甘い甘い情事の後の口付けは
その昔、心底愛した男に教えてもらったモノで。






あの頃のアタシは
ソレが最上級の愛情の示し方だと思い込んでいていたの。






余りに幸せ過ぎる日々と。
余りに順調に進んでいく自分の生活に。

まるで夢心地で。






そのキスをくれる時の彼の目に。

……冷め切った彼の目に…、気付く事など出来なかったのよ……



















Kiss me

















溜まりに溜まった快感が。
アタシに覆いかぶさった男が激しく動くのに連れられて弾け飛んで。

自分でも信じられない位の甘い声を上げながら。
何でこんな声を上げてんだろうと思いながらも。

相手の男の背中を抱き締めて。
頭の中が真っ白になるくらいの絶頂を感じて。






「…っく……」






ソレに連られたのか。

汗に塗れた男も、低い声を洩らして。
アタシの内でイって。

アタシに快感を齎してくれたソイツのディックが一際大きくなって、その儘大量に液体を注ぎ込んでくれた。






その感覚に、鋭くなっている内壁が快感を拾って拾って。
絶頂の真っ只中にいたアタシに更なる追い討ちを掛けるような快感を呼んで。

汗の所為でしっとりとしたシーツを握り絞める事で何とかソレをやり過ごすと。













男の優しい口付けが降ってきた。














愛おしむような。
本当に自分を慈しんでくれるようなその口付けと眼差しに。

あの頃の自分には見えていなかったコトが。
今の自分には自然と見えてくるようになっていて。






昔、愛した男としたキスと。
何処が違うのだと聞かれれば、そんな事は詳しくは云えないのだけれども。

それでも触れ合った唇から伝わってくる感覚が。
それがまったく違うモノだと云っていて。






何時からだったか。

この男がこんなキスをくれるようになったのは……
















優しいキスを何度か繰り返して。

最後にリップ音をさせながら。
眉間に、額に唇を落としながら。

頬を経由して耳元に優しく囁く男。






「………」






感じた快感はアタシ程ではないのだろうが。
それでも確実にこの男も悦楽を感じていたワケで。

擦れたような、熱に浮かされたような声でアタシの名を呼んで。
優しく抱擁してくれる。






重なる身体から伝わってくる体温と、気持ち。






最初の頃との情事の仕方と格段に違ったその仕草。

気持ちが籠もっている抱擁と。
気持ちを欺いている抱擁と。

冷静な今のアタシには、その違いが嫌になる位良く分かって。






最近、この男と身体を重ねる度にその事を思い知らされる。
















あの頃のアタシが如何に開き盲状態だったかを……


















この男とスル度にそんな想いが思い出され。
妙な感慨に襲われて。

自分でも情けないような顔になっている事が分かって。






ソレにこの男も気付くのだろう。






辛そうな顔をする。















ねぇ、……何で?






何でアンタまでそんな顔をするの?

アタシとは身体だけの関係のクセに、どうしてそんな優しい愛撫をするの?
どうしてそんな悲しそうな、淋しそうな顔をするの?







そんな風に抱かれたら、そんな風な顔をされたら。







……また勘違いしそうになるじゃない。







アンタがアタシに惚れてるだなんて。






そんな事が有るワケが無いのに。













有ってはいけないのに。
そんな事、望んでいないのに……













意識を別の所に飛ばしていたのに気付いたのか。
男は一瞬だけイヤそうな顔をして。

そして内に残る自分のモノを僅かに動かした。






「あっ……」






イったばかりだったアタシの身体はその動きを見事に拾ってくれて。






「っにすんのよ、ゾロ」






キツイ視線を相手の男に向けると。






「……別にイイだろ。それよりもう一回ヤろうぜ…?」






未だ繋がったままの身体。
快感を拾いまくる自分の身体が嫌で嫌で。

第一、耳元で囁かれた再度の誘いに。
低く呟かれたその声にさえ感じてしまって。






「ん、やっ…」

「や、じゃねぇだろ?…イイからもう一回、付き合えよ…」






云っている途中から既に動き始めるゾロに。
彼の齎してくれる悦楽を覚えてしまったこの身体は素直に感じ始めて。






「やぁよ…っ……昨日だっ、てあんなにっ…」

「昨日は昨日、今日は今日だろ?」






両手を彼の大きな手で頭の上で一つに括られ。
片足を大きく上に担がれて。

大きく腰を動かされてしまえば。






「んあっ……」






もう、自分の口からは嬌声しか漏れなくて。

体力、力で攻められれば自分が敵う事は決して無くて。






ゾロによって齎される快感に流されるのはもう恒例。
そしてその間の彼の辛そうな顔を見るのも恒例。






あんたのその顔を見たくないのに。

そんな悲しそうな、辛そうな顔を見たら。
何だか、とても悪い事してるみたいな気持ちになるから。

だからこの関係を止めようとも思うけれど。

それでもこの船は気に入っているから。
この船を下りるつもりは無いのだから。






第一、相手をしてくれる男を選べる立場でも無いし。

















でも出来るなら。

この関係を終わらせたい。






そう、自分がまた。

勘違いを起こす前に。
再び、溺れてしまう前に。






この男に惚れてしまう前に。

一刻も早くっ……

















甘えたような声を上げながら。
ゾロの愛撫を感じまくって。

無意識に伸ばした手で彼の身体を抱き締めて。
愛おしんでくれる彼の腕に優しく抱かれて。

快楽の海に溺れていって。






彼女が自分の気持ちに気付くのは。
既にこの男に惚れてしまっている事に気付くのは。






もう少し後の事だった……














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