「あっ、ああっ、やぁぁっ」






未だ続く狂気のような宴

奇跡のような再会に、再び燃え上がってしまった灰になりきっていなかった感情が
二・三回の放出で出切るワケが無くて

既に数多の熱を放ったにも係わらず
身体は、脳は、感情は彼女を求め続けて






無理をさせているのなんて百も承知
本当はもう止めてやった方が良いなんて分かってる






それでも再び動き出してしまった思いが止まらなくて
白い肌が薄い桃色に染まり、妖しく蠢く様に我を忘れて






気が付いたら外は白み始めて、夜が明けようとしていた……

























headache 8























コレが最後だから、と云わんばかりに彼女の内へと己を打ち込んでやれば。
は嗄れ始めた声で悲鳴のような嬌声を上げる。

長過ぎる快感は、時に拷問にも似ているだなんて頭の片隅で警告を発する自分も居る。






でもな、コイツが欲しくて欲しくてしょうがないんだよ。






が居なくなってから、一年位は彼女の事を引き摺っていた。
鮮明に残るコイツの表情や仕草が目に焼き付いちまって忘れられなくて。

それでも二年目には仕事の忙しさに心の片隅へと押しやられて。






自分ではもう忘れていたと思っていた。
思いきれていたと、思い込んでいたんだ。






だけど、どうだ?

会った瞬間にコイツの事が次から次へと思い出されて止まらなくて。
独占欲に塗れた情けない、あの頃の俺に逆戻りで。

でも少なくとも今は俺のモノだ。






この身体も、心も、指先から髪の毛一本だって全て俺のモノだっ!!



















「ふあっ、あっ、あぁぁぁっ……!!」


















甲高い、絶頂の啼き声と共に自分もイって。

己の欲に塗れたの秘部から自身を引き出すと。
どれだけ溺れていたのか、ソコから大量の白液が溢れ出て来て。

彼女を征服するだけ征服したその現実に、つい苦い笑みを零す。







次いで、疲れ果ててしまっている相手の身体を優しく抱き締める。

すると殆ど飛んでしまっている意識と嗄れた声で。







「……ホン、トに……付き合わせ、た…わね」







そう憎まれ口を叩いた。

それに自身、再び苦笑いを浮かべて。







「俺は云った事は実行する男だ」







意地悪くそう返してやれば。







「………お…に……」







そんな科白を吐いて、更に苦笑いを誘われる。

でも彼女の体力はそれで本当に最後だったようで。
その科白を最後に、意識を失うかのように眠りへと落ちていった。

汗に塗れて、未だ呼吸も整っていない内に。

こんなに無理をさせて、とナケナシの良心が何処かで痛むが。
それでも彼女を、を……







例え一時の事でも手に入れられた事を悦んでしまう自分が此処に居て。

先程の荒々しい情事とはまったくと云っていい程に違う仕草で彼女の身体を抱き直して。
己も逆らえぬ眠りへと付いた。





































コンコン






コンコン、と。

至極、遠慮がちにノックされる音にスモーカーは目を覚ます。
頭を廻らせて窓の外を見れば既に日が暮れ初めていて、結構な時間を寝ていた事を知る。

そして入れと云わなければ恐らく入って来る意志は無いであろう、その叩き方に少々苦笑いをして。

視界を腕の中で未だに深い眠りから覚めないへと戻し、一つキスをしてからベッドを降りて。
近くに散らばる自分の服を拾いながら着て、短く訪問者へと入室を許す言葉を吐いた。







「入れ」

「……失礼…します」







遠慮がちに、おずおずと入って来る見知った部下。

昨日の事情を誰かに聞いたのか。
己のこの格好と部屋に散らばる女物の服に何を云う事もなく、用件を切り出し始める。

聞けば何て事無い報告で。

要は昨日追いかけていたポートガス・D・エースが未だに見つからないと云う事と。
今、街中を検索している事。
そして既に街の三分の二を捜しているが、ヤツを見かけたと云う情報は無かった事位だった。

ソレに対しての自分の返事は当然、コレだけで。







「見つかるまで捜せ」

「はっ」







では、失礼します。と、部下が出て行こうとした途端にベッドルームから。







「……スモーカー…何処ぉ…?」







と、眠そうで甘えたような声と共にシーツを巻いただけのが出て来て。
裸体にソレを巻いただけの彼女の危なっかしい足取りに思わずスモーカーは走り寄ってその身体を隠すように抱き締めた。

抱き締めて貰えたのが嬉しかったのか、寝ぼけたはふにゃ、と笑いスモーカーへの胸へと頬を摺り寄せる。

昨夜の情事を色濃く残す肌を少々大目に晒すその格好と。
寝起きで子供のような仕草を繰り返すその様、そして甘えた声にスモーカーはこれ以上無い幸せを噛み締めるが。

一人、この場所に要らない人物が未だに居る事を脳が指摘して其方を見れば。
彼女のその格好と蕩けるような表情に見惚れていたのか、頬を染めてを凝視していた。







「用が無ければ下がってろ」







冷たい冷たい、絶対零度の声色でそう命令すれば。
その男は赤くしていた顔色を今度は真っ青にして慌てて出て行った。

そしてその声色の所為でも誰かが居たのに気付いたのであろう。
しまった、と云う顔をしている。







「………あはは…、ごめんねぇ。誰か居るなんて思わなくてさ…」

何て言い訳をしている。
加えて。

「起きたらスモーカーが居ないから探しちゃったじゃん」

そんな科白をアッサリ云って、昨日から昇りっぱなしの彼の気持ちを更に加速させていた。







可愛い女へと、それは悪かった、と謝って。
昨夜の情事の所為で危ない足取りのを抱き上げて、再びベッドへと連れて行く。

そして改めて目覚めのキスを贈って、贈られて。

起床時間はそっちのけで起きたばかりの、恋人同士らしい一時を送る。





















コイツが俺の元から離れて行った時には考えられもしなかった幸せな時を、送る。






時間が止まれば良いなんて。
今迄一度ですら思った事なんざ無かったというのに。

女々しい女のように、少ないこの時間を愛おしんで。

それでも今は、確かに自分の腕の中に居る女へと最上級の優しさと愛しさを贈り続け。






一日目を終えた。













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