由美江のお勉強タイム
日差しが温かいここ私立ヘルシング学園の昼放課の校庭を、一組の男女が通り過ぎていく。
長い黒髪がきらきらと煌めいて見えるその女の子は大股でズンズン突き進み、
その後を男の子が小走りでついていく。
「ねえ由美江、まずいってやめようよ。それにどうせ鍵が閉まってるって」
「大丈夫だって! こんな時間に体育倉庫なんか使う奴はいないよ。
それにゾーリンもベルナドットもその手の管理がズサンだからな。鍵は……ほら! やっぱり開いてた」
誇らしげに体育倉庫の扉を開けて、彼女、高木由美江はするりと中に入り込んだ。
仕方無しに彼、○○もついて行く。
倉庫の中は意外に広々としている。
学業だけではなくスポーツも盛んな本校の特色か、
各種球技に陸上競技、そして器械体操等に用いるスポーツ用品がまとめて保管されていた。
由美江が主張したように昼休み時間ということもあって、みんな食事に埋没しているらしく、辺りに人の気配はない。
彼らは一足早くランチを終え、ここにやって来たのだ。
「まずいって、やっぱり。何もこんな所でしなくたって」
「何言ってんだよ○○、そう言いながらここまで来てんじゃないか」
「それは…由美江がずんずん先に進んじゃうから…」
「期待してたんだろ? いいよ今日はアタシに任せといて」
艶やかに微笑んだ由美江はひざまずき、○○の腰に両腕をまわす。
「今日さあゾーリンが教えてくれたんだわ、保健の授業で。
で、早速その復習をしたいって訳で…ねえ、いいだろう? ○○…」
由美江は○○の返事を待たずに彼のズボンのファスナーをくわえて下ろした。
勉強熱心な恋人達は倉庫にあった走り高跳び用のマットの上に腰を下ろし、その保健の授業の復習を実践していた。
「ど、どういう流れでこんなこと習ったのかな。確か教科書には一行も書いてなかったと思ったんだけど」
○○の下半身からそそり立っているものに愛しげに口付けしながら由美江はその○○の質問に答えた。
口が使えない間、彼女の右手が代役を務めている。
火傷しそうなほど火照っている○○の一部をしごきながら。
「ハインケルがやっちゃったんだ。試験管を使ってスキンの装着実演をしようとしたら
『試験管みたいに硬くなかったらどうするんですか』ってな。
これがインテグラ付近だったら見物だったんだが…」
「なるほど、相手はあまりにもご高名なゾーリン先生だったって事か。うわあっ ゆ、由美江っ 急にそんなっ」
話が済んだと同時に由美江の攻勢が再開された。
ゾーリン先生曰く、敏感につき取り扱い要注意な先端部分に由美江の可愛いくちびるがあてがわれ、接吻の雨が降った。
軽く吸われる度にその赤黒い先端はぴくぴくと脈打つ。
由美江はそんな○○のものを自分に与えられた玩具の様に遊んだ。
あっ う うっ ううっ ふう ふあぁ
薄暗い体育倉庫の中に○○のくぐもった声と、
由美江の舌の動きに合わせて奏せられるぴちゃぴちゃと卑猥な効果音が響き渡る。
先端を覆っていた彼女の舌は次の半瞬には奇妙な弾力の肉壁を疾走していた。
まるで子供がキャンディーを舐める様に、ぴちゃぴちゃと。
熱く脈打つ○○の一部を右手でしごきつつ、再び由美江の口が開いた。
「どんな感じだよ、ちゃんと気持ちいいか? 今のところ教わったとおりだけど問題ないか」
○○の左手が伸びて由美江の黒髪をサラサラと解く。
愛しい人の指からこぼれ落ちる髪の心地よい感覚に由美江は目を細めた。
「とても気持ちいいよ由美江、これまでと比較にならないくらい」
「そうか! じゃあもっとがんばる!」
意気込む由美江はあーんなどと口走りながら○○の先端を口に入れ、
くちびるをすぼめて舌で包み込み前後に動かし始めた。
んう… むぐっ もごっ ん……
ときに早く、ときに遅くと緩急をつけてすすり込む。
半身で感じる由美江の口中の体温と心持粘り気のある潤いに○○の一部はどうしようもなく硬直し、
彼女の髪を解くその手も止まり頭を押さえ込む。
そんな○○の様子を上目づかいに認めて由美江は喜悦し、次の段階に進んだ。
それまで○○の半身をいたわる様に包まれていた彼女の舌が彼を責め立てる道具の一部に成り果てた。
由美江の口中で破裂しそうなくらいに膨らむ先端を、硬くすぼめられた舌先が左右に、上下に転がし舐めまわす。
一緒に由美江の両手も添えられながら擦りだす。
由美江の舌が硬く膨らむ先っぽをなぞり転がすたびに○○の全身が小刻みに揺れた。
まるで何かの軽い運動中のように大きくなされる由美江の呼気を下半身に感じて、
心情面でも○○は興奮のるつぼに叩き込まれた。
「由美江っ 由美江ぇぇっ もうっ もうっ僕だめだあっ」
由美江は嬉しそうにほおを赤く染めながら最後の締めにかかった。
由美江は最後の段階には自信があった。
これはゾーリン先生に直接コーチ?をしてもらったからだ。
クラスメート達の眼前で行われたそれは一発で合格したものだった。
熱く張り出した○○のものと由美江の口の粘膜の間に次第に間隙が無くなる。
乾いたのどを潤そうとジュースの入ったコップに突き立てたストローを吸い上げる様に、
由美江は力強く○○を吸い上げる。
きつくすぼめられた彼女の中で舌が強く添えられ吸い付く。
準備が整い由美江の顔が上下に動き始めた。
途端に○○は声にもならない悲鳴をあげた。
喜びと驚嘆と耐え難いものになり始めた悦楽の悲鳴を。
そんな○○の表情を盗み見ようと由美江は再び上目づかいでみつめる。
見下ろす○○と目があい、半瞬お互い噴出しそうになったが今更二人供後には引けない。
ただひたすら前進あるのみだ。
ぴちゃぴちゃという音すらのどの奥に強く吸い込み、由美江の前後の動きは次第に激しさを増す。
いたたまれないほどに込み上げてくる何かに突き動かされて○○の腰が浮き上がり始めた。
由美江の腕がその腰に巻きつき押さえ込む。
「由美江っ 由美江えええっ もうホントに駄目だっ もうっ!」
白熱する限界到達点に達しかけ、○○は由美江の顔を引き離そうと、その黒髪が波打つ頭に手を置いた。
その刹那、
「よくやった高木由美江、よくぞ私の教えを完遂した! 褒めてやるぞぉ」
いないはずの第三者の大声に驚き○○は由美江の頭を強く押さえ込んでしまい、
由美江は固く○○の腰を抱き込んでしまった。
「あ、ああっ ああああっっ ごめんっ 由美江ごめんっ」
その気は全く無かったのに○○はほとばしる熱いものを由美江の口中に全て解き放ってしまった。
「かほっ けほっけほっ の、飲んじゃったああぁぁ 一体何なんだぁ!? ……あ、ああああああっ!!」
咳き込みぼやきながらも振り向いた由美江と、
たぎる物全てを由美江の口の中に誤って注ぎ込んでしまい虚脱した○○の視線の先に、
跳び箱の上で仁王立ちするゾーリンブリッツ先生がいらっしゃった。
「カハッ カハッ カハッ こんなに早く復習するなんざ、
お前も結構勉強好きだったんだな由美江よ、次のテストが楽しみだなこりゃ」
「な、なんでこんな所にいんだよ!?」
由美江は制服の袖で口を拭い、○○はそそくさとズボンを引き上げ履き直した。
「カハッ カハッ カハッ 体育教師が体育倉庫にいるのは別におかしかないだろう。英語教師がいたら変だけど」
「そ、それはまあそうだけど…」
「安心しろ。あんな授業を展開した以上、ここでお前らをどうこうしようなんざ思わねえ。
ジュースの一本でも恵んでもらえるんであれば、だが」
脱兎の勢いで○○は自販機にまで駆け出していった。
「○○〜 先生、今はさっぱりとしたアップルジュースがいいなあ〜」
走る○○の背中にゾーリン先生はリクエストを投げつけた。
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「うう〜飲んじゃったよぉ〜 変な味だ、ジュースで流し込まないと」
「ごめん、本当にごめん由美江…」
「カハッ カハッ カハッ 気にするな○○、ありゃタンパク質が主成分だから、
飲んでも体に害はない。問題ない、何も問題ない。飲め、全部飲め」
「そういう問題じゃないんだけど、ま、いいや」
先生一人と生徒二人は体育倉庫の運動マットの上で歓談していた。
腹黒い○○は缶ジュース一本ではゾーリン先生を買収するのは困難と見て購買で何個か菓子パンを見繕って買ってきた。
それを三人で分けて食している最中だった。
体育倉庫の奥のマットの上に、枕とタオルケットと目覚まし時計が置かれていた。
どうやら我らがゾーリン先生、次の授業までここで午睡を楽しもうとしたらしい。
「そうだよなあ、高校生だもんなあ。やりてえよなぁ、そりゃ仕方がない」
ゾーリン先生はアップルジュースをすすりながら語る。
ひょっとして、これが先生流のフォローなのだろうか。
「私も学校でやったもんだ。夏休みに真夜中の学校に侵入してよ。
最初男友達三人引き連れ、プールで水遊びだけするつもりだったわけよ。
ところが、なんかこうもやもやしてきてな、
気付いたらプールの中でまたプールサイドで4P。ま、青春の輝かしい1ページだわな」
濃すぎるゾーリン先生の体験談を拝聴し、○○は胸焼けしそうだった。
由美江は妙に真面目な顔をしながら質問を投げかけた。
「さ、三人とどうやってやるんだよ」
「んー 前と後ろと口があるじゃねえか。なんなら胸に挟めばいいわけだし」
「む、胸!? そんなん出来るのか!?」
「なんだお前パイズリも知らんのか? 顔に似合わず純情路線行ってたんだな。
教えてやりたいのは山々だが、さっきの授業を誰かが職員室にタレこみやがってな、結構な問題になったんだわこれが。
わたしゃこれは人生に必要な技術だと思うがそうは思わん奴もいるらしい。
インテグラは、
『ゾーリン先生らしい授業ですね、頭が痛くなるほど感服しました』
なんてクソ生意気にも抜かしやがるし、
マクスウェルとベルナドットはそんな私らを遠巻きに見てにやにや笑ってやがる。
少佐教頭先生が『熱意余ってのことだからまあ今回はいいでしょう』
と言ってくだすったからいい様なものの、
あのまんまだと最後は理事会で吊るし上げにされかねん」
そりゃ身から出た錆じゃねえか、と由美江は特に同情もしなかった。
○○が買ってきた缶ジュースと菓子パンを完食し、ゾーリン先生は再びお昼寝するべく寝転がりタオルケットを手にした。
「ま、たまには自習自学もいいものさ。お前ら時間だけはたっぷり持ってんだから精々励むこったな」
「そうする。どうしても分からなかったら、
クソ生意気なインテグラちゃんに授業時間中にでも聞いてみるわ。
じゃ、私らもう時間だから帰るね」
由美江はスカートにこぼれたパン屑を払って立ち上がった。
○○もそれに呼応して立ち上がる。
「そう言えば、お前らちゃんと試験管を理科準備室に戻しといたよな? ドク先生は五月蠅いからなあ、頼むぞホント」
「大丈夫、ダイジョウブーッ 私とハインケルとリップヴァーンの三人で返してきたから」
「そうか。お前とハインケルは頼りにならんが、リップヴァーンも一緒なら問題ないだろう。
それじゃお休み、勉強に励めよおめーら」
枕に頭を預け、ゾーリン先生は再び爆睡モードに突入した。
そのリップヴァーンが率先垂範して手抜きをしたなどと余計な事を由美江は言わずに、
○○の手を取って体育倉庫を後にした。
この会話から2時間後、ドク先生は修羅場を迎える事になるが、
そんなことはゾーリン先生も由美江もリップヴァーン委員長も知った事ではなかった。
―― END ――
ときヘルindex
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