昨日、引き忘れた遮光カーテンの所為で。
朝も早くからさんさんとした光がアタシの部屋にも降りかかる、が。
それでもアタシは目を覚まさなかった。
何故ならば、何て気取った風に云えないお恥かしいその理由なんだけど。
至極簡単で、『久し振りのセックス』に身体が休息を求めていたからだ。
え?……あぁ、そうだね。
普通にシタのならそんなには体力を消耗しなかったんだろうけどねぇ。
相手が普通じゃなかったんだな、これが…。
確かに忍者って云うのは身体が基本なのは分かるけど。
何でこの人ってばソッチの方も強いんだか…。
兎に角、シタ相手が悪かったって事で。
あんたもワルノリしたでしょ、って云うのは云いっ子なしよん?
Face to face 9
薄っすらと浮上してくる意識の中で。
無意識に身体が温かい方へと擦り寄ったなんて事は仕方が無い事だと思う。
うん、きっと誰もが納得してくれると思うんだけどさ。
けど、自分の身体を巻き込んでくれるような温かさを感じたと同時に違う感覚を感じたのは気の所為なんだろうか……。
ってか、気の所為にしておきたい……なぁ、なんて。
あぁ、でもこの身体を這い回る指先の感触は気の所為とか勘違いとかじゃない。
しかもアタシが感じそうな部分ばっかり狙ってやがる……。
眠いってんだよ…
昨日何時に寝たと思ってやがんだ。
勃っちゃったカカシ君にご奉仕してからが長かった昨日の晩。
そりゃ〜、ひっさびさのエッチだったもんだから、こっちだって加減が効かなくてさ〜。
まるっきり相手の所為には出来ない所が辛いんだけど。
ノリノリで彼に跨ったのが記憶に新しく浮かんできて。
這い回る指先との感触と相俟って厭らしい昨日の痴態がどんどん思い出されてくる。
上手いんだろうな、とは薄々感じていたのだが。
アタシ何かの想像とは遥か彼方まで違っちゃってるカカシ君の愛撫の上手さに女としての性か。
それともご無沙汰だったのがいけなかったのか。
も〜う、カカシ君が引いちゃう程に求めたのは自分だったりする。
そのお陰様で今日は目覚めがイマイチ悪いようだ。
脳みそは起きてるクセして身体が起きてくんないみたいな感じで。
好き勝手にアタシの身体を弄る指を止められなくて、起ききれない身体はソレに微妙ながらも反応し始めちゃったりするんだな〜。
あ〜……、暫く男はいらないよって位にシタから。
昨日の今日でヤリたくないんだよー。
「……ぅ…ン……」
ぅわ、……シタくないとか云いながらも、自分の口から漏れた声に自分で驚いちゃうよ。
なんつー声出しとんじゃ、自分ー……。
己ですらそう思えたのだから、ソレをしている相手は尚更そう思った事だろう。
事実、相手は調子の乗っちゃったようで指の動きは積極的になって、きて………ってソコを触るなぁぁぁっ?!!!
「ふっ…ぁ……」
アタシっ!?? そんな声上げてんじゃないわよーっ!!!
良いから相手を突き飛ばしなさいよっ!!!
って、…うわ……昨日の名残が残ってぐっちゃぐちゃのソコに指を突っ込むなっつーのっ(泣)
数時間前の行為のおかげでまだ身体が敏感になっちゃってんだからー…。
……ぁ………でも本当にカカシ君てば……、……その気にさせるのが…上手って云うか…
無理矢理に…、コトを、進めるのが上手い……っつーか。
はっ!しっかりしろ?! アタシ!!
何で流されてんだっ!
マジで昨日の今日じゃ身体が持たないぞっ?!!
でもカカシ君ってば何てっ……指の動かし方すんだっ…!!
「あぅっ…あ……」
あー、…目が覚めるぅ……てかソノ気になっちゃいそー…
「……ね、…起きてよサン……」
ひえぇぇっ……耳っ!みみもとで囁かないでぇぇぇっ…
昨晩散々に囁かれたりして、その声に弱いの知っててやってんのかっ?!!
そうだったら相当性質悪いぞ!写輪眼のカカシぃ〜〜〜っ!!
「お願い……起きて?…」
「ぅっン……んっ…」
ふあー……、ダメよダメ。
もーうダメだー。
今日の日程は全部キャンセルさせてもらいますぅー。
「……か、かしくん?…」
「おはよう、サン…良く眠れた?」
「あっぅ……あ……」
そんなコト聞かれたってアンタがそんな風に指、動かしてたら答えられないっつーの!
その間にもカカシ君の指は止まる事なく動き続けていて。
昨日、彼自身が吐き出した白液と、今現在感じ始めちゃってるアタシの愛液が混ざり始めて。
ソコってばトンでもない状態になっちゃってる…。
彼が動かす度にグチャって濡れた音が寝ぼけてるアタシの耳にまで届いてんだもの。
当然やってる本人になんてまる聞こえだ。
「スゴイ事になってるよ……サンのココ…」
………アンタの所為やがなー……
「どうしよっか……、俺ってばもう入れたくなっちゃった」
へ?……何と仰いました?
「イイよね?コレだけ濡れてるし。んじゃ、お邪魔しまーす」
云ったが早いか、先程までアタシの内で好き勝手に動いてた指が抜きさられ。
昨日、とっても頑張ってもらったカカシ君のソレが押し入ってくる。
「んっ、んんっ…あ、あっ」
ホントにいっぱい濡れてたんだ…。
こんなにもすんなりカカシ君のが入る位に…。
「あー…、あったかいネ…さんの中って」
感嘆の溜息なんぞを付きながら、カカシ君は奥まで入ってきて一旦動きを止めている。
う゛ぁー……、身体が云う事きかないぃー…
関節、痛い。筋肉も痛い。腰なんてもっと痛い。ってか動きたくない。
幾らソコが濡れてても、あんなに使ったんだ。多少は痛いだろー…。
ケド、カカシ君はそんなの先刻承知なのか。
とってもソフトに動いてくれて。
「あンっ、あっ、カカシっくん!」
「ねっ、…気持ち、イイ?」
微妙なその動き方に加えて、彼のソレの擦れ方がこれまたストライクにアタシを攻め立てる。
「イイっ、っは、気持ち、イイよぉっ…」
うん、本当にカカシ君てば上手いよ。
怠い身体に鞭打って受け入れた事へのお勘定はお釣りが来る程の気持ち良さで。
触れてくる唇の感触も、肌を滑っていく手の感触も全部が全部良く感じられて。
こんなにも身体の相性が合う男とシタ事ないって位…
逞しく引き締まったカカシ君の身体に腕を回せば、彼はアタシの頭の横に肘を付いて頭の上で両手を組む。
そして身を屈めてキスして、そのまま動き続けた。
アタシは苦しいようなくぐもったような声を洩らし。
感じる熱い体温と唇の感触、身体の中で抜き差しされるソレが齎す快感に。
早急に追い上げられて、昨日の余韻も残されてた所為か。
呆気ないくらいに果てちゃいました……。
あー、……最初、その気がなかったのは内緒よん?
朝っぱらからのやっつけエッチを済ませ。
やっとこさ自由にしてもらえた身体は、既に風前の灯火のような状態だったケド。
ベタ付く己の身体が気持ち悪くてどうしてもシャワーが浴びたくて無理に起き上がると。
「ん?どうしたの、さん」
とても爽やかそうな顔をしたカカシ君が覗き込んできて。
「あー……、しゃわーがあびたいー」
片言のように妙なニホンゴを喋るアタシに、ちょっぴり心配そうにして。
「大丈夫?動けないんじゃないの?」
そう云ってくれたけど。
それはアンタの所為じゃー……
とか思ってるアタシは恨みがましそうな眼を向けて。
「あ、…あはv ごめーんネ?だって朝起きたらさん何も着てないじゃない?なのに俺に抱き付いてくるんだもん」
「だって昨日そのまま寝ちゃったじゃない…。裸なのは当たり前だってー。
それにカカシ君が温かかったから擦り寄っただけじゃん……。なのに何でそうなっちゃうのかなー」
昨日だってあんなにシタでしょ?
とか、付け加えたんだけど。
カエルの面に何とか状態で、彼はのほほんと笑って見せて。
「大丈夫!俺ってばソッチ方面強いから」
とか云ってのけた……。
………誰もそんなこたぁー聞いてねぇ……
「しゃわーがあびたいなぁー」
再度、自分の意見を。
今度はちょっぴり剣呑気に云えば、カカシ君は流石に悪いと思ったのかアタシへと手を伸ばしてきて。
「分かりましたよ、女王様。浴室へお運び致します」
恭しく一礼なんてしてくれちゃって。
浴室なんて洒落たモンじゃないけどさ。
ま、それはそれって事で。
「うん、お願いネ」
その様になっている仕草に笑みを誘われてしまって。
ついつい手を伸ばせば、彼の腕が優しく身体へと回ってきて。
結構、重いはずのアタシの体重なんて感じてないように抱き上げて、一瞬の浮遊感。
やっぱりカカシ君は忍者、だったんだね〜……
腕力も申し分なければ、跳躍力も体力もアッチの方面も文句なし!!
って、最後のは関係ない、か……
そんでもってアタシは無事にお風呂へと入る事に成功しまして。
温かい湯船に浸かれた事で、朝の分くらいの疲労は抜けてくれたようで。
どうにかこうにか復活を致しました。
そしてお風呂から出たアタシを待っていたのはカカシ君の質問攻めだった。
コッチの世界の人間はまず、自分達のように忍者登録書のようなモノがあるのか、とか。
忍と云う者が居ない昨今、ココの人達はどういう仕事をしているのだとか。
通貨や地元の住所やらアタシがしている仕事の事とか。
まるで尋問を受けているような錯覚に陥る程に細かく聞かれて、兎に角答えられる部分はトコトン答えてあげた。
そしたら漸く納得してくれたのか、ソレが終わった後何気に時計を見れば二時間近くの時が経っていた。
………でも、カカシ君てばそんな事聞いてどうすんだろう……
何時、戻るかも分からないコッチの世界を、昨日説明した以上に聞いたってこの人には役立つと思えないんだけどな。
………ま、いっか。
カカシ君にはカカシ君なりの意味もあるんだろうし考えもあるんだろうから。
それよりも今はもっと切実な問題もある事ですし。
「さ、そろそろご飯でも食べに行こう」
流石に今日は体力不足って事で外へと食を求めようと思って、そう云うと。
「え?そしたら昨日サンが荷物降ろしてた『車』ってのに乗るの?」
思いの他、嬉しそうに『車』に興味を示すカカシ君が居て。
「そりゃ乗るでしょう。ココら辺ってば交通の便が良くないからさ」
「やった、ラッキー」
どうにも子供っぽく見えるその仕草が可愛くて。
何度も変わる印象と、幾つもの彼の面を見せてくれるのが嬉しくて。
この時、はっきりと気付けば良かったのだろうが。
目前の彼の反応に心を持っていかれてたアタシは気付けていなかった。
彼が何時かは『自分の世界』へ戻る、と云う事実、を……