もっとこの瞳がぱっちりしてて。そう例えば同じクラスの沖田くんのように
(なんで男のくせにあんなに瞳ぱっちりなんだコノヤロー!睫毛も長いなオイ!羨ましいことこのうえない)
あと5kg痩せてて、尚且つ出るトコ出て締まるトコ締まってたら
(所謂ボンキュッボン。あーそうさ。どうせあたしはキュッボンボン…って自分で言ってって悲しくなるよ)
それで、もうちょっと可愛くって(いや、もうちょっとなんて言わずにもっとずっとずっと可愛かったら)




・・・そしてあともうちょっと早く生まれていたら、あたしのコト好きになってくれた?ねぇ、センセ?





024.もしもの話。






あーあーあーあー。何なんだ!もうセンセ格好良すぎるよ!
国語教師なのに白衣着てるトコとか(本当に何で?)
そのやる気が感じられない瞳とか、教師なのに校内で煙草吸っちゃうトコとか
その柔らかそうな髪とか(触ってみたいなぁ…なんて)
…もうこんなにこんなにセンセのこと好きなのに!



なのになんであたしとセンセは生徒と教師って関係で、
っていうか大体なんで生徒と教師は恋しちゃダメなのよ?!
いや、逆に禁断の恋くらいのが燃える(萌える?)ってか!
はーぁ。…やっぱり好きだわ、先生のこと。(うーん、恋って素晴らしい!)










今日も今日とて、無理矢理にでも質問を作って先生の元へ。
別に勉強熱心なわけじゃない…どちらかと言えば、先生に熱心みたいな?(あー、意味わかんない!)
国語科準備室までの道のりを歩きながら、ちらりと窓に瞳を向ける。
剣道部だろうなァ(土方くんの「総悟ォォオ!!!!」って怒鳴り声が聞こえるし)
…山崎くんって剣道部だよね?ミントンのラケット持ってるけど。





「オイ、じゃねェかァ!また今日も質問かァ?ん?」
あたしの頭をぐしゃぐしゃってしながら。
…びっくりした!まさか先生が後ろから来るなんて思ってなかったから。
(てっきりまた準備室でジャンプでも読んでるのかと思った。…ていうか学校でジャンプかよ!)



「沖田も懲りねェなァ。多串くんも大変だねェ〜」

「ねぇ、先生」

「ん?」

「山崎くんって剣道部だよね?」

「そうじゃねェの?ってそれがどうしたのちゃん」

「…掛持ちとか?」

「は?」

「部活。」

「あー、山崎の部活ね。イヤ、流石に先生そこまで知らないわ。男子生徒興味ないし」

「…アンタの生徒じゃん!」

「可愛い女子生徒は別よ?ほら、アレお前帰宅部だろォ。」

「・・・。」





なにそれ。
期待していいの?
確かにあたしは部活なんて入ってないけど
(っていうか帰宅部って本当にあるのか?そもそも帰宅することが活動内容なんて)
それとも先生は女子全員の部活を覚えてるのか。





「ねぇ、先生。さっちゃんの部活は?」

「んあ?猿飛?あー、くの一部とか納豆部とかそこら辺じゃねェの?ってか、山崎はもういいのか!山崎は!」

「…くの一部も納豆部もうちの学校にはないよ」

「あーアレだ、アレ!じゃ、もうアレしかねェだろ!」

「どれだよ!」



まだ「アレだよ!アレ!おまっ…知らねェの?」なんて言ってる先生をほっといて、準備室の中へ。
ねぇ、先生。…あたし勘違いしてるのかな?このまま期待しちゃっていいの?



「で、どこだ?質問あンだろ?」
ほら座れよって言いながら椅子を用意してくれるので、お言葉に甘えて座ってみる。

「えっと、・・・34ページのココ」

「ん?あ〜これね。これはお前アレだから…ちょっお前もっとこっちこい、教科書見えない。」

「え、うん」



言われるままに、先生との距離を少し埋める。
あたしの教科書の上に先生の長い指が乗っかる。
ごつごつしてて男らしい手はあたしのなんかより大きくて。
それでいて綺麗で。(あー、先生の手も好きだなぁ)
教科書の本文を音読している先生の声が、距離が近いせいかあたしの耳元に直接響く。
自分の顔に熱が集中してるのがわかる…きっとあたし今、林檎より真っ赤だ。
折角説明してくれてるけど、全くと言っていいほど頭に入ってかない。
先生のちょっと低めな声は確かにあたしの耳に入っているんだけど、まるで意味をなさない言葉のよう。
(というかあたしにそれを理解しようという気がない。だって先生の声に聞き惚れちゃうんだもん)





「…って、ちゃん聞いてるぅ?」

「全然。」

「オイ!…あァ〜まァいいや。もぅやめやめ!」

「…先生は」

「ん?先生がどォ〜した?」

「女子高生は好き?」

「はぁ?…イヤ、嫌いじゃないけどさ。先生はどっちかっつーとナースのが好きかなァ?」

「・・・ナース」

「うん。あ、何?着てくれんの?ナース服」

「えー」

「えーって何。だったら先生十点満点中十三点あげちゃうよ?!」

「いや、満点越えてんじゃん、それ」

「あ、マジでか!いや、でもいいぞォ、ナース服!」

「はいはい」

「なー、文化祭ナース服にしねェ?メイド喫茶的なものをアレね、ナースでさ」

「先生文化祭嫌いなんじゃなかったの?」

「いや、アレだ!アレ!お前がナース服着るっつーなら、文化祭嫌いだろォがなんだろォが先生行っちゃうよ?」

「どんなプレイだよ?!」

「プレイっておまっ!!!!まァ、がどォしてもつーなら、しょうがねェ先生は医者やってやるから!アレだ、先生繋がり!」



なんか上手い事言った!みたいな顔で見てくるけど、全然上手くないからね。
あーあ、ナースか…。(やっぱり先生はちょっとマニアック。まぁ男なんてそんなもんか。白衣の天使に幻想抱いてるだけ)
にしても、何してんだあたし?ナース議論?
あー、でも先生医者コスとか似合うかも(いつも白衣着てるし)



「ねぇ、先生」

「なんだ、?ってかお前今日ソレ多いのな」

「もしも・・・だよ?」

「あれ?スルーですか?え?スルー?」

「どちらか絶対選ばなきゃいけないとして」

「として?」

「ナース服着たさっちゃんと」

「なんで猿飛?」

「・・・いつものあたしだったらどっちを選ぶ?」

「・・・は?」

「だからどっち?」

「いやお前アレだろ。・・・ナース服着たお前。」

「選択肢にないから、ソレ」

「っていうかなんで猿飛?」

「…ライバルだから?」

「・・・。」





で、どっち?なんてきいたら「はぁ。」って溜息疲れた。
呆れられたよね、何言ってんだこいつって思ってるよね。





って、アレ?
何で、あたしは今先生に抱きしめられてるの?



「・・・先生結構アピールしてるつもりだったんですけど?何、伝わってなかったの?」

「何が?(ナース服着てないやつには興味ないってこと?)」

「あー、お前アレだわ。前から鈍いなァとは思ってたけどここまでだったとは…!」

あちゃーなんていいながら片手で顔を被う先生。





「んなの、お前に決ってんだろ?」

・・・え?





「ナース服着てよォが着てなかろォが、先生以外には興味ナイから。」





「つーかお前、何?俺が好きでもないやつの為にわざわざ放課後残ってまで勉強教えてやるわきゃねェだろォ。」

「ねぇ、先生それって・・・」

「そォーだよ!先生はのことが好きなの!
 …はぁ。お前が卒業するまで言わねェつもりでいたのに。アレだよ、お前。先生クビになっちゃうからね!?」

「やだよ…!あたしだって先生のことが好きなのに!」

先生がクビになっちゃうとか絶対やだ!!
あたしの毎日の生きがいがなくなっちゃうじゃん!!
って思ってたらギュッって抱きしめる力が更に強くなって・・・





「・・・だからコレは先生とお前だけの秘密な?」

なんて耳元で囁かれた。
いっきに体中の熱が顔に集まって、耳まで真っ赤になるあたし。



「そんな可愛い反応されると先生我慢出来なくなっちゃうんですけどォ?!」

「もう!先生の馬鹿!」

ヒドイ!彼氏にむかってそんなひどい事!!」

「・・・彼氏?」

「そ。先生と禁断の恋始めちゃいませんか?」



返事の代わりに先生の唇にあたしのそれをくっつけて。



「・・・って意外と大胆なのな」
なんてニヤリと笑う先生。










もしも・・・
もっとこの瞳がぱっちりしてて、あと5kg痩せてて、尚且つ出るトコ出て締まるトコ締まってたら
それで、もうちょっと可愛くってそしてあともうちょっと早く生まれていたら…なんて言い出したらきりがないけれど、
それでも先生が好きになってくれたのは今のあたしそのもので。
・・だからもうちょっと自分を好きになってあげようかなぁ、なんて思いました。(え、作文?)










おわれ!



2006.06.06





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