Tendar Tendar












悲しいことに自分は親ばかだと思う。








「ゾローー!」
6歳になった二人の息子、リク。
遺伝子って素晴らしい。
顔はルフィ寄りだが、りりしいあたりはゾロに似ていなくもない。
小学校にあがる歳なので、かなりすでに生意気だ。
実の親を呼び捨てにしている。
しかしおそらく二人にとっては目に入れても全く痛くない。
片方はおおっぴらにそんな素振りは見せないが、長い付き合いの友人達からいわせると、『ゾロの方が溺愛してるわよねー』とのことだ。

「どうした、リク」
「ユキが泥だらけになった」
ばばんと泥にまみれて白い猫から三毛猫に変身している家族の一員を自分の目線の高さでさしだした。
「・・・泥だらけに『なった』じゃなくて、泥だらけに『した』んだろうが・・・」
「げっ・・・なんでわかったんだ?!」

わからねぇわけねェだろうが、自分の格好を鏡でみてみろよ・・・と密かに頭を抱えた。
ゾロ譲りの綺麗な薄緑色の髪が、茶色に染まっているのだ。
むしろ猫よりも酷い。
「やれやれ」
例によって例のごとく、ゾロは三毛猫と茶髪の子供をひょいと抱え上げて、庭に向かった。



今日は天気もいいし、どうせ綺麗にしてやっても夕方になる前にこいつらはまた泥だらけになって帰ってくるだろうし。
「うぁーーきもちーーー!」
ホースでまとめて水をかけて遊んでやることにした。
楽しそうな息子をみて、ついついゾロの心にいたずらしたいという気持ちがむくむくと膨れ上がる。

思わず、ホースの口を指で押さえて、鉄砲水をリクの顔に命中させた。

「ぶわっ!!」

その顔がまたなんとも可笑しくて、
「あははは!まいったか!」
「・・・むぅー、コノヤロー!」

さすがはリク。二人の息子。この程度でへこたれることなどまったくなくて、ゾロの手からホースをひったくり、ゾロの頭から全身に水をぶっかける。

「どわぁー!コラ、テメェなにすんだ!」
「にぃぃー!しかえしーー!」
「やりやがったなー!」
「ぎゃーー、ゾロがおこったー!逃げるぞユキ!!」
にぃっ!
「コラ待ちやがれーー!!」



そんなところに、もう一人の親が犬の散歩から帰ってきて、
「お、なにやってんだ!おもしろそーだなー!おれもいれろーー!」
「うわルフィもかよ!」
「おう、ソラ!それいけ、ゾロをやっつけろーー!」
わんっ!
「こら、お前ら卑怯だぞ!」




そんな一家の休日風景。

今日も五人で騒がしく、でも幸せな時間。






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