シャンクスの、あの騒ぎから数時間後






一応、ざわめきは去ったので諦めたのだと思っていた
もうアタシの事なんて、どうでもよくなったんだと思っていた






あんなフザケたような告白をしてきた位だから

きっとその程度だったのだろう、と







ちょっと悲しいような、淋しいような
そんな感情に苛まれながら

それでもは己の気配を消し続けていた…





















Never let you go 4






















木の上へと身を隠して。
常人の視力では到底見つけられないソコへと隠れ続けて、早12時間を越える頃。

ちょっぴり傷心気味の心を抱えたは。
空を見続けながら、飛ぶ鳥を見、流れる雲を見。

ゆっくりと流れる時間を苦痛に思いながら彼等がこの島を出て行くのを待っていた。






そんな呆けたような彼女の元へ飛んできた数多の殺気達。






それはボケた彼女の気を引き締めるのに充分なモノで。






方向は北北東。

瞬時に嫌な予感が頭を過ぎって。
















………まさか……
















あの方向は先日、彼等を襲って来た輩達が潜む場所で。

赤髪海賊団の誰もが分からなくても、常人離れした忍であるには。
ソコに未だに居座り続ける人間達の気配は充分に伝わってきていて。

その輩共と一つの見知った気配が一緒に居るのを感じ取れた途端。






の身体はグラリとバランスを失ったかのように、枝から滑り落ちて落下して。
そして途中の枝へと腕を伸ばして引っ掛けて方向転換をすると。

目的地であろう、北北東へと持てるだけの速さでもって走って行った。






















彼等の元へと距離が縮まる度に聞こえてくる喧騒が大きくなって。
怒声、呻く声、歓喜の声、それ等が入り混じる混沌とした北北東の果て、海岸線には。
これまた大きな海賊船が泊まっていて。

その砂地の周りに大きな人の輪があって、何かを囲んでいた。





嫌になる位、見覚えのある赤がその輪の中心に居る事に。
軽い眩暈を感じずにはいられなくて。













何でこんなトコに居んのよ!!

敵陣のど真ん中じゃないっ!!














数人の味方しか居ない赤髪サイド。

しかもその内の一人が結構な怪我をしているのか。
嗅ぎなれた血の匂いが、潮の香りに混じって自分の元へと漂ってきていて。














その彼を庇いながら応戦しているシャンクスの緊迫した表情が。

彼の首を捕ろうと躍起になって攻撃している男達の醜く歪んだ顔が。

斬られて苦痛に歪む見知った男の顔が。














一気に、身体中の血が沸騰するかのような感覚。

心臓が早鐘を打ち。
身近な人間が死んでいく、その少々慣れてしまった感覚が身体中を凌駕して。














勝手にこんなトコまで来たシャンクスの事なんて放っておけば良いものを。

勝手に自分なんかに惚れたと大騒ぎして。

こんな所にまで追いかけて来たであろう、大馬鹿野郎なヤツなんて放っておけば良いのにっ!
















背後に迫る、シャンクスの首を狙った男に、彼は気付かないのか。
目の前で攻撃を繰り返す輩への応戦に精一杯なのか。






多勢に無勢なんて卑怯だ、何て言葉が通じないのは何処の戦地でも一緒だけれども。

それでも見知った、自分に惚れたなんて寝言をホザイテた男がこんな所で。
残る仲間の事も顧みず追っかけた大馬鹿野郎サマを。

こんな変テコな名前の島で……


















死なせるワケにはいかないんだよっ!!



















背後で刀を振りかぶった男の喉元へと。

慣れた要領でホルダーからクナイを取り出して。






寸分の狂いも無く






狙ったソコへと






思いっきり放った























―――ドスッ!!























命中した音が、この喧騒の中でもハッキリと聞こえてきて。





その見慣れない、否、シャンクスだけは見慣れた武器が飛んできた事に気付いた彼等は。
慌てて周りを見渡して。





そして、周りの空気を凍らせるかのような濃厚な殺気に固まるざるを得なかった。















前回に戦った時の殺気等。
まるでお遊びだったと云って良い程のソレ。

自分達の居る空間が、ソレのみに支配され。
その殺気を放っている本人の姿さえ確認できずに。






だって、視界に入る場所に、彼女の存在は認められない。






しかし、肌で感じるこの殺気は本物で。






狼狽する事すら許さない空気に、……空気が………揺れた。















「うっ…、うわぁぁああっ!!」














心底、怯えきったかのような男の悲鳴に。

その場に居た誰もが其方へ振り向いて、目を見開いた。















「ナンなんだこれっ…!! た、助けてくれっ…誰かっ!助けてくれよぉっ!!」















哀願のような悲鳴と助けを求める、その男の足元は。

足元が、まるで蟻地獄か流砂のように沈んでいって。
見る見る内にその男を飲み込んでいく。

そして、その男がもがきながらも身体の全てを飲み込まれ終えると。



















―――ボキ、ボキッ……ゴキッ…


















「ぎゃぁぁあっ!!」


















骨の折れる音と断末魔の悲鳴が上がり。

その悲鳴も、段々と音量を潜め。
プツリと聞こえなくなる。



















未だ消えない殺気。

彼等はその空間に閉じ込められた儘だった……
















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