初めてするその行為

今迄、何人かの男とそう云う関係になったけれど
何故か望まれる事も無く
またしたいとも考えなかったから

だからどうして良いのか分からなくて

それでも女である本能のようなモノが







彼を喜ばせたい、と

そう云っていた


















Run 2



















自分の意志で伸ばした手。

その手で彼の腹巻を退かして、内に潜ませて。
指に当たる、固いバックル。

ソレをどうにか外してベルトを抜き取って。
現れたボタンをそっと外して。







手を動かす度に、当たる彼の昂り。

ソレを今から自分がどうにかしようと思うだけで。
羞恥で顔が染まってしまう。







でもその行為をしない事には、恐らく自分はこの部屋から出れないだろうし。
本気で出て行こうとすれば、自分達の関係は終わってしまうだろう。

















それは嫌だから

それだけは嫌だったから


















少しでも気を抜けば、萎えてしまう意気込みを。
どうにか意志の力で捻じ伏せて。

震える手に叱咤をしながらジッパーを下げる。

途端、窮屈そうに収まっていた彼のモノが下着越しにコチラ側へ現れて。
何とも云えない気持ちになる。
















今から……

コレを、……
















頭の中に沸き起こる想像が。
以前、女同士で話していた猥談が。

急激に思い出されて。

気恥ずかしいような感が否めなかったが。






どうに彼に奉仕したら良いものかを考える。






寛げられたズボンの前に。
下着越しにも分かる、憤ったソレに。

取り敢えず、は指を絡めてなぞってみた。

ゆっくりと下から上へ。
上から下へと何度か繰り返し。

そっと下着に手を掛けて。
擦り下げるようにしてソレを出す。







出してそのまま硬直してしまう。

















だって……

何時もは暗くしてたり視線を逸らしていたから
コレをこんな間近で見る事なんて無かったから

数度した行為で
前の彼達とは違って大きいのだけは感じていたが

改めて見れば
こんな形でこんな大きなモノだったなんて……







チラリと覗かせた頭部分に見とれてて。
思わず食い入るように見続けて。

今、自分の置かれる状況を忘れてしまいそうな衝撃に。







「見てるだけなのか?テメェのご奉仕ってのは」







現実に引き戻される冷たい声がふってきて。

は改めて自分がしなければイケナイ事を思い出す。


















意を決して、唇を寄せれば。

雄の匂いが鼻につき。
これが彼の匂いなのだと知る。

ソレの愛撫の仕方等、知る由も無い彼女は。
兎に角舌を出して、その先端を舐めてみた。







感触は滑らかな肉のような感じで。
しかし何処をどうすれば良いのかなんて知識はないので。

ソレ全体に、出した所全部に舌を這わせてみる。







先端に、周りに、括れに、排出部分の窪みにも。
全てを舐めて、キスを贈る。

特に先端の窪みは彼も感じたようで。
短い吐息を吐いたのに気付けば。

ソコを中心に愛撫を重ね。
彼に感じて欲しくて、唾液を絡め、更に舌を絡める。








動揺から醒めれば。
この行為は豪く自分に都合の良いように思えて。

大胆にも彼の全てを愛したくなって。








「ゾロ……脱いで…」








そんな科白を吐いていた。








素直に云う事をきいていた所為か。
それともこの行為にゾロも酔い始めていたのか。

彼は黙って服を脱ぎ始める。

ベッドの上から投げ捨てられた邪魔な布。
そんな風にしか認識出来ない程に、この行為にお互い酔って。

二人、全裸に近いような様子で。

何も纏わぬ姿になったゾロに一つだけキスをして。
緊張して、冷たくなっていた手で彼の身体を弄って。

胸の飾り、大きく走った胸の傷に指をなぞらせて。
厚い胸板にキスしながら下へと降りて行き。
わき腹、太股、内股へと。

何時も彼が自分にしてくれるように、彼の身体を愛撫して。







そして再び彼の昂りへと近付けば。

先端から透明な液を溢れさせていて。

雄の匂いの強いソレに。
昔の自分ならば、嫌そうな顔をして背けたであろうソコへと迷い無く口を寄せて。

ねっとりと舐め上げた。







瞬間、漏れたゾロの吐息。







「…っは……」







まるで娼婦のような己の行為に。
何処か冷めた部分の自分が、何て破廉恥な、と訴えるが。

それでもコレが彼を感じさせてくれるのならば。
感じてくれるのならばそれで良いと、そんな風に納得できてしまう自分も居て。

付け根から上へと昂るソレに何度も何度も舌を這わせ。
口内へと引き入れて、淫らな音を立てながらしゃぶって、舐めて、口付けて。

下の部分にも手を伸ばし。
優しく揉みしだいて。

乱れる彼の息を、もっともっとと云う風に。
もっと乱れて欲しい、と。
もっと感じて欲しい、と。
アタシが催すこの行為に酔って欲しい、と。

延々とそれを繰り返していると。

それまで黙ってソレを受け入れていたゾロが。
突然の後頭部を掴んで固定させ。







腰を動かし始めた。







「んっ…んぐっ……ぅうっん…」







咥えていた大きなソレに。
喉元まで突き上げられて。

気持ち悪くて、吐きそうになりながらもソレに耐え。
自然と浮かぶ涙が溜まって溜まって零れ落ちる時。







更に大きくなったソレがどくん、と弾けて。

口の中に苦いような、青臭いような匂いが広がって。
引き出されたソレが、残りの液体を顔に飛び散らせ。

温かいような、粘り気のあるソレが顔からゆっくりと流れ落ちていくのを感じて。

薄っすらと涙の溜まった眼を開ければ。







息の上がった、僅かに上気したゾロの顔が視界に入ってきて。

彼が自分の口でイってくれた事を知る。







そして嫌な笑みを浮かべた彼に押し倒され。
纏わり付くように張り付いていたアタシの服の残りを剥ぎ取られた。







「随分と上手ぇじゃねぇか、流石淫乱だよな」







初めてした行為に。
そんな言葉を貰っても、ちっとも嬉しくなくて。

アタシはただ…、ただ単純に彼に感じて欲しくて。
彼を愛したくてソレをしたのに。

何で分かってくれないのか、と。

そう思うも、最初、彼が何を怒っていたのかを知らない自分では。
口答えをするにも出来なくて。








彼の為すがままに身体を動かされ。
剥ぎ取られた服で顔に付く白液を拭い取られ。

床へと放られたワンピースの切れ端。







それは自分の心が捨てられたような

まるでボロキレを捨てるかのような仕草で捨てられる

自分のような気がして……


















「…ゾロの………ゾロ、の為に……」







別れるとも何とも云われて無いのにも係わらず。
心が痛いと。







「ゾロが喜んでくれると……思って、買ってきたのに…」







現実では、自分は捨てられてもいないのに。
それでも捨てられてしまったかのような痛みが身体中を支配して。







「ソレを着て……一緒に出掛けたかった、のに…」







凍っていた心が。
惑わされていた心がやっと戻ってきて。

でも戻って来た途端、痛みに切り裂かれ。







「少しでも……ゾロの傍で…似合うって云われて…」







痛くて痛くて。
痛みに耐えかねて。

それが涙になって、やっと。
やっと流れて出て。







「褒めて……欲しかった、だけなのにっ…」







それでも、もう。
涙を拭う気力も持ち合わせていなくて。

流れるままに、気持ちのままにソレを流し続けて。


















すると。

何故か今迄、鬼人のように感じられていた彼の雰囲気が。
彼が纏う空気が微妙に動いた気がして。

戸惑うような。
そんなワケがないのに。

彼が何を怒っていたのか知らないのだから。
何が彼を静めたのか、それとも只、戸惑っているだけなのか。

それすら分からなかったが。







もう彼の方を振り向く気も起きず。

抱きたいのなら、飽きたのなら、捨てたいのなら好きにすればいい、と。
無気力感だけが身体を支配して。







愛しているのは確かなれど。
この男が、海賊狩りと呼ばれた、賞金首にまでなったこの男が。

自分のように何も持たない女に縛れる筈が無くて。

飽きたオモチャのように捨てられる自分が容易に想像出来て。







涙は留まる事を知らずに流れ続ける。



















ソレを不器用そうな手が。
指が、そうっと拭っていって。

思わず、驚いて彼の方を振り向けば。




















とても苦痛を感じているかのような顔をして

アタシをじっと見詰めていた



















………なん、で?

何でゾロがこんな顔をしているの?







捨てられると思って
痛みを感じていたのはアタシの方なのに

なのに何で?

何でゾロの方が捨てられるような
こんな悲しそうな顔をしているの?




















驚いて止まってしまった涙。

そして気になる彼の表情。







「………どうしたの?…ゾロ」







そっと手を伸ばせば。
その手は彼の顔に触れる事無く彼の手に包まれて。







「…俺は……」







云い辛そうに。
言葉を詰まらせて。

躊躇しながら。
それでも言葉を伝えてくれようとして。

辛抱強く、続きを待てば。




















「お前を手放したくねぇんだ…」



















信じられないような告白で。

余りにも予想外の言葉に目を見開いて。
つい、彼の顔を食い入るように見てしまい。

そこから知れる、彼の気持ち。



















「何処にもやりたくねぇ。誰の目にも触れさせたくねぇ。誰にも触らせたくねぇ」




































―――このまま、閉じ込めておきてぇ……



































強過ぎる程の独占欲

思いの強さが、溢れて零れて止まらなくて

こんな形でしか愛せなくて

それでも手放したくなくて







いっぱいいっぱいの気持ちで、この言葉を吐いて

後の選択を、今度こそ彼女に託して







ゾロは押し倒していたから身を引いた。



















解放されたような

そんな気がした……

















でもその解放を自分自身。
本当に望んでいたのか、いなかったのか。







最後に囁くように耳に残された愛の言葉。

人を愛すれば、自然と独占欲、嫉妬心が生まれ。
ソレを上手にコントロール出来る人間も居れば、出来ない人間も居る。







そして目の前に居るこのヒトは、間違い無く後者。
















そう、都合良く。

自分に都合良く取っても良いんでしょう?

















「俺が怖ぇと思ったなら、今の内に逃げ出せよ」







何時に無く、饒舌で。







「そうじゃなきゃ、俺はお前を離せなくなる」







普段なら、望んでも滅多に云ってくれない言葉を。







「この腕に抱え込んで、二度と離してやれなくなる」







こんなにも、想っていてくれているのだと。







「お前が俺を嫌おうと、嫌がろうと、逃がしゃしねぇ」







こんなにも愛してくれているのだと。







「逃げたって、地獄の果てまで追いかけて引っ捕まえて……」







雄弁に語ってくれて。







「…だから行くなら早く行け」


















眉間に深い皺を寄せ。
本当はこんな事を云いたいワケでは無いのだろうに。







それでもゾロは。
アタシに最後のチャンスを与えようとしてくれている。







それが、彼の愛情の深さを。
どれだけ想っていてくれているのかを、教えてくれているような気がして。




































「……バカね…ゾロ、アタシが貴方から離れるワケないでしょう?」































云って、ゾロの胸に飛び込んで。







少々、否、大分驚いたようなゾロの反応。

それから察するに。
彼は本当に酷い事をしたと云う自覚があったのだろう。

そして自分が選ばれないと信じていたのであろう。







その予想を裏切って。

はゾロの胸に抱きついて、しがみ付いて。







「アタシだってゾロが好きよ、愛してるわ」







あんなにも言葉をくれたのだから。







「なのにどうして離れなくちゃいけないの?」







馴れない言葉を駆使して。
普段、使わない頭を。

きっとフル活動して考えて。

云ってくれた言葉に。
アタシは応えてあげなくちゃ。







「だから離さないで?アタシの事、捕まえてて?」







愛情は貰うだけじゃダメだから。
ちゃんと返してあげないと枯れてしまうモノだから。


















「どんな事されても、アタシはゾロの傍から離れない。だってこんなに好きなんだもん」


















幸せそうに笑って。
ゾロの胸に顔を埋めて。

彼の身体の温かさに酔いながら。

この一時を心底大事にしたいから。



















「………もう、…遅ぇからな」

「うん」

「お前は俺の傍に居る事を選んだんだからな」

「うん」

「もし俺を嫌って逃げたくなっても、逃げ出しても絶対に捕まえるからな」

「ふふ……逃げないよ」

「………」

「愛してるよ、ゾロ……」



















離さないで、と。
捕まえてて、と。
愛してる、と。

決して離れない、と。

そう云い切ったの身体を、ゾロは力強く抱き締めて。
彼女が耐えきれない位の力を込めて、抱き締めて。







「……あんな事して、悪かった」







己がした事への謝罪をし。

改めて、愛しい女へと口付けを贈った。


































そしてその後。

彼等は熱い時を過ごして、過ごして。
停泊予定の一週間の時、全てを二人っきりで過ごして。

帰ってきたクルー達が船を出す迄。
そして出してからも呆れる程に寄り添って、離れないで。

誰の目にも思い合ってるのが一目で分かる程の幸せそうな顔をしていた。







結局、ゾロが怒っていた原因は。
が買ってきた店の店員に焼き餅を焼いたそうだった。

それを知ったは、この人を選んで良かったのか。
多少なりとも本気で悩んだのだが。

それでも自分の傍から離さないゾロの態度に絆されて。







幸せそうな苦笑いを浮かべていた……










Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!