その日、賽蝶はいつになく憂鬱だった。

理由は他でもない。

本日の午前中は、鬼里人それぞれの族長が集う、重要かつ厳粛な族長会議が催される予定になっているからであった。

とはいえ、族長会議などと大仰なことをいっても、重要と言えば重要だが、賽蝶にとっては大したことではない。

いずれ最終的には、族長も下っ端も、まとめて長たる兜様復活の餌となるのだ。

既に鬼里人の全滅が確定しているのだから、それまでの短い間、何をしようがあまり意味がない。

そのことを賽蝶だけは知っている。

それと知りつつ賽蝶が冷静でいられるのは、兜様と密かに交わした約束のせいであった。

兜様の下僕として生き残ることを許されているのは、賽蝶ただ一人の特権である。

他の連中は惨めに死んでいけばいい。

それを考えれば、こんな族長会議など、ただの時間の無駄にしか思えなかった。

「下らんな……」

蟲宮城の近くにある、会場として用意された部屋へと向かいながら、嘲笑するように呟く。

始まるまでにはまだ15分はあるだろうか。

いかにつまらない会議とはいえ、開始の10分前には到着しているのが世間の常識だ。

属性『僧侶』を名乗り、聖職者の体裁を取り繕っているからには、皆の手本となる行動をせねばなるまい。

目的を達するまでは、一応大人しく厳格な僧侶を演じておく必要がある。

勘の鋭い者がいつ察知するか知れないし、普段のちょっとした行いをあげつらって、賽蝶を排除しようとする輩もいるだろう。

野望達成のために何年も費やしてきたのだ、些細なことで足元を掬われる訳にはいかない。

血統が良く、生まれた時から立場を確約された者たちと違って、賽蝶は己の才覚だけでのし上がってきた。

人より何倍も苦労して謀略を重ねてきたこの年数を、無駄にするようなことがあってはならない。

それも、もう暫くの辛抱である。

兜様が復活すれば、賽蝶は主以外の誰にも気を使わなくて良くなるはずなのだ。

いずれ来るその時には、おそらく時々兜様の機嫌を取る他は、やりたい放題し放題という輝かしい生活が待っている。

そんな未来を夢見つつ、賽蝶は会場に入った。

「……」

意外にも先客がいた。

七人で使用するには大きすぎる円卓の、下座の方に大柄な人影がある。

山のような圧倒的な存在感、深山幻舟だ。

「早いな、深山」

「開始より早く来るのは当然だ」

さも当たり前だと言いたげに、深山が答える。

実はこの優等生ぶりが気に入らない。

灰汁の強い七頭目の中にあって、深山は質実剛健を素で行く男で、同じ鍬型族だけでなく他の部族からも評判が高い。

七頭目の中では異例といってもいいほど、あちこちの分野から漏れなく人望を集めている。

属性『戦士』に相応しく、曲がった事は嫌いで、他人の足を引っ張ったり悪口を言うこともない。

長としても公明正大で、まさに非の打ち所がないといった状態だ。

賽蝶にとって何が気に入らないかというと、それが演技でも何でもなく、ごく自然体で実現できているということだった。

苦労して人物像を作り上げている人間にとって、何の努力も感じさせることなくそれを成し遂げている者は、見ていて苛々するものである。

人間というものは立派すぎる者を見ると、尊敬するか消沈するか嫉妬するかに別れるもので、賽蝶は思いきり三番目に該当するようだった。

そういう卑屈な考えを持つこと自体、器の小ささを露呈しているわけだが、賽蝶はそんなことには気付いていない。

賽蝶はそれとなく深山と距離を取り、上座の方へと移動した。

場所取りも、権力争いにおいては重要な項目なのだ。

上を目指す向上心のない者は、黙って下座に甘んじていれば良い。

えてして野心に溢れる者は、無欲な者を理解しないものだが、賽蝶もまたそうした人間だった。

そして、隅の方に居ながらもどっしりと構えている深山のことが、これまた気に入らなかったりするのだった。





それにしても、二人きりで空気が重苦しい。

そう感じているのは、実は賽蝶だけで、深山は無関心もいいところなのだが、そんなところに都合よく一人やってきた。

気障たらしい足音が響く。

「水爬か」

「早いですね」

軽く頭を下げて挨拶する声も仕草も、どことなく嫌味なものを感じさせる。

「……ん?」

普段なら水爬のことなど、気に障りつつも敢えて無視するところだが、今日に限って賽蝶は何かを感じ取った。

水爬の雰囲気がどことなく嬉々としているのだ。

そういえば足取りもちょっと軽い。

これは……、と賽蝶は思考を巡らせた。

いつも怜悧で落ち着いている水爬が、こんなふうに感情を垣間見せることは滅多にない。

何か有力な情報でも入手したか、或いは敵の一人でも討ち取ったのか。

ひょっとすると、昇格に向けての点数稼ぎかもしれない。

それとない振りを装って、探りを入れることにする。

「気のせいか、機嫌が良いようだな、水爬」

「ふっ……」

こいつ、やっぱり何か隠している。

華やかさの欠片もない上に、水中を泳ぎまわる貧相なタガメのくせに生意気な。

心の中で理不尽な罵倒をしつつ、ほんの少し動揺する気持ちを押さえながら、水爬の様子を注意深く伺ってみる。

事によっては、阻止するなり邪魔をするなり、何かしらの手段を講じねばなるまい。

策謀を巡らせる賽蝶など気にもせず、水爬は席についた。

「おっと」

その時、どこに持ち歩いていたのか、水爬の足元に何かが転がり落ちた。

大きさは野球の球くらいだろうか、綺麗なガラスの入れ物が床の上で輝きを発している。

水爬はそれを慌てて拾い上げると、大事そうに胸に抱きしめて囁いた。

「ああ……ごめんね。君を落としてしまうなんて、うっかり屋の僕を叱ってくれ」

何やらそれに向かって話し掛けている。

ガラス球を見つめる瞳は愛情に溢れ、まるで恋人でもその腕に抱いているかのようだった。

「……何をしている、水爬?」

嫌な予感を覚えながら、賽蝶は問いただした。

「僕のハニーだ」

「は?」

「僕が手塩に掛けて育てている藻だよ。姿といい形といい色といい、これ以上のものは望むべくもない。見てくれ、この素晴らしい碧玉のような色合いを。かの伝説の美女、クレオパトラが己の化粧用に砕いて使ったというエメラルドでさえも、この輝きには劣っていたに違いない。しかもこの彼女は気立てが良くて優しい性根をしているんだ」

「……」

「名前は『ヴィーナス』。僕が命名したんだ。小野小町・紫の上・虞美人・楊貴妃・ネフェルティティ・エリザベート・マリーアントワネット……色々迷ったんだけどね。ああ、もちろん神話の美の女神さえも凌ぐ美貌だよ〜♪」

「……」

「僕は一生彼女を離さないよ。……そんなわけで、今の私は彼女と一緒に幸福の絶頂にいるというわけだ」

途中から口調を普通モードに戻さないでほしい。

『僕』と称している時と、『私』と称している時との、ギャップが激しくて眩暈がする。

「……そうか」

藻に美醜や性別なんてものがあるのかと、とことん問い詰めたい気がしないでもなかったが、何も言葉が浮かばない賽蝶だった。

水爬は鬼里人の中で唯一、虫ではなく藻を操る男だ。

藻と会話ができるとも聞いているが、その特殊性のためか、普段の行いを見ていても他の者と違って奇妙な部分が多かった。

しかし、まさかここまで変な奴だとは――。

友達は藻しかいないのではないかと囁かれているが、その噂は真実か。

気の毒な奴というか、寂しい奴というか、思いきり憐れんでやりたいところだが、本人は藻を胸に恍惚の表情を浮かべている。

はっきり言って、関わり合いたくない。

脱力する賽蝶の耳に、陽気な声が聞こえた。

「おっ、集まってるな」

「鎌多か」

「とはいっても、まだ来てない奴もいやがるなぁ」

顔に派手なキスマークを残したまま、鎌多が円卓を見回す。

朝まで女といちゃついていたのだろう、いいご身分だ。

自他共に認める女好きだが、せめてこんな時ぐらい遠慮したらどうだろう。

蟷螂族の女は、虫の形態の異様さに比べて容色の整った者が多いと有名だが、その女たちの、特に上物は全て鎌多のお手つきだという噂もある。

女にばかり現を抜かして、肝心の『暗殺者』の属性が宝の持ち腐れになっているのではないだろうか。

困ったものである。

席につこうとした鎌多が、何かを見咎めた。

水爬を見て、変なものでも見るような目つきをする。

「何だ、そいつは?」

「関係ないだろう」

邪険に答える水爬に、その手元を覗き込んだ鎌多が声を張り上げた。

「藻か? 藻なのか? お前、こんなとこにまで持ってくるんじゃねぇよ!!」

「人のやることに干渉しないでくれ」

「どうせなら同伴するのは女にしろ。何なら俺んとこから紹介してやるぜ?」

「大きなお世話だ。相変わらず低俗な発言だな」

こんな感じで、この二人は仲が悪いのだった。

鎌多は誰に対してもこんな調子だが、普段は冷静沈着なはずの水爬は、どうも鎌多が相手となるとペースを乱されるらしい。

水爬は完全に鎌多のことを格下に見ているようで、だからこそ何かしら言われるとプライドを傷つけられるのだろうが、周りから見れば二人とも同レベルだ。

馬鹿馬鹿しいやりとりを聞きながら、賽蝶は深い溜息をついた。

当の二人だけでなく、この場の雰囲気までが低レベルになったような気さえする。

「二人とも……下らん口喧嘩は後でやれ」

そう言うと、水爬は我に返ったのかそれきり黙り込んだ。

愛しい藻を抱きかかえて鎌多にそっぽを向く。

鎌多はまだやり足りなかったのか、不機嫌さを隠しもせずに荒々しく椅子に座った。

円卓の上に行儀悪く足を投げ出し、ふんぞり返るような格好を取る。

単純な行動は、小学生と大差ない。

その時、鎌多の隣の席になる深山が、僅かに顔を顰めた。

今まで、二人の次元の低い争いも黙認し、寛容な素振りを見せていたのだが、何が気に障ったのだろうか。

「……酒臭いぞ、鎌多」

「二日酔いでな」

咎めるような深山の声に、悪びれもせず鎌多が答える。

しかも、あろうことか鎌多は隠し持っていたらしい酒瓶を円卓に乗せた。

琥珀の液体に満たされたそれは、一見しただけで高級なウィスキーと分かる。

ラベルの全てが横文字なあたり、日本の庶民に普及しているメジャーなメーカーではない。

「お前も一杯どうだ、幻舟?」

「洋酒は好かないのでな」

「そうか。焼酎でも持ってくりゃ良かったな」

酒瓶を手に取る鎌多に、賽蝶の眉が釣り上がった。

「そこっ、迎え酒をするなっ!!」

振り上げた拳を円卓に叩きつけて一喝する。

厳粛であるべき族長会議の場に、二日酔いで現れるだけでも不謹慎甚だしいというのに、ここにまで酒を持ちこむとは。

そもそも一般常識がなっていない。

こんな族長に従わねばならない連中に、同情したくなってくるくらいだ。

「まぁ、いいじゃねぇか。まだ全員揃ってねぇんだし」

「……」

もはや掛ける言葉も思いつかない。

苛立ちに賽蝶の拳がわなわなと震えた。

「賑やかでやんすね。族長会議から宴会へ変更でやんすか?」

今まさにやってきた蝉丸が、火に油を注ぐような言葉を吐く。

「おう、酒の肴に一曲やれよ。蝉丸」

困ったことに、蝉丸が携えた琵琶を見て、鎌多が機嫌良く持ち上げたものだから、ますます空気の流れはおかしな方向へと向かっていった。

すっかり宴会気分だ。

賽蝶の言ったことになど耳を貸さず、鎌多は所持してきた酒瓶の蓋を開けて、直にラッパ飲みしている。

属性『暗殺者』は、すっかりただの酔っ払いと化していた。

「辛気臭いのはなしだぜ、蝉丸」

「では、新曲を披露するでやんす」

素直に披露してるんじゃない、と賽蝶がツッコミを入れる前に、琵琶の響きが鼓膜を叩いた。

ハードロックかヘビメタか。

はっきりいって、やかましい。

琵琶というものは、物悲しい調べを奏でるという印象があるのだが、これはそんなものではない。

「おお。派手な曲でいいじゃねーかっ!!」

賽蝶は耳を塞ぎたくなっているのだが、鎌多には受けが良いようだ。

というより、鎌多は酔って耳が遠くなっているのに加えて、まともな判断力を失っているだけである。

普通なら、この音の奔流には耐えられない。



そうこうしているうちに、会議の開始時間はとうに過ぎていた。



鬼里人のトップが集まる会議が、予定を過ぎて始まるなど言語道断だ。

しかもまだ全員揃っていない。

蜘蛛と蜂は何をやっている。

魔里人との戦いを控えた族長会議だというのに、属性『策士』と『頭目筆頭』が不在でどうするというのだ。

呼び出しを掛けねばと立ち上がりかけた賽蝶の耳に、優雅に床を踏みつけるハイヒールの音が聞こえた。

開け放たれたままの入り口に、超絶ナイスバディが姿を現す。

悩殺のチャイナ服に、楊貴妃もかくやと思わせる美貌。

花の貌を僅かに顰めて、女郎蜘蛛が呟いた。

「うるさいわね……っ」

鳴り響く蝉丸の琵琶と、それを囃し立てる鎌多へ、あからさまな不快感を漏らす。

それより先に言うべきことがあるだろう。

さし当たって、遅刻したことへの謝罪の言葉だ。

策士殿の遅れての登場に、賽蝶がそちらをじろりと睨み付ける。

「遅刻だぞ、女郎蜘蛛」

「分かってるわよ」

「いい女は男を待たせるもんなんだぜ、賽蝶」

緊張感をぶち壊すように、鎌多が混ぜっ返す。

もう完璧に出来あがっているようだ。

「黙っていろ、鎌多」

鎌多のせいで賽蝶の追及が途切れ、それをいいことに女郎蜘蛛は騒音の元を避けながら自分の席へ移動していった。

途中、藻の入ったガラス球を眺めて悦に浸っている水爬に、異星人でも見るような目つきを送る。

女郎蜘蛛が席につくと、ここぞとばかりに賽蝶は非難するような顔を向けた。

それに気付いて、女郎蜘蛛が面倒臭げに舌打ちしながら、遅れてきた理由を明らかにする。

「仕方ないでしょ。朝っぱらから汚らしいネズミがいきなり出現して、霧人が発作を起こしたのよ」

「ほほう。息子と会議と、どちらが大事なのかな?」

「何を当たり前のことを聞いてんのさ。会議は後でも開けるけど、私の可愛い霧人はこの世に一人しかいないのよ。何かあったら、あんたが責任を取ってくれるとでも言うの?」

理論ではなく、感情をぶつけてくる女には、何を言っても無駄か。

ここで逆ギレされるとヒステリーの相手をするのが厄介だ、そう考え直し詰問を諦める。

「ふん……まだ顔を見せない奴に比べればマシか」

そんなところに、携帯電話の着メロと思われる音楽が響いた。

慌てて取り出す女郎蜘蛛に、賽蝶のこめかみに浮いた血管が、ぴくぴくと震える。

「えっ、何ですって? 霧人がぐったりしているっ?!」

「女郎蜘蛛……」

「何てこと!! 呼吸が荒くて熱まで出しているみたいですって?!」

「いい加減にしろっ。携帯を切らんか、女郎蜘蛛っ!」

声を荒げてみるが、女郎蜘蛛はちっとも聞いていない。

だから女は嫌なのだ。

小学生じゃあるまいし、多少の熱があったところで、医者も世話係もいるような環境なら、放っておいても息子は大丈夫だろう。

たった一人の息子だからといって、あの偏愛ぶりは異常というより他にない。

そもそも息子など所有物の一つとして、自分の手足のように使えば良いではないか。

「全く……これだから女は」

自分の息子たちを野心のために飼い馴らしている賽蝶に、女郎蜘蛛のことが理解できないのは当然だった。

「いいじゃないか。息子を思う母の気持ち……素晴らしい愛情だとは思わないかい?」

「な……っ!!」

いつの間にやってきたのだろう、毒蜂が上座に座って優雅に足を組んでいる。

遅刻してきて何を偉そうに。

だいたい、この男はいつもこうやって遅刻してくるのだ。

「毒蜂」

「女郎蜘蛛が溺愛するのも無理はないさ。誰かさんの御子息たちと違って、霧人はとても可愛いからね。……本当に可愛いよ、色々な意味で」

大きなお世話だ。

思わずそう言いかけて、喉元まで出かかった言葉を飲み込む。

賽蝶が自らの息子たちへ、自分の野心のために虐待まがいの扱いをしていることは、毒蜂だけでなく誰も知らないはずなのだ。

切り札の一つとして飼っている息子たちの存在を、こんなところで暴露するわけにはいかない。

誘導尋問のような、含みのある毒蜂の台詞に乗らずに、話題を変えようとしてみる。

それにしても、毒蜂の言葉には賽蝶と関係のないところで、何やら別の意味も含まれているような気がするのだが、気のせいだろうか。

「随分遅い到着だな。何分遅れたと思っている、毒蜂」

「そうか、遅刻だったとは知らなかったよ」

30分近くも遅れてきて、その台詞か。

というか、何でそんなに偉そうにしているのだ、こいつは。

「気をつけてもらいたいものだな」

「低血圧だから、朝が弱いんだよ」

貴様の体のどこをどうしたら、『低血圧』などという高等技術ができるのだ。

どこもかしこも蜂だらけのくせに。

相手が毒蜂でなかったら、思いっきり怒鳴りたい賽蝶だった。

しかし、七頭目筆頭という立場に加えて、毒蜂は実力的にも一番敵に回したくない人物である。

爆発しそうになる感情を何とか堪えて、賽蝶は自分に言い聞かせるように低く呟いた。

「ふ……っ。ふふん、まぁいい……っ」

ともかく、ようやく面子は揃った。

さっさと会議を始めて、さっさと終わらせて帰りたい。

こんな連中と一緒にいると、ストレスで高血圧になりそうだ。

そう思って向き直ると、皆それぞれバラバラな行動を取っている。

鎌多は持ち込んだ酒を飲み、

蝉丸は琵琶をいじくりまわし、

水爬は藻にうっとりと話し掛け、

女郎蜘蛛はまだ携帯で話し続け、

深山だけは沈黙しているが、あれはひょっとすると、飽きて寝ているだけかもしれない。

会議を始められそうな雰囲気は欠片もなかった。

「中間管理職は苦労するね、賽蝶」

我関せずといった顔で毒蜂が笑う。

筆頭の貴様が仕切らないから、こういうことになっているのだ。

何故、兜様はこんな奴を七頭目筆頭などにしているのだ。

毒蜂に限らず、頭目たちのこの言動は、まるで賽蝶のことを馬鹿にしているとしか思えない。

これだから賽蝶は族長会議が嫌いなのだった。





貴様ら一人残らず兜様のエジキだ……。

その日、賽蝶は思いを新たにしたのだった。







※因みに、族長会議に限って遅刻魔の毒蜂さん。
 今朝は寄り道したから遅刻。
 どっかのトラウマ持ちの人をからかって遊んできたから遅刻なのでーす。

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