空の真ん中で抱き合って、キスして。
長い、長い、抱擁を交わし。
やっとの事で落ち着いた二人は。
ようやく地上へと下りる為に。
近くの砂場へと飛んで行った。
空2
赤い顔をした儘で。
ジェットに抱かれたは。
彼がそっと、出来るだけ優しく地上に下ろしてくれたのを感じて。
口では乱暴な事を言うが。
本当は心の優しいヒトなのだと云う事を知る。
遠くに見えるコズミ博士の家。
ソコに帰れば何時もの日常が待つと云うのに。
自分がこよなく愛する。
何物にも侵されない。
もう、他人に強要される事の無い。
己の意志のみで研究を出来る。
自分の唯一の。
これしか出来ないとも思われる研究がソコで待っていると云うにも拘わらず。
こんな。
己の分野で無い。
最も関係の無い。
こんな感情の高ぶりを。
『温かい』なんて。
『帰りたくない』だなんて感じるなんて。
この『感情』は。
一体、何処から来るのだろう……
自分の世界に入ってしまっていたに。
足のジェットエンジンを切って。
下り立ったジェットが。
さり気無さを装い。
の手を握る。
その行為に。
酷く驚いたような顔をして、は振り返り。
自分の手を握った彼の顔を凝視する。
「……ナンだよ…、別にイイだろ。手くらい繋いでも」
ぶっきら棒に言い放つジェットに。
呆けた儘のは。
繋がれた手の温かさに。
先程感じた。
心までが温かかくなる、と云う思いを感じて。
酷く嬉しそうに。
恥かしそうに。
笑った。
「……お前の笑った顔…」
ソレに対してジェットは。
「初めて見た気がする」
そんな言葉を吐き。
「お前さ…、ずっとそうやって笑ってろよ」
そう言って彼も笑った。
そのジェットの笑った顔に。
も嬉しそうに笑い返し。
手を繋いだまま、暫く散歩を楽しんで。
を強引に連れ出した彼が怒られるのはもう少し後の事。
ソレを一生懸命に庇う彼女が。
怒っていた男の怒りを更に買っているのに。
誰もが溜息を付きそうになった。
そんな穏やかな一日。