いつからだろう?唯、毎日会えるだけじゃ我慢出来なくなったのは。
前は学校で先生を見れるだけで嬉しかったのに。 ちょっと話せただけで天にも昇る気持ちだったのに。 気付いたらあたしの欲張りな思いは止まるどころかもっともっとと溢れかえってて。

先生の顔が見たい、先生の声が聴きたい、先生に触れたい、先生の瞳にあたしだけを映して欲しい、 先生の唇から紡がれるのはあたしの名前だけがいい、先生に触れていいのはあたしだけ、 先生に触れられるのもあたしだけがいい、欲しい、欲しい、欲しい、先生が欲しい…!

あぁ、ダメだなんかあたしちょっとオカシイみたい。こんなはずじゃなかったのに。 先生が他の子と話してるだけで胸が張り裂けそうになるの。やだ、あたし以外の子に微笑まないで! 先生はあたしのなの!だなんてぐるぐるぐるぐる黒いドロドロしたものがあたしの胸の中に渦巻くの。 どうしたらいいかわかんなくなる。あたしの瞳に映るのは先生だけ。 思うだけで実際はあたしのものだなんてここじゃ言えないくせに。




どうしたアルか?心ここにあらずって顔してるネ。恋か、恋アルか?」

「恋、ねぇ・・・。まぁそんなもんかなぁ?(まさか言えない、こんなこと)」

「マミー言ってたヨ、恋は盲目だって。の恋も盲目アルか?」

「はは、神楽ちゃんのママは物知りだね」

「そうアル!マミーいつも色んなお話してくれたネ!・・・って、ワタシを誤魔化そうたってそうはいかないヨ!」


妖しく笑っている神楽をそのままに、あたしの頭の中を今度はさっきの神楽のママの言葉が占拠する。 ”恋は盲目”そうかもしれない。まさに今のあたしは理性を失って分別を無くしてるのかも。 嫉妬なんて・・・。今までは気付かなかったけど、先生と付き合うようになって初めて自分は独占欲が強いんだなぁって思い知らされた。 学校じゃ先生に構ってもらえないのは当たり前なのに、頭ではわかってるはずなのに、心が付いていかない。 二人きりの時みたいに優しく「」ってあたしの名前を呼んでもらいたくて、その大きな腕に抱きしめて欲しくて。 あたしっていつからこんなに欲張りな子になったんだろう?こんなんじゃ先生に呆れられちゃうかも・・・。





「・・・それでマミーがパピーにこう言ったヨ。って、聞いてるアルか?」

「うん 聞いてる、聞いてる。神楽ちゃんのパパがラブリーベイベーの握手会に行ったんでしょ。」

「違ェーよ。アレだ、お前マジカルナース小麦色ちゃんのDVD買いに行ったんだろ?シリアルナンバー入りの」

「二人とも違うアル。銀八いつからいたアルか?・・・脳タリン、死ねヨ」

「ちょ、ひどくない!?死ねとかひどくない!?先生、目の前霞んできたんだけど・・・!」



先生はいつの間にかあたしの後ろにいたみたいで、ひょこっとあたしと神楽ちゃんの間に顔を出した。 それから付け足すみたいに「あ、後で準備室来いよ」なんていつ立ち直ったのか知らないが言い捨てて教室を後にした。 ・・・なんだろう?どっちにしてもニヤ付きそうになる顔を抑え「、何かしたアルか?」なんて聞いてくる神楽ちゃんを軽くかわしながら走り出しそうになる足をどうにかしなきゃ。










ハァ…ハァッ
乱れた呼吸を整えるために膝に手を付きながら準備室の扉を開けると、キャスター付きの椅子を回しながらこっちを向いた先生と目が合った。


「随分早いお着きで?」

「…うるさいな、先生が呼んだんでしょ」

「いやそうだけどさ、んな急いで来なくてもよかったのに。あ、何そんなに早く先生に会いたかったの?」

「…そうだって言ったらどうする?」

「ちょっ、おまっ・・・可愛いんだけど!本当どうしようもないくらい可愛いんだけど!ちょっとこっち来なさい」



そのまま近付いて向かい合わせで先生の膝の上に座る。それからぎゅって先生に抱きついて、先生の身体に頭を埋める。 大好きな先生の匂いでいっぱい。さっきまでのモヤモヤした気持ちなんて遠の昔にどっかに行ってしまった。 先生の大きな背中に手を回してどこにも行かないように強く抱きしめたら、先生も同じ様にあたしの背中を抱き返してくれた。



「なんか今日のやけに甘えんぼじゃね?どうした、なんかあった?先生に言ってみ?」

「んー。。。ちょっと嫉妬、、しちゃった」

「嫉妬?誰に」

「・・・さっき話してた子」

「は?・・・あー、アイツか。もー、お前本当かわいいねー。んな心配しねェでも先生はオメーのもんよ?ま、嫉妬してるもかわいいからいいけどね」

「・・・もう一回言って」

「ん?」

「、、あたしのだって」


先生の白衣の背中の部分をぎゅっと握りながら、眼鏡越しに先生の瞳を見詰めながらそういうあたしに、 やっと理解出来たのか「あー」なんて唸りながらも耳元で「何回でも言ってやるよ、俺はのだって。それにも勿論俺のだろ?」なんて待ち望んだ言葉をくれた。 「当たり前」なんて笑顔で返すあたしに、甘い口付けをひとつ。







 今はまだ秘密の関係。でもいつか

自分のものだと言えたら

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