玉砕シャンクスを捧げるのはまったくもって失礼なので、気合を入れて文章を捧げようと思い立ったのですが、・・・余計失礼な気がしてなりません(汗)
えー遅ればせながら(遅れすぎだ)誕生日おめでとうございます!
某お方に(勝手に)捧げさせていただきます。
シャンクスです。だれがなんといおうとシャンクス王ということにしてください。





王子様と私・前編









麦わら王国は今日も平和でした。
日差しはぽかぽか暖かく、心地よい風が流れ、きれいな花が我も我もと咲き誇っています。
しかし、そんなのどかな風景のど真ん中にそびえ立つ王宮では、のほほんとした雰囲気をぶち壊す大騒動が起こっていたのです。
騒ぎの主役は、王子様。





「シャンクスの、ばっかやろーーー!!!」
半べそかきながらそう怒鳴っています。
御年6歳。黒目黒髪のやんちゃな王子様、その名をルフィといいます。
いつも元気なルフィ王子。
今日は大暴れです。
むしろ単なるだだっこです。
どうして彼がこんな大騒ぎしているかというと、それは彼の視線の先。
「おいおい、ルフィ。いいかげんあきらめろ。何度言ったらわかるんだお前は」
呆れかえったようなちゃかしているような声をあげて彼をたしなめるのは、きれいな赤髪とすらりとした身体、整った顔立ちになぜだか生やしている無精ひげ、いつもはラフな格好をしていますが今日はそれなりの装いをしているため上品な風格すら漂っている御方。
御年28歳。何を隠そうこの麦わら王国のトップ、シャンクス王です。
「いやだ!おれもつれてってくれよ!」
あっかんべーっと舌を出しながら王子は言いつのりました。
まったくものを頼む態度ではありません。
しかし丁重にお願いしたところでシャンクス王が折れるはずは無いのですが。
王はいつものように肩をすくめてため息をつきました。
「いいか、ルフィ。駄目だといったら駄目だ。
今日は国の用事ででかけるんだ。お前にはまだ早すぎる」
優しい口調でしたが、その瞳はしっかりとルフィ王子を見据え、絶対に連れて行かないという王の確固たる意志を示していました。
「・・・うぅ・・・・」
「いい子で留守番してろ。いいな」
王は苦笑を浮かべて、言葉につまって恨めしそうに睨みつけてくる王子の頭をふわりとなでて、側近のベックマン大臣と出かけていきました。


「・・・くっそー・・・今日も駄目だった・・・」
王子は城の出窓から、王と大臣が消えていった方向を残念そうに眺めていました。
それは良くある光景でした。
・・・が。

「・・・なーんてなっ!!」

にしししっ!とルフィ王子が笑いだしたのです。
そしてそのもみじのような小さな両手には四角いずんぐりとした銀色のかたまりが握られていました。
・・・それは磁石でした。






「・・・今日はまた、ずいぶんと大暴れだったな」
静かな声でベックマン大臣が隣に座る王にいいました。
馬車は森の中をゆったりと進んでいます。
王は頭の後ろで腕を組みなおしました。
「毎度毎度、アイツもよくやるぜ。つれてかねーっていってるのにな」
王の言葉を聞いて、大臣は含みのありそうな笑顔を口のはしっこに乗っけて彼を眺めました。
「・・・なんだよ、ベン」
「いや。それぐらいでないと張り合いがないと思ってるんだろ」
「・・・まぁな」
にやりと王がいいました。
そのとき馬車ががったんとゆれたのです。
どうやら道に転がっていた石に乗り上げただけだったようなので、二人はたいして気にもとめませんでした。
そして、揺れたときにあるものが馬車の上から転がり落ちていたことにも気がつきませんでした。
馬車は変わらず進みます。
今日は隣国のコブラ王との会談です。






王子が騒いだ後の王宮はいつもの穏やかな雰囲気をとりもどしていました。
いいえむしろいつも以上の静けさでした。

丁寧に磨かれた大理石の床を、早足で一人の騎士が歩いていました。
彼の名前はゾロ。
弱冠15歳という若さで王宮騎士隊に入隊した凄腕の剣士です。
そしてルフィ王子のお目付け役なのです。
「・・・ったく、あいつは・・・」
年齢にふさわしくないほど落ち着き払った雰囲気の上に、心配の色を載せて彼は廊下を進みます。

・・・ちょっと目をはなすとすぐこれだ・・・。
厄介ごとを引き起こしてなけりゃいいが・・・。

残念なことに、そんなゾロの祈りもむなしく、しっかりルフィはいつも面倒ごとを引き起こすのです。
もちろん、今回も。

「ルフィー!どこいったー?!」







「・・・・・・?」
王子は首を傾げました。

「・・・どこだ、ここ」

くるりと周りを見回します。
しかし四方八方、どこを見ても木、木、木、ついでに草。
ずばり森のど真ん中でした。
「うーん」
たいして困っていなさそうな様子ですが、わけがわからずただただ首をかしげたままつったっている王子の手には、銀色のS極と赤色のN極の棒磁石がぶらさがっていました。







「・・・うーん」
会談の小休止中に、シャンクス王が浮かない顔をしています。
まったくもって順調に会議は進んでいるというのにどうしたことでしょう。
「どうした、なにか心配事でもあったか?」
さりげなく大臣が気を配ります。
王は、軽くぱたぱたと手を振って『いや、大丈夫だ』と笑ってみせました。
「・・・ただ、なーんとなくおちつかねぇんだよ」
ふわりとゆれた赤髪が、王の瞳に薄い影をのせました。







・・・おかしい。

ゾロはだんだん焦りの色を濃くしていました。
当然です。
いつもだったら今ごろ見つかっていてもおかしくはないのです。
なにせこの王宮内で王子のいそうなところなどしっかり把握済みなのですから。
王子の部屋はもちろん、日当たりのよい南側の屋根の上、調理場、一番高い尖塔の上、庭・・・などなど。
心当たりは全て捜したのです。
しかしあのお日様のように眩しくて元気いっぱいの王子様の姿はみあたりませんでした。

・・・まさか・・・

思い浮かぶ可能性としては、王宮の外に出て行ってしまったのではないかということです。
しかし、それらしいことは誰からも知らされてはいません。
とりあえず捜しもらしたところがないか、もう一度くまなくチェックすることにしました。
と、そこにウソップの姿が目に入りました。
騎士の一人、ヤソップの息子である7歳のウソップは王子の友達です。
彼ならもしかしたらルフィの居場所を知っているかもしれないと、ゾロは声をかけてみることにしました。
「よぉ、ウソップ」
「おお、ゾロ。どうした」
「ああ、お前、王子を知らないか?姿が見えねェんだ」

ウソップはよく嘘をつきます。
それはとても楽しい嘘なので、だれも怒ったりはしません。
そしてそれはすぐに嘘とわかる嘘なので、やっぱりだれも怒ったりはしません。
・・・つまりウソップは、嘘をつくのが下手くそです。
とくに隠し事を隠すための嘘は。

「さ、さぁなー!どっかで遊んでるんじゃねぇのか?ほらいっつもみたいに屋根の上にいたりしてなー!!ははははー!」
ぺらぺらとしゃべりだし、なおかつ額には脂汗とも冷や汗ともとれる水玉がぽつぽつと浮かんでいます。
ご丁寧にゾロから視線をそらしてあさっての方向を向いているあたり、疑ってくれと言わんばっかりです。
「・・・そうか」
ゾロがそう言ってくるりと背を向けると、ウソップは明らかにほっと胸をなでおろしました。
それを見逃すゾロではありません。
「・・・なんて納得すると思ったか、このバカ!王子はどこにいったんだ?お前しってんな?!」
「わかったっ!すまん!!いうー!!いうからー!!ぐるじいーー!!ばなじでぐでーー!!」
胸倉を掴み上げ、眉間のしわを二倍に増やして詰め寄ったゾロの剣幕に、ウソップはおとなしく従うしかありませんでした。
いえ、ゾロも必死ですから、しょうがありませんね。







「シャンクス様、お電話でございます」
上品なメイド頭がアラバスタ仕様の電伝虫を王に差し出しました。
シャンクスはお礼を言って受話器をとると、騎士のヤソップからでした。
「おお、ヤソップ。どうした、なにかあったのか?」
「・・・うちのバカ息子がやらかしてくれたぜ」
「なに?」
「ルフィはそっちにいるのか?」
「は?いや、いねぇが・・・ルフィがどうかしたのか?!」






「・・・『磁石』、だとぉ?!」
ゾロがウソップに吐かせたところによると、ルフィは彼にたのんで秘密道具を作ってもらったそうなのです。
『おれ様特製磁石』。
手のひら大のその磁石はS極とN極をばらすことができて、そして何百メートル離れていようとも、S極についたボタンを押せばN極にくっつくという脅威の発明品でありました。
すごいんだかすごくないんだかいまいちわからない発明品ですが、とにかく王子はそれをつかって王のお出かけ先についていこうとしたのです。
今朝、ウソップが王の馬車の上にN極を乗っけておいたそうなのです。
そしてころあいを見計らってルフィがS極のボタンを押して、ひとっとびしていったはずなのですが・・・。
「・・・ルフィが、着いてない?!そ、そんな!!確かに飛んでいったんだ」
ウソップがうろたえました。
頭のてっぺんにはヤソップによるたんこぶが雪だるまのように鎮座しています。
「・・・ルフィ・・・」
ゾロはすぐさま馬を駆り、王宮をとびだしていきました。

・・・ったく、あのバカ・・・!!

離れた隣国で、王もそう思っていることは間違いありません。







続く(何?!)

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