それは偶然か必然か
その場に現れたのが彼で良かった、と思えたのは
それだけは事実だった
【狂宴】
職長達が挙って忙しかったり、査定に出てしまっていたのは運命の悪戯だったとしか思えない。
その日のガレーラ・カンパニーは普段に比べても格段に忙しかったのを覚えている。
誰も彼もが己の仕事を果たすべく忙しげに動いていて。
当然アタシもその中に含まれていたりした。
出社すると同時にカク職長に呼ばれて、比較的新型の船をまかされた。
まぁ、それはイイんだけどさ。
お仕事ですし、今では仕上げをするだけになったしね。
朝からの猛烈な忙しさは昼を過ぎても変わらずに職人達を忙殺させて。
だからかもしれない。
普段なら有り得ない、アタシの処にこんな仕事が紛れ込んでただなんて……
昼過ぎからの欄に船の査定、って云う項目が足されていて。
それが急遽舞い込んだ仕事だってのが更にアタシの気を重くさせた。
あぁ、また仕事が増える……
その時はその位にしか思っていなかった。
第一にアタシのトコに回されてくる査定はカリファが先に調べておいてくれるから安全は確保されていたし。
今迄にこんなチョイ・ミスなんてなかったから。
だからアタシは『あぁ、怠いなぁ』くらいにしか思わずにその査定に向かったんだ。
その時点での間違いが二つ。
カリファが調べたと思い込んでいたその船は本当は調べられておらず。
持ち主が、最近成り上がった悪名高い海賊だったって事。
もう一つはアタシの勤務表に書かれていたけれど、本当は書いた奴が書く場所を間違えたのであって。
(何せ、勤務表の隣はカク職長にルッチ職長だ)
本来はその査定にはカクかパウリー、もしくはルッチとか、職長クラスの人間が向かわねばならないモノだったなんて。
この時はその事実に誰一人として気が付いていなかった。
一瞬、何でこの査定を任されたのかが分からなかった。
そりゃそうだろう。
だって目の前の船は誰がどう見たって髑髏がはためく海賊船で。
それもかなりの大きさを誇るその船にはそれなりの人数が乗ってる訳で。
そんな船に女一人で査定に来させるだなんて、何かの手違いか?、と頭を捻るが。
それでもカリファが調べてきたんだから大丈夫だろう、と。
はおっかなびっくりしながらもその船へと乗り込んで行った。
が居ない。
その事に一番最初に気付いたのはカクであった。
彼はの直属の上司であって、この後も詰まっている仕事の調整をすべく話したかったのにその姿が見えない、と。
周りの者に聞いて回るが、誰も知らないと云う。
おかしいな、と頭を傾げているとたまたま通り掛かった職人の一人が。
『なら勤務表の前で唸ってたのを見かけましたけど』と教えてくれた。
礼を云って、そこへと足を伸ばしてみれば。彼女の勤務表には午後に船の査定が入っていた。
査定? 何時査定なんぞ入ったんじゃ?
そう思って、近場に居た者に聞いてみれば。
そういや昨日裏街の方に一隻それらしい船が入っていた、と教えてくれた。
けれどその船はどう見やっても堅気の船じゃない、と。
どうにもイヤな予感がして、御座なりに礼を云って職場を離れる事を言付けて。
自慢の脚力でもって飛び上がって、出来得る限りの速さでその岬へと向かった。
数分後にはその船に着いていたが。
船の大きさのわりにヤケにクルーが少ない。
益々イヤな予感が強まって。
近場に居た乗組員らしき輩に自分より前に査定に来た者はおらんか?と尋ねれば。
ソイツはニヤリと笑って『今頃はお楽しみの真っ最中だろうよ』、と。
最初、何を云われたのか理解できなかった。
しかし、脳がソレを理解した途端、その男は吹き飛ばされていて。
カクは船室へと続くドアを蹴り破って中へと入っていき。
突然、豹変した船大工に回りの者は目を白黒させている内に打ちのめされて。
意味も分からずに意識を失っていった。
そして何枚目のドアだろう。
蝶番が外れる程に蹴り飛ばしたソレが部屋の中へと圧し折れて。
物凄い音を立てながら転がっていった先に彼の探し人は居た。
数多の男達に囲まれて、半裸の男達に囲まれて、見るも無残な……
一番、望んでいなかった形で、だ。
突然の訪問者に驚いて、動きを止めていた海賊達だったが。
我に返った者がカクを追い出そうと向かって行った。が、当然の結果だろう。
その男はカクの前に立った途端にゴキッ、と云うイヤな音と共に崩れて落ちた。
それに殺気立った海賊共がから離れていくと、漸く彼女はカクの存在に気付いたのか。
何処かぼんやりとした目で口を開いた。
『……しょく、ちょ……いま…さ、らだけ…ど……た、す…けて…もらえ……ま、す?』
趣味の悪い輩が居た船だったのか。
真っ黒の首輪を付けられて、その首輪から部屋の一角に向かって伸ばされた鎖に繋がれて。
四肢もソレと同じ黒の皮ベルトで部屋に繋がれて。
破かれて、服としての機能を果たしていない布を纏わり付かせて。
まるで犬猫を飼うかのようにはその場で玩具にされていて。
頭の何処かで何かがキレるのを聞いたような気が、した。
瀕死の重傷を負わされた海賊達。
誰も彼もが身体の何処かしらを変形させられていて。
特に彼女の傍に居た輩は本当に生きているのだろうか、と問わずにはいられないくらいの状態で。
独特の匂いと汗の匂いで充満していたこの部屋は、今では鉄臭い匂いで満たされていて。
その真ん中には崩れ落ちたがいた。
カクは無言で近寄り、彼女を繋いでいた鎖を素手で引き千切り、解放する。
無残に破られた服の合間から見え隠れする傷痕に、擦れて血を滲ませる手首に、殴られて少しだけ腫れた頬に。
カクの目は細められて、口の奥では歯がギリリと音をさせた。
「遅くなってしまってすまんかった……」
そう、っと壊れ物に触れるかのような手付きで彼女の身体を抱き上げて。
けれど、身体に触れられた途端にの口から上げられた声にはっ、として更に眉間に皺を寄せる。
彼女の顔を見れば何かに耐えようとしているのがありありと分かって。
その症状を見れば、カクの知識からは簡単に使われたであろう薬物が判別できた。
しかしソレはカクの怒りを寄り燃え上がらせるダケで。
縋るように伸ばされた彼女の手にどうしてイイのか分からずに。
それでも決して突き放す事が出来なくて。
けれど脳内ではそんなモノを使った海賊達への怒りが渦巻いていて。
この船の全てを破壊したい衝動に駆られ、どうにもこうにもならない位に苛立ったその時に。
「…しょ、くちょ……ココ…、居た…く、ない……」
薬の誘惑に必死になって耐えながらも、絶え絶えにお願いされて。
そんなの言葉を無碍にする事もできず、カクは出来るだけ刺激を与えないようにして彼女を抱き上げる。
視界の端に映ったのは僅かに欠けた使用済みの瓶で。
明らかにソレと分かる、見た事のある媚薬の存在に、カクは更に眉間へと皺を寄せた。
外に出れば思った通り、ルッチとパウリー、そしてカリファと駆けつけたアイスバーグ、加えてタイルストンとルルが居て。
ガレーラの主立った戦闘力の全てがココにあると云っても過言でないその顔触れに一通り視線を合わせるが。
それすらもカクの表情を変えるには値しなかった。
そして彼等はカクの腕の中に居るの姿に声を失くしていた。
薄汚れたシーツにぐるぐる巻きにされたその様子に。
顔から全ての表情が抜け落ちてしまったかのようなカクに。
僅かに覗ける彼女の足の傷が、見えた足枷が、震える身体が……
何があったのかなんて聞かなくても一目瞭然だ。
「……悪いが今日と明日、明後日くらいまでは仕事は休ませてもらう。誰もワシの家には来んでくれ」
カクはルッチにだけそれと分かる視線を向けて。
そして何時ものようにを抱えた儘で飛び上がっていった。
その後姿を見送る者、一言も言葉を出せなかった者、こんな事になっているだなんて己の目で見た今でも信じられない者。
自分の手違いであってはならない事態になって両手から血が出る程に握り締めた者。
己の部下に起こってしまった出来事が受け止められずに狼狽し、それ以上にその心を痛めている者。
そしてカクの云いたい事を冷静に受け止めた者。
『アイスバーグさん、我々が此処に居ても仕方がない。海軍に連絡を取りましょう』
こんな時ですら自分の口を開かない男がそう云って。
腹の虫が収まらないと云った風な男達を何時もの無表情で止める。
それに何故だ、と噛み付く男等にルッチは言い聞かせる。
あのカクがこの船に乗る外道共をその儘にしていたと思うのか、と。
そう、既にこの船のクルー達は瀕死の重傷を負っており。
虫の息の奴等は身動きすら取れないのが現状。
加えてカクがルッチへと無言で云ったのはこの船に乗る者達の抹殺。
全て殺せ、と。一人足りとも許してなるものか、と。一人残らず全ての息の根を止めろ、と。
そう、云っていた。
長い付き合いで、あの女を特別に思っていたのなんてルッチにはお見通しで。
その女を汚されたのだ、当然の結果だろう。
そしてこの輩共も生きている価値等無いな、と簡単に結論を出して。
ルッチもカクの頼みを断る事なく実行した。
なるべく人目に付かないような処を選びながら屋根の上を飛んで。
物の数分で自分の住む家へと辿り着けば、朝、出かける時に開けた儘だった窓から入り込んで。
彼女を抱えたまんまで風呂へと直行した。
傷の手当よりも、話を聞くよりも、服を着せるよりも。
何をするよりも先ずに付いた他の男達の全てを洗い流してしまいたかったのだ。
きゅ、きゅ、と蛇口を捻れば冷たい水が頭から降り注いできて。
彼女だけでなく自分も一緒になって冷水を頭から被った。
自分は昂ぶる感情を静める為に。
は薬の効き目を少しでも鈍らせる為に。
その効果は僅かでもあったのか、頭から流れ続ける冷たい水の感触に彼女は身を竦めて意識をソレ以外へと向けた。
「、、分かるか?」
出来るだけ感情を押し殺して、普段と変わらぬ声で震えるへと手を伸ばして。
乱れてずぶ濡れになった髪を脇へと退かし、俯く彼女の顔を上げさせる。
「もう大丈夫じゃ、此処はワシの家だから、もう何も心配しなくてイイんじゃよ?」
カクの言葉と優しく触れる覚えのある手の感触に、キツク瞑られていた眼が少しずつ開いて。
目の前に居る酷く自分を心配している男に焦点を合わせた途端だった。
「……しょ、くちょ…?、ア、タ……アタシっ…アタシっ!…」
巻き付けていたシーツを邪魔だ、と云わんばかりに振り払って両手を出してカクへと抱き付いて。
冷たいシャワーと一緒にやっと溢れんばかりの涙を零れ落とし始めた。
「あぁ、怖かったの……けどもう大丈夫じゃから、大丈夫じゃから…」
ぎゅう、と出来得る限りの安心を、此処は安らげる場所なんだと、教える為に震える身体を抱き締めて。
本当ならばこんな風に抱き締めたくはなかったのに。
こんな状態で抱き締める事が出来てもちっとも嬉しくないのに。
カクは乱れる心を抑え付けながら何度も濡れた髪を撫で続けてやった。
どれだけの時間をそうやって過ごしたのか。
十分か十五分か三十分か、時間の感覚が既に麻痺してる彼等はそれすらもが分からなくなって。
けれどお互いの存在だけが確かであって。
漸く落ち着きを取り戻したに、これ以上の冷たいシャワーは身体に障る、と。
温度を調節して、なるべく彼女の身体を見ないようにして。
気が済むまで洗ってこい、と。出て行こうとしたけれど彼女の手が再び伸ばされて動きを止めた。
ずぶ濡れ状態で、狭い密室に二人だけ。
それも片方はまともな服とも云えない布を僅かに纏っただけの状態で。
しかも薬で理性を失いかけていて、一人はその相手に想いを寄せていて。
けれど今、その想いをどうこうする事が出来ずに想いを押し殺していて。
そのギリギリの膠着状態を先に崩したのは彼女の方だった。
「カク職長……、迷惑ついでにもう一つお願いしていいですか…?」
ぐっしょりと濡れたカクの服を掴むその手は僅かに震えていて。
それでもソレを離す気は更々無くて。
「何じゃ…、云うてみぃ……」
所々見受けられる傷だらけのそのほっそりとした手を、大きな無骨な手が握り返して。
やんわりと包み込むようなその感触に、気遣いに後押しされて彼女は口を開く。
「……抱いて、…もらえませんか…?」
奴等に変なモン、飲まされた後から何だか身体がおかしくて、と。
そう付け足しながら、下を向いて視線をずらして。
今の儘だと誰彼構わず襲っちゃいそうなんですよ、なんて。
残る片方の手でカクに抱き付いていって。
震える、極々小さな声で『…お願いです……』何て頼まれて。
元からキレそうだった理性と云う最後の砦を大きく揺さぶる言葉を云われて。
普通でいられる筈もなく。
彼女の手を掴んでいた手を顎へと伸ばし、上へと向けて無理矢理に視線を合わせた途端に噛み付くようにキスをした。
勿論、触れるだけのキスなんかじゃなくて。
お互いに口を開けて舌を出し合い絡め合って吸い合って、唇を舐めて、舌を舐めて、歯を舐めて。
身長差で真上を向くかのような彼女に流れ出てくる唾液を無理に飲ませて。
それを飲み込むのを確認するまでカクは唇を離す事を許さなかった。
苦しそうにソレを飲み込んで、与えられた刺激にうっとりとした目付きで自分を見詰めるに。
一気にこの儘、事を進めてしまいたかったが、それでも残る理性がソレを止めて。
知ってしまった彼女の感触に、この後、薬が切れた後。
素面になった彼女は、気拙さにきっと二度と自分へと触れなくなるだろう事が分かりきっててどうして手が出せよう。
知る前ならば諦められる。
知った後ではもう戻れない。
只でさえ今感じてる身体の感触、キスの味に眩暈がしそうな位に振り回されているのに。
した後に以前の付き合いなんて出来る訳がない。
抱きたい気持ちが無い訳じゃないが、それでも鉄壁な理性がソレを許さない。
これ以上の行為はできない、とばかりに引き離そうとしたその時。
「これ……付けたのが職長だったら良かったのに…」
薬の効き目が理性を食い破ったのか、何処か夢見心地なの呟かれた言葉に敏感になっていた耳がその一言一句を拾い取って。
未だに残る首輪に指を滑らして。想像したのだろう、うっとりと顔を綻ばせて。
「…アタシ、カク職長にだったら飼われてもよかったのに」
自分が何を云っているのか、分かっているのか分かっていないのか。
職長、と甘えるような声でカクに身体を擦り寄らせて。
普段は決して見る事が出来ない彼の服のジッパーを下ろして、細いけれども鍛え抜かれた胸板に頬を寄せ。
首筋へと唇を滑らせてやんわりと歯を立てた。
その甘美な感触と言葉にカクの理性は今度こそ跡形も残さず消え去った。
何時もなら決して外さない帽子を毟り取るかのようにして投げ捨てて。
引っ掛けられているようなシーツと布と化した服を剥ぎ取って。
他の男が付けた痕が我慢ならん、と云わんばかりに唇を寄せて新たに痕を付け直して。
誘うように揺れるたわわな果実のような胸に手を伸ばし、揉み潰して。
先端へと唇を寄せて吸い上げた。
途端にの口から嬌声が漏れて、益々カクはこの行為にのめり込んでいった。
頭上から降り注ぐシャワーにすら構わぬ程に彼女の身体へむしゃぶりついて。
唇、頬、首筋、耳、鎖骨、胸、そしてわき腹を撫で上げて、そっと下肢へと手を伸ばす。
そっと触れてみれば既にそこはシャワーの水とは違う、粘着質な液体で溢れていて。
易々とカクの指の侵入を許し、歓迎して締め付けて、更に彼女に嬌声を上げさせた。
そして指を増やして出入りさせる速度を速めれば、はカクの身体を抱きこむようにして呆気なく一回目の絶頂を迎えた。
とろり、とした液体がカクの指を流れていって。
きゅうきゅう締め付けてくる感触が気持ち良くて。
けれどカクはソコから指を引き抜いて、指に纏わり付く愛液を舐め取ってから残る下着と云う名だった布着れを剥ぎ取って。
しゃがみ込み、未だ余韻にヒクつくソコへと舌を這わした。
「ぅあっ、あっ、しょく、ちょっ…あぁっ、ん!」
後から後から湧き出てくるかのように出てくる愛液を啜りとって。
片足を自分の肩に掛けさせて、両手でソコを押し広げて。
ぷっくりと腫れあがっている芽を掘り起こすかのようにして何度も何度も舐め続け。
キツク吸い上げて甘噛みして、片方の手を離して蜜壷へと二本捻じ込んでナカを掻き回してみた。
「ひっ…、ぃあっ、…っくぅ、ダメっ、だ、め職長ぉ、またイっちゃぁ…っ」
厭らしい粘着質な水音を引っ切り無しにさせて、同時に舌を使って芽を押し潰すかのようにして愛撫すれば。
キツすぎる快感に逃れるように腰を引こうとするを壁へと押し付けて。
もっとだ、と云わんばかりに内側で指を曲げて愛液を掻き出すようにしてやれば。
「ああっ、あっ、カ、クしょく、ちょ…っ…」
己の名を呼びながら二度目の絶頂を味わった。
ざぁぁ、と止まらないシャワーがうっとおしく思え。
カクはやっとコックを捻ってソレを止めて、立て続けに二回もイかされて足に力の入らなくなったを抱き上げて。
ベッドルームへと水浸しの儘歩いていった。
優しくベッドへと横たえて、自分はその場でずぶ濡れの服を脱ぎ捨てて。
未だ薬の効力が切れずにいるへと圧し掛かっていった。
溢れる愛液の中心部へと反り立った自分自身を宛がって。
滑る液体を馴染ませるように何度か上下に擦り付けて。
はやく、と強請るような視線を向けるへとカクは無情にもソレを止める。
イヤ、何で?と、早く入れて、と強請る彼女へとキスをしながら宥めてやって。
その合間に問質す。
「のぅ、……お前さんはワシが好きか?飼われたいと願う程に好きなんか?」
舌を出してカクの唇を舐め続けて、キスを強請っていたが。
彼の声に、その問い掛けに、ふ、と理性を取り戻して。
「……すき…、ずっと……ずっと、カク職長が好きでした…」
けど…、もうこんな身体じゃダメですね、と。
両の眼に涙を溜めて、無理に笑んで。
けれどその事実に耐え切れずに横を向いて、視線を逸らして、疼く身体をどうにかして押さえ込んで。
両腕を顔の前で交差させてカクの視線から逃れるようにしてカクを拒絶した。
けれどそんな風に出された結論に、この男が納得する筈もなく。
己を拒否するのその両腕を掴んで両脇へと押し付けて。
「誰がそんな事を云った?ワシが一言でもそんな事を云うたか?」
「でもっ」
「でもも何もないわい、ワシはがイイんじゃ。お前以外の女なんぞ要らん…お前しか欲しくないんじゃ……」
お前はワシが欲しくはないんか?
優しく口付けを降らして、答えを促して。
是、以外の答えは受け付けない、とばかりに唇に、頬に、額に鼻先にキスを繰り返して。
中々答えを出さないに焦れたのか、片手でソレを掴んで未だ、しとどに濡れている蜜壷へと擦り付けて。
身体を震わせる彼女に早う答えを出さんか、と催促しつつ。自分でももう限界なのだと悟る。
此処まで来ると根競べのような気がしないでもないが、カクは我慢し続け。
はやっと耐え切れずに答えを出す。
「っ……欲し、ぃ……しょく、ちょが欲しい、です…」
漸く己が望む答えを手に入れた途端、もう我慢も限界だ、と云わんばかりに。
行き来をしていたソコへ、ソレが来るのを待ち続けていた蜜壷へと押し入れた。
実はそれからが本番だっただなんて誰が知っていただろう。
カクとの行為は何時終わるとも知れずに、延々に続けられて。
薬の効き目で何度も強請っていただが、それもコレだけ与えられ、これだけの時間を費やされてはいい加減薬も切れる筈で。
もうダメだ、と、もう無理だから、と自分を取り戻したが何度も懇願しても止めてもらえず。
結合部分からはお互いの粘着質な液体で溢れかえり、身体からはシャワーの水等ではなく汗に塗れて。
引っ切り無しに上げさせられた嬌声の所為で声すらまともに出せなくなっても、口移しで水を飲まされまた始まって。
どろどろに溶け合ったソコが、ひとつになってしまったんじゃないか、って錯覚する程に何度も突き上げられて。
意識を失っても許されず、その度に揺り起こされて、また繰り返されて。
まるで獣に骨一本ですら残さず喰われてるかのような錯覚を覚えさせるような性交渉は。
夜が明け、光が高くなった頃にやっと、ようやっと終わりを告げた。
疲れ果てて、気を失うかのようにして眠りに付いたの身体をタオルで清めてやって。
自分もざ、っとシャワーを浴びて汗だけ流すと早々に彼女の元へと戻って、その身体を抱き締めてカクもやっと眠りに付いた。
流石に立て続けに続けられたその行為の所為で疲れていたようで。
彼女とそう変わらずに横になると直ぐに寝入ったようだった。
そして彼等が起きたのは次の日の明け方で。
軽く十時間を越える睡眠時間にどれだけ体力を削り取られたのかを思い知ったけれど。
その相方は既に起きていて自分の寝顔を見続けていたようだ。
流石はあのガレーラ・カンパニーで職長を務める人だ、なんて。
妙な処で感心してしまうのは惚れた弱みなのだろうか。
何処か諦めを含んだ笑みを向け、は口を開く。
「おはようございます」、と。
自分の掠れた声に眉を顰めるが、今となっては後の祭りだ。
返事の代わりなのか、カクからは触れるだけの優しいキス。
優しい……、やさ、しぃ…???
「んーーーーっ…んんんっ…!」
優しいのは最初ダケかっ!そう突っ込みたくなる程の、朝っぱらからには激しすぎる口付けに昨日の痴態が思い出される。
何度も何度もイかされて、耳元で繰り返し教え込まれた束縛の言葉。
『お前はワシのモンじゃ』
『他の誰にもやらん、ワシだけのモノじゃ』
『今日からお前はワシが飼ってやるから、他の誰にも懐いちゃイカンからの』
薄れる意識の中でも覚えてられる程に繰り返された、呪縛のようなその言葉達に。
昨日、襲ってきた海賊よりも性質が悪いんじゃないのか、なんて思った事は内緒だ。
そう、絶対にこの人にダケは内緒だ…
後で何をされるのかを想像するだけで青くなれるさ。
そう、延々と繰り返された、あの狂ったように続けられた宴を思い出すだけで……
何でだろう……
何だかやっちゃった感じがするのは管理人だけなんでしょうか…
カク初の裏夢が首輪で飼われるって…マニアック過ぎ…il||li _| ̄|○ il||li
これは矢張り管理人の所為なのかっ……(滝汗
何かもう色々とごめんなさいぃ(泣きながら逃亡