『弥勒兄弟』
| 「では、兄弟会議を始める」 夏彦が重々しく宣言した。 「本日の議題は、奇羅々から。題して『GWの過ごし方』だ」 静かな室内には夏彦しかいない。 たった一人で何が会議だろうかと、他人が見たなら夏彦の頭の中身を疑ったことだろう。 しかし、夏彦は至って真面目な顔をしている。 「順番に考えを述べてくれ」 その一言を皮切りに、兄弟たちが入れ替わりながら話し始めた。 まずは緋影が口を開く。 「私は特に意見はない」 「ひゃは!! どっかヤバいとこで血を浴びてこようぜぇ!!」 「俺も賛成だ。クソがあ?」 「誰でもいい、強い奴と戦わせろ」 「ちょっとぉ、GWくらい遊びたいじゃない。他に趣味もなくて、戦うことしか頭にない戦闘バカな男たちは黙っててよ。ディ○ニーランドとか行きたいわぁ。渋谷でショッピングもいいわね。自由が丘のお菓子のテーマパークも捨てがたいな」 「僕は銀次君のところに遊びに行きたいな〜っ。一緒にソフトクリーム食べたり、食事したり。あ、美堂蛮はいらないよ。寄ってきたら処分するから」 「ちっともまとまらんな…」 一通り意見を聞いて、夏彦が呟いた。 せっかくのGWではあるが、こうして相談している間に連休が終わってしまいそうだ。 きっとそうなるに違いない。 現に、これまでがそうだったのだから。 |