『不動×赤屍さん』
| 「貰っていただきます」 「何だその強制的な物言いは」 差し出された物を見て、不動が不機嫌に応じる。 毒々しい薔薇をあしらった包装紙に、悪趣味なピンクのリボン。 一般的な目から見ればごく普通のラッピングだが、縁のない不動から見ればそう映る。 そもそも、どれだけ見事なラッピングをされていようとも、それを差し出す人物がこれでは、何もかもが不気味に見えてしまう。 そんなわけで、赤屍からの贈り物は、何やら異様な空気を放っていた。 はっきり言って、手をつけたくもない。 そんな不動に構わず、赤屍はいつもの笑顔を浮かべてそれを突きつける。 「バレンタインデーですから」 おそらく、誰かから貰ったものの、処分に困って他人に押し付けようとしているのだ。 「それは女が男に渡すもんだろうが」 「せっかく気を使って、ウィスキーボンボンにしたんですよ」 気を使ったのは赤屍ではなく、それを購入した誰かだろう。 それはともかく、気を使うつもりがあるなら、もっと基本的なところで活用してもらいたいものだ。 不動が甘い物に全く無縁な人間だということは、外見からも分かるはずだろう。 実際、その菓子は反吐が出るほど嫌いな代物だった。 「ウィスキーボンボンは苦手ですか?」 「中身のウィスキーだけなら、もらってやってもいいぜ」 「貴方は、外伝2巻のヤン・ウェンリーですか?」 「誰だそれは」 ※古いネタで失礼を…。 |