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『馬車さん&赤屍さん』


赤屍と組む仕事は、夜の内に行われることが多い。

裏稼業なのだから、夜に行動することが多くなって当然なのだが、赤屍と組んだ時には更にその例が顕著だ。

しかし、本日は珍しく例外に当たる日であるらしい。

燦々と照りつける太陽はまだ高い位置にある。

「アスファルトの照り返しが目に痛いですね」

フロントガラスの向こうで白く輝いている路面に、赤屍が長い指で帽子の角度を変えた。

「紫外線は乱反射して車の中にも入り込む…知っていますか、強い紫外線は人体に有害なのですよ」

「だからいつもそんな格好なのか?」

赤屍の肌は白い。

白人のような白さではなく、どこか病的なものを感じさせる白さだ。

黒衣で固めているから余計に肌の白さが際立つのだが、陽光を嫌って意図的にそんな服装をしているとしたら、まるで吸血鬼みたいである。

「…実は、私の皮膚は極端に紫外線に弱く、直接強い日差しに晒されると爛れてしまうのです。そこでいつもきっちり着込み、こうして帽子を手放すこともできないのですよ」

「どこまで本当の話じゃ」

「嘘です」

まともに会話をするのが嫌になってくるような返事だ。

相変わらずの適当な態度に呆れつつ、横目で赤屍を見やる。

黒衣の間から覗く肌は滑らかで、その白さが妙に艶かしい。

もしこれが健康的に日焼けしていたら――。



愛車のガラスを全てUVカット仕様にすることを、心に決めた馬車だった。

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