3、2、1で飛び出そう
此処は危険!だから安全な下界へ…!







脱出ポット







空は快晴!雲なんてひとつもない。
そう、正しくアレをやるにはもってこいの天気だ。
何故だか突然それをする羽目になった我が三年Z組。
・・・言わずもがな、あのバカ校長の仕業だろう(っていうか、またいつもの思い付き?)
何でよりによってうちのクラスなんだよ!うぅ!
まさか高校最後の学年でアレを体験することになるなんて…!





どうしたアル?顔真っ青ヨ」

もうバッチリ学校指定のジャージに着替えたらしい神楽が、
有りえないくらいげっそりしているだろうあたしの顔を見て心配そうに言った。



「神楽は楽しそうだね、なんか」

「当たり前ネ!ココからビューンって滑るなんてなんか面白そうアル!」

「怖いって!あたし高いとこダメなの!」

は弱虫アルなー!」

「弱虫で結構!怖いものは怖いの!あーもう帰りたいー!!」


ニヤなんてちょっとあたしを馬鹿にした感じの笑みを浮かべる神楽を軽く流して。
だって本当あたし高いとことかダメなの!透明なエレベーターとか本当無理だからね?
あと展望台とか?あたしにはあんなトコに行って何が楽しいのかなんてさっぱりわからない。



そして今日この3Zで行われるのは避難訓練。そう、よく小学校や中学校なんかである
上の方の教室から袋みたいなのを滑り降りて下まで避難するってやつ。
大体、高校生になってまでコレやるの?!マジでか?!みたいな。
小学校の時は雨で中止。中学は違うクラスがやることになって本当心の底から安心してたのに
まさか高校最高学年になった今、コレをやることになるなんて・・・!
あぁ、なんだか眩暈が・・・!イヤ眩暈がするような気がするだけで本当はしないけど・・・!
むしろこのまま眩暈がするとか言って保健室に逃げ込む?!
うん、そうしよう。高杉先生ならきっとわかってくれるよ・・・!(この際多少のセクハラには目を瞑ろう)





、何処行くんですかィ?」

ガシっと。そう言うならばもうガシっと。
保健室に逃げ込もうとしていたあたしの左手の手首は総悟に掴まれていた。
ドアを開こうとかけた右手は虚しくそのままの状態で固まる。



「まさか逃げようなんて思っていやせんよね?さっさとジャージに着替えてきなせェ」

なんなら俺が手伝ってやりやしょうかィ?なんてさっきの神楽よろしく気味の悪い笑みを浮かべている。
あたしの背中に冷や汗が伝うのを感じながらもやっと紡ぎ出せた言葉は「遠慮しときます」のたった一言だった。










嫌々ながらも更衣室でジャージに着替え、教室に戻ってきた時には既に半分以上の生徒が下まで滑り降りた後だった。
窓から下を覗くともう既に滑り降りた神楽が「ー早くするアルー!」なんて叫んでいた。
む、無理だから、本当に。窓から下を覗くのは平気だけどやっぱり此処から下に降りるなんて考えられない…!
そうこうしているうちにも山崎くんが多少顔を青ざめながら滑り降りていった(山崎くんも怖いのかな?)
そして見えなくなったと思ったら下で構えてる体育の先生に抱きとめられながら袋から出てきた。





「オイ、早くしろよ」

ビクッ!後ろから聞こえた声に恐る恐る振り返ると土方くんが壁にもたれて立っていた。
周りを見渡すとどうやら残りの生徒はあたしと土方くんだけみたいで。

「聞こえねェのかよ?後が詰まってンだ、早くしろ」

あぁ、神様!
此処から降りるのも怖いけど、土方くんも十分怖いです。

「お、お先にどうぞ。あたし後でいいから」

あわよくば土方くんが行った後に逃げよう。

「あ?どうせお前逃げる気だろ?いいからさっさとやれよ」

・ ・ ・ バ レ て る ! 







そんなこんなで無理矢理袋の設置された窓の近くに行く羽目になった。
うう、もう本当無理なんだけど!なんて思って下を眺めていたら白いふわふわしたものが視界に入った。



「おーい、 早くしなさい。
 大丈夫、そんな心配しねェでもちゃんと先生が受け止めてやっから。だから早くそっから降りてきなさァい」

なんていつもの如く気だるそうに言う銀八先生。
っていうか、今まで何処にいたの?!

「うそばっかり」

そう伝えると「ちょ、うそじゃねェからァァア!!!いつ俺が嘘付いた?!おまっ、もういいから早く降りてきなさい!」
なんて叫びだす先生。その言葉通り下の袋の出口に待機している。
・・・此処は先生を信じて降りてみますか!(でもやっぱり怖いよ)





窓の上の棒に掴まりながら袋の中に入る。あとはもうこの手を離すだけ。
深呼吸をし、手を離した瞬間に目を瞑る(だって怖い!)
自分の身体がシュルシュルと下に向かって行くのが瞳を瞑っててもわかる。
ギュッて瞑った瞳から僅かに光が入ってきて、煙草のニオイと暖かい温もりに包まれた。
瞳を開ければそこにはやはり予想したとおりの人物がいて。





「だから言っただろォ?先生が受け止めてやるって」

そう言う銀八先生の顔にはあたしの大好きな優しい笑顔。
あたしを抱きしめたまま器用に立ち上がらせ、次の人の為にそこからどく。


「・・・先生恥ずかしいよ」

今も尚、ギュッとあたしを抱きしめてる先生に顔を赤くしながら呟く。

「バカおまっ、先生は一度抱きしめたら離しませんよコノヤロー」

「何言ってるの!だ、だってまだ土方くん残ってるよ。受け止めなくていいの?」

「何言っちゃってんのかなァ、この子は!、お前先生が受け止めんのは限定だからね?わかる?」





ドカッ!!!

「イタッ!!!!」

突然奇声を挙げ、あたしに前のめりになりながらも尚抱きしめる手を離さない先生に

「お前いつまで抱きしめてンだよォォオ!!!!」

なんてもう一発先生の背中に蹴りを入れる土方くん。
いつの間に滑り下りてきたの?!

「ちょ、お前痛いからァァア!!!!蹴るのやめてくれる?!」

そう涙目で訴える先生が可愛かったからフフッって笑いながら先生のふわふわな頭をよしよしって撫でてあげた。

〜!!!!」

なんて更に強く抱きしめて甘えてくる先生をあたしもギュっと抱きしめ返した。













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