プロローグ


「○○くん、おっはよー」
学校への坂道を上る途中で幼なじみのセラスが僕の肩をぽんと叩いて通り過ぎた。
彼女はいつも自転車で通学している。
短いスカートが視界の隅でひらりと舞う。
運動部の彼女は「動きやすいのが一番!」と言ってスカートの丈を短くしているけど
いいんだろうか? 幼なじみとしてはやっぱり何か言うべきか、困ってしまう。

教室に入ると、いつものようにアーカードとアンデルセンが喧嘩をしていた。
「お前のような不良哲学なき者が、女子生徒をセクハラかつあげなど言語道断!」
「信条さえあれば集団で一人の者をタコ殴り、それがお前達の哲学か!?
 愉駄(ユダ)の猿番長!」
アーカードは一匹狼タイプの不良、アンデルセンはこの学校の番長だ。
どうしてこの二人を一緒のクラスに入れたのか、僕は先生達の選択が疑問だ。
インテグラ先生なら二人を抑えられると思ったんだろうか。

「あ、あの、もうすぐ授業が始まりますから...」
気弱な学級委員長、リップさんが彼らを止めようと無駄な努力をしている。
「君も校舎裏で吊り上げてほしいのかね?」
アーカードはニヤリと笑う。
「お前は黙っていろ、不良哲学を理解せん異教徒めっ」
アンデルセンは一喝した。
リップさんはおびえた目になって今にも泣きそうだ。
どうしよう、助けに入るべきか。迷っていると教室のドアがガラッと開いた。

「お前ら! 朝から何をしている!!」
インテグラ先生だ。今日も黒スーツを身にまとい、
タイトなスカートから伸びる長い足には黒ストッキング、
さらにかかとの高いピンヒールを履いている。
女子生徒からも男子生徒からもあこがれの的だが、
勇気を出してバレンタインにチョコレートを持っていた男子生徒は、
目の前でそのチョコレートをピンヒールのかかとで粉砕されたという。通称"鉄の女"。

「さっさと座れ、授業を始めるぞっ!」
両手で教壇をバンと叩いて言った先生に対して、
アーカードはニヤニヤ好色そうな視線を投げかけながら、
アンデルセンは馬鹿にしきった顔で、それでも一応席に着いた。

やっと授業が始まる。

 


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