何を、……云われたのかを理解するのに

脳内にその言葉を理解させるのに信じられない位に時間を要された








だって、ゾロが……あのゾロが謝ってくるだなんて

自分の非を認めるだなんて








あんなにもアタシを邪険に扱って
まるで玩具のようにしか、そういう風にしか扱ってくれなかったゾロが……何で?

どうして?
どうして今更そんな事を…云うの……?























破片 15


























「……お前が好きだ………頼む、…帰ってきてくれ…」








そう云われ、目を見開くアタシに構う事無く。
ゾロは云いたい事を続けて喋り続ける。








「もう他の女は抱かねぇ、誓ってお前以外の女に触らねぇ、お前が望むなら何だって叶えてやる、何だって誓ってやる
 気付いたんだよ……お前が俺の特別で、お前に心底惚れてる事を……だから…」
























―――…俺のトコに……帰ってきてくれ…












































……この人は………本当に、ゾロなんだろうか…
























アタシの居ない間に彼に何が起こったのなんて知り得ないけれど。
けれどこの変わり様はどうしたって云うの?

どうして今になってそんな事を云うの?








アタシがあんなに望んでも決して云ってくれなかった言葉を……








あの時ではなく








今になって…


























「……っ今更何云ってんのよ!! ソレをアタシに信じろって云うの?! あんなにっ…あんなにアタシを裏切り続けたアナタがっ!!」








今迄、溜めに溜まり続けていたゾロへの憤りが、今になって爆発する。

触られるのが嫌で、こんなに近くに居るのも許せなくて再び身を捩って抵抗すれば。








「悪かった!! ソレは本当に俺が悪かったから!もう二度としねぇから!! お前の気が済むようにしてくれてかまわねぇから!」








ゾロは彼女の身体を再度抱き締めて、抱き留めて。
離さないように、離れていってしまわぬように力を込めて留まらせて。








「イヤよ!信じられるワケないでしょう?! 何度アタシが頼んだと思ってんのよっ……何度アナタ…ソレを裏切ったのよっ…」








力で強引に事を進める、何時もの彼のこの手段が許せなくて声高に拒絶して。

けれど興奮した所為か、それとも科白の中に含まれた裏切られたと云う部分に嫌な思い出を揺り起こされたのか。
止まっていた涙は再び流れ始めて。








初めてゾロを睨み付けた。








懐かしさと愛しさと恋情と、憎しみと恨みと絶望とがごちゃ混ぜになって更なる混乱を招いて。

懐かしいアナタの腕の中に抱かれて。
夢にまでみた愛しいアナタに、望んだ言葉を紡がれて。
恋情を含んだ言葉がアナタの口から発せられたのが信じられなくて。

裏切り続けられた心が愛しいアナタを憎んでいて。
幾ら頼んでも一行に自分の願い等叶える気が無いアナタの酷い行為に疲れ果て。
挙句に同じ船に乗る彼女にまで……

こんなにも感じてしまった、否応無く突き飛ばされて落っことされた絶望と云う名のどん底で。
やっと大佐の手に気付いて引っ張り上げられた今。

どうしてアナタが今更そんな言葉をアタシに云うの?

どうして今なの?何であの時じゃなかったの?








許したいけど許せない。
許せないけれど許したい……








ギリギリの精神状態を保ち続けたの感情が一気に吐露された事で。
今迄付き合っていたと云う名目上だけの関係の時には考えられない位の覇気で怒鳴られ、罵られ、睨まれて。

ゾロは初めて彼女へした己の行為の酷さを目の当たりにしていた。








昔と云うには少ない時間しか経っていないのに。
初めて会った時には弾けるような笑みを浮かべていたはずなのに。

なのに今、の浮かべる表情は苦渋に満ち、心を痛めて耐え切れない苦しみを吐き出して涙を流して。








もう、……離れてしまった時点で彼女の心は。

の心は己から離れてしまったのではないか……








そんな疑心暗鬼に囚われて。

自分が傍に居なかった時間を、他の誰と共有して。
その誰かに癒されて、もう……もう自分なんかを必要としていないとしたら…








そんな考えにぶち当たったゾロは余計に冷静さを欠いていって。

己が持てるキャパシティをとうに越えたこの現状に急激に終止符を打ちたい衝動に駆られ。























そして未だに己を睨み続けるを引き寄せ、無理矢理に口付けた。








目を見開いて、自分の起こっている現状が理解出来ていないのか。
彼女は身体を硬直させた儘、そのキスを受け入れてしまった。








今迄にされた事の無かったその口付けに。
愛しい者へと贈るべき口付けに。

過去、何度となくした行為のどれにも当て嵌まらないその口付けに呆然としてしまって。

結局、ゾロを受け入れる形となってしまい。









「………」









離れていく愛した唇が優しい音で自分の名を呼ぶのですら現実味を感じられなくて。









けれど、今、感じたソレは……それだけは真実のような気がして。









でも、今更……こんな事態になってから………アタシは彼を受け入れられるの?









アタシには、手を、差し伸べてくれた人が、居るのに…

居るのにっ……
























アタシは








どっちの手を掴んだら良いんだろう……?












先に煙氏をUP予定です。
もう少々お待ち下さいませ(ぺこり)






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