……不思議だなぁ…

今迄何となく生きてきたんだけど。

やりたい事もそれなりにやってきた。
遊びもソコソコこなしてきた。
イワユル修羅場も何度か経験したし。
浮気は何度もされた。

思い残す事なんて無いような生き方だったと思ってた。


強いて云えばハヤテの事位だと思っていたのに……




ヤッパ自分ってばバカだと思った。




だって今更自分の気持ちに気付くんだもん………




こんな……

死に掛けてから気付くなんてね。

可笑しくて涙も出てきやしない……









愛憎・10







愛しげに己の髪を触るにその子はとても戸惑って。
それでもハッと我の返ると慌てて飛びずさった。

クナイはの胸に刺さった儘。

子供は己がしてしまった行為に動揺してうろたえて。

「ハハッ……ナニうろたえてんの?…お前が勝ったんだぞ……?」

不敵に笑ってやれば、子供はキッと睨みつけてきた。


負けはしたが、アタシの任務はソレじゃ無い。


は親指を噛む。

亥、戌、酉、申、未……

「口寄せの術!!」

は崩れ落ちるように地面に手をついた。
すると煙と共にボンッと音がして一匹の犬が現れる。


その犬は……カカシの忍犬。


っ!!?』

驚いた顔をして走り寄って来るまーくん。

その昔…、まだ二人が仲が良かった頃に契約させてもらったカカシの忍犬。

『おまっ……どうしたんだよ!!何でそんな怪我をっ…』

傍迄来たまーくんに胸元から出した巻物を銜えさせる。

「まーくん…オネガイ、ソレ火影様のトコに持ってって……」

『何言ってんだ!!こんなお前放って行けるか!!』

そしてクルリと子供に向き直って。

『…このガキか?こんなガキにやられたのか!!?』

ウゥ……と低く唸り始めたまーくん。
その今にも襲い掛かろうと牙を剥いたその様に子供は酷く怯えて。

「ダメッ!!まーくん……その子はイイからっ…巻物をオネガイ……」

上がる息で叫べば。
まーくんは戸惑ったように振り返って。

「アンタも…忍犬なら、分かるでしょ……?」

痛みに耐えながらも笑ってやれば、まーくんは酷く困った様子で。

「……行って…」

強い意志を持った目でまーくんを見れば、彼は後ろ髪を引かれるような目で見て。
それでも彼は走り出した。

『直ぐにカカシを呼んでくるからっ!!それ迄絶対に生きてろよ!!?』

巻物を銜えて走り出したまーくんを子供が追おうとする。

「待ちなっ!!」

それをクナイを投げる事で止めて。

「アンタ……早く逃げな…」

言うと子供は怪訝そうな顔をした。

「あの忍犬の持ち主は『写輪眼のカカシ』だ。…もしかしたら奴が来るかもしれない……」

幾ら子供だからって木の葉の『写輪眼のカカシ』くらい知ってるだろう?

「だから……早く逃げな…」

子供は真っ青になったが、それでも逃げようとしなくて。

「何やってんだ、早く逃げろっつってんだろ!!? 死にたいのか!!」

の怒鳴り声にビクッと身体を震わせる。

「……なっ…何でだよっ…何でお前は俺を助けようとするんだよ!!」

堰を切ったように喋り出す子供。

「俺はお前の敵なんだぞ!? それにお前にクナイを刺したのも俺だ!! 何でそんな俺をっ…!!」

息も荒く、叫ぶように子供は喋った。





「ハハッ……ホントだよねぇ…」




ナンでだろうね……

ああ…
でもきっと……




「……その…『髪の色』かなぁ…」




もう、座り込んでいるだけでもツラクなってきた身体。

「髪?髪の色が何だってんだよ!!」




あはは……

自分でもソウ思うよ


なのに

ナンでかな……



「惚れてた男に……捨てた男の髪の色とソックリなんだよ…」





――――ただ……それだけ…





それだけだけど……

アタシには殺せなかったんだ。




その忍服が
その子供の姿が
その銀髪が
その悲しい目が



全ての事がアイツを思い出させるのに繋がって。

ナリが子供の所為で更に殺す事等出来なくて。




「…そんな……そんな事だけでお前は俺を殺さなかったのか!?」

泣きそうな子供の顔。



ふふっ……ナリは似てても中身は大違いだね…

アイツだったらきっと眉一本動かさないだろう……



「アンタにとってはソレだけの事かもしれないが、……アタシにとっては重要な事だったのサ」



――――もう…アイツを裏切りたくないんだ……



「サ……早く逃げな…木の葉の忍が来る前に……」

ギリギリで保っていた身体からじわりじわりと力が抜けていく。


それは流れ出る血と共に……


付いていた腕から力が抜け、前に突っ伏す。

「おい!!…お前っ」

慌てた様子で駆け寄ってくる。

アタシはその儘ゴロリと横に転がって。

「あー…マジ力入んねぇ……」

血に濡れた己の手を見て力無く笑う。

「死ぬなっ……死ぬなよ!!」

目の前にしゃがみ込んだ子供の顔は泣き濡れていて。
必死な様子の子供に苦笑いが漏れて。

「…忍はね……常に死と隣り合わせなんだ…
仲の良かったヤツが死ぬ事なんて珍しくもない世界なんだよ?
それに死体すら残りゃしない……
だから…アンタはもう、こんな世界から足を洗いな……」

残酷な残酷なこの世界。
ヒトの生死が金に繋がる汚い世界。

そんなトコにアイツに似たこの子に居て欲しくないんだ……


これ以上壊れていくアイツを見たくないんだ。

例えそれが本人じゃなくても……ね。


「……分かったよ…里に帰ったら、俺忍辞めるからっ…だから死なないでくれよっ…!」


ポタポタッ…と子供の涙が頬に落ちてくる。




――――あぁ……あったかいなぁ…










その時、イヤになるくらいに良く知った気配が

ものスゴイ速さで此方へ走ってくるのを感じた。



「早くっ……早く逃げて!! アイツがっ……カカシが来るっ…」

腕を掴んで必死で言っても子供は頭を振って。

「バカ!! アイツはアタシみたいに生やさしくないんだよ!? 確実に殺されるんだぞ!!?」



どうしよう……もうソコ迄来てるっ…



動揺した気を隠そうともしないで。








ああ……ハヤテ…

ごめんなさい……






きっとアタシは最後の最後でアナタを裏切ってしまう……っ!!








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