試し書き

阿近編

 
 
『阿近』
 
 
 
「・・・・何でこの人の名前書いたの。私」
 
自分でもよくわかんないけど、印象が強いんだ。この人(人?)
 
 
 
―――・・・阿近さんとは、義骸を作ってもらうために十二番隊を訪れた時に初めて会った。
 
十二番隊にもまともな顔の人いるんだな〜(角生えてるけど・・・)ってのが、第一印象だった。
 
でも、次に十二番隊に出来上がった義骸を取りに行った時・・・・・
 
 
「うわぁ〜そっくり!・・・凄い・・・」
 
「当然だ。俺が作ったんだからな」
 
「ぎゃ!何時の間に・・・!;」
 
気づくと後ろに角の生えた人が立っていた。
 
「自分の局だし。居て悪いか?」
 
「いっ・・・いいえ!!」
 
私の怯えっぷりにケラケラと楽しそうに笑う人。
 
あ・・・十二番隊にも普通に笑える人居るんだ〜
 
「あ?何か言ったか?」
 
「なっ、何も!!」
 
き、聞こえてた!?心の声だっつーの!
 
・・・いや!ここは謎の十二番隊・・・もしやテレパシーが・・・?!
 
「ならいいや。」
 
 
違ったー!!!!
 
 
 
私が、心の中でもの凄い攻防を繰り広げていると、
 
 
「じゃ、気を付けて持ってけよ。・・・円香」
 
「え、あ、はい!」
 
そう言って部屋を出ていってしまった。
 
 
――バタン
 
「・・・ふぅ。心の声抑えんのに必死で少し汗かいちゃった・・・」
 
(何か自分でも莫迦だと思った)
 
 
「まぁ、早く戻ってお風呂入ろぉ・・・。よいしょっと。」
 
自分の義骸を抱えて十二番隊を出ようとしたとき、
 
入り口に眼鏡の女の子が立ってた。(普通の人っぽかった)
 
「ありゃ。もう帰るの?円香ちゃん」
 
「え、はい。義骸貰ったんで・・・って、何で名前?」
 
「阿近さんが言ってた。阿近さんと話した?」
 
「阿近さん・・・?わからないですけど、額に角が生えた人となら少しお話しました。」
 
「ぉ!その人が阿近さんだよっ☆・・・どうだった?」
 
「どうだった・・・?」
 
「君、隊長とか副隊長じゃないでしょ?君の義骸作ったの阿近さんだよ!」
 
「?・・・すみません・・・意味が、よくわからない・・・です。」
 
「平死神の君の義骸を阿近さんが作ったんだよ!」
 
「まだ・・・わかりません・・・;」
 
つか・・・平死神って。たしかにそうだけど・・・くそぅ。
 
「とっても珍しい事なんだよ!」
 
 
「そう・・・なんですか?」
 
「そう!しかも全部阿近さんが一人で作ったの!」
 
「ごめんなさい・・・十二番隊のしくみがよくわからないものでしてそのようなことをいわれても・・・」
 
「つまり。わかりやすく言うと、とても気に入られてるって事!」
 
・・・・―――マジで?
 
「マジで?」
 
ハッ、つい心の声が・・;
 
「うん。マジで☆」
 
・・・あ。この子いい子だ(笑)
 
「阿近さん・・・か。」
 
 
・・・(角生えてるけど)格好良かったし、気に入られてても悪い気はしないなぁ・・・。
 
 
・・・――――ハッ
 
よく考えろ・・・!!ここは技術開発局。いわゆる変態・・・ぁ、いや。科学者の集まり。
 
 
―――――”気に入られた”―――――
 
もしや、それはすなわち『研究材料』?・・・私は・・・その対象として―――?
 
え?私は研究されて・・・・ドロドロになるまで・・・・・・・・・・『解剖』!!?
 
 
――――ヤバイ。
 
 
私はゴクリと唾を飲みごんだ。
 
「あ・・・あの」
 
「ん?何?」
 
「お断りします!!!!!」
 
 
 
私は一目散に逃げた。
 
私の明るい未来の為に・・・(キラリ涙)
 
――――――――――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――――――
・・・・・・・・・
――――
・・・・・
 
 
 
 
「はぁ・・・。あんときはホント怖かったなぁ・・・(遠い目)」
 
 
「あ。」
・・・・・・・ふと疑問。
 
「阿近さんの名字って何だ・・・。ん?そもそも名前なのかな・・・名字だったりしない?」
 
 
・・・・・・・・。
 
 
 
何か・・・・
 
 
「インク無駄したなぁ・・・」
 
 
 
 
あと、時間。
 
 
 
 
 
 
 
――――もちろん阿近は貴女のことを、『研究材料』の対象としてではなく、
                  『恋愛感情』の対象として気に入っていましたとさ――――
 
                                      THE☆END
 

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