『不動&赤屍さん』
| 「ほらよ」 不動が乱暴に放って寄越したものを見て、赤屍は一瞬沈黙した。 「…一応聞きますが、何ですか?」 「ホワイトデーの存在を知らないなら、2月14日にチョコレートなんぞ渡すな」 言われてようやく気付いたのか、赤屍は渡された物をじっくりと凝視した。 「貴方にそんな甲斐性があるとは思いませんでした……と言いたいところですが、これは先月私が貴方に渡したチョコレートでは?」 「押し付けていった奴が何をぬかす。持ってきてやっただけ有り難いと思え」 そう吐き捨てると、不動は赤屍に背を向けて立ち去ろうとする。 足早に去ろうとするその背中には、『面倒臭い』という空気があからさまに漂っていた。 「せっかく会ったというのに、どこへ行かれるんですか?」 「てめぇには関係ねぇ」 「時間があるなら、一戦どうです?」 「ベッドの中でなら考えてやる」 |