兎に角、彼女を見つけた、と

弟に教えてやる事が先決で







それから何故、彼女は海軍船何かに居るのかを知らなくてはならないと思った

そもそも彼女はルフィの何なのか
何故彼女はルフィと知り合ったのか
何で海賊船になんて乗っていたのか
乗っていたなら何故下りたのか

そして冒頭の質問へと戻り、どうしてあんな笑みしか浮かべられなくなったのかを







知りたい、と

心が訴えていた






















破片 13























見覚えのある、海賊船にしては気の抜ける船首の羊を目に入れると同時に。
そこに座る懐かしい黒髪を見付ける。

ザザザッ…と波を立てて船へと近付けば、漸く俺に気付いたのか。
ルフィは首を廻らせて俺を確認した途端、破顔した。







そして早々に弟の船へと乗船して、再会の挨拶もソコソコに。
頼まれた内容への返答をしていると、矢張りと云うか。

』が海軍船に乗っていて、その船の大佐兼、船長を担っている男と共に居て。
仲睦まじい処を見せ付けられたと云ってやると。

硬直したかのように身体を強張らせ。

そして顔を傾けた。







「……なぁ、ルフィ…。あの女は一体オメェのナンなんだ?」







弟のその様子に、本当ならば余り聞いてはいけない類の質問だとは分かっちゃいるけど。
実際に彼女の事が気になっちまってる自分の心を収めるには知る事が第一だ、と。

尋ねてみれば。

ルフィはとても、とても辛そうな。
それでいて泣きそうな笑みを浮かべてて。







「………大事な、…女なんだ………。俺にとっても……仲間にとっても…」







そう、苦しそうに答えてくれて。







「……はな…ゾロの彼女なんだよ……」







付け足された弟の言葉に、何故コイツがこんなにも苦しそうにしているのかを知った。







「………そっか…」









































久しく感じていなかった、異性に対する胸の高鳴りは。
弟の船に乗っていた女へと向かって信号を発し続けていた。

そう、それは写真で初めてあの笑顔を見た時から始まっていて。
けれどその気持ちを温めて発展させて、振り向かせる前に、好きになってもらう以前に。







それらは始まらないのだと、始めてはいけないのだと気付かされた。







だってこんなにも弟が思っている相手を。
既に付き合っている男がいるとしても、幾ら何でもこんな状態の弟から奪うマネは出来ねぇだろう。

幾ら自分が海賊で、奪う事が本職なのだとしても。
人としてしてはいけない事位承知している。

それに今なお彼女の傍では、海軍大佐の白猟がそのスペースを陣取っているのだ。







本当に自分の出る幕なんざ、ありゃしねぇ……







エースは苦い苦い溜息を一つ、気怠げに付くとおもむろに口を開いた。







「で、ルフィ。お前はどうしたいんだ?」






















『どうする』のではなく、『どうしたい』。

そして悪まで主体はルフィの意思だ。
彼氏の『ゾロ』がどうしたいんじゃなくて、『ルフィ』がどうしたいのか。








海軍船に乗っている事は伝えた通り。

隣に惚れているであろう男、白猟が今でも傍に居て。

そして白猟の気持ちには偽りは見えなかった。
アイツは俺へ嫉妬する心を向けていた。







しかしそのまま放っておくのも彼女の為にならないだろうし。
追いかけて連れ戻そうとするのも彼女の為にならないだろう。







聞きだした、が受けた仕打ちを考えると。
彼女がこの船に戻りたがっているとは到底考え辛い。

けれど弟も、その後悔しているゾロってヤツも戻ってほしがっている。
だけど戻ってほしがっているからと云って、安易に連れ戻してしまって良いものか。

そこン処の判断は、未だ一度しか会った事の無い俺では計りかねないが。







それでもソレで彼女の笑みが取り戻せるならば。







俺で良ければ協力しても良い、と。

彼女の為になるならば、それで良いと、そう思った。





















「……俺は……」







少しだけ考えた弟の言葉に、エースは彼らしさを久し振りに垣間見て。

嬉しそうに、笑った。









































「いいか、良く聞け。暫くお前はこの部屋から出るな」







何の意味を持って海軍船になんてやって来たのかは知らないが。
白ひげの二番隊隊長である、火拳のエースが去った後。

スモーカーはしつこい位に彼の目的を知りたがって数日間に渡って調査し続けていた。

そしてを拾ったあの島へと電電虫で連絡を取り合って。

海軍の内部に何者かが侵入した痕跡はないか。
火拳のエースが現れたと云う目撃情報はないか。
彼が付近の人間に何かを聞いてはいなかったか、と調査を命ずれば。

返答は予感が的中したモノで。

確かに誰かが侵入した痕跡が残っていて。
そしてエースは写真に写る女を探していた、と云っていた。







何時の間にそんな写真を手に入れたのかは知らないが。
詳しく話しを聞きだしてみれば、どうしてもエースが探していたのは。

あの日、この船へと乗せた彼女が目的のようで。







エースのその動向から、ヤツが狙っているのは『』なのだと、その結論に達するのは至極当然で。

『何故』を探しているのかという疑問には。
知識の端っこの方に残っていた、ヤツの弟があの麦藁だという補足で結論が出た。

目的は別れた後の彼女の行方。
そして連れ戻す事だろう。

だが、そんな結論が出たからどうだってんだ。
簡単にを渡すだなんて到底できねぇ。

海軍大佐である俺が乗るこの船から彼女を奪うなんざ不可能だって事を思い知らせてやる……っ!

























火拳のエースが現れてからと云うもの。
は以前よりも考え込む時間が増えて、ぼぅっとする事が増えた。







その脳内で何を考えているのかを正確に知る事は出来ないが。
推測なんざ、簡単に出来てしまって。







ソレは当然、エースの出現によってジャックが云っていたような展開が有り得ると云う事実に戸惑って。
尚且つ未だソレが有り得ないのだと否定したいのだろう。








以前よりも苦しそうな顔をして物思いに耽るは。
ココに、俺の部屋に大人しく居続けているのにどうしてだろう。

その存在に現実感が薄れているような。
心、此処に非ずと云ったような様子で、只居続けるだけで。








彼女が何をどういう風に考え、何を望み、何をどうしたいのかが。








まるで分からなくて、酷く不安な気分になった。






















そして俺が出来たのは、そんな彼女を黙って抱き締めてやる事位だった。

その瞬間だけは彼女も俺の存在を視界に入れてくれて、俺を見て、身を委ねてくれた。







何があっても離したくねぇ、と思えるその存在を腕の中に閉じ込めて。
何処にも行かせないように抱き留めて。

例え嫌がっても決して逃さない、と腕に力を込めれば。
は弱弱しい仕草で俺の腕に手を絡めてきて。

その仕草にすら愛着を感じて。







自分が戻れなくなっている程彼女に溺れている事を知った。





















恐れている事態が、日が来たのはそれからホンの数日後だった……










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