何時も自分勝手で傲慢で
己の行く道だけしかその視界に入れず
一緒に行動をする彼等ですら只の下僕で
その下僕の女のアタシなんて
彼の視界の端にすら入れて貰えないちっぽけな存在
でもね、三蔵
女って生き物はとても厄介なのよ?
相手にしてもらえないからって
自分から売り込んでいかないからって
決してアナタに興味が、気が無いワケじゃない、のよ?
woman
本日はお久し振りの宿での宿泊。
連日に続いた野宿の所為で、彼等の相手もそうそう出来なかった所為か。
今晩は何時に無くシツコイ位にソレを強要して。
何時もなら一人ずつ相手にしているんだけれど。
今日に限って彼等は自分の意志を曲げようとしなくて。
アマツサエそれを押し通して。
二人いっぺんに、なんて無謀な事をアタシに要求した。
彼等のどちらか一人でも一晩、夜を共にするのは体力を消耗するって云うのに。
それが本日は二人がかりだなんて。
アンタ達、アタシを殺す気ですか?
だって云わずと知れた悟浄は女の身体を知り尽くした玄人で。
流石に自分で云うだけあって、彼のテクには頭が下がる思いだ。
だって一晩で何回も何回もイかされるんだもの。
だから彼とベッドを共にした女達が彼から離れたがらないのを自分の身を持って嫌って位に知ったのよ。
以外だったのは八戒で。
一見、害の無い笑みを始終浮かべている優しいお兄さんのような彼が。
ベッドを共にした途端に、鬼畜と呼んでも差し支えないような笑みを浮かべながらすンごい行為を要求してきて。
ハッキリ云って詐欺だと思える程だった。
気分によって断る事もあったけれど。
今日は自分的にもシタイ日だったので、断るつもりは無かったのだけれど。
でもね、こんな体力馬鹿(失礼)のような二人に良い様に嬲られるアタシの身にもなれってんだ。
「はっ、…あっ、ああ、っん」
「綺麗ですねぇ…」
「ほら、もっと鳴いてくれよ。そのイイ声でサ」
四本の手で身体中を撫で回されて。
胸の膨らみ、突起、彼等を受け入れるトコにその直ぐ上の突起にまで、至る所に手を伸ばされ。
アタシの中に指を突っ込んで、好き放題に動かして。
擦れる壁を引っ掻くように動かされたと思えば。
もっと奥まで入ろうとして突っ込まれたり、と。
休まる暇の無い愛撫を施され。
息も絶え絶えに喘ぎ声を上げ続けて。
彼等の指が蠢く度に厭らしい水音がアタシのソコから奏でられて。
今更ながらに羞恥心が首を擡げて、嫌々をするように頭を振れば。
「ふふ…、どうしたんですか?」
「なぁに恥かしがってんだよ、今更ダロ」
「ですよね。何時もはもっと凄い事してるでしょう?」
云いながらも指の動きを早くしていって。
悟浄は耳の後を舐め上げて、八戒は耳の穴へと舌を突っ込んで。
「うっ…んん、んぁっ、あ…」
嬌声と共に、指を突っ込まれた自分のソコが締まっていって。
「おっ、はこういうのも好きなんだねぇ」
「そうみたいですね、ココも随分と喜んでいるみたいですし」
余裕を持っているように聞こえる彼等の科白も。
目を見れば欲望の火を灯していて。
今直ぐにでも己の欲望を捻じ込みたい、と云っていて。
「うぅっん…ね、も…ぅ……」
淫らなオネダリをすれば、彼等は待っていたかのように起ち上がっていたソレを取り出して。
「しょうがないねぇ、ちゃんは。もう限界なの?」
「相変わらずオネダリ上手ですよね」
そう云いながらも悟浄と八戒は指を引き抜いて。
「俺が先でイイ?」
「えぇ、では僕は此方で」
悟浄は先程まで指を入れていた蜜壷へ、八戒は喘ぎ声を洩らし、開いた儘の口へと各々ソレを突き立てる。
「あぁっ、いいっ、ぅぐ、んん…」
下から這い上がってくる悟浄が醸し出す快感を、本来なら声を出す事である程度は逃がす事が出来るのに。
その声を出す口が八戒のソレで塞がれてしまっていて、逃げ場の無い快感を身体中に押し込められて。
どうにもならない熱が、発散させる事も叶わなく。
かと云って溜めるには大き過ぎるソレをどうにも出来なくて彼等の良い様に高め上げられて。
急激に限界が近付き。
締め付けが激しくなり、悟浄が溜息のような息を洩らす。
「ふっ……、そんな締めつけんなよ…もたねぇダロ?」
微妙に動きを早められれば、もう引き返せない位に身体が強張っていって。
八戒のを咥えていられなくなり、ずるりと離してしまえば。
狙っていたかのようなタイミングで打ち付ける速度を上げられて。
「ご、じょぉっ…いっ、いっちゃうよぉっ…」
「あぁ、…イきな、俺もイクからっ」
悟浄が云うが早いか、はシーツに噛み付いてくぐもった声を上げながらイって。
その締め付けで、溜まっていた悟浄も早々にの中へと白液を注ぎ込んで。
何度か挿入を繰り返し、最後の一滴まで出し尽くせば。
ソレをズルリと引き抜いて。
虚ろな目をしたをその儘、横たえてやれば。
今度は八戒が悟浄との位置を交換して。
「随分と気持ち良さそうでしたね、。今度は僕も気持ち良くしてくれますか?」
云いながらも、未だに悟浄の白液が入り口付近から溢れてくるのソコに捻じ込んで。
「ふあっ…あっ、はっ…かいぃ……」
「あぁ…本当に気持ちイイですねぇ、の中は」
溜息交じりにそう云った。
「ダロ?こんなにイイ女は早々いねぇって」
一先ず、一度抜いた悟浄が八戒との行為を眺めながらそう云えば。
「えぇ、もう手放せないですよねぇ」
イったばかりのトコに八戒のを突き立てられて、強烈なまでに動かされたが悲鳴のような嬌声を上げ続け。
その様を二人して僅かに口の端を上げながら聞き惚れて、見惚れ続け。
「まったくだ」
そう同意した。
そんな一晩を過ごしたけれど。
翌朝になれば、そんな事等無かったかのように三人は振舞って。
だって今の彼等の居る立場は西への旅の真っ只中なワケで。
高々、夜の関係位で対応の変わるような輩では無かった為か。
お子様な悟空は気付きもせず。
三蔵様は気付いているのか、いないのか。
それとも長い道中で、男ばかりのこの所帯にはそんな事も必要なのだと理解しているのか。
否、彼に限ってそんなお優しい理解を持つ筈が無いと云いきれてしまうが。
それでも何も云って来ないのダケは事実で。
たまに機嫌が悪そうにしている事が有るのみで、コレと云って何も云って来なかった。
そう、昨日までは、だ。
運良く、次の日も予定していた街へと付く事が出来て。
早々に宿へと腰を落ち着けた彼等が、明日の為の準備をしに何時ものメンバーが出掛けていた時の事だった。
自分の部屋で旅の汗を流したが、何時も集合する三蔵の部屋へと行くと。
彼の他には誰も居らず。
「あれぇ?三蔵、皆どこに行ったの?」
「………買い物だ」
「そっかぁ、つまんないのー」
云いながらもは三蔵の部屋のベッドへと腰を下ろし。
昨日、頑張ってくれた彼等のお陰で鈍痛の響く腰を庇う為に横になる。
新聞を読んでいた三蔵がソレを視界の端に入れると、とても嫌そうに眉間に皺を寄せて。
「何でテメェが俺のベッドで横ンなってんだよ」
「イイじゃーん、だって疲れてんだもん」
の科白に三蔵は皮肉気な笑みを口の端に浮かべて。
「だろうな。昨日は随分と頑張ってたみてぇだしな」
突然、云われたその事実に。
そう云えば昨日シタ部屋の隣は三蔵だったなー、なんて思い出して。
「あぁ、アレねー。別にイイでしょ?三蔵に迷惑掛けてるワケでも無いんだしさ」
「フザケンナ、こちとら多大な迷惑被ってんだよ。盛りの付いた猫じゃあるまいし、煩くてしょうがねぇ」
「そっかー。それで今日の三蔵はご機嫌斜めだったのネ。じゃ今度は気をつけるから」
遠慮も臆面も無く、そう云い切ったに。
三蔵は眉間に深い皺をくっきりと浮かべて。
「はは、三蔵様はこんな娼婦みたいな女を視界の端に入れるのも我慢ならないってか」
じゃ、此処に居るのは悪いか何て言葉を呟きながらは立ち上がり。
部屋を出て行こうとする為に扉のノブを掴んだ。
ソレを回そうとすると、後ろから骨ばった手が出て来て動きを止めさせる。
「三蔵?」
背後にはピッタリと寄り添うように三蔵の身体があって。
「どうしたの?」
出て行こうと、ノブを掴んだ手を彼の掴まれた儘で。
逆光になった彼の表情は窺い知る事が出来なくて。
「ねぇ、三蔵ってば」
「………ぇんだよ…」
低い低い、低音で。
呟くように、囁くようなその言葉は彼女の耳に届かなくて。
「はい?何?」
不意に交わった視線。
その闇紫の瞳が、何時もとは違うような気がして。
何故か
坊主と云う
三蔵法師と云う高位の
何時も女には興味も無いような彼の目が
どうしてか暗い欲望を灯しているような気がして…
「……さん…ぞぅ…?」
ま、さか……アタシに『欲情』…してる、の?
こんな娼婦のような女に。
自分好みの男に声を掛けられれば、直ぐにでも足を開いてしまうようなアタシに?
昨日だって悟浄と八戒相手に散々痴態を繰り広げたこんな女なのに?
頭の中で『違う』と云う声と『きっとそうだ』と云う声がせめぎあって。
こんなアタシ相手にそんな感情を持つなんて有り得ない。
だって彼は三蔵法師なんだし。
でも彼のこの目は『嫉妬』に焼かれる男の目だし。
其れなりに男関係の激しかったアタシが、その感情を読み違えるなんて無いだろうし。
そして唐突に頭の中に浮かんできた一つの可能性。
ソレは瞬く間にに浸透していって。
あぁ……
きっと、彼は
この旅の所為で女に飢えてたんだろう
毎晩のようにどちらかと身体を重ねる、欲望を解き放てる事が出来る彼等が羨ましかったのだろう。
その考えは、アタシの事をそう思える程に膨らんでしまったのだろう。
根本は『気のせい』、『誤解』、『思い込み』、きっとその程度の事だろう。
「………」
低い低音で自分の名を呼んで。
憂いを帯びたような焼けた目で。
近付いてくる彼の綺麗に整った顔。
この考えが無ければ多分、彼を受け入れてしまったのだろうが。
それでも自分にとって、彼だけは回りの男達とは違う、手を出してはいけない神聖な者だと認識していたから。
彼が仕掛けてきたソレを寸でのトコで、顔を背けると云う行為で拒絶した。
「………ごめんね、三蔵…。…他の誰かだったら良いんだけど、アナタだけはダメなのよ」
そんな言い訳をしながら少しでも彼と距離を離そうと、自分との隙間に手を入れて彼を押し返す。
「一時的な勘違いだからさ、……きっと後から後悔するし、目も覚めると思うんだ」
彼の目をマトモに見る事が出来なくて、視線を顔ごと下へと向けて避けて。
「アナタみたいな良い男だったらさ、もっと他に綺麗で思いやりがあって優しくて、アタシみたに汚れてないようなヒトが現れるから」
だってココで抱かれれば、きっとアタシは引き返せなくなるような気がするから。
「だからもっとマシなヒト、見つけて?」
―だからアタシなんかに構わないでよ…
恐ろしいと思える位の長い沈黙が降りて。
二人共、金縛りにあったかのように動けなくて。
何時も馬鹿ばかりやっていたから、こんな沈黙には馴れていなくて。
ソレが痛いような気がして、嫌で嫌で。
早くこの場を逃げ出したくて。
こんな居た堪れないような気分は初めてで。
誤魔化しながら生きてきた自分は、そんな時にどう対処して良いのか分からないから。
真剣に恋を、愛を語り合った事なんて無い人生だったから。
茶化しながら窮地は擦り抜けて。
こんな風に苦しくなる前に笑う事で逃げてきたけれど。
彼にはソレが通じない事は百も承知だったから。
だからこそこんな風に逃げる事しか出来なくて。
「………ざけんな……」
ギリッと歯軋りのような音がしたかと思ったら。
深く眉間に皺を寄せ、酷く怒りの感情を表に出した三蔵と目が合って。
身体が竦んで動けなくなる……
燃えるような怒りによって鈍く光るような印象を与えてくる闇紫の瞳に目が釘付けになり。
こんな状況に馴れない自分が恐れと云う感情を持つのが、嫌になる位に分かって。
「は…離してっ……お願いだから…」
気を抜けば、震えてしまいそうになる自分の声に叱咤しながらも。
それだけの言葉しか出て来なくて。
「云いたい事はそれだけか?」
やっと搾り出したようなその言葉を無碍にも一蹴するように三蔵は云って。
「俺の事なんざ、ロクに知りもしねぇクセに何もかも知ったかぶったような言い方すんじゃねぇよ」
事実、その通りで。
彼の事なんて上辺の事しか知り得ない。
彼の心情なんて推し量る事なんて彼に対する絶対的な情報に欠けていて。
正確な答えを引き出すなんて出来るはずも無く、は悔しさに唇を噛み締める。
「テメェが今迄誰に股ァ開いていようが俺には関係ねぇ。そんなのは過去の事だ」
一瞬、彼が何を云いたいのか計りかねて不信そうに視線を向ければ。
「一時的な勘違いだ?後悔する?目が覚めるだ?テメェは誰に向かって物云ってんだよ。
自分が吐いた言葉の責任も取れねぇような馬鹿野郎とこの俺を一緒すんじゃねぇ。」
「……だって」
「うるせぇ、挙句に他の女ァ探せだと?舐めた事抜かしてんじゃねぇぞ」
「だってアタシはっ」
「これから先、誰にも抱かれなけりゃ済む話だ。お前は俺のモンになりゃそれで良いんだよ。ゴタゴタ抜かすな」
簡単に、事も無げに云い切った三蔵の言葉に。
返す言葉が見つからなくて。
アタシの気持ちも、悟浄、八戒との事情も、何もかもを一刀に切り捨てて。
自分の気持ちを、これからの方向を簡潔に示させて。
「………呆れた…」
あんなにも真剣に考えてしまった自分が可笑しいように思えて。
無意味に苦笑いに近い笑みが浮かんでしまう。
「アタシの気持ちなんてお構いなしなのね」
「喧しい。この俺に気に入られて俺のモンになれりゃ、これ以上の幸せなんてねぇだろうが」
「……アンタって……ほんっっっとに俺様なのね」
「ほっとけ」
未だ笑みを浮かべた儘のアタシの唇に、三蔵は自分のソレを押し付けてきて。
触れるだけの、らしくない、優しい口付けを何度もしてくれて。
「事情は三蔵が云ってよね。アタシ、面倒くさいのとか苦手だから」
暗に『受け入れてあげる』、と云うのを匂わせてその科白を吐けば。
「上等だ。精々俺の云い付けを守るんだな」
「何でよ」
「俺の云い付けを守らなかったらその男共々殺してやる」
「………三蔵が云うと本気に聞こえるから嫌だよ……」
「ほほぅ、この俺が嘘を云った事があるとでも思ってんのか?」
………このヒト本気だよ…
「云い付けを守るも何も、アタシの気持ちを振り向かせてからの話じゃないの?」
「直ぐに俺の事しか考えられねぇようにしてやるよ」
「大した自信だこと。でも、楽しみにしてるわよ」
「その言葉、忘れるんじゃねぇぞ」
云って、三蔵は再び唇を重ねた。
頭の何処かで彼は坊主なんだからと云う侮りがあったのを否定できなかったのだが。
激しく、苦しい迄に感じられる、快感を引き摺り出すかのようなその口付けに、その舌の動きに付いていけず。
何で坊主のクセしてこんなキスが出来るんだ、何て頭の片隅で思うが。
余裕を無くさせる勢いのソレに翻弄されて。
「…んっ……んん…」
ぴったりと塞がれた唇から声を出す事も敵わず。
喉から苦しそうに漏れるだけのその声とも呼べない音に。
三蔵は楽しそうに唇の端を上げる。
ソレが触れ合っていた唇から伝わってきて悔しい事、この上無い。
こんの破壊鬼畜似非エロ坊主が―――っ!!
幾らそう思い、叫んでやろうとするが。
口内を好き勝手に動いて蹂躙していくその動きに阻まれて拒む事すらロクスッポ出来なくて。
加えて背中に回されていた手が背筋を微妙な動きでもって撫で回していき。
反論なんて当然出来る筈も無く、昨日の余韻の残る身体は微妙なその感触に悦を感じ取ってしまい。
身体が反応するのを止められない。
「んあっ…」
ふ、と離れた唇の隙間から。
タイミングを計ったかのように感じるポイントを弄られて、堪えきれずに嬌声を上げてしまえば。
三蔵は益々楽しそうに唇を歪めて。
再び反論の声を塞ぐかのようにキスをする。
それにこの坊主が破戒僧だった事を今更の事ながら思い知ってしまった自分が居た…
どうやら自分はトンでもない鬼畜坊主に捕まってしまったようだ。
そう気付いた時には既に手遅れで。
彼が齎してくれる快感
彼の手の感触
微かに香ってくる白檀香に、キツク染み付いたマルボロの匂い
彼の擦れた熱を灯した声
闇紫の瞳に朝日を反射して神々しく輝く金糸
それ等が自分の全てになってしまっていて。
時々、本当にこれで良かったのかと思える時があるのだが。
それでも女の幸せは思うより思われろ、なんて結論に達してしまい。
開き直って、今のこの状況を楽しむ事にした。
だってまだ殺されたくないし。
三蔵法師と云えど、彼も一人の男だったって事かな。
ね、焼き餅焼きの三蔵様……?