決められた人数に入る為、僕らは頑張るんだ―・・・。

 

   紅白戦の始まりです!

 

私は今、目の前で戦っている皆さん御姿を見ています。

 

―できる事なら皆さんを合格させあげたい・・・。

 

それが私の願いです。

叶う事は無理かもしれませんが・・・でも落ちてしまった方の事を想像すると、

 

とても・・・

 

胸が・・・

 

苦しくなるのです。

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

は紅白戦を見て、そう思った。

『皆に受かって欲しい。誰かが落ちる所を見るのは嫌。』

 

心の中で祈るけれど、それは所詮、儚い、遠い夢。

 

現実は―・・・厳しい。

 

は紅白戦で『交代させられた者が合格』という事を、事前に教えてもらっていた。

でも、水野が受かった時も、藤代が受かった時も、素直に喜べなかった。

誰かが合格するという事は、落ちる人が絞られてくると言う事。

そんな思いが強く心に刻みついて、喜ぶ事が出来なかった、笑顔になる事ができなかった。

 

は紅白戦の間、ずっと両手を胸の前で合わせるように握り、下を向いていた。

 

ピ――・・・・。

 

終了のホイッスルが、手入れの行き届いた芝生の上に響き渡る。

決まったのは10人。残りのメンバーは明日発表される。

 

 

 

ちゃ〜ん!」

そう言ってに飛びついてきたのは藤代だった。

「見ててくれた?俺の勇姿!」

「あ・・・はい。」

の浮かない返事につかさず(何処からやって来たのか)椎名が問い詰めた。

「どうせの事だから落ちる人の事でも考えてたんでしょ?違う?」

「・・・・。」

 

その場に異様な雰囲気が漂う。そこで藤代が、ある事を思い出すと、明るい顔でこう言った。

 

ちゃんさぁ。マネージャーの仕事ってこの3日間だけで終わりなんだよね?寂しいな〜俺ちゃんのこと好きなのに!」

なんとか盛り上げようとする(その中に本音も入っているのだが。)藤代に対しても、は無言を突き通した。

嫌、話す事が出来ないと言った方が良いのだろうか?

の頭には『嬉しい』と『悲しい』が交差するように巡るのだった。

 

 

―次の日(最終日)―

 

今日はとうとうメンバー最終決定の日。合宿も最終日である。

 

 

午後、皆が集められた。

受かった者の名前が次々と呼ばれてゆく。

もちろん、その中には自分の名前が呼ばれられない者も居るのだが。

は西園寺監督の前でまたもや、どうしようもない気持ちになっていた。

 

すると、合格者の名前以外の人が呼ばれる。

 

「小岩、風祭」

 

補欠とは言え、受からなかった者達は動揺を隠せない。しかし一番動揺していたのはだった。

すぐさま玲の顔を見るに玲はにっこりと微笑みながら、こんな事をに告げる。

 

「これからもよろしくね。さん。」

「・・・へ?」

「貴方があまりにも不合格者の事を考えて悩んでるのが、辛そうだったからと言って、尾花沢監督が補欠合格を許して下さったのよ。ただし、条件付でね。」

「条件って・・もしかして私が東京選抜のマネージャーをやる。という事ですか・・・?」

「そうよ、鋭いわね。でも辞退も出来るのよ?どうする?」

「そんなっ、滅相も無いです。実はもう少し、ここでお手伝いしたいなと思って・・たんです。」

 

さっきの顔とは裏腹に、が嬉しそうに答える。

「じゃあお願いするわね。」

玲もにっこりと返事を返す。

「と、いう事なんで、分かったかしら?東京選抜の皆?」

今の会話に聞き耳を立てていたメンバー達にそう言う。

 

ちなみにこれ程、選抜メンバー達が尾花沢監督に感謝したとは言うまでも無いだろう。

なにせこれから練習がある度に、自分の愛しくてたまらない女の子、に会えるのだから。

 

 

(((((あんの・・・!セクハラ親父め!!))))))

逆に、落ちてしまった皆がそのように思って、これ程までに尾花沢監督の事を憎らしく思ったという事も、言うまでもないだろう・・・(笑)

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

全てが終わって、皆は自室に戻っていく。

しかし戻らない人がここに一人。

 

コンコン。

 

少し遠慮がちに叩かれたようなノックで中から人が出てくる。

 

「・・・なんだ、。」

「あの、三上さん。少しお話させてもらっても宜しいでしょうか?」

「あぁ、入れよ。」

幸い、この部屋には三上しか居なかった。(他の人は友人の所に行ったらしい。)

 

「何だよ?話って。」

「あのですね・・・。」

2人は二段ベットに持たれかけながら、隣同士に座る。

 

 

 

 

・・・・・。

 

 

「話って俺が選抜に落ちた事か?」

なかなか話を始めないに三上は問い掛けた。

「あれだったら別に良いんだぜ?別に入ろうとも思ってなかったし。」

 

「嘘です、三上さん。」

悲しそうに、ポツリと言う。

「三上さん、私正直、三上さんは絶対受かると思ってたんです。なのに・・・。」

「なんだそれ?嫌味か?」

「ちっ違います!本当に・・・思ってたんです。」

 

実際に落ちたのは三上の方なのに、はその場に泣き崩れてしまった。

「オイオイ・・・泣くなよ。」

目の前で自分の好きな女の子が泣いているのにほっとけるはずが無い。

三上はふぅと溜め息を付き、そっとの肩を自分の方へと引き寄せた。

 

「お前は、俺の代わりにマネージャー頑張れ。俺の分までここでサッカーを楽しめ。」

「み・・かみさん・・サッカー止めない・・で下さいね。」

途切れ途切れだが、気持ちのこもった言葉。

 

「やめねぇよ。俺はもっと強くなる。」

 

「ハイ。」

 

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

 

サッカー好きならそれで良いなんて事は無い。

 

好きな事だからとことんやりたい。

 

たとえ、落ちても受かっても、気持ちは一緒。

 

私も三上さんの変わりにマネージャーとして、

 

サッカーが好きな1人として、

 

皆を支えていこう。

 

 

大好きな、大好きな皆の為に。

 

 

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いやん、みかみん良いとこ ど・り・♥(キモイからヤメレ。)

でも本当に三上さん良いとこ取りです。

私は選抜落ちた三上さんが好きです!!(意味不明)

三上さんには武蔵森のサッカーをして欲しいんです!

↑この際、選抜受かっても武蔵野のサッカーは出来る、

というツッコミは禁止ですよ。(滝汗)

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02/10/18

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