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『天子峰さん&銀ちゃん』


いつものように近所の子供たちと遊びに出て行った銀次を見送り、天使峰は溜息をついた。

ここ数日、銀次の様子がおかしい。

どこがどうおかしいのかというと説明に困るが、どうも何か隠し事をしているような雰囲気がある。

とはいえ、深刻な悩みを抱えているというよりは、悪巧みをしているような印象だ。

近所の悪ガキと、何かを囁きあって笑っている姿からは、特に心配するような感じは受けない。

子供とはいえプライベートは守られてしかるべきだし、殊更問い詰めたりはしていないが、どうにも気になる。

さり気なく探りを入れても、嘘や隠し事のできない銀次のくせに、口を割らない。

「何を企んでいるんだろうな、銀次の奴…」

すっきりしない思いを抱えつつ日は過ぎていったが、天子峰の疑問はある日あっさり解けることになる。



6月には父の日というささやかなイベントがあったのだった。



「はい天子峰さん」

少しだけ照れたように笑いながら、銀次が差し出したのは真っ赤なカーネーションだった。

「あー、父の日か。ありがとな、銀次」

はしゃぐ銀次を抱きしめつつ、それは母の日の定番じゃないかというツッコミを、天子峰は飲み込んだ。

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