流石に自分で女好きのソレを名乗るだけの事はあって

彼と過ごすこの一夜は、今迄自分の上を通過していった男達の誰よりも上手くて
それこそ代わりを勤めてくれている彼よりも上手くて






唯一、心から愛した
忘れられないあのヒトを除けば

あのヒトが未だ、心にこびり付くようにして住んでいなければ

もしかしたら今、自分を抱くこの男に溺れてしまったかもしれない
何て、そんな馬鹿げた事を思える程に彼は女を酔わせるモノを持っている男だった


















流れ流れて…4


















その男らしい胸に抱かれて。
太くて、それでも繊細な動きを繰り返し、自分を追い詰めるその指先。
彼に高められ、限界を訴えてやっとのコトでイかせてもらって。
制御の利かなくなった身体で淫らにオネダリをして、やっと彼を内へと招き入れられた時。






歓喜の声を上げる身体と声
絶望と自身への嘲笑に泣く心






もう、自分が何を望んでいたのか

本当に分からなくなっていた……

















行為の終わった気怠い身体を柔らかい布団の上で横たわらせていると。
しっかりと筋肉の付いた腕が伸びてきて、そっと彼の胸の中へと引き寄せられる。

汗に塗れた身体同士を密着させて。
お互いの熱を引かせる為に会話もせずに荒い息を繰り返す。

視界の端に映る、暗闇にも染まらない真紅の髪の色。

先程までその髪の色が自分の身体の上で淫らに動いていたのを思い出すと。
何とも云えない感慨が襲ってきて。

今更ながらに。
もう、切れてしまったのにも係わらず。
胸に巣食う男への懺悔の気持ちが蠢いて。

殊更、甘えるように彼の胸へと額を摺り寄せた。






そんなアタシの髪を、優しい手付きで梳いてくれる悟浄の手。

その手付きは、まるで共犯者のように思えて。
改めて巻き込んでしまったのをリアルに感じてしまって。
どうしてこの優しい男を巻き込んでしまったのか、と心底後悔する。

それにあんなにも身体の相性が合ってしまって。
淫らに乱れる自分を、苦痛を含んだあの紅い目で見られていたのかと思うと。
本当に言葉も出ない。






これが今の自分なんだ、と。
彼に知らせるには一番、手っ取り早い手段だったかもしれないが。

もしかしたらそれは諸刃の剣だったのかもしれない、なんて。
傷付いている自分の心を感じて更に苦しくなって。

自然と涙、と云う形になって。
ソレは体外へと姿を現した。






だって、何て、惨めなんだろう……

あの時の女はアタシ達の関係をぶち壊しておきながら、自分はノウノウと幸せになっていて。
アタシは三蔵と引き離されて、身体を汚されて。
挙句、こんな所で更に身体を汚し続け、昔の仲間にも金で身体を開いて。

幾ら自分で選んだ道とは云え、流石に嫌気が差してきて。

何時もなら、床を共にした後は時間とタイミングを見計らって部屋を出て行くのに。
今日に限ってこの昔馴染みの男に抱かれた儘、眠りに付きたいと思った。

そして本当に一晩、彼と残りの時間を過ごして。
朝焼けが闇夜を裂いて紫色の空を演出し始めた時。

浅い眠りの中にいた悟浄は。
薄い襦袢だけを纏っていたへと視線を向け。






その色に、紅い目を更に苦痛へと歪める。






『紫厭』と名を変えて。
昔なんかには戻れないと云い。
自分はこの街の人間だと云いきった筈なのに。

なのに何故その身に纏う。
素肌に直に触れる、その襦袢の色が『紫』なのか…

未だに諦めきれていない彼女の心が、複雑なその心内がその襦袢に現れていて。

悟浄は夜が明けきるまで。
が眠りから覚めるまで、その色に包まれた彼女を見詰め続けていた。



















「悟浄様。もう、此処へは来ないで下さい」

お互いにこんなにも辛い思いをする位なら会わない方が良いでしょう?

言外にそんな意味を含ませて、は帰り仕度をする悟浄へと語りかけた。
その言葉に、確かにお互いがこんなに傷付け合うのなら会わない方が良いのだろう、と頭の中では理解するが。

「……お前がココに居るのを知った俺に、…そのセリフを云っちゃうかなぁ……」

僅かに口の端を歪めて。
眉間へと少々皺を寄せて。

もう、知ってしまった今では。
この先幾ら辛かろうと引き返せる事は出来ないのだ、と。

此方も言外に云う。

「貴方は……それで良いのですか?」

最後の確認のように、はその科白を口にして。
望まれれば、断る事の出来ないこの町の女だからこそのその科白。

本当は悟浄の方から『もう来ない』と云って欲しいのだと含ませるが。

「良いも悪いも、もう遅いっしょ?」

既に関係を結んでしまった後なのだから。

そんな意味合いを込めた言葉を貰って。
何故、こんな会話を彼としているのだろう、なんて今更ながらの疑問を感じるが。

選んでしまった過去の選択権を今頃後悔しても何も生む筈が無くて。

「そう、ですか…」

は辛そうに笑って。

「では、またのお越し、お待ちしております」

両手を揃えて手を付いて、頭を下げた。

「あぁ……またな」


















その日を境にして悟浄は賭博場で荒稼ぎをし始め。
八戒の待つ、自宅へは一向に帰らない日々が始まった。









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