クルーは語る。

うちの船で一番子供なのは船長だ。




         貰うもの




5月5日。
言わずと知れた船長、モンキー・D・ルフィの誕生日である。
当然航海中のゴーイングメリー号では、チョッパーが仲間入りしたときのような大宴会が開かれていた。
皆それぞれに、海のど真ん中なのでたいしたお祝いはできないけれど、と前置きしてからルフィに誕生日プレゼントを渡してあったのだが、




「ねぇルフィ、あんたゾロにはなにをもらったの?」
ビールジョッキを片手に、ルフィをからかうつもりでナミがそんなことをいいだした。
「あーあのクソマリモのことだから、体とかそんなもんだろ?」
さらに重ねてサンジ。
「体?」
首をかしげてチョッパー。
「あーいい、お前は知らなくて」
また始まったよあの二人、とウソップがチョッパーに手を振る。
ちなみにゾロは酒を取りに席をはずしている。

「で、なに?」
にやりとナミがルフィに詰め寄る。

ルフィは難しい表情で、腕を組んで首を傾げた。

「んーーー」

「なによ、もったいぶってないで教えなさいよー」
「そうだぞ、ルフィ。ナミさんにはやくお答えしてさしあげろ」

別にもったいぶっているわけではない。
ルフィは空を仰いで考える。
そしてポツリと呟いた。


「いや、おれ、これ以上ゾロから貰えるもんねェしなーー」


クルーは目を見張ってルフィを凝視する。


だってそうだろ?
ゾロはおれの好きなものだし、一緒に夢を目指してくれるし、かまってくれるし、助けてくれるし、頼りになるし、強いし、かっこいいし・・・・
おれはゾロを手に入れたしなぁー。
これ以上ゾロから欲しいものねェよってくらい、十分貰ってるし。
うん、ゾロは全部おれのものだしな。


「あ、でもゾロの夢は別だな。あれはゾロのものだ」
そういって、にししと満足そうにルフィは笑った。
丁度キッチンの戸が開き、瓶をもったゾロが出てくる。
「おーい、ゾローー!」
ぱたぱたとルフィがとんでいった。

「おう、なんだルフィ」
「んーなんでもねェよ」
「そうか、誕生日おめでとうルフィ」
「おお、ありがとな!」
笑顔のルフィの頭をくしゃりとゾロが撫でていた。



「・・・・ほっときましょ」
「・・・・そうですね」
「ルフィとゾロは仲良しだなー」
「・・・・ああ、そうだな」


かくて、何事もなかったかのように宴会は再開されたという。









クルーは語る。

うちの船で一番子供なのは船長だ。

だが、一番大人なのも船長かもしれない。

時々そう思う、と。

























誕生日おめでとうルフィ。
もうお互いあげるものがないほど、与えあってるのではないかと。
・・・なんて、たんなるルフィののろけ話。(蹴)

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