「魔弾の射手」 後編


眼鏡も衝撃で飛んだのだろう。あたりがよく見えない。
ただ暗い影がぼんやりとこちらに近づいてくるのはわかった。
「ひ、ひぃ、、、」
思わず後ずさる。
「リップ、本名はリップヴァーン・ウィンクルだったかな」
アーカードの声が聞こえてくる。背中が扉に当たった。でも腰が抜けたように立てない。
「面白かったぜ。こんなに楽しいのは久しぶりだった」
陶然とした彼の声が近づいてくる。
「俺は強い奴ほど本気で叩きのめすことにしているんだ。敬意ってヤツでね」
アーカードはいつの間にかリップの前にしゃがみ込んでいた。
顔に何か金属製の堅いものがあたる。彼女の眼鏡だ。
リップは反射的に手を伸ばしてそれをうけとり、眼鏡をかけた。
「リップヴァーン。女の場合、叩きのめすっていえば…分かるよな?」
急にはっきりした視界と共に、はっきりした現実も襲いかかってきた。

「あ、あ、あああ、あああ」
言葉を発することもできず、ガタガタ震えている彼女をアーカードは片手だけでつるし上げた。
本来そこから逃げるはずだった屋上入り口の壁に、リップの体を押しつける。
もう片方の手で無造作に彼女のスカートの中に手を入れ、ショーツを引きずり降ろした。
「ぃやぁ,,,」
力無く呟くリップをアーカードは怒鳴りつけた。
「だったら何故撃ったんだ!? リップヴァーン!」
「ひぃっ」
その声にリップの体はまたガタガタと震え出す。
「楽しかったんだろ? たぎったんだろ? 最初は少佐に命じられたことでも、
 最後はお前自身楽しんでいたんだろうが!!」
ちがうちがう、私はやらなきゃならないことに懸命だっただけだ。
やらなければ全てを失うから。どうしようもなかったんだ。
リップ自身嘘だとわかっていても、そう思わないと全てが崩れていきそうだった。

足が持ち上げられ、開かれた。まだ少しも湿っても潤ってもいない
堅く閉じたそこに、取り出されたアーカードのものが押し当てられる。

リップはもちろん処女だった。誰かとつき合ったこともない。キスの経験すらなかった。
しかし今、彼女の敏感な部分にはアーカードのそれが押し当てられている。
アーカードははゆっくりとリップの体を吊り上げている力を抜いていった。
自然と彼女自身の体重によって、リップの秘所はアーカードのものを受け入れていく。
「いやぁっ! いたいぃ! いたいぃぃっ!!」
泣き叫ぶ顔を、アーカードは愉快そうに眺めていた。
必死でばたつかせる足によりスカートがまくり上げられる。ポケットから何かが落ちた。
「あっ」
リップは一瞬何もかも忘れ、呆然とした顔でその定期入れを見つめた。
アーカードもその視線を追っていた。
しかし彼は気にせず、今や深々と入り込み密着した局部に手を伸ばした。

リップの背を壁に押し当て、太股を両手で持って激しく腰を突き上げる。
「ひっ! ひぃっ! いっ!!」
リップはただただ痛みに耐えかねて顔をしかめ、首を左右に振っている。
涙がぽろぽろとあふれ出していた。
接合部分からはトクトクと血が流れ出している。
激しく体を上下に揺さぶられ、挿入を繰り返されることで、
堅いコンクリートに押し当てられた背中もはげしくこすれ、セーラ服がやぶける。
その下のブラのホックもぷつんとはじけた。
そして薄い下着もやぶけ、背中が直にコンクリートに当たる。ざりざりとこすりつけられる。
今や局部と背中の痛みでリップは気が狂いそうだった。
必死にすがりつくように、地面に落ちた定期入れを見る。

アーカードは彼女の痛みも定期入れのことも全てを知りながら、
ただ一方的に挿入、陵辱を繰り返した。体で覚えさせるというのはそういうことだ。

「お前、俺たちを殺す気だったのか?」
答えはない。リップはそれどころではない。でもアーカードは問い続けた。
「たぶん最初はちょっとおどかすだけのつもりだったんだよな。
 少佐にもそう言って説得されたんだろ。 
 でも実際に射ってみたら楽しかったんだよな? 血を見て興奮したんだよな?」
「あぁ、あああああ...」
泣き続けるリップを見て、アーカードは無造作に体を引き抜いた。
そして彼女の体をアスファルトの上に投げ出した。

セーラー服は背中からやぶけ、背中と足の間から血を流しながら、
懸命にリップはアーカードから逃げるように這った。その先には彼女の弓が落ちていた。
反射的につかむ。でももう矢はない。
ただ弓を手にしたことで、さっきの記憶がよみがえった。
リップは確かに楽しんでいた。血に酔っていた。自分の力に溺れていた。
少佐先生に利用されるしかなかった自分、インテグラ先生のようにはなれない自分、
大尉先生に気持ちを伝えることも、「どうして?」と聞くこともできなかった自分。
たった一つの特技である弓を撃つことで、その全ての現実から逃れようとしていた。
「ああ、ああ、ぅううう」
リップは大切な弓を抱きしめて泣く。そうしながら近づいてくるアーカードを前に震えていた。

「答えろ、リップヴァーン」
アーカードは月を背に、腕を組んで魔王のように問いかけた。
「そしてお前はこれからどうする?
 さあ!! どうする!! どうするんだ。
 リップヴァーン・ウィンクル!!」
ああ、ザミエルだ。魔弾の射手のザミエルだ。リップはオペラ「魔弾の射手」を思い出した。
私は彼らとは違う世界に住んでいたつもりだったのに、
今夜弓を射ることで彼らと同じになってしまった。
「亡霊を装いて戯れなば、汝、亡霊となるべし」 オペラの言葉が頭に響く。

かたん。リップの心のどこかが壊れた。
リップは弓を取り落とし、ふらりと立ち上がってアーカードに向かって歩いた。
そのまま彼の体にすがりつき、震えながら言った。
「お願い、抱いて」
私をもっと滅茶苦茶にして。

アーカードは黙って彼女の体をアスファルトの上に横たえた。
さっき散々陵辱したそこを開く。血と共に確かに透明な液も流れ始めていた。
先ほどと同じように挿入する。
「あぁ...」
リップの声は艶を帯びていた。
ゆっくりとした動きが気持ちよかった。現実からの逃亡なのか、自分への罰なのか、
とにかくリップはアーカードに犯されることで、確かに快感を味わっていた。
「ああ、ああああぁん」
もっともっとと自ら足を絡め腰を動かす。
どこまでも堕ちていきたかった。自分のすべてをさらけだして、崩してしまって欲しかった。
自らセーラー服のボタンを開き、薄い裸の胸を隠すところなく出す。
そしてアーカードの体にすがりついた。
熱い吐息でアーカードの胸や首筋にキスを繰り返す。
「はぁ、、、あぁああ、、、うぅん、」
快感は波のように押し寄せてきた。その波ですべてを洗い流して欲しかった。
リップは自分からどんどん深い場所へと溺れていく。
「あ、あああ、はぁあああっっ」
腰ががくがくと震えてくる。始めての絶頂を迎えた。体からすべての力が抜ける。
アーカードは無造作に自分のものを引き抜いて、リップの体の上に白濁した液を放出した。

まだ快楽の余韻に浸っているのか、正気に戻れないでいるのか、
とにかく呆然自失としているリップを放り出し、
アーカードは彼女が散々気にしていた定期入れを拾い上げる。
開くとそこには花の写真があった。真ん中にいくつも実を付けた白くて可憐な花。
大尉の写真、か。
アーカードはちらりとリップを振り返った。
哀れだとは思わない。これが現実なのだ。それに耐えられるかはリップヴァーン次第。

アーカードは無造作に定期入れをリップに向かって放り投げた。
それは彼女の顔のすぐ近くに落ちた。
それから体を翻し、非常階段を降りていく。当然だが振り向くことはなかった。

何時間くらい自失していたのだろう。
ともあれ、リップが最初に認識したのは夜空の白い満月だった。

「秋の夜半の み空澄みて…」
リップはいつの間にか口ずさんでいた。いつもの歌を。
「月のひかり 清く白く 雁の群の 近く来るよ
一つ二つ 五つ七つ…」
涙が止まらない。それでも心はどこかおだやかだった。
頭の近くに放り投げられた定期入れを開く。
エーデルワイス。
大尉先生。
私は、これからどうするのだろう。どう生きればいいのだろう。
きっと昨日までの自分ではいられない。ちゃんと変わっていくことができるだろうか。
もうザミエルになど捕らわれない人間になれるだろうか。
それから、利用されず、自分と自分の気持ちを大切にできる人間に。

わからなかった。ただ月の下で裸身をさらしたまま、リップは歌い続けた。
「家をはなれ 国を出でて ひとり遠く 学ぶわが身
 親を思う 思いしげし 雁の声に 月の影に…」

おわり


ときヘルindex

 

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!