仲がよいということ
がつーーーーーーーーーんん!!
「!?」
いきなりの衝撃に、おれは痛さよりもあまりの驚きで飛び起きた。
すると意気揚揚とこぶしを固めて仁王立ちするルフィの姿が目に入る。
「・・・・な・・・・?!なにしてくれんだテメェ!!」
怒鳴ってみたが、こいつはそんなのお構いナシで、
「にーっしっしっし!ゾロ!おれとお前は『ケンカ』するんだ!」
「・・・・・・・・は・・・・・・・・・・?」
いきなりそんなことをいいだした・・・・・。
・・・・・はー・・・・・・・・・・・・・。
わけのわからないルフィの追撃から逃れて、おれは見張り台で一息ついた。
いったいなんだってんだ・・・・・・・・
見上げた空はいつものように快晴で、眼下に広がる海もいつものように穏やかだった。
おれは首をひねる。
どうせあいつのことだから、くだらない理由からの行動なのだろうが、・・・・それにしたって『ケンカ』とは・・・・・・。
あいつと前に『ケンカ』したのは、たしかウィスキーピークでのことだったか。
あの時の原因はたしかルフィの勘違いで。
いきなり本気で殴りかかってきたから、口で言っても無駄だろうと、こちらも本気で応戦したが・・・・・・。
どうやら今回はそこまで本気のケンカをふっかけてきているわけではないらしいが、さっぱり理由がわからない。
「・・・ったく、あの馬鹿の考えはさっぱりわからん・・・」
ほかの誰よりかはアイツを理解しているつもりではあるが、なにせいつも突拍子もないことをする奴なのだ・・・。
こういうこともしばしばある。
「ゾロ、みーーーーっけ!」
いきなり腕が伸びてきて、見張り台にルフィが吹っ飛んできた。
「・・・・げ・・・・・・」
「ゾロ!『ケンカ』するぞ!!」
そういって再び殴りかかってくるルフィ。
「・・・ったく・・・」
このままではキリがないので、狭い見張り台のなかでおれはなんとか身をかわし、ルフィの両腕を掴んで押さえ込んだ。
「うわっ!」
なんとかおれから逃れようとルフィが下でもがくが、純粋に腕力だけならおれのほうが上なのでそう簡単にははずれない。
やっとのことでルフィはおとなしくなった。
「おい、一体なにがしたいんだテメェは・・・・・・」
「・・・・ゾロとケンカーー」
「なんでおれがお前とケンカしなきゃならねェんだよ・・・・」
前のときはついムキになってしまったが・・・・・・・・・・本音を言えば、できるだけ自分の大切な奴に傷をつけることはしたくないのだ。
「うーーー・・・・・・」
拗ねた顔をして黙るルフィ。
「・・・理由を言えよ」
「だってー・・・・」
「なんだ?」
「ゾロとサンジ、よくケンカするだろ?」
おれは思わず顔をしかめる。
まぁ、よくあることだが・・・・・。
それがなんで『理由』になるというのか。
「チョッパーがな、それを見てビビに『ゾロとサンジは仲が悪いのか?』って聞いてたんだ」
「・・・へぇ・・・」
悪いぞ、といってやろうかとおもったが、ややこしくなるので黙っておく。
ルフィが続ける。
「そしたらビビがな、『仲が悪いわけじゃないと思うわ。ほら、『ケンカするほど仲がいい』っていうじゃない』って言ったんだ」
・・・・・オイ・・・・まさかそれで・・・・・・・・
「ケンカするほど仲がよかったら、ゾロと一番仲がいいのはサンジになっちまうだろー?ゾロの一番はおれがいいのにさーー・・・・」
・・・・・・・んとに・・・・この子供は・・・・・・・・
「だからゾロとケンカしようと思ったんだ」
「この馬鹿」
おれは腕をほどくと、ルフィの頭をがっつりと殴った。
「・・・いってェな!!ゾロ!!」
そしてルフィが掴みかかってくる前に、おれはその体をふわりと抱き込んだ。
「・・・ゾロー?」
「いいこと教えてやる」
きょとんとした顔でルフィはおれを見上げる。
「『ケンカしなくても仲がいい』って言葉もあるかもしれねェぞ」
にやりと笑っておれがそういうと、ルフィは『おおっ!!』と手を打った。
「すっげぇな、ゾロ!物知りだな!」
おれはルフィの頭から麦わら帽子を取ると、猫っ毛を優しく撫でる。
「同じように仲がいいなら、『ケンカ』するよりもこっちのがいいだろ・・・?」
「しししし。そうだな!」
ルフィはぎゅっ・・・とおれにしがみついた。
こうしておれたちは『仲直り』をした。
ケンカと仲直りのリク話。
二人のケンカ話を書いていたら、なんだか『本気のケンカ』ネタばかりが浮かんできました。
なんか、こう、一対一の考え方のぶつかり合い、みたいなシリアスになりそうなヤツが。
それを忘れて別のを考えてたら、なんか・・・・どんなにルヒが怒っても、ゾロったら軽く受け流してケンカしてくれない。
・・・・ゾロったら・・・・・・・・。(照)(←お前の頭が恥ずかしいわ!)