思いも寄らずに重ね合った身体が気持ち良くて。

自分が動く度に動く白い身体が。
その艶めかしい迄の仕草が、反応が。
上がる声の質が堪らなくて。

我武者羅に求めてしまって。

自分の自制心がガラガラと崩れていくのが良く分かって。







年上なのもあるのだろうが。
彼女の懐の大きさや。
少し、影を持つ性格や。

大人の女が持つ、引き際の良さが。

ソレを除いても、と云う女の全てに惹かれる自分を否定出来なくて。







たった一度、身体を重ね合っただけなのに。







気が付いたら、目が離せない存在になっていた……


















waiting for...2


















あの夜から一週間の時が経っていた。

その頃になると、変わってきている自分の気持ちに否でも気が付き始めて。






もう、自分の目線は惚れていた女を追う事は無くなっていて。
そして代わりのように、違う女を追うようになっていた。















そう、違う女を、だ。















オレンジ色の髪をした女が気にならなくなった途端に。
黒色の髪をした女が気になって。

自分はこんなにも変わり身が早かったのか、と。
高々、一度身体を重ねただけだと云うのに。

己ですら信じられないような気持ちで。







しかしソレは正直な気持ちだったのだろう。
もう、惚れた女が金髪野郎と仲良さそうにしていても一向に気にならなくなっていて。







その光景を見ている黒色の髪の女の淋しそうな顔ばかりが目に入ってきた。

















ナミを見続ける

羨ましそうで、妬ましそうで。
悲しそうで、淋しそうで。

その表情を見る度に自分の心が軋むような感じがして。

















だってナミをそんな風に見ると云う事は。
恐らく、彼女が惚れていると云う男はあの金髪野郎なワケで。






自分では出来ない、女を立てる行為や言語。
褒める言葉や、ちょっとした仕草。

その全てが女を惹き付けるのだろうが。

自分にはそんな事はとてもじゃ無いが出来そうになくて。






下手に年が上の女だけに。

其れなりの経験を積んできたであろう彼女は。
きっとそんなような男が好みだろうし。

戦闘しか出来ない己がこの時ばかりは心底、悔しいと思った。

















ナミ越しに彼女と合う視線が。
ナミを通り越して目が追う彼女の表情が。

ちょっとした時にかち合って、目に飛び込んできて。






その度に悲しそうに笑うがどうにも気になって。






しかし自分から話掛けようとしても避けられているのか。
歩を進めようとすると、さり気なさを装って避けられて。

話すら出来やしねぇ、と思うが。
それでも何を話していいモノやら、見当もつかなくて。






だって自分達はあの夜。

たった一晩だけ身体を重ね合っただけの関係なのだから。
それを除けば、ただの仲間と云う関係なのだから。






こんな所もアイツに敵わない所の一つなのだろうと思うと。
自然と溜息が零れて落ちた。



































また……見てるのね…






ゾロが自分を見ているだなんて、少しも気が付かないは。
癖になりつつある、ナミを見る行為の度にかち合う視線にそんな風に思っていた。

あんな目で見られていても。
彼女の目はサンジ君しか見ていないと云うのに。






それでもゾロはナミを見る事を止めないのね……






それも当然の事だと云うのに。

自分とゾロは思い合った恋人同士では無いのだから。
高が一度、間違いのように身体を重ねただけなのだから。






恋しい男が恋しい女を見ている姿が。
見ていられなくて。

ずっと好きだった男は。
この船の航海士に惚れていて。

でもその男には既に恋人が居て。

アタシが女部屋から出ていれば。
その夜は間違い無くサンジ君が彼女の所に居るのが分かってしまうから。






その所為だったのかもしれない。

あんな風に身体を重ね合ってしまったのは。






だってあんな風に。
あんな切なそうに笑うゾロなんて見た事が無かったから。

本当に彼女の事が好きなんだって事が。
その笑みから窺い知れて。






どうにも苦しくて。
どうにも悔しくて。

どうやっても悲しくて。
どうやっても淋しくて。






何とかして慰めてあげたくなってしまって。

つい、誘うような言葉を吐いて。
男ならきっとソレに乗って来るであろうと。

分かっていながらもそう仕向けた自分。






一度でも彼を身近に感じられれば。
一度だけでも彼と抱き合う事が出来れば。
彼に抱いてもらう事が出来れば。

思い切れると。






この思い出だけで満足できる、と。

そう思ったのに……






そう、思って身体を重ねたのに。






なのに実際に身体を重ねてみたら。

力強い、彼の腕が。
分厚い筋肉に覆われた彼の胸に抱かれたあの喜びが。
耳元に囁かれる、少し擦れたあの声が。

一週間経っても、まだ消えないあの時の痕が……






一度でも彼を身近に感じてしまった所為で。
止まるかと、止めようと思っていた感情に歯止めが効かなくなってしまって。






何度もイかされた。
あの感覚が身体に刻み込まれて。

あの手で高みに登らされていく至高の時が。
熱に魘された時のように、うっとりとした彼の表情が。

強引な迄に進められていく行為が。

彼の全てを凝縮されたような。
その行為を一度でも知ってしまったアタシの身体は。






彼を欲しがる事を止めてくれなくて。






否、欲して欲して仕方がなくなってしまって。






だからその彼に欲されている彼女がどうにも羨ましくて、妬ましくて。

自然とそんな視線を送ってしまって。






そうやって目で彼女を追っていると。
必ずと云って良い程に彼と目が合って。






切なそうに歪んだ彼の目が。
思いを隠すと云う事を知らないかのような真っ直ぐな目で。

彼女を見ている目が。






段々と許せなくなっていって。

何かを云いたいのであろう。
コチラへと来ようとする気配を察知した途端に。

アタシは違う方向へと足を向ける。

















だって彼が何を云うのかが怖いから。

















下手に年を喰った所為で。
下手に何度か恋愛をした所為か。
その恋愛で痛い目を見た所為で。

ヒトを好きになる事が怖くなってしまって。
臆病になってしまったアタシには。

モノ言いたげな彼の視線に酷く怯えてしまって。






だってあの時の行為の所為で。
彼女の代わりにもう一度抱かれろとか。

既に一度抱かれているのだから、二度も三度も変わらねぇだろう、とか。

そんなような事を云われるのが怖くて。






だってそんな事を云われてしまったら。
もうこの船には居られないから……

少しも馴れ合っていない名前だけのような関係だろうが。
それでも彼等はアタシの事を仲間と呼んでくれるから。

だからこそこの船から下りたくなくて。






でもココに居るのは苦しくて。






雁字搦めにされたように身体が竦んで動かなくなる……

















誰か……

お願いよ






あのヒトをアタシに下さい

あのヒトの何もかもが欲しいんです






あのヒトの眼差しも、思考も、癖も。
腕も胸も髪も手も。
魂までも、何もかも。

全てを……

あのヒトの全てを手に入れたいんです。






誰か……

誰でも良い。






あのヒトをアタシに下さい……










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