『銀ちゃん&蛮ちゃん』
| その日の朝、相変わらず泊まるところのない奪還屋の二人は、車の中で目覚めを迎えた。 哀しいことに、ここ二日まともなものを食べていない。 朝からさっそく腹の虫が騒音を奏でている。 開口一番、蛮がこう言った。 「よし、銀次。今日一日、気合いを入れてバックレるぞ」 「ええ?」 「何だよ、文句あんのか?」 「だって、今日はホワイトデーじゃん。夏実ちゃんとレナちゃんに『お返し』しなきゃ」 そう食い下がる銀次の目の前に、びしっと人差し指が突き付けられる。 詰め寄る蛮の目つきが怖い。 「バーローっ、そんな金があるかっ!!」 「でもっ」 「貰えるモンは貰っておくが、返す義理はねぇっ!!」 「ムチャクチャだよ、蛮ちゃん…」 |