『永遠の絆編よりちょっと前の七頭目』
| ある日の族長会議、賽蝶は一つの大きな計画を秘めていた。 事の起こりは先月のバレンタインデー。 女郎蜘蛛が無理やり食わせたチョコレートには、怪しい薬が混入されていたのだった。 そのおかげで、賽蝶は三日間苦しんだのである。 あの時の恨みを晴らすのが、本日3月14日、ホワイトデーだ。 部下の者にも手伝わせて作成したクッキー。 もちろんヤバイ薬入りである。 味見役の部下が何人か倒れたが、そんなものは知ったことではない。 このクッキーで女郎蜘蛛に目に物を見せてやる。 そんなことを企む賽蝶を、他の頭目達が遠巻きに眺めていた。 まだ女郎蜘蛛は姿を見せていない。 「ふっふっふっ…」 この自慢のクッキーのせいで、悶え苦しむ姿が目に浮かぶ。 存分に苦しむがよい。 さぁ、早く来るのだ女郎蜘蛛!! 「一人で盛り上がっているところ悪いがね、賽蝶」 「何だ、毒蜂?」 「女郎蜘蛛なら、今日は風邪で休みだそうだよ」 昨日までピンピンしていたではないかっ!! あっけなく計画が砕かれてしまった賽蝶だった。 |