王子様の日記 ある日の夜、ルフィ王子がベン大臣のお部屋を訪ねると、大臣は机に座って何かを書いていました。 「あれ?何してるんだ?」 「ああ、王子か。今日記を書いてるんだ」 「にっき?」 「そう。日記」 大臣は小さな王子を抱き上げて膝の上に座らせると、優しく優しく説明しました。 「日記ってのはな、今日一日あった出来事をあとから思い出しやすいように、こんなことがあったぞって書いておくことなんだ」 「んーたとえば?」 王子は大きな目で、大臣の顔を不思議そうに見つめます。 「そうだな、ああ今日の日記には王子が昼に花瓶を割ったって書いておいたな」 「えー!!」 とたんに王子の顔には大雨洪水警報が発令されます。 眉毛の薄い、落ち着いた物言いをする大臣は、そんな王子の表情の変化を楽しんでいます。 「はは、そればっかりじゃなくて、楽しいことも書いておくんだ。城の外に散歩に行ったとか、アラバスタの姫君が遊びに来たとか・・・とにかく今日一日あったこと全部を書いてもいいし、一番楽しかったことだけをかいてもいい。日記の書き方には決まりなんかないからな。」 「そっか。よし。オレも日記書く!!」 ○月×日げつようび きょうわ、ぞろと、にわであそんだ。 しろのそとにいきたいっていったら、だめだっていった。 けちぞろ。 ○月△日かようび きょうわ、メシがすっげーうまかった。 いいにおいがするから、めしのじかんのまえにつまみぐいしようとして、おこられた。 よるはぞろにえほんをよんでもらった。 しんでれらがどくりんごをたべてかわでせんたくしたゆめをみた。 ○月□日すいようび きょうわ、ぞろとしろのそとにあそびにいった。 かわでつりした。 おれはつれなかったけど、ぞろがつったのをくれた。 さかなさかなー 後日、シャンクス王の執務室にて。 「・・・なんかよー・・・ベン」 「なんだ?」 「ルフィの日記って、毎日ゾロがでてくんなー」 「・・・・・・・」 「いっしょにいる時間が多いからしょうがねぇのかもしんねぇけどさ、オレのこともかいてほしいなー・・・ちぇっ」 「・・・・・・毎日の仕事をさっさと終わらせたら王子といくらでも遊んでいいんだぞ、王様」 「・・・・・・・・・・・・・・・オニ」 「・・・・それ以前に、王子の日記を読むな」 「・・・・・・・・・・・ケチ」 「・・・・・やれやれ・・・・まったくあんたって人は」 麦わら王国は今日も平和です。 「ゾローーー!!今日はいちごがりにいこーぜーー!!」 「はいはい」 6歳の王子様と15歳のお付きの剣士は、本日イチゴ狩りにいっているようです。 |