出ていた。
縦に三つ、並んで山を作っている。

――あの、頸骨。あそこに舌を這わせ、一番出っ張った真ん中の骨を唇で包みこんで吸い上げたなら、どんなに――。

思わず吸い寄せられそうになったが、レヴィの髪を拭かなければいけないことを思い出して、
ロックは慌ててバスタオルを広げた。
毛先から水気を取っていこうと、包み込む。

――と、その時、レヴィが首を上げようとした。
まだ毛先の方しか拭けていない。
「あ、ちょっと――」
だが、静止は間に合わず、レヴィのうなじから、透明な水が一筋、流れた。
首筋に踊る黒々としたタトゥーの上を伝って、つう、とタンクトップの背中に入っていきそうになる水を、
ロックは反射的に指で受け止めた。
指先に感じる、レヴィのしっとりした肌。
背中の弱いレヴィが、ん、とわずかに漏らした声が、バスルームで反響して妙に響いた。

瞬間、ロックの中で何かが弾けた。
レヴィのタンクトップの背中を指で引き下げ、突き出た頸骨に唇を寄せる。
突然のことに驚いたレヴィが小さく悲鳴を上げて背中を震わせたが、
ロックは構わず、タンクトップに掛かっているのとは逆の手で、レヴィの後頭部を押さえた。
突起を唇で柔らかく包み、軽く吸い上げてから、そっと舌でなぞる。
レヴィの背中が、鋭くはねた。
ロックは自らもレヴィの後ろに跪いて、片膝をレヴィの脚の間に割り込ませる。
身体を起こそうとするレヴィの肩をとらえ、頸骨から背骨にかけて、何度も口付け、舌でなぞり上げる。
「ちょっ、ロック――」
抗議の色を滲ませたレヴィを無視して、ロックは左手を彼女の胸へと滑らせた。
タンクトップ越しに、温かく息づく彼女の乳房。
やわやわと動かすと、ロックの掌からあふれるように柔らかい。
休日は特に、レヴィは下着をつけずにそのままタンクトップを着ることが多い。
今日も例に漏れず、そんな感触。
胸を包み込んだ手でレヴィの半身を引き寄せ、後ろから抱きしめる。
ロックの手に、かたくなった乳房の先端が当たった。
「ロック、何す――」
レヴィの声は、彼女の先端をつついたロックの人差し指のせいで、途中で切れた。
人差し指と中指の間に挟んで僅かに締めると、彼女の口からは、もう息を飲む音しか聞こえてこなかった。


224 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:47:43 ID:O++40qWy

レヴィの鼓動を指先と自らの胸で感じながら、ロックは右手をレヴィの腰に回してぴったりと抱き寄せる。
ろくに拭いていないレヴィの髪からたらたらと水がこぼれ、黒いタンクトップを瞬く間に濡らしてゆく。
休日によく着ているロックの白地のTシャツの胸も、同じように濡れていった。
布越しに触れていた左手を、タンクトップの裾の方にのばし、下から潜り込ませて、
今度は、触れていなかった右の乳房を包み込む。
直に感じるレヴィの肌。
いっそう心地よい感覚。

濡れた髪の間から覗く耳朶を唇で挟み込んで、吸う。
レヴィの身体が小さく震えた。
乱れて散らばっているレヴィの髪を、右手で掻き寄せ、剥き出しになった首筋に、唇を落とす。
レヴィの呼吸に、甘さが増した。
首筋を露出させる役目を終えた右手は、休まずレヴィの右肩から腕にかけて、ゆっくりと撫で下ろす。
手の甲を経て、指を絡ませると、きゅ、とレヴィの指も応えた。
バスルームは少しの音でもよく拾う。
ロックのたてる、唇がレヴィの肌に触れる濡れた音が、大袈裟に響く。

絡めていた指を解いて、ロックはレヴィの腹に手を寄せる。
鍛えられた腹筋。
くぼんだ臍をくるりとなぞってから、ロックはレヴィのホットパンツの隙間に手を差し込んだ。
心持ち中指に力を入れながら、そのまま下に滑らせる。
んっ、とレヴィの身体が揺れた。
レヴィのどこが彼女を疼かせるのか、よく知った指は、的確にそこを押さえたようだった。
中指の腹でゆっくり捏ねると、ほとんど力を入れていないというのに、レヴィの身体が揺らめいた。
更に奥に指を進ませると、薄い下着の中はもう、ゆるゆると溶けているのが分かった。
窮屈なホットパンツの中で、くにゅ、と指を押しつけて動かすと、
段々と湿り気が下着に染みてきて、ロックの指先を濡らした。

ロックの中心も、とうに熱を持って昇ぶっている。
ここで止めることなど、出来そうになかった。
ロックは、一端手を引き抜いて、レヴィのベルトに手をかけ、外す。
ジーンズのホットパンツを引き下ろし、次いで、シンプルな黒い下着も。
レヴィは抵抗せず、膝を抜くのに協力した。

225 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:48:27 ID:O++40qWy

ロックは後ろからレヴィの膝の間に陣取って、右手を前にまわし、レヴィの脚の間を撫で上げる。
邪魔するものが無くなって、ロックの指は自由に動いた。
充分にとろかして、あふれ出る粘液を指にまとわせ、襞を繰り返しなぞる。
レヴィの体温が上がり、不規則になった呼吸が、湿ったバスルームに響いた。
濡れた中指で、レヴィの奥を探る。
レヴィの背中が丸まって、喉の奥から短く声が漏れた。
熱くなった肌よりもっと熱い、レヴィのなか。
中指1本だというのに、柔らかい内壁はぴったりとロックの指に吸い付いた。
上下に動かすと、なめらかな液体があふれ、粘る音。
ロックの指が、根本まで濡れた。
レヴィの熱で、指が溶けてしまいそうだった。
中指の第一関節を曲げ、掌全体でも押しつけるように圧迫すると、ついに、レヴィが、「あ――」と声をあげた。
手と指の動きに合わせて、レヴィの身体がうねる。
レヴィの反応で、ロックの熱も高まってゆく。

「……気持ち良い?」
耳元で囁くと、
「なっ……、ふざけんな、殺されてェか」
息の上がった声で、レヴィが毒づいた。
「どうして? さっきは素直に答えてくれたのに」
髪を洗っていた時のやり取り――。
ロックは指を止めない。
レヴィの眉間に皺が寄った。
「……あんた、性格、悪ィ……」
しかし、レヴィの文句はそれで終わりだった。
レヴィの左手が、ロックの左腕をとらえ、強く握った。
「……あっ、……ロック……、も…………ッ」
言われるまでもなく、ロックの方も我慢の限界だった。
静かに指を抜く。

――指だけじゃ、足りない。全然。


226 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:49:47 ID:O++40qWy

オフの時しか履かないジーパンを脱ぎ捨てて、確か、バスルームに避妊具の予備を置いておいたはず、
と備え付けのシェルフの中を探すと、確かにそれはそこにあった。
取り出すのももどかしく、準備を整えると、レヴィの背後に戻る。
「いくよ」
「ああ」
レヴィが上体を倒し、バスタブの縁に手をつく。
普段日に当たっていない、乳白色の尻が、眼下でまるく盛り上がっている。
レヴィの背中を手で優しく押し下げて、ロックは突き出された柔らかな双球の間に、自身を沈み込ませた。
狭く、しかし温かくとけた内部に、ゆっくり押し入る。
レヴィの筋肉が緊張し、ロックを締め上げる。
――最初から、そんなに締めつけるな。
早くも脊髄に痺れを感じながら、レヴィを分け入るように押し進める。
すべてを収めきると、ようやく、レヴィの身体が緩んで、深い溜息が彼女の口から漏れた。
形よく張りのある尻に比べると、不安になるほど薄く引き締まったウエスト。
鍛えられた背筋は、二本揃ってまっすぐに背中を縦断している。
滑らかな陰影を描く筋肉の下には、肋骨の形。
ロックは、両手でレヴィの背中をゆるやかに撫で上げ、そのまま覆い被さるように後ろから抱いて、掌で乳房を受け止める。
普通に立っていても豊かなレヴィの乳房は、こうして前傾姿勢になると、更にたっぷりとロックの掌を満たす。
くい、と二本の指に力をこめると、急に、ロックへの締めつけが増した。
段々と、ロックの腰は勝手に動き出す。
バスタブの縁をつかむレヴィの手に力がこもり、甲には青く血管が浮いていた。

「……痛く、ない?」
レヴィは揺さぶられながら、鼻で笑った。
「全、然」
――って、言えば、いいのか、よ。ボケ。
とのおまけ付きで。
レヴィを突き上げながら背中に口付けると、がくり、とレヴィの頭が落ちた。
くっきりと肩胛骨が浮き上がる。
――翼のようだ。
ロックはぼんやりと思う。
肩胛骨の下にできた窪みに、親指を潜り込ませ、人差し指とで挟む。
皮膚と筋肉に包まれた下の、白い骨を思った。
それから、両手でレヴィの腰を掴む。
肌と肌のぶつかりあう音。
ロックの腰が速まるのに合わせて、レヴィの乱れた呼吸が、堪えるような声が、バスルームに反響する。
いつもはすぐに空気にまぎれて消えてしまうレヴィの声が、今日はかすかな震えに至るまで、すべてが増幅された。
バスルームの空気中で、たくさんの目に見えない水分とレヴィの声が混ざって、漂っているようだった。
ロックはレヴィの顔を見ながら情を交わすのが好きだったが、
この無防備な状態の女を思うままに突くという体勢は、なぜか、野蛮な本能を増幅する気がした。
相手に見られているときには抑圧される部分があるのだろうか。
自分にはそれほど無いと思っていたが、なるほど、支配欲といわれるような類の劣情は、
確かにロックの中にも存在するようだった。
ただ、何となく自分勝手な振る舞いのようにも思えて、ロックはレヴィに対して少し罪悪感を抱く。
――ひとりで楽しみたいわけじゃ、ない。
ロックは片手を前にまわし、繋がっている部分の少し上、レヴィの一番敏感なところを指で圧迫した。
レヴィの甘い声が、ロックの脳髄を刺激する。
そろそろ、余計な事は考えられなさそうだった。
生理的な欲求が身体を突き動かし、本能が理性を駆逐する。
しかし、すべてを本能に委ねてしまう前に、ロックは理性をかき集めて絞り出した。
「足りない、ところ、は、無い?」


227 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:50:12 ID:O++40qWy

――次の瞬間、レヴィは背中を捻って、上半身だけで勢いよく振り返った。
不安定な体勢から、左手をロックに向かって伸ばす。
レヴィの手が、ぐい、と、ロックの首を引き寄せた。
とても強い力で。
「ある」
息がかかるほど近い、レヴィの顔。
嫣然と笑う。

そして、レヴィは奪い取った。

――ロックの唇を、自らのそれで。

228 :ロック×レヴィ シャンプー  ◆JU6DOSMJRE :2009/12/12(土) 22:52:59 ID:O++40qWy

二人の中に渦巻いていた熱が過ぎ去り、冷静さを取り戻してから改めて見回してみれば、酷い有様だった。
ほとんど拭いていなかったレヴィの髪から滴った水と二人の汗で、レヴィのタンクトップも、ロックのTシャツもびしょ濡れ。
髪を拭こうと用意したバスタオルは、隅の方で無様にたごまっている。
バスマットだって、早急に天日干しが必要だろう。このままだと腐って黴が生えそうだ。
バスルームのあちらこちらには水滴が飛び散っているし、
脱ぎ捨てられた二人分のジーンズと下着もじっとり湿っている。
せっかく綺麗に洗ったレヴィの髪は、乱れてもつれている。
濡らさないようにしたかったはずの包帯も勿論、水難を免れ得ず。

顔を見合わせた二人に、苦笑が浮かんだ。
「……ったく、ちょっとは加減しろよ。一応、怪我人だぞ、あたしは」
あられもない格好で、レヴィがぼやく。
「……悪かったよ。お詫びに責任もって、包帯の交換はする」
ロックは、あまり悪いとも思っていないような顔で返した。
「あー、あー。どうすんだよ、これ。びったびたじゃねェか」
呆れたように、レヴィは水浸しの室内と服を見回す。
ロックもその視線を一緒に追っていたが、
「バスルームは自然乾燥。服とマットは洗濯。……けど、その前に、俺達はシャワーだ」
あっさり言い切って、さっさと着ていた自らのTシャツを脱ぎ捨て、そして、レヴィのタンクトップも脱がしにかかった。
「――おいおい」
面食らった様子を見せたレヴィだったが、
結局、この状態だったらロックの言う通りシャワーを浴びるしかないと思ったのだろう、
素直に両腕を上げて、頭を抜いた。

「来いよ、レヴィ」
先にバスタブの中に立ったロックが、「洗ってやるから」と、レヴィに向かって手を差し出す。
「今度はほんとにシャワーだけか?」
片頬に笑いをのせ、レヴィはロックの手を取って、バスタブを跨ぐ。
「――それは、どうかな?」
どこか物騒な笑顔を浮かべたロックの手が、勢い良くシャワーカーテンを引く。

シャワーカーテンの白が、二人を隠した。

休日の午後は、まだ長い――。







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