「いらっしゃい、さん」
そう云って優しい笑みを浮かべた外国の女性。
話には聞いていたが。
このヒトが改造されたサイボーグだなんて。
ギルモア博士の話でなければ。
とてもじゃないが信じられなかった。
会話
その女性に案内されて。
屋敷のリビングに案内される。
ソコには何人かの男のヒトが座っていて。
タイプライターを打つ者。
読書をする者。
TVを見ている者。
コーヒーを飲みながら話をしていた者。
様々だったが。
博士からの話ではココに居る彼等全員が改造されたと聞く。
なるべく感情を表さないようにして。
は手荷物を前の持ち直し、頭を下げた。
「こんにちは、と云います」
日本人、独特の挨拶をして。
堅苦しいのは、そういう所に長年勤めていたのが原因なのか。
少々固まってしまった仲間達に。
同じ日本人である009が逸早くフリーズを解き。
「こんにちは、さん。僕は島村ジョー、ヨロシクね」
そう言って右手を出した。
その手を軽く握り返しながら。
「こちらこそヨロシクお願いします」
そう云った。
それに習い。
その場に居た彼等は彼女の前に進んできて。
一応の挨拶を交わす。
それが終了すると。
呼ばれて来ていたギルモア博士に彼女は振り向いて。
「早速ですが、モニター類をチェックして良いですか?」
と、云った。
それに驚いたは彼等だけで。
博士は長い付き合いだったのか。
それ程驚く事も無かったが。
それでも今日位は休みなさい、と返した。
「でも、お世話になるのですし。把握もしておきたいですから」
崩れない無表情で更に言い募った彼女に。
博士は苦笑いをして。
「取り敢えず荷物を部屋に置いてきてからじゃ。悪いがフランソワーズ、頼まれてくれんか?」
諦めムードを漂わせながら003に云った。
003に連れられ、彼女はリビングを後にするが。
残された彼等は溜息に近いモノを吐き。
改めて彼女の事を認識しなおさなければ、と思っていた。
新しく新調された彼女専用の部屋へ003に連れられて。
は一旦、周りを見回すと。
一つ頷いて。
ベッドの脇に荷物を置き。
早速デスクの上にあったPCを立ち上げた。
それに呆れたような顔をしたのは003で。
普通の女ならば、凝った内装のこの部屋を嬉しそうに見回りそうなモノなのに。
等と考えて。
しかしこんな専門の分野を選んで担当の教授に監禁される位の人物だからこんなモノか、と。
何故か妙に納得してしまった。
その日、彼女が部屋から出て来たのは夕食の時のみだった。