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『クレイマン&卑弥呼』


「なぁに、いきなり呼び出して。仕事?」

「一緒に美術鑑賞でもどうかと思ったんですけどね?」

とある美術館の前、卑弥呼はクレイマンと向き合っていた。

クレイマンの右手が、その美術館で現在開催されている展覧会のチケットを差し出している。

それを受け取って、卑弥呼はしげしげと見つめた。

新鋭の作家ばかりを集めて企画された展覧会らしい。

あまり知った名前はないが、チケットの表面に代表作としてプリントされている作品は、中々目を引く。

「どうして私に?」

「美術鑑賞は、やはり絵心を持った人と一緒がいいですからね」

そう言われて、ゴッホの13枚目のヒマワリを思い出した。

あの絵を見た時、とても不思議な温かい気持ちに包まれたことを鮮明に覚えている。

クレイマンが推奨する展覧会ならば、きっとまたあの時のような感覚を味わえるに違いない。

「いいわよ、付き合ってあげる」

「それは良かった。同好の徒が一人でも増えてくれると嬉しいですよ」

「貴方が作品の解説とかしてくれるんでしょ?」

クレイマンが微笑した。

「卑弥呼さん。芸術とは…」

「あ、そうね。心で感じる…だったわね」

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