サモンナイト3“剣製の魔術師”第二十一話


「狭間の領域」に向かう途中、反対側から歩いてくるのは、アティさん?

・・・誰かを担いでいるぞ?

「シロウさん!!」

どうやら焦っているようだ、どうしたんだろう?

急いでアティさんの所に行く。

どうやら、アティさんは知らない男の人を、背負って此処まで歩いてきたようだ。

「如何したんですか?その男の人は?」

どうやら気絶してるようだし、衰弱しているようだ。

不味いな・・・・。

「ええ、カイルさんの所では、危ないかもしれないので「ラトリクス」のリペアセンターに連れて行くんですけど。」

「解りました、俺が背負って走ったほうが速いですね。
変わります。」

アティさんの代わりに、彼を背負い走り出す。

急げ!!

・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

・・・




「ラトリクス」に到着。

早速クノンに見てもらう。

「彼は大丈夫かな?」

「細かな外傷は認められますが、生命活動に支障をきたすようなものではありません。
極度の疲労で、衰弱しているのでしょう。
今はこのまま、安静にしておくべきかと。」

とクノン。

「良かった・・・・。」

ほっと一息のアティさん。

「良かったですね。」

俺もほっと一息だ。

「はい、・・・船で見たことのある人なので、助かってよかったです。
ありがとう、クノンが居てくれて助かりました。
シロウさんも此処まで運んでくれてありがとうございます。」

気にしないで下さい、当然の事をしただけですから。

「そうです、当然の事です。」

とクノンもアティさんに答える。

・・・?クノン、無表情ながら一寸嬉しそうだぞ?

「それにしても、こうも次々と、人間がこの島に流れ着くとはね。」

その時、自動扉が開き、アルディラさんが入ってきつつ、話しかけた。

「私達の乗っていた客船の大きさから考えたら、これでも少ないですよ・・・。」

曇った顔で答えるアティさん。

「・・・失言だったわ、許してちょうだい。」

誤るアルディラさん。

大丈夫ですよ、まだ沈んだとは確定してませんし。

「そうですよね。」

俺の言葉に、少し微笑むアティさん。

・・・・・あれ?

「アティさん、遭難されてから何日ぐらいですか?」

「・・・おおよそ3週間位ですけど?」

首を傾げながら、俺の問いに答えるアティさん。

ギリギリか・・・、衰弱して当然だし。

俺は漠然とした疑いを計算して考え直した。

・・・後で、俺はこの事で後悔することになる・・・。

「この患者の身柄は、私が責任を持ってお預かりします。
病状が回復次第、お知らせしますので。」

よろしくお願いするよ、クノン。

ぺコッとお辞儀をする、俺とアティさん。

あ、そうだ。

折角「ラトリクス」に来たんだ、アルディラさんに銃について話してみよう。

「銃を売る許可・・・?」

はい。

「でもね・・・、あの武器は危険だから禁止してるのよ。」

渋るアルディラさん。

「でもソノラちゃんが、悪い人ではない事は先の件で解りましたよね。」

「ええ。」

俺の説明に渋々答えるアルディラさん。

もう一押しだな・・・。

「それに帝国軍の件もあります、戦力アップは必要でしょうし、此処は護人会議で、議題に掛けて見て欲しいんですけど?」

俺の話しに、思案するアルディラさん。

「・・・解ったわ、議題に掛けて見ましょう。」

よし、後はファリエルさんだけか。

ヤッファさんは「サンセー」っと言うだろうし、万一反対でも、3対1だしな。

「所で、一回だけ見せてもらったあの剣の事だけど、本当にすごい力ね。」

・・・・!?

突然何を言い出すんだ?アルディラさんは・・・・。

そのアルディラさんの言葉に「そうでしょうか」と曇った顔で言うアティさん。

あのケンは危険だ・・・・。

そう、存在自体は他の”宝具”の類と変わらない、いややや上回っているかもしれない。

が・・・、何かあのケンからは、あの「聖杯」の様な歪んだ感じがする・・・。

「正直、貴方が味方になってくれて良かったと思っているわ。」

と俺の考えを他所に、アティさんをほめるアルディラさん。

「これからも、島の平和のために、あの力を役立てて欲しいものね。」

・・・・何か変だ・・・・。

一回、前にあのケンの事を調べて貰うために、護人の人達にアティさんが”抜剣覚醒”したんだが・・・。

漠然とだが・・・・おかしく感じる・・・。

理由は無いが・・・。


挨拶をしつつ、リペアセンターを出る。



又だ・・・、何か呼ばれてるような気がする・・・・。

「如何したんですか?」

アティさんが俺に話しかけるが・・・、漠然としすぎて答え様が無い。

あ・・・消えた。

「・・・・別に何でも無いです。」

「・・・そうですか?」

気にはなるが、「狭間の領域」に行くか・・・・。

(続く)




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